雄大な自然に還すために…ペットを散骨していい場所、ダメな場所

2021.4.30

雄大な自然に還すために…ペットを散骨していい場所、ダメな場所

ペットが亡くなってしまった後は、手厚く葬りたいとご希望の方が多いでしょう。ペット葬儀サービスも充実してきており、人間のように供養することも可能となりました。

とくに遺骨の取り扱いは、飼い主様自身で保管することができ、ペットの思い出の地などに散骨することもできるのです。ただし散骨は、むやみに撒くと法律に抵触してしまうおそれがあります。

そのため散骨を希望している方は、しっかり理解を深めることが重要です。今回は、ペットの散骨についてあらゆる情報をまとめました。ペットの遺骨を自然に還してあげたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

ペットの散骨とは

ペット葬儀を行い、火葬した後お骨は骨壺に入れて納骨堂に収めるのが一般的な供養の方法となります。散骨は、お骨をお墓に入れて保管するのではなく、砕いて山や海、ペットのゆかりの地などにまいて供養する方法です。

むやみに骨を散布するのは、法律に触れてしまうのではないかという懸念があるかもしれません。しかし『墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)』によると、節度をしっかりわきまえることができるなら罰せられることはないです。

ただし、私有地以外の土地に散骨する場合は、地主の了承を得る、自治体に理解してもらう、自然環境に配慮するなど許可を得ることが必要です。また、地方によっては散骨が禁止されていることもあるため、事前にルールを確認しておくのがいいでしょう。

個人で行うことも可能ではありますが、散骨を希望する方が増加していることを受け、業者でも散骨を行うことができる場合があるのです。依頼する場合は、埋葬許可証の提示が必要になり、他に特別な書類を用意する必要はありません。

遺骨がお寺で供養してあり、取出しが必要であるなら、墓地の管理者に了承を得て遺骨を取り出してもらいます。散骨後お墓が不要になったときは御霊抜きを行い、墓地を更地にしてから返還が必要です。

ペットの散骨とは

ペットに散骨葬が選ばれる理由

ペットを散骨したいとご希望の方が増加傾向にあるのは、様々なメリットがあるからです。ただ散骨による供養にはデメリットもあるため、注意点もきちんと確認していきましょう。

散骨するメリット

・維持費がかからない
遺骨を維持する必要がなくなるため、維持費がかからないのが大きな利点となります。最初に粉骨する費用と、散骨してもらう費用は必要です。また、自分で散骨を行った場合は、さらに費用を抑えることができるでしょう。

・お墓参りの手間がなくなる
お墓を建てると、決まった場所にお参りに行く必要があります。遠方に住んでいる方は、頻繁に訪問するのも困難でしょう。ときには、居住地を引っ越すことになる可能性もあります。

散骨をすると、場所の制限がなくなり遠方まで行く必要がなくなるのもメリットの一つです。自宅で保管するのが難しい方や、近辺に霊園がない方などは散骨の恩恵を受けやすくなります。

散骨するデメリット

・お墓参りができなくなる
場所に縛られなくなるメリットはありますが、反面お墓参りができなくなるというデメリットも考えられます。決まった時期にお墓に供え物をしたいときや、焼香をあげたいという方はあまり散骨という手段はおすすめできません。

散骨をすると遺骨が手元からなくなるため、後世に残すものが一切なくなります。散骨を選択する場合は、本当にそれがベストな手段なのかどうか、熟考してから決めることが大事です。

ペットに散骨葬が選ばれる理由

ペットの散骨は必ず粉骨をしてから

亡くなったペットを散骨にて供養する場合は『粉骨』をしてからにしなければなりません。ここでは、粉骨について詳しく解説していきます。

粉骨とは

骨を細かく砕き、粉状の状態にすることを指します。骨の体積が小さくなり、いつでも散骨できる準備をするために欠かせません。粉骨自体に法律的問題はないため、正しい方法が理解できているなら自分で行うこともできます。

