家に現れた小さいムカデ。それはムカデではないかもしれません。
ムカデといえばするどいアゴに強烈な痛みをもたらす毒をもった、おそるべき害虫として有名です。しかし、その反面、ムカデそっくりのおとなしい虫がいることをご存知でしょうか。
ムカデによく似た足の多い虫(多足類)のひとつに、「ヤスデ」と呼ばれるものがいます。細長い身体に無数の足とムカデにそっくりの見た目から怖がられることの多い虫ですが、ヤスデが人に危害を加えることはほとんどありません。
本コラムでは、ムカデとヤスデの見分け方や、家に出たヤスデをどう処理すべきかなど、ヤスデ対策に役立つ情報を解説します。
目次
小さいムカデ、それはヤスデかも?
家にムカデが出た!でもなんだか小さいし動きもゆっくり……その虫はもしかすると、ムカデではなく同じ多足類(たそくるい)の仲間であるヤスデかもしれません。
小さいムカデともいうべき足が多く細長い形状をしたヤスデですが、ムカデとは明確に異なる点がひとつあります。ムカデが肉食性の凶暴な虫であるのに対し、ヤスデは落ち葉や朽木などを食べるおとなしい虫であるという点です。
ヤスデはムカデと同じ多足類ではありますが、どちらかというとダンゴムシの仲間だとされています。ムカデに比べると危険性は低く、噛まれる心配もあまりないため、家に出たのがヤスデの場合は落ち着いて対処すれば問題ありません。
とはいえ、遭遇した虫がムカデなのかヤスデなのか、パっと見て判断するのは難しいかもしれません。そこで次項からは、ムカデとヤスデの詳しい見分け方についてご説明します。
ヤスデの特徴、ムカデとの見分け方
ヤスデは「小さいムカデ」あるいは「長いダンゴムシ」といわれるような見た目をした虫です。日本に生息するヤスデは体長が大きくても25mm程度と非常に小型で、ムカデのような大きい触角もないので、全体的に丸っこい印象を受けるかもしれません。
主にエサとするのは地面に積もった枯れ葉や倒れて腐った木などで、ダンゴムシと同じく落ち葉を分解して腐葉土に変える「分解者」の役割をもっています。落ち葉の多い場所に生息しているため、民家に侵入してくることはほとんどないといえるでしょう。
ヤスデは無害な生き物だとされていますが、細長い身体と無数の足がムカデによく似ているため、ムカデと間違われて駆除されることがよくあります。
逆に、ヤスデだと油断していたら小さいムカデだったなんてトラブルもあるため、以下にムカデとヤスデの見分け方を簡単にまとめておきます。
ムカデの特徴 | ヤスデの特徴 | |
体節ごとの足が2本(一対) | 足の付き方 | 体節ごとの足が4本(二対) |
60mm~200mm程度 | 成虫の体長 | 15mm~25mm程度 |
太い | 触覚 | 細い |
平べったい | 身体の断面 | 半筒状 |
すばやい | 動き | ゆっくり |
肉食性 | 食性 | 腐食性 |
このように、似ているムカデとヤスデにもよく観察してみると特徴に差があります。家に出た小さいムカデのような虫が本当にムカデなのか、それともヤスデなのかを見分ける参考にしてみてください。
ヤスデに毒はある?人を噛むことは?
人間相手にも恐れず噛みついてくるムカデに比べると、おとなしいヤスデは無害な虫だとされています。ヤスデにはムカデのような強靭なアゴはなく、人に噛みつくことは滅多にありません。
またムカデの大きな特徴としてアゴに強力な毒をもつことが知られていますが、ヤスデの小さなアゴには毒がないのです。ただし、まったく毒がないというわけではなく、非常に弱い毒性をもった体液を出すことがあります。
ヤスデに噛まれて毒を注入されるということはあり得ませんが、ヤスデの出した体液が目の粘膜に触れたり口に入ったりするとひどく痛むことがあります。ヤスデを触った手で目をこすることなどないように注意しましょう。
小さいムカデのような虫を見つけたときは、それがムカデであれヤスデであれ、素手で触るようなことはせず、火ばさみなどを使ってつまむようにするのが無難です。
ヤスデがもたらす害とは
人に危害を加えることのないヤスデですが、思わぬところで害をもたらすことがあります。まずヤスデの体液は毒性こそ弱いものの、強烈な刺激臭があります。とにかく臭いのです。
その臭さは昔の資料に「味噌汁の鍋に1匹入るだけで、鍋の中身が全部食べられなくなるほど臭い」という記述が残っているほどで、この臭いだけでも害虫と呼ぶにふさわしいでしょう。
ヤスデを密封容器などに閉じ込めると、自分で出した体液の臭いで死んでしまうほどですから、いかにおそるべき臭さかがよくわかります。
ヤスデはこの強烈な臭いの体液を、外敵に向けて発射する習性があります。不用意に触ると体液を吹き付けられる可能性があるため、小さいムカデとは別の方向で近づきがたい存在です。
【不快害虫】ヤスデが原因で事故が起こることも?
