古い玄関の鍵、交換する必要があるのはどうして?空き巣対策と防犯性

2021.4.30

古い玄関の鍵、交換する必要があるのはどうして?空き巣対策と防犯性

仕事や学校で家を無人にするとき、玄関の鍵をかける人がほとんどでしょう。玄関は家の顔であり、侵入者から財産を守るための要でもあります。

しかし空き巣をはじめとする侵入者は鍵をかけてあったとしても狙ってきます。とくに古い鍵は防犯性に不安がある製品も多く、阻止するのに不十分なことも少なくないのです。そのため古い玄関の鍵を交換することは、防犯性を高め財産を守ることにつながります。費用がかかってもその分、安心を得られるのです。

今回は玄関の鍵を中心に、防犯性の高いものと交換手順について考えていきます。

古い鍵は空き巣に狙われやすい

警察庁の統計によれば、空き巣を含む侵入窃盗の認知総数31,532件(2016年)のうち、半分以上は窓からの侵入です。しかし玄関からの侵入も2割近くと多く、5,615件を占めています。

この統計で特徴的なのは、玄関からの場合はピッキングなどで施錠を開けるよりも、ドア錠を壊して侵入した件数がはるかに多いことです。その差は20倍近くになります。空き巣というと玄関をピッキングやサムターン回しで目立たないように開けるというイメージがあるかもしれませんが、実際には鍵を無理やり壊して入る場合の方が多いのです。

一方で、5分以上かかると7割が、10分以上かかるとほとんどの侵入者が侵入をあきらめるといわれています。
ここからわかることは、「空き巣対策には簡単に破られにくい鍵を選ぶ必要がある」ということでしょう。古い鍵は構造が単純な分、鍵部分を強引に壊せばドアが開いてしまいます。そのため各メーカーは鍵の部分を壊しにくい製品を開発しており、交換するだけで破られにくくなる場合も多いのです。

これらのことから、古い鍵は使用をやめ、防犯性を高めた玄関の鍵に交換する必要があるといえます。また、補助錠で「鍵の数を増やす」というのも対策のひとつです。

鍵を落としてしまった結果空き巣に侵入されるといったことも考えられます。こうした場合の対処について、詳しくは「鍵をなくしたらどう行動すべき?しっかり対処しないと犯罪に繋がる?」で解説していますので参考にしてみてください。
      古い鍵は空き巣に狙われやすい

玄関の鍵におすすめな鍵の種類

では、玄関の鍵の交換に向いている鍵とは、どんな種類なのでしょうか。

破壊しにくい鍵

  
素材や構造を工夫し、ドリルなどによる鍵の破壊をしにくくした鍵です。
例えば鍵穴部分にドリルを入りにくくして、鍵の破壊を困難にする鍵があります。鍵を破壊して侵入することが多い事情を踏まえれば、壊されにくい鍵はそれだけ空き巣を諦めさせるのに効果があるといえるでしょう。

複雑な構造の鍵

  
構造を複雑にすることでピッキングしにくくする鍵です。ロータリーシリンダー錠やディンプルシリンダー錠などがこれに当てはまります。
ロータリーシリンダー錠は特殊な内部構造で鍵の形が伝わりにくく、ディンブルシリンダー錠はピンの配列を多様化することでそれぞれピッキングしにくくしています。

補助錠

  
鍵の数を増やすとそれだけ壊すために時間がかかるので、玄関の空き巣対策としても有効になります。

補助錠は単純な鍵追加でも行えますが、2つの鍵を取り出して施錠する習慣を付けることはなかなか難しいでしょう。最近では同一シリンダーを組みやすくしているメーカーもあるため、玄関の鍵を交換しつつ、同じ鍵で補助錠も扱えるようにすると便利です。

CPマークを目安に

  
防犯性能の目安として、「CPマーク」というものがあります。

これは侵入までの時間が5分以上かかるなど、防犯性能が高いと評価された建物部品を官民合同会議で認定しているものです。これらの製品名は目録として公開され、CPマークの使用が許可されています。

つまりこのCPマークが付いている製品は一定以上の防犯性があるということで、玄関の鍵を交換する際にも参考にすると、より効果のあるものを選べるのです。

玄関の鍵交換手順

ここでは玄関の鍵を交換する手順について説明します。まずは比較的簡単に行える、シリンダーの交換について見ていきましょう。
ただし、鍵交換は難度の高い作業になるため、DIYで行うことが難しいと感じた際は鍵交換のプロに依頼することも大切です。

【準備するもの】

  
・交換シリンダー(交換元に対応したもの)
・プラスドライバー
・マイナスドライバー
・ドアを固定するもの(ドアストッパーなど)

製品によっては、追加でさらに工具など必要な場合もあります。事前にしっかり確認しましょう。

【手順】

  
手順1)ドアが閉まらないよう固定  
作業中にドアが閉まると作業がしにくくなるため、あらかじめ固定しておきます。

手順2)フロントを外す  
ドア側面、フロントと呼ばれるラッチなどがついた部分にシリンダー部分も固定されています。そのためフロントの金属プレートを外して、ラッチ部品を見えるようにします。

手順3)シリンダーの固定を外す  
ラッチ部分のシリンダー固定は、ピンを使って行われていることが多いです。そのためピンを抜いて、シリンダーを取り外せるようにする必要があります。
シリンダーは上下で固定されているため、室外側に当たるピン2本をマイナスドライバーなどで引き抜きます。

手順4)シリンダーを交換する  
固定用のピンを抜くことでシリンダーが外れるため、新しいシリンダーへと交換します。向きはマークが左に来る場合、上に来る場合などがあるため、事前に確認しておいてください。

手順5)ピンを挿し込み固定する  
抜いたピンを戻し、シリンダーを固定します。
ただし、ドアが分厚い場合を中心に、そのままではピンが入らないこともあります。そのときはリング部分をずらし、内部にあるコイルの先端を引き出して奥行きの調整をおこなってください。

手順6)フロントを取り付ける  
ラッチ部分の部品を保護するために、フロントの金属板を取り付けます。

玄関の鍵交換に掛かる費用

さて、玄関の鍵を交換するにあたってはどのくらいの費用がかかってくるのでしょうか。
鍵交換の場合、費用は「部品代」と、プロに依頼する場合の「出張・作業費」の2つに大きく分けられます。

部品代の相場

  
鍵は価格が安いものも市販されていますが、防犯性を考えるとある程度は費用が掛かるものとして見積もっておく必要があります。CPマークの付くような防犯性を求めるとなると、1万円以上はすると考えておいてよいでしょう。さらに機能性や防犯性の高い鍵にするときは、それに応じて部品代も高くなります。

出張・作業費の相場

  
DIYで自力交換する場合は部品だけで済むことは多いですが、鍵の交換、とくに防犯性の高い鍵はそのぶん構造も複雑になるため、プロに依頼したほうが無難です。ただし、プロに依頼するとそれに応じた出張・作業費がかかってきます。

この出張・作業費の相場は業者にもよりますが、1万~2万円前後が多いようです。遠方の業者に頼むとその分出張費も高くなるため、近くかつ信頼のおける作業をできる業者を見極める必要があるでしょう。

万が一、鍵を紛失した場合は「鍵をなくしたらどう行動すべき?しっかり対処しないと犯罪に繋がる?」をご覧ください。
      玄関の鍵交換に掛かる費用

まとめ

玄関は住宅の正面にあたり、顔ともいえる部分です。顔であるがゆえ、空き巣にとって目の付きやすいところです。そのため玄関の古い鍵は交換するなどして防犯性を高め、侵入が難しいと思わせることが大切でしょう。

もちろん、玄関だけの対策では不十分です。窓などからの対策も万全に行う必要があるのは確かですが、その1歩として、玄関から防犯対策をはじめてみてはいかがでしょうか。

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