知る人ぞ知る幻の珍味、「地蜂」という蜂についてご存知ですか?
さまざまな姿かたちや生態をもつ蜂は、巣を作る場所も実にバリエーションに富んでいます。木のウロの中、民家の屋根裏、木の枝の先……身近な例では自転車のカゴの中に蜂の巣を作られてしまった経験をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
色々な場所に巣を作る蜂の中には、アリのように地面の下に大きな巣を作るものがいます。その代表的な存在が、地域によっては食料としても親しまれている地蜂です。
本コラムでは、地蜂がどういった蜂なのかという解説とともに、そのほかの地面に巣を作る蜂の紹介と、蜂に刺されない山歩きのコツについてご説明いたします。
目次
地蜂ってどんな蜂なの?
地蜂とは、名前の響きからなんとなく想像できる通り、主に土の中に巣を作って住んでいる蜂です。正式に地蜂という名前の蜂がいるわけではなく、地面に巣作りする蜂の1種のことを、一部の地域ではそう呼んでいます。
一般的には「クロスズメバチ」の別名
一般的に地蜂と呼ばれる虫の正式名称は、「クロスズメバチ」です。その名の通り黒い体色が特徴的な蜂で、地域によってさまざまな愛称があるとされています。「ヘボ」や「スガレ」という名前なら、聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。
猛毒をもった危険な種類が多く、おそろしい害虫として扱われがちなスズメバチですが、クロスズメバチは珍味として歓迎されることもあります。まだまだ全国的な知名度は高くないクロスズメバチについて、その特徴と危険性を確認してみましょう。
クロスズメバチの特徴や危険性
地蜂ことクロスズメバチには、どういった特徴があるのでしょうか。この項目では、クロスズメバチの性質や危険性についてまとめてみました。
真っ黒な身体をもったスズメバチ
クロスズメバチは、黒い身体に白や淡い黄色の縞模様をもったスズメバチの仲間です。体長は10mmから12mm程度とスズメバチの中では小型の部類で、日本では平地や山地を問わず幅広く生息しています。
主に森林や畑、川の土手などの地中に巣を作り、多階層からなるマンションのような巣はスズメバチの仲間の中でも非常に巨大な規模になりやすいといわれています。
肉食性の蜂であり、小型の昆虫やクモ、あるいはカエルや動物の死骸などから肉団子を作って巣に持ち帰ります。クロスズメバチの多くみられる地域では、食卓にのぼった焼き魚にクロスズメバチがたかるなんてこともあるそうです。
比較的温厚で毒性は低い
クロスズメバチは危険なスズメバチの1種ですが、比較的温厚で攻撃性は高くないとされています。毒もほかのスズメバチより弱く、命にかかわる事故にはつながりにくいと考えられます。ですが、刺された箇所は腫れあがって強い痛みが生じるため、できるだけ刺されないようにしましょう。
また、クロスズメバチを含めた蜂に共通する危険性として、アレルギーの過剰反応(アナフィラキシーショック)を起こすおそれがあります。ショック症状の強さ次第では血圧が急降下し命を落としてしまうこともあるため、いくら毒が弱くても刺されるのは危険といえるでしょう。
その他の特徴として、クロスズメバチはジュースやお酒などの香りの強い液体に誘われて寄ってくることがあります。ジュース缶の中に入り込んだクロスズメバチに気づかず口をつけて、唇を刺されてしまった事例もあるので、屋外でのバーベキューなどの際には十分注意しましょう。
地蜂はおいしい!?実は栄養満点なんです
冒頭でも話した通り、長野県や岐阜県をはじめとした一部地域では、地蜂は珍味として食べられています。クロスズメバチの幼虫や蛹は良質なたんぱく源になるため、地域の名産珍味「蜂の子」として広く親しまれているのです。
クロスズメバチを捕獲する蜂追い
信州では、クロスズメバチの巣を入手するために「蜂追い」という手法を使います。これは、目印をつけたエサを使って蜂をおびき出し、エサを巣に運んでいく蜂を追っていくことで地中にある巣を発見するというものです。
巣を発見できたら、煙幕花火などを使って巣の中にいる蜂を仮死状態にします。そしてクロスズメバチが起きないうちに、巣を掘り出して回収するのです。蜂はすぐに仮死から復活するため、危険と隣り合わせの作業となります。なお、巣の中の幼虫にまで影響が及ぶため、殺虫剤を使用することはできません。
四方を山に囲まれた長野県では昔から昆虫食が盛んであり、「信州人はなんでも食べる」といわれるほどにさまざまな昆虫を食べたとされています。特に蜂の子は代表的な昆虫食であり、蜂追いは遠い祖先から現代に受け継がれた伝統的な手法なのです。
蜂の子はどうやって食べる?どんな味?
