人間の命をおびやかす身近な昆虫として有名な種は、やはり毒をもつスズメバチでしょう。このスズメバチには、さまざまな種類がいます。
代表的な種類としては、オオスズメバチが有名です。スズメバチの中でもトップクラスのサイズと攻撃性をほこるオオスズメバチは、非常に危険極まりない昆虫といえます。今回ご紹介する『ヒメスズメバチ』はオオスズメバチ同様、非常に大きな体をもつスズメバチの種。また、オオスズメバチよりも人間の生活圏近くに生息していることの多いハチです。
しかし、ヒメスズメバチの場合は、オオスズメバチほど危険視しなくてよいかもしれません。その理由も含めて、今回は『ヒメスズメバチ』について詳しく解説していきます。意外と身近にいるヒメスズメバチについて、より深く知っておきましょう。
目次
ヒメスズメバチの見た目や特徴は?ほかのスズメバチとの比較
ヒメスズメバチは、ハチ目スズメバチ科スズメバチ属の昆虫です。主に中国やタイ、ミャンマーなど、アジア圏に多く生息しています。
日本にもヒメスズメバチの亜種が3種生息しており、本州から九州・四国にかけて広い範囲での分布が確認されています。また、沖縄の琉球と長崎の対馬にもそれぞれ少々異なる亜種が生息しています。
そんなヒメスズメバチですが、見た目自体はその他のスズメバチとよく似ています。とはいえ、細かい模様やサイズなどこのハチ特有の特徴もあるため、ここで詳しくご紹介しておきましょう。
ヒメスズメバチの大きさ
ヒメスズメバチのサイズは20mmをゆうに超え、最大約37mmまで成長します。これはオオスズメバチの最大サイズ約40mmに迫るサイズで、スズメバチの中でもトップクラスです。
また、ヒメスズメバチのサイズの特徴としては、『どのハチも同じぐらいのサイズ』という点が挙げられます。一般的なスズメバチは「女王バチ>オスバチ>働きバチ」の順にサイズが変化していく種が多いのですが、ヒメスズメバチの場合、女王から働きバチまで似たサイズであることが多いのです。
ヒメスズメバチの模様
スズメバチは種によって、それぞれ腹部の模様が少々異なります。
このヒメスズメバチの場合、もっとも他種と異なる点はやはり『腹部の先端の色』でしょう。主に黄と黒の横じま模様からなっていることも多いスズメバチですが、ヒメスズメバチのみ腹部先端が『黒色』です。
頭部や羽など目立つ部分はオオスズメバチとそれほど変わりませんが、この腹部先端の色から比較的判別がつきやすくなっています。
それ以外では腹部上部にオレンジがかった部分がある点や、腹部模様の黒の比率がやや多い点が挙げられます。しかし、この部分に関しては少々個体差があるため注意しましょう。
※対馬に生息している種は、腹部先端が黄色になっています。
その他スズメバチとの見た目比較
オオスズメバチなど、その他のスズメバチの見た目も知っておくことで、ヒメスズメバチとの判別もつきやすくなります。ここで確認しておきましょう。
スズメバチ | 模様の特徴 | 働きバチのサイズ |
---|---|---|
オオスズメバチ | 体色が鮮やかなオレンジ、腹部頭部よりの黒じま模様の2本目が細いことが多い | 最大約40mm |
キイロスズメバチ | 体色がオレンジよりもやや黄色よりで、細かい体毛が多い | 最大約25mm |
コガタスズメバチ | オオスズメバチと近い外見だが、サイズが小さく、腹部頭部よりの黒じま模様がやや太い | 最大約28mm |
その他のスズメバチの種類はこちらをご覧ください。
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ヒメスズメバチは意外と温厚?その危険性と毒性について
サイズが大きく、日本全国に広く分布しているヒメスズメバチですが、実は比較的危険性の低いハチであることはあまり知られていません。同様に巨大なオオスズメバチと比べると、『温厚』と呼んでも差し支えないほどに攻撃性は低い種です。
基本的に刺激さえしなければ攻撃してくることもあまりないため、被害例もスズメバチの中ではかなり少なくなっています。また、針の毒性そのものもオオスズメバチやキイロスズメバチに比べると低いという点も特徴です。
しかしなぜ、ヒメスズメバチは比較的温厚な性質をもっているのでしょうか。
ヒメスズメバチの群れは他種の群れに比べて少数!
