
「スズメバチの針にはどんな特徴があるんだろう?」そう思ったら今のうちに覚えておきましょう。スズメバチの針は、ただの毒が塗られた針ではないのです!
スズメバチによる死亡事故は毎年のように発生しています。その特徴を知れば、被害を防ぐために役立てることもできます。また、知識を得ることで不安を和らげることもできるでしょう。
この記事では、スズメバチの針について主に以下の3点を詳しく解説しています。
- 意外と知らない針の特徴
- スズメバチの針の構造
- スズメバチの針の使い道
読んでいただければ針に関する不安や疑問を解消できるので、意外と知らないスズメバチの針の特徴を解剖しましょう。
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【監修者プロフィール】
郷 正憲医師
徳島赤十字病院 麻酔科
麻酔科標榜医
日本麻酔科学会麻酔科専門医
日本周術期経食道心エコー認定委員会認定試験合格
日本救急医学会ICLSコースディレクター麻酔の中でも術後鎮痛を専門として臨床研究をおこなう。医学教育への取り組みも積極的におこない、心肺蘇生の講習会のインストラクターやディレクターなどをこなす。本名および「あねふろ」の名前でAmazon Kindleにて電子書籍も出版。
目次
最低限知っておきたい!スズメバチの針の特徴
最初にご紹介するのは、身を守るためにも役立つ最低限覚えておきたい知識です。「一から十まで知りたくはない」という方は、以下の3つだけでも覚えておきましょう。
- 針を持つのはメスのみ
- スズメバチの針は何度も刺せる
- 針の長さは3~6mm程度
針を持つのはメスのみ
蜂のなかでも針を持つのはメスのみです。なぜなら、蜂の針は産卵管が変化したものだからです。そのため、メスである女王蜂と働き蜂は針を持っていますが、オス蜂には針がありません。
「それならスズメバチの半分が刺すの?」と思われるかもしれませんが、オス蜂が生まれるのは秋ごろの繁殖シーズンのみで、それ以外の蜂は全てメスです。そのため「巣の外を飛び回っているスズメバチ=刺す蜂」と考え、油断しないようにしましょう。

スズメバチの針は何度も刺せる
ミツバチと違い、スズメバチの針は何度も刺すことができます。これは針の構造が違うためです。
「刺針(ししん)」という硬くて細い管と、のこぎり状の刃を持つ一対の「尖針(せんしん)」が背中合わせに並んで収まっています。刺針の先端が触れた瞬間に尖針が飛び出し、交互に相手の皮膚を切り裂きながら奥へ進み、深く突き刺して刺針から毒を注入します。また、尖針の表面全体にも毒が塗られているので、傷口にも毒が付いてしまいます。
大まかな構造はスズメバチと同じですが、針に大きな返しが付いているので、針が刺した相手から抜けなくなります。そのためミツバチを叩き落しても針が毒のう(毒が入った内臓)と一緒に残り、毒を送り続けます。体がちぎれたミツバチは死んでしまうので、命がけの攻撃なのです。


針が残されるのは基本的にミツバチですが、叩き落すなどしてスズメバチの針が残ることもあります。この場合もミツバチのように毒液の放出は続くので、ピンセットでつまんだり、カードなどの薄いもので肌をこそいだりして針を抜きましょう。
針の長さは3~6mm程度
スズメバチの針の長さは3~6mm程度です。蜂の種類によって異なり、多くのスズメバチは3~5mm、最大のスズメバチであるオオスズメバチは5.5~6mmに達します。そのため、薄い生地の服では針が貫通して肌に達するおそれがあります。
以上の特徴から、針の侵入を防ぐ衣類や防護服には以下の特徴が必要です。
- 針が肌に達しないほど生地が分厚い
- 針が貫通できないほど固い・目が詰まっている
- 蜂が踏ん張って深く刺せないほどすべりやすい
また、黒い服やひらひらした服は蜂を興奮させるので、服装を選ぶ際はあわせて注意しましょう。