蜂の幼虫そのままというグロテスクな見た目をしている蜂の子ですが、果たしてどんな味がするのでしょうか。また、一般的にどのように調理されているのかも気になるところです。
蜂の子の味や栄養素
肝心の味ですが、生の蜂の子は「淡白な味わいでクリーミーだ」と評判です。幼虫には食感や味に若干のクセがあるそうですが、蛹になる直前の個体にはそういったクセがなく、この状態がもっとも美味だとされています。
また、蜂の子は栄養豊富な食品だとされています。たんぱく質が100gあたり約17gと多く含まれており、ビタミンA・B1・B2やカルシウムに鉄分など、さまざまな栄養素を摂取することが可能なのです。
蜂の子の調理法
蜂の子には佃煮や蒸し焼き、バター炒めなどさまざまな料理法があります。特に佃煮は、蜂の子自身がもつ淡白な味わいと醤油の味わいが調和しており、代表的な調理法として親しまれています。
また、岐阜県の東濃地方や静岡県の葵区などでは、煮つけにしたクロスズメバチの成虫と幼虫をご飯に混ぜる「ヘボめし」という郷土料理も存在しています。蜂の子は長い歴史をもつため、さまざまな調理法や郷土料理があるのです。
現在では通販で蜂の子の甘露煮を購入することが可能なので、もし蜂の子を食べてみたいという方は購入してみるのをおすすめします。特に花九曜印の蜂の子は、天然の地蜂を使用した本格的な一品に仕上がっています。
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地蜂だけじゃない?土の中にはあの危険な蜂も巣を作る
いわゆる「地蜂」は一般的にクロスズメバチのことですが、地面に巣を作る蜂はほかにもいくつかいます。種類によっては命にかかわる毒をもった危険な蜂もいるので、地中にできた巣をみかけてもうかつに近づかないほうが無難です。
本項では、クロスズメバチのほかに地中に巣を作る蜂について解説します。
オオスズメバチ
日本に生息する最大のスズメバチであり、同時に毒をもった害虫としては最強クラスの戦闘能力をもつ非常に危険な蜂です。その針には毒蜂の中でもとりわけ強力な毒があり、刺されれば人間であっても命を落とすことがあります。
オオスズメバチの巣はクロスズメバチと似た環境に巣を作ることが多く、不用意に接近した人や動物に一斉に襲い掛かります。極めて凶暴な蜂なので、山の中でオオスズメバチを見つけたら、すぐにその場を離れるようにしてください。
クロアナバチ
クロアナバチは身体の黒い肉食性の蜂です。色合いはクロスズメバチに似ていますが、体長は20mm程度とクロスズメバチよりも大きな体格をもっています。クロアナバチの最大の特徴は、地面に穴を掘って、そこに狩ってきた獲物を収納する習性でしょう。
スズメバチのように群れで生活しているわけではなく、人間に対しても攻撃的ではありません。巣穴を掘り返して刺激するようなことをしなければ、襲われることはまずないとされています。
キイロスズメバチ
キイロスズメバチは、鮮やかな黄色やオレンジの体色をもった比較的小型なスズメバチです。非常に攻撃的な性格をしていて毒性も強く、日本におけるスズメバチの刺傷事例の大半はこのキイロスズメバチが占めているとされています。
オオスズメバチが主に山の中で生息しているのに対し、キイロスズメバチは都市部や住宅地にも巣を作る傾向があります。そのため、人の生活圏で遭遇することが多く、接する機会が多いという意味でも非常に危険な蜂なのです。
土の中に巣を作る蜂に刺されないためには
地蜂をはじめとした土の中に巣を作る蜂の中には、好戦的で危険な蜂も存在します。そのため、森林浴やハイキングなどで山や森に入る際は、これらの蜂に刺されないように十分な注意を払いましょう。
最後に、山を歩く際に蜂に刺されないためにできる工夫を以下にご紹介します。
黒っぽい色の服は避ける、帽子をかぶる
蜂は色で攻撃する対象を見分けているとされ、一般的にスズメバチは「黒色」に対して興奮し、攻撃的になります。黒色に興奮する理由についてはさまざまな説がありますが、熊などの蜂を捕食する動物の体色に黒が多いからではないかという説が今のところ有力です。
山歩きをする際は、黒い服の着用を避けるようにしましょう。また、髪の毛の黒に対しても蜂が興奮するおそれがあるため、帽子をかぶるなどして黒い部分が見えないよう工夫しておくのを推奨します。
警告音が聞こえたらすぐにその場を離れる
スズメバチの仲間は、巣に近づく者に対してアゴを擦り合わせて「カチ、カチ」という独特の警告音を鳴らします。この警告音が聞こえてきた時点で、スズメバチたちは総攻撃の秒読み段階に入っていると考えて差し支えありません。
警告音が聞こえたら、蜂を刺激しないようゆっくりとあとずさるようにして来た道を引き返しましょう。このときパニックになって走ってしまうと、その音と動きがスズメバチを刺激してしまう可能性があるので注意です。
警告音が聞こえた段階でその場を離れれば攻撃を受ける可能性を減らすことができますが、スズメバチの巣の状況によっては警告なしでいきなり襲い掛かってくることもあります。スズメバチの姿を山の中でみかけたら、すぐに引き返すようにするのが無難かもしれません。
制汗スプレーや香水の使用を避ける
蜂は樹液や花の蜜の匂いをたどるために非常に嗅覚が発達しています。そのため、香りの強い香水や制汗スプレーに含まれるアルコールが、蜂を刺激してしまうかもしれません。山に入る際は香水や制汗スプレーを使うのは避け、強い匂いのするものは持ち歩かないようにしましょう。
まとめ
日常ではあまり耳にすることのない「地蜂」ですが、クロスズメバチは地域によっては珍味としてよろこばれる存在です。特に長野県などでは、貴重な栄養源として長い間愛されています。
そのため、地域物産展などでも、地蜂という名前でクロスズメバチの幼虫やサナギが売られていることがあります。興味をもって調べてみると、さまざまなところでその名前を見かけられるかもしれません。
なお、信州などでは伝統的な手法で蜂の巣を回収していますが、これは経験を積んだ方にしかできない困難な手法です。素人が蜂の巣を捕獲しようとすれば刺される危険性が高いため、もし家にできた蜂の巣を駆除したい場合は、素直に業者へ依頼しましょう。
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