保温性のある家に住むゴキブリは、かつて「富の象徴」として考えられていました。しかし住宅の高気密化により一般家庭へも侵入してきたと同時に、その姿自体に嫌悪感を持つ方も増えてきました。現在では粘着わなやスプレー(エアゾール製品)などゴキブリ駆除グッズも普及していますが、「そもそもその姿を見たくない」という方も多いことでしょう。また赤ちゃんやペットがいて、駆除グッズの毒性が気になる方もいるかもしれません。
じつはスパイスのひとつ、「クローブ」にはゴキブリの忌避効果があると考えられています。独特なにおいを持つものとして、頭に浮かぶ方も多いでしょう。今回はそもそもクローブとは何か、どうやってゴキブリ除けに使うかをご紹介します。
目次
クローブとはどんなもの?
そもそもクローブという名前自体、あまり知らないという方も多いでしょう。クローブはインドネシア・マルク諸島原産のフトモモ科植物です。実際に使うことが多いのはそのつぼみ部分。葉もアロマオイル精製などで利用されることがあります。
和名は「丁子」
じつはクローブ、日本には5~6世紀ごろと古くから親しまれてきたものです。和名を「丁子」(ちょうじ)といい、中国由来でモノと名前が入ってきました。「シルクロードの終着点」ともいえる東大寺の正倉院に残されているほか、クローブを使った染め物が源氏物語に登場するなど、当時は最高級品として扱われていたことがわかります。
なお「丁子」の名前はつぼみの見た目が「釘」に似ており、中国では「釘」と「丁」の発音が同じことから名づけられました。西洋における「クローブ」もラテン語の「釘」から来ており、どちらも見た目から取った名前なのです。
染料として
源氏物語にも登場する「丁子染め」は当時から最高級品として重宝されてきました。とくにクローブの香りを重視して「香り染め」の一種とされることも。そのにおいが好まれるほか、薄い茶色に近い色合いにも人気があります。
虫よけとして
丁子染めが重宝された背景として、虫よけの効果が期待されたことがあります。またクローブのつぼみそのものも虫よけとして古来から注目されていたと考えられているのです。
香り付けとして
クローブの強い香りは香り付けとしても重宝されました。
西洋の「オレンジポマンダー」
ヨーロッパではその香りや虫よけ効果から、オレンジなどの柑橘類にクローブを挿して作る「ポマンダー」という香り玉が厄除けとして作られました。また顕微鏡がなく、細菌が発見されていなかった中世ヨーロッパではペストの原因が悪臭とされていた時期があり、クローブの強い香りが対策になると考えられていたことも。
ペストを診察した医師の容姿の特徴として、天狗のように鼻の長いマスクが話題になることがあります。その長い鼻の中にはグローブが詰まっていたと考えられているのです。
ほかのオイルに混ぜて利用
クローブを抽出して作るオイル自体は揮発性が高く、そのままでは利用できませんでした。しかし植物油に混ぜて日本刀などのさび止めに、椿油とともに抽出することでひげや髪・まげを整える鬢付け油(びんつけあぶら)としてその香りが利用されていたと考えられています。
漢方薬として
クローブには体を中から暖める効果があると考えられており、冬の寒さ対策として漢方薬に用いられることがあります。また薬膳料理に使われるほか、ほかのスパイスとともに用いられることも少なくありません。
実際クローブに含まれるオイゲノールには血液を流れやすくする効果が確認されています。
ユージノールとして
歯科領域ではグローブに含まれる「オイゲノール」という成分を慣習的に「ユージノール」として呼ぶほか、現在でも多く用いられています。クローブの香りはこのオイゲノールに由来するほか、「歯医者の独特のにおい」といわれることも。というのもオイゲノール(ユージノール)には鎮痛効果があることから、虫歯の初期治療に使われることが多いのです。
クローブはなぜゴキブリに効果があるの?
ではなぜ、クローブがゴキブリにも効果があると考えられているのでしょうか。
ハーブのなかでもにおいは強め
クローブの異称として「百里香」というものがあります。その由来は香りが強く、遠くからでもクローブを見つけることができたといわれることから。とくにハーブは虫から自分の身を守るために香りを作り出したといわれており、そのなかでも香りが強いクローブはゴキブリよけの効果も十分期待できると考えられるのです。
ゴキブリに対して毒性を持つ?