スズメバチの針の3つの使い道
ここからはスズメバチの針の使い道をご紹介します。スズメバチは餌を集める際は基本的に針を使わず、ここぞという場面で針を使います。その場面に立ち会えば自分の身を危険にさらすことがあるので、スズメバチに針を使わせないように刺激しないのが一番です。
針は普段は腹部に収まっています。他の蜂の場合は刺すときだけ外に飛び出しますが、スズメバチには3種類の使い道があります。
- 相手を威嚇する
- 警告物質を発散する
- 相手を刺す
相手を威嚇する
相手が巣に近づいてくると、スズメバチは相手の周りを飛び回りながら毒針を見せつけて威嚇します。それでも離れない場合は、あごをカチカチと鳴らしてさらに威嚇し、やがて攻撃に移ります。
状況によっては威嚇なしで攻撃することがあるうえに、威嚇されても気づかないことがあります。知らず知らずのうちに蜂の巣に近づいているおそれがあるので、静かにその場から離れましょう。
警報物質を発散する
スズメバチの針は刺すだけでなく、霧状に毒液を噴出することもできます。毒液には警戒フェロモンという警報物質が含まれており、フェロモンを感じ取った蜂たちは攻撃態勢に移ります。そのままでは、興奮した蜂の群れに追われる危険があります。
また、毒液が目に入ると視力が低下したり、最悪の場合失明したりするおそれもあります。
毒液が目に入った場合は、すぐに水道水で十分な洗浄を行ったうえで、病院を受診するのがいいでしょう。目をこするのは傷をつけて異物が角膜や結膜に入ってしまうことを助長してしまいます。また、目薬も毒液の効果を打ち消すものではなく、その場に毒液をとどまらせてしまう可能性がありますから、使用しないほうがいいでしょう。
相手を刺す
警戒物質まで発散されると、いよいよ直接攻撃が始まります。針を刺して攻撃しますが、実は攻撃方法には2種類あります。
- 蜂が単独の場合:相手に飛んでいき、接触した瞬間に刺す
- 巣が襲われた場合:あごでかみつき、足を踏ん張って何度も突き刺す
また、スズメバチ特有の攻撃方法として、顔の正面でホバリングしてから目を刺すこともあるようです。これは天敵の人間や熊の弱点を効果的に狙う習性と言われています。
蜂の種類と要因によって攻撃性が違う
針を持つ蜂の種類や、その時々の要因によって攻撃性は変化します。スズメバチ以外の蜂も含め、攻撃性の違いをまとめました。
蜂の種類 | 巣の防衛 | 縄張り確保 | 自己防衛 |
---|---|---|---|
社会生活種(大集団)スズメバチ | 強 | 中 | 中 |
社会生活種(小集団) アシナガバチ・ハナバチなど |
弱 | – | 弱 |
単独生活種 ヒメバチなど |
– | – | 弱 |
攻撃性の強さで知られるスズメバチですが、それが特に発揮されるのは巣を守る際です。大量の幼虫やさなぎが詰まった蜂の巣はたんぱく源の塊で、格好の食料になってしまいます。そんな巣を守るためにスズメバチは全力で戦います。
ただし、最も攻撃性が強いオオスズメバチは例外で、確保した餌場を守るために相手を襲うこともあるので要注意です。
まとめ
スズメバチの針の特徴をまとめると、以下のようになります。
- 針は産卵管が変化したものなのでメスしか持っていない
- スズメバチの針には返しが付いていないので何度も刺せる
- 長さは3~6mmなので薄い生地は貫通する
- 針は刺すだけでなく、威嚇や警報物質の発散にも使える
スズメバチの針は意外と複雑な構造になっており、その使い道は3種類もあります。さらにスズメバチの毒は「毒のカクテル」と呼ばれるほど複雑な成分が含まれており、激しい痛みを引き起こすだけでなく、命にかかわるアナフィラキシーショックを引き起こすおそれもあります。
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