仮に散骨を希望せず、自宅で遺骨を保管したいという場合でも、粉骨をすることで遺骨の状態を保ちやすくなりますし、保管も楽になります。

粉骨しないと遺棄事件に発展する可能性も

粉骨しないと遺棄事件に発展する可能性も

遺骨をそのままの状態で埋葬すると、「遺骨遺棄罪」という罪に問われてしまうおそれがあります。また粉骨を行っていない遺骨は、墓地埋葬法によると墓地以外の区域に埋葬することはできないとなっているのです。

そのためペットを散骨で供養したいとお考えであるなら、必ず粉骨をしてから撒くようにしましょう。     

ペットの散骨を自宅の庭で行う方は多い

ペットの散骨を行う場合は近隣への配慮が必要であるため、自宅の庭で行うという方も多いようです。一番長く過ごした場所で安心して永眠してほしいという想いから選択する方もいるでしょう。自宅の庭に散骨することで、後から花を植えて華やかに彩ることも可能になります。

ただ、自宅の庭に散骨する際は、将来的な目線が必要です。ご自宅の私有地をいずれ売却する可能性がある場合、売却時にトラブルを招いてしまうおそれがあります。不動産屋にペットの遺骨を散骨した旨をしっかり伝え、売買するときには必ず話すようにしましょう。

ペットの散骨を自宅の庭で行う方は多い

ペットの海洋散骨はトラブルが少ない

ペットの散骨方法の一つとして『海洋散骨』という方法があります。遺骨を海に還す手段であり、ご自宅付近でお墓が建てられない方に適した供養です。景観がよい海へ散骨することができれば、ペットも安心して永眠しやすくなるかもしれません。私有地を避け、人の目をあまり気にしないで行えるため散骨場所として人気が高いのです。

海洋散骨を行うときは、基本的に遠く離れた遠洋で撒くのが適切です。その際、個人で船を用意するのは難しいため、フェリーなどを活用する必要があります。しっかり粉骨できているのであれば、法律上海岸線に散骨するのも問題はありません。

しかしながら、海でも海水浴場など多くの人が集まりやすい場所に撒くのはマナーに反している行為となります。散骨をするときは、必ず沖に出て周りへの配慮を怠らないようにしましょう。

ペットの海洋散骨はトラブルが少ない

ペットの散骨ができる場所

ここでは、ペットの散骨をできる場所をより具体的に説明していきます。基本的に散骨可能な場所は以下のようになります。

私有地

基本的に許可は必要ありませんが、周りへの配慮を怠らないことと、必ず遺骨を粉骨することを忘れてはいけません。もし立地上近隣住宅と密接しているのであるなら、ご自宅の庭ではなくもっと広い場所に散骨したほうが、トラブルも少ないはずです。

第三者の私有地であることが多いですが、許可を得ていれば問題なく散骨することができます。弔いのために登山をする方も存在するため、生前ペットが好きな場所であったなら有効です。

ただし、山でも周りの生態系に影響を与えかねない場所、天然記念物が生息している場所などは許可が下りないことも多いです。

空からペットの遺骨を撒く『空葬散骨』と呼ばれる方法も存在します。飛行機をチャーターして空の上から海洋上に撒くのが一般的です。また、バルーンの中に遺骨を入れて打ち上げる手法もあり、手厚く弔ってあげたいという方に最適な方法となります。

遺骨をカプセルに入れ、人工衛星打ち上げ用のロケットで空の彼方へ打ち上げる宇宙葬という手段もあるのです。立ち会いも可能で、業者が特別な許可を取ってくれるため問題なく散骨できるでしょう。

しかしながら、いまだ普及率が高いとはいえず費用も大変高額になることが予想されます。

ペットの散骨ができる場所

ペットの散骨ができない場所

法律に抵触するおそれがあるため、ペットの散骨ができない場所も多く存在します。具体的にどのような場所が禁止されているのかを理解することで、法的なトラブルを回避できるはずです。

他人の土地

基本的には、私有地または許可のない場所では散骨はできません。ただ、土地の所有者に許可を得ることができれば散骨することが可能です。とくに粉骨していない状態の遺骨は埋葬すると法律に違反することになるため注意しましょう。

