
料理にこだわりを持っている方にとって、調味料はささいながら中心ともなり得る存在です。そのため多種多様なものを揃えたい一方で、ものによってはなかなか使い切れない、というものも出てきます。
とくに悩まされるのが引越しのとき。冷凍食品や生野菜は減らす計画を立てやすいものの、調味料にはやはり「使うもの」にかたよりが出てきます。できれば荷物を減らしたい、かといって使い切ってないものを捨てるのは……、と難しい判断を迫られることも多いでしょう。
今回は引しで調味料をどうするかの判断の基準と、運ぶときの梱包の仕方などを解説します。
目次
知っておきたい。引越しのトラック環境
引越しで荷物を運ぶ際に押さえておきたいのがトラックの環境です。実際のところ、引越しのトラック車内は口にする食べ物を運ぶにはあまり適していないといえます。
荷台の温度は昼間、15度近く高くなる
トラックの荷台というと「暗くてジメジメしている」といった印象を持っている方も多いでしょう。人によっては「ヒンヤリしている」というイメージの方もいるかもしれません。しかし荷台の中の実際は「温度変化が激しい」というのが実態です。
とくに夏場は外の気温に加え荷台の外側に当たる日光が熱へと変わり、内部をあたためます。それゆえに荷台の温度は急激に上昇し、40度から45度近くまで上がってしまうことも少なくないのです。暑い日には50度以上まで上がってしまうことからも温度変化は激しく、食品の品質を保つのには向いていません。
衝撃が加わりやすい
またトラックの走る環境は一定ではありません。ときには舗装の悪い道を通ることもありますし、急ブレーキをかけることも。するとそのぶん衝撃や圧力が加わりやすいといえ、容器が割れたり中身が漏れ出すなどの損害も充分考えられるのです。
もちろん調味料には長期保存を前提にしており比較的環境変化に強いものも多いですが、油断は禁物といえるでしょう。
使いかけのものはできれば処分する
調味料はほとんどの場合工場で製造されて出荷され、スーパーなど各小売店まで届けられます。これらの過程でも多くはトラック輸送のため、その環境に耐えられるよう考慮されていることは事実です。
しかし使いかけ、となると調味料は引越しのトラックに耐えられない場合も少なくありません。
温度管理が出荷時ほど厳密ではない
工場からの出荷時、トラックには同じ製品がまとめて詰められます。つまり「トラック1台全部が食料品」、場合によっては「すべて同じ調味料」であることも多く、食料品を運ぶ以上しっかりとした温度管理が求められるのです。
一方引越しの荷物の多くは「家具」や「衣服」などであり、ほとんどが温度管理を必要としません。また食料品が入っている前提で温度管理するわけにもいかず、調味料にとって厳しい環境となります。
開封して空気に触れると品質劣化が進んでいく
もうひとつ、ほぼすべての食料品にいえることとして「空気に触れると品質劣化が進みやすい」という事実があります。
とくに空気中の酸素や水分は食品の品質劣化に対し大きな役割を持っています。そのため「石灰乾燥剤」や「脱酸素剤」が一緒に梱包される、ガラス容器などを密封して侵入を防ぐ、密封してから加熱処理するなどの対策をすることで少しでも安全に届けているわけです。
しかし一度開封してしまうとその効果もなくなってしまうため、品質劣化は進みやすい状況になります。加えて温度変化の激しい環境に置かれることで品質劣化が進むことから、できれば輸送せずに処分するべきなのです。
液体の調味料はどう処分する?
粉の調味料はともかく、液体の調味料はどう処分していいか迷うところです。かといって流しに流してしまうのは環境に対する負担が大きいことから厳禁。牛乳パックなどに新聞紙などを入れ、紙に含ませる形で処分しましょう。また油を処理する袋やパックなども活用できるでしょう。
次の章からは具体的に、調味料の運び方について見ていきます。
調味料の運び方1:液体の調味料
引越しの際、醤油・酢・みりん・油などの液体調味料で気を付けたいのは「中身が漏れないようにする」「漏れたときの被害を最小限にする」ということです。
先ほども触れたとおり、引越しトラックの荷台は必ずしも食品にとってよい環境とはいえません。そのため強い衝撃が加わったり、高温で内部の圧力が高まったりすることも考えられます。そのため中身が漏れ出さないよう、キャップ部分をテープで巻くなど念入りに包装をしましょう。
また万が一漏れ出した際も被害を最小限にするため、個別にビニール袋を分けておくなどの対策も必要になってきます。加えて調味料を入れる箱の全体もビニール袋で覆うようにすると、被害軽減に役立ちます。
調味料の運び方2:粉状の調味料
塩や砂糖、コショウや各種スパイスは粉状の調味料に分類されます。これらは漏れ出したとき外へ染み出すような被害は小さいものの、広く散らばってしまうため掃除が大変です。
そのためこれら調味料もしっかりと個別ビニール袋に分け、漏れたときの対策をしておきましょう。
調味料の運び方3:使いかけ・冷所保存の調味料
使いかけの調味料、また未開封でもマヨネーズ・みそといった「涼しいところで保管する前提」の調味料は注意が必要になってきます。先ほど触れたとおり引越しトラックの荷台は温度変化が激しく、それに伴い品質劣化が進みやすいのです。発酵調味料の場合は急速に発酵して中身が噴き出すおそれも。
とくに液体調味料は使用時に「中ぶたや密封用のシールを取り除く」仕様になっていることが多く、使いかけのこれら未開封時にあったものがなくなったぶん中身が漏れやすくなっています。漏れ出さないようキャップ部分にしっかりとテープを巻く・輪ゴム留めをするなどの対策はもとより、開封口を上にし、倒れないように箱の中で固定するようにしてください。
また保冷剤を利用して温度変化の度合いを抑えることもポイントのひとつです。
余裕を持たせてしまうと逆に漏れやすい
衝撃対策というと中身に余裕を持たせるイメージがあるかもしれませんが、実際にはブレーキなどの衝撃