この危険性の低さは、ヒメスズメバチの習性に基づいています。
ほかのスズメバチは非常に多くの群れで生活しているのに対し、ヒメスズメバチの群れは基本的に少なめです。そんな数の少ないヒメスズメバチは、その数を多く争いに割くわけにはいきません。そのため、巣を守るための警戒こそよくしますが、向こうから無理におそってくることはほとんどないのです。
とはいえ、温厚なヒメスズメバチとはいえど攻撃を受けたり、巣の危険が迫ったりすればもちろん反撃してきます。特に巣に近づくものに対してはカチカチとアゴを鳴らして威嚇してくるため、気がついたらすみやかにその場をはなれるようにしましょう。
このように、ヒメスズメバチは見た目ほどおそろしい昆虫ではありません。しかし、攻撃性や毒性が比較的弱いとはいえ、刺されてしまえば最悪命に危険が及びます。生活環境の周りにヒメスズメバチが多く、どうしてもこわいという場合は、ハチ駆除の業者に相談してみてはいかがでしょうか。
ヒメスズメバチの巣の形状は特殊!その特徴と作る場所
スズメバチの危険性や被害の目安として代表的なものに、『巣』があります。もちろん、ヒメスズメバチにも巣はあるため、ここで特徴やありがちな場所を知っておきましょう。
ヒメスズメバチの巣は特殊な形状をしている!
ヒメスズメバチの巣は、やや変わった形状をしています。1章にはられている画像にもあるように、球体の下半分を切り取ったような形状をしているのです。
その半球は内部が空洞で、まるで釣鐘のような形になっています。その中に、もう一回り小さな円形の巣が入っています。この巣は多くの六角形の巣穴からなっており、他種の巣のように内部に隠されていません。このような形状のため、外からでも巣穴の中で成長する幼虫やさなぎがしっかり目視できます。
また、サイズもそれほど大きくありません。『スズメバチの巣』と聞くと、両腕で抱えるようなサイズのものを想像するかもしれませんが、ヒメスズメバチの巣は両手のひらで持てるほどのサイズしかないのです。
ヒメスズメバチの巣は一般家庭にも!
ヒメスズメバチの巣は、基本的にあまり日や風、雨の当たらない閉鎖された場所によくできます。自然界では洞穴や木にできた空洞部分、またときには地中に巣を作ることもあります。
そんなヒメスズメバチの巣ですが、家屋に作られてしまうケースももちろんあります。中でも巣を作られやすい場所は、以下の通りです。
・天井裏
・軒下
・靴箱の下部
・床下
・壁のすき間
など
上記のように、家屋にはヒメスズメバチの巣作りにもってこいの環境がそろっています。ただし、前述したようにヒメスズメバチは攻撃性が低いため、巣を作られていることにも気づかないケースも多々あります。
自宅付近でヒメスズメバチを見かけるようになったら、一度家の中の巣を探してみましょう。この際、巣やハチを刺激しないよう注意して探すようにしてくださいね。
ヒメスズメバチの主食はアシナガバチ!?
主に昆虫などを食べることの多いスズメバチですが、ヒメスズメバチの場合は少々異なります。この点もヒメスズメバチの大きな特徴なので、ここでご紹介しておきましょう
アシナガバチの幼虫・さなぎをおそう!
ヒメスズメバチは『アシナガバチ』を食べて生活しています。アシナガバチ、といっても成虫ではなく、巣で育てている幼虫やさなぎです。
ヒメスズメバチはアシナガバチの巣を見つけると、単独あるいは数匹で巣に乗り込んでいきます。巣を守っている成虫たちには目もくれず、巣穴からアシナガバチの幼虫やさなぎを引き抜きます。
幼虫・さなぎの体液を確保した成虫は巣に戻り、幼虫にエサとして与えます。こうして、ヒメスズメバチは成長していくのです。
その習性ゆえに日本では群れを増やせない
前述した『ヒメスズメバチは群れが少ない』、という原因の一因はここにあります。
日本においてはアシナガバチも1年中飛んでいるわけではないため、同様にそれを主食としているヒメスズメバチのシーズンも限られてきます。そのため、ヒメスズメバチはほかのスズメバチに比べて群れをなかなか大きくすることができないのです。
しかし、たとえば東南アジアなど熱帯地域にかかる国では、アシナガバチも1年を通してみかけることができます。そうした地域に住んでいるヒメスズメバチは、日本のものとは違って大きな群れを作って生活しています。熱帯地域に旅行や出張で向かう際には、現地のヒメスズメバチに十分注意しましょう。
ヒメスズメバチはいつ頃活動している?危険な時期もご紹介
ヒメスズメバチの活動時期はおおよそほかのスズメバチと変わりなく、基本的には春~秋がシーズンです。しかし、その細かい時期はほかのスズメバチと少しばかり異なってきます。
ヒメスズメバチの活動時期・危険な時期
種類ごとの活動する時期と、特に危険な時期は以下の通りです。
スズメバチ | 活動時期 | 危険な時期 |
---|---|---|
ヒメスズメバチ | 5月ごろ~10月ごろ | 8月ごろ~9月ごろ |
その他のスズメバチ | 4月ごろ~11月ごろ | 7月ごろ~10月ごろ |
ご覧の通り、ほかのスズメバチが基本似たような時期に動いているのに対し、ヒメスズメバチは少々短めの活動期間となっています。この時期のズレには、前章の食性の影響が深くかかわっているのです。
『活動期間』と『危険な時期』はなぜ変わる?
そもそもこの活動期間とは、『女王バチが冬眠から目覚め、巣を作りはじめる』タイミングから『新女王バチハチが旅立ち、巣からハチが減ってくる』までの期間です。
女王バチ以外のスズメバチは、基本的に冬を越せません。そのため、時期が過ぎて冬が近づいたとき、女王バチは巣を捨ててオスと交配し、春に向けて冬眠します。
冬眠から目覚めた女王バチは、はじめは1匹から巣を作りはじめます。この時期が、ほかのスズメバチと少々ずれています。
その理由は、前述したヒメスズメバチの食性にあります。5月ごろはエサであるアシナガバチがすでに数を増やしているため、その時期に合わせて巣の準備をはじめていくのです。
その後、ヒメスズメバチの働きバチが活発になるのが8月~9月。9月から10月にかけてはアシナガバチも姿を消しはじめるため、同時にヒメスズメバチの時期も終わる、ということです。
温厚なヒメスズメバチでも駆除は必要?
ヒメスズメバチはサイズとは裏腹におとなしい性格で、人間に対して積極的に攻撃をしかけてくることはほとんどありません。加えて、ヒメスズメバチは活動期間が非常に短く、大抵の場合は群れが大きくなる前に休眠の時期を迎えます。
ここまで聞くと、仮にヒメシロアリの巣を見つけても、すぐに駆除しようとは思わないかもしれません。とはいっても、玄関先など人通りの多い場所に巣がある場合やどうしてもハチの被害が気になる場合などは、やはり駆除を考えなければならないでしょう。
しかし、温厚なハチだからといって不用意に駆除しようとすると、ヒメスズメバチとはいえどおそってきます。また、模様やサイズが異なるとはいってもハチの見た目は似ています。違う種をヒメスズメバチと勘違いし、刺された……なんてことになってしまうかもしれません。
強暴ではないとはいえど、毒をもつ危険な虫には変わりありません。まずは巣を探し、ハチが自分の家に住みついているかを確認しましょう。この際、巣を見つけても自分で駆除しようとするのは危険です。まずは落ち着いてその場を離れ、プロに相談して撤去してもらうようにしましょう。
家の周りにハチがいて不安……という方は、まずは点検をしてもらいましょう。点検だけであれば、無料でしてくれる場合もあります。駆除するかどうかは、それから決めても遅くはありません。
まとめ
ヒメスズメバチは、スズメバチの中でも比較的温厚な、危険度の低いハチです。特徴的な模様や巣などから、判別もそれほど難しくないでしょう。活動時期も短く、数も少ないため過度に心配する必要はないように見えます。
とはいえ、ヒメスズメバチもメスは毒針をもっているため、巣や身に危機が迫ればすぐに刺してきます。毒性が弱いとはいっても、危険なことには変わりありません。
ヒメスズメバチはもちろん、スズメバチに関して不安がある、という方は、まずはハチ駆除の業者に相談してみましょう。
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