クローブに含まれるオイゲノールは鎮痛効果があるほか、抗菌や血液を固まりにくくする役割があるとされています。しかし人間にとっては病状改善などに役立つものでも、ほかの生物にとっては毒性があるものも少なくありません。
人間に対して鎮痛効果があることからも推測できるように、オイゲノールはゴキブリの神経系に影響を与えるといわれています。そのためゴキブリにとっては毒物と判断されやすいのです。実際は高濃度に限られるようですが、毒性を持つ物質を嫌いゴキブリは離れていくと考えられます。
ほかに効果のあるスパイスやハーブについて
クローブのほかにも、ゴキブリ対策に効果が期待できるスパイスやハーブがいくつかあります。
ハッカ類(シソ科)
ニホンハッカやペパーミントなどが代表例です。ハッカ類を代表とするシソ科植物にはチモールが含まれていることが多く、独特のにおいを生み出します。このチモールにはオイゲノール以上の鎮痛効果があるといわれ、体の小さな虫にとっては有毒。それが虫よけとして効果的といわれる理由でもあるといえるでしょう。とくにゴキブリはこのにおいを嫌うため、効果は大きいです。
柑橘類やそれに似たにおいを持つイネ科植物
オレンジポマンダーが厄除けとして作られていたことからも分かるように、みかんやオレンジなどの柑橘(かんきつ)類に含まれる「リモネン」「シトロネラール」などには防虫効果があるといわれています。そのため、むいた皮などを乾燥させることで虫よけとして使うことも可能なのです。
またイネ科植物であるレモングラスやシトロネラ、ユーカリシトロネラなどにも「シトロネラール」が含まれており、同様に効果が期待できるといえるでしょう。
セリ科植物「キャラウェイ」「セロリ」「クミン」など
セリ科植物には「イソピムピネリン」という成分が含まれています。この成分は人体にとっては害を与えない一方、カビや昆虫に対しては抵抗力としてはたらきます。そのためゴキブリにとっても忌避する存在といえるでしょう。
逆効果のものもあるので注意!
ゴキブリは甘いにおいのものを好みます。そのためバニラビーンズのにおい成分である「バニリン」や、セリ科植物でもイソピクピネリンを含まない「アニス」は甘いにおい(アネトール)を出すため、ゴキブリを引き寄せる効果があるのです。なおバニラビーンズのにおいを出すには種を発酵・乾燥させる必要があるため、バニラ自体を育てることは問題ありません。
少し変わった例として、シナモンとニッキがあげられます。どちらも同じ木(肉桂)の樹皮ですが、日本で取れる「ニッキ」にはオイゲノールが含まれていません。そのために甘いにおい(シンナムアルデヒド)をゴキブリが好み、引き寄せるといわれています。一方スリランカなど、赤道地域で採取するシナモンにはオイゲノールが含まれるため、ゴキブリを遠ざけやすくなるのです。
クローブのつぼみはどうやって使う?
クローブに含まれる「オイゲノール」などの成分に、ゴキブリの忌避効果があることは明らかになりました。しかし実際にゴキブリ除けとして使うにはどのようにすればよいのでしょうか。
そのまま利用。ティーバッグなどに入れて
クローブのつぼみ(クローブホール)はそのまま置いておくだけでもゴキブリよけの効果を発揮します。しかし風などで散らばってしまうことも考えられることから、できれば何かにまとめておきたいところ。香りを通す包みとして、ティーバッグなど不織布を利用しましょう。
オレンジなどとともに「香り玉」として
中世ヨーロッパの厄よけ「オレンジポマンダー」にちなみ、香り玉を作るのもひとつの手です。ただしカビなどが発生しないよう、クローブを挿しこんだ後は乾燥させたいところ。秋から冬にかけて作るのがおすすめです。
なおクローブのつぼみをそのまま利用する場合、効果は1年ほど続くといわれています。効果が薄くなる前に、定期的に交換していきましょう。
クローブのオイルはどうやって使う?
クローブは一方でつぼみや葉から精油(アロマオイル)を抽出し、販売されています。クローブの有効成分を濃縮したものであり、より便利に使うことができるでしょう。ただしクローブのオイルはその強い香りからわかるように揮発性が高く、効果が長続きしにくい点には注意が必要です。
アロマとして使おう
アロマディフェンザー(芳香器)などを利用するか、キャリアオイルに数滴垂らす形で使いましょう。柑橘類系のアロマオイルと相性がよいため、クローブ:柑橘類=1:5ほどの割合で混ぜるのもひとつの方法です。
またゴキブリが気になる隙間に、コットンに数滴含ませたクローブオイルを置いておくという使い方もできます。
スプレーを作ろう
水45ml(できれば不純物の影響が少ない精製水を)、エタノール5ml、クローブオイル数滴を混ぜ合わせることで簡単なゴキブリ忌避スプレーが出来上がります。ゴキブリの通り道になりそうな箇所や侵入が予想される場所に対してさっとひと拭きしましょう。
あくまで予防。発生したら駆除対策の検討を
クローブをはじめとしたハーブやスパイスの効果はあくまで「ゴキブリを遠ざけるもの」です。そのため既にゴキブリが発生してしまっているような環境では効果は限定的。まずはゴキブリが住みにくい環境を目指す必要があります。
ゴキブリ対策で厄介といえるのが卵です。卵は固い殻で覆われているために駆除剤の影響を受けにくく、2回に分けてくん煙剤を焚く必要があるなど対策には根気が必要といえるでしょう。この卵から幼虫が生まれ大量発生しているような場合は、ゴキブリ駆除のプロによる対策が必要なことも少なくありません。クローブによる対策は発生前から発生のごく初期までと割り切り、予防から駆除に頭を切り替えることが被害拡大防止につながります。
ハーブを中心とする植物は防虫対策としてその独特なにおいや成分を身に付けてきました。クローブもまた例外ではなく、クローブはゴキブリ対策に効果がある理由のひとつといえるでしょう。しかしにおいで遠ざけても、実際の対策が万全でなければいずれゴキブリは住み着いてしまうことも確かです。
そのためハーブやスパイスを使った対策だけでなく、まずは「ゴキブリが住みにくい環境」を作っていくことが大切です。そしてもしゴキブリが家の中で発生した場合、頭を駆除に切り替え発生初期で抑えていきましょう。
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