地域によっては定期的にヤスデが大量発生します。こうした地域では、線路を横断するヤスデの群れが列車の車輪につぶされて、飛び散った体液で列車がスリップするといった事故の原因となることもあるのです。これも明確なヤスデの害といえるでしょう。
それから、純粋に無数の足をうごめかせるヤスデの姿は人間にとって非常に不快に映ることがあります。冤罪的な部分が多いとはいえ、見た目の気持ち悪さは「不快害虫」として駆除の対象にもなるため、1匹だけでもヤスデは害虫として扱われているわけです。
ヤスデじゃなくてムカデの幼虫の可能性も
小さいムカデのような虫はヤスデである可能性が高いですが、安易に無害な虫だと油断するわけにはいきません。その虫はヤスデではなく、単に小さいだけのムカデ、要はムカデの幼虫かもしれないからです。
成長すれば60mm以上のサイズになるムカデですが、幼虫の間はヤスデの成虫とあまり変わらない20mm程度の大きさをしています。ムカデは成虫と幼虫であまり姿かたちが変わらない生き物なので、ムカデの幼虫はまさに「小さいムカデ」といった姿をしているわけです。
ムカデの幼虫は成虫に比べると凶暴性や毒性は強くありません。しかし、ムカデは子供を育てる虫なので、幼虫のそばには高確率で親となる成虫のムカデがいます。子を守る親ムカデはとりわけ凶暴で攻撃的なため、幼虫を発見した場合は成虫単体よりもむしろ注意が必要です。
小さいムカデのような虫がヤスデなのか、それともムカデの幼虫なのかでは、危険性に大きな違いがあります。上でご紹介した通り、よく見れば小さいムカデとヤスデは見分けることができるので、特徴を参考にしつつ小さなムカデとヤスデを判別してみましょう。
ヤスデ・ムカデの仲間?ほかの多足類の虫
家の周りで見かけることのできる多足類は、ムカデやヤスデ、ムカデの幼虫のほかにもいくつかあります。代表的なものを以下にご紹介します。
ゲジ
一般的にはゲジゲジとも呼ばれている多足類の一種です。ムカデやヤスデに比べると体長は短いですが、非常に長い足が無数に生えています。この無数の足を器用に動かすことで、ムカデよりも遥かに素早い速度で走ることができます。
ゲジは肉食性の生き物であり、家の中においてはゴキブリなどの害虫を食べてくれる益虫です。人間に襲い掛かることもほとんどなく、噛まれたとしても身体に影響はない無害な虫だとされています。
とはいえ、そのおぞましい見た目のせいで不快害虫として扱われることも多く、ヤスデに次いで冤罪に遭っている虫だといえるでしょう。下水道からパイプを伝って家の中に侵入してくることがあるため、ゲジ対策にはまず水回りの環境改善が必要です。
ジムカデ
非常に小型かつ細長い身体をしたムカデの一種です。体節が極めて多く、その数だけ足も生えているため、成虫のジムカデの足は左右合わせて300本から360本近くにもなるといわれています。
足があまりに多すぎるためか移動は苦手で、動きはあまり早くありません。ムカデの仲間らしく肉食で毒もありますが、毒アゴは細く弱弱しいため人間の皮膚を貫通することすらできないとされています。
イシムカデ
身体の短いムカデの一種で、見た目の印象はまさに「小さいムカデ」といった姿をしている虫です。成虫になっても体節はあまり増えず、最大でも15個程度にしかならないという特徴があります。
イシムカデは小さな多足類ですが、動きが非常に素早く、一度走り出せば人間が捕まえるのが非常に困難なほどのスピードで動きまわることができます。人間を噛むことはまずないものの、その動きの素早さと見た目から不快害虫として扱われることの多い生き物です。
上でご紹介したものはあくまで日常の中で見られる多足類の、代表的な一部です。多足類は人間の生活圏に数多く生息していて、家の中に入ってくるケースも珍しくありません。
一見すると危険なムカデに見える多足類も、実際は臆病でおとなしいものが多いので、見かけたときはパニックになる前にその虫が危険かどうか確認してみるのがよいかもしれません。
おすすめのヤスデの駆除方法
家に現れた小さいムカデのような虫がヤスデだった場合、そのまま放っておくわけにはいきません。
うっかり踏みつぶしてしまえば恐るべき悪臭が解き放たれることとなりますし、ヤスデをエサとする他の虫を呼び寄せることにもなりかねません。早めに駆除をおこなうべきでしょう。
ヤスデを駆除する方法としては、以下のようなものが挙げられます。
直接退治する
ヤスデは動きが遅く、反撃してくることもまずあり得ないので、直接始末してしまうのがもっとも手っ取り早い駆除方法です。ただし、叩きつぶしてしまうと悪臭の原因となるため、なるべく物理攻撃以外の方法で退治するようにしましょう。
家庭用の殺虫剤であれば大抵のものはヤスデに有効なので、殺虫剤を使えば悪臭を出される前に始末できます。そのほか、ちりとりと箒を活用して殺さずに外へ放り出すのもよいでしょう。
基本的に屋内より屋外の方がヤスデのエサが豊富なので、一度外に出してさえしまえば家に再侵入してくることはほとんどありません。
ヤスデのいそうな場所に駆除剤をまいておく
家にヤスデが入ってこないようにするには、庭などの敷地内に住むヤスデを駆除してしまう方法があります。
ヤスデは落ち葉や朽木、大きな石やコンクリートブロックの下によく住んでいます。それらヤスデのいそうな場所にあらかじめ殺虫剤や駆除剤をまいておくことで、敷地内のヤスデを一網打尽にできることでしょう。
落ち葉はこまめに掃除する
ヤスデに限らず害虫対策の基本は、害虫たちにエサと住処を与えないことです。たとえば軒下やベランダに落ち葉が積もっていたり、お庭に日曜大工の廃材を放置していたりすると、ヤスデの住処となってしまうことがあります。
お庭やベランダを定期的に掃除し、ヤスデのエサや住処をつくらないようにして、お家をヤスデの出ない環境に変えていきましょう。
大量発生しているときは無理せず業者に相談を
ヤスデはもともと集団で身を寄せ合って生きている虫ですが、普段は落ち葉の下や朽木の下に隠れているため目に触れる機会はあまりありません。
しかし、大雨などによって環境の急変が起こると、ヤスデの集団が大挙して落ち葉の下から出てきたり、安全な場所を求めて家の中に入ってくることがあります。これが、いわゆる「ヤスデの大量発生」の原因です。
大量のヤスデを1匹1匹駆除していくのは大変ですし、駆除しても駆除しても次から次へと現れるのではキリがありません。くわえて大量のヤスデは、すなわち大規模な悪臭を源ともなるため、個人でどうにかするには限界があるかもしれません。
個人では対処しきれないと感じたら、害虫駆除の専門業者に相談することも考えておいてください。経験豊富なプロの技術なら、悪臭を抑えつつ大量のヤスデをお住まいから排除してくれることでしょう。
まとめ
お住まいにあらわれた小さいムカデのような虫は、「ムカデの幼虫」か「ヤスデ」のどちらかである可能性が高いです。ムカデとヤスデは同じ多足類であり、見た目もよく似ていますが、エサにするものも凶暴性もまったく異なります。
見つけた虫がムカデなのかヤスデなのかによって、危険性も対処の方法も変わってくるため、まずはその虫が何なのかをしっかり見極めておきましょう。
ヤスデは人を噛むことさえないものの、悪臭を放つ不快な害虫であることに違いはありません。お住まいを快適に保つためにも、ムカデだけでなくヤスデが寄り付かない家づくりを考えてみてはいかがでしょうか。
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