法律により禁止されている地域

地域の自治体によっては、散骨をすることが不可能な場所も存在します。許可を得ることもできないでしょう。主に商業施設などが該当し、多くの人が行き交う地域などで多く見られます。

漁業権がある場所

海でも、漁業が盛んな場所では散骨はできません。散骨をすることで漁獲量に影響する可能性があり、食品として消費者に提供される商品の品質を落としかねません。海に散骨するときでも、事前に問題ないかどうかの確認を取り、トラブルがないようにしましょう。

ペットの散骨ができない場所

ペットの散骨で人気の場所は?

ペットの散骨で比較的人気が高いのは、海洋散骨による遠洋の海と言われています。具体的には、青く透明できれいな海に面したハワイや沖縄などの海が人気のようです。美しい海に散骨することで、ペットを安心して供養することができ、飼い主自信も豊かな自然に触れて心の整理が付きやくなります。

また、日本国内でも伊豆や瀬戸内海などの海が人気の傾向にあり、もし場所に迷っているのであれば、選択肢の一つとして加えてみてはいかがでしょうか。もちろん、生前ペットの思い出が詰まっている海や、ゆかりの地が存在するのであれば無理に遠方まで赴く必要はありません。

海洋散骨は、上記でもご紹介してきたように比較的トラブルが少ない散骨場所です。しかし、浅瀬など人が集まりやすい場所では多少トラブルの懸念もあるため、土地の所有者に許可を取るのがいいでしょう。自分で許可を取る方法がわからないという方は、適切な対応をしてくれる業者に散骨の相談をするのが最善です。

ペットの散骨で人気の場所は?

ペットの散骨に公式の散骨場があります

日本国内には、ペットの散骨を公式に行っている場所があります。島根県隠岐諸島の『カズラ島』は、国内初の散骨専用場です。自然公園法により「第一種特別地域」に指定され、建築物を建てることができない島なのです。環境が守られ、ペットの遺骨を散骨する地として適した地域となります。

カズラ島に散骨するためには、船で向かう必要があり、個人でいつでも向かうことができるというわけではありません。散骨を事前に申し込む必要があり、カズラ島に散骨をしてくれる業者が存在します。

散骨は、予約を取って詳しい日取りを決め、適切な案内によって執り行われます。また、カズラ島では、対岸上に慰霊所が設けられており、散骨では不可能であった参拝が可能です。散骨をするとお参りができないという欠点がありましたが、カズラ島ではそのようなデメリットを補っています。

カズラ島に散骨する方法は主に「施主散骨」「委託散骨」分類され、それぞれ料金にも違いがあるのです。以下で詳しい情報と特徴をまとめましたので、見ていきましょう。

施主散骨

遺族の方が直接カズラ島に訪れ、案内のもと上陸してから散骨をおこなう方法です。施主散骨を依頼した場合は、28万円ほどの費用に加えて、交通費や宿泊費が必要になります。ただ、生前予約をすることで施主散骨の費用を、19万円程度まで抑えることもできるようです。

委託散骨

ペットの遺骨を業者に郵送し、カズラ島に散骨を委託するという方法です。こちらの方法は施主散骨に比べると費用も安くなっていることが多く、24万円程度で依頼することができます。また、生前予約の場合は16万円程度まで費用を抑えることも可能です。

※上記の金額は2020年3月時点

まとめ

大切なペットが亡くなってしまった後は、散骨という手段で手厚く供養することが可能です。遺骨を撒くことができる場所も様々にあり、生前のゆかりの地に撒くことでペットも安心して永眠することができるでしょう。

しかし、近隣への配慮や、土地の所有者に許可を取る必要があります。また、骨はしっかり粉骨してから撒かなければならず、むやみに散骨すると法律違反となってしまうため注意が必要です。

もし、散骨する場所に悩み、トラブルが心配だという方は、安心してまかせることができる業者に相談するのが最善の方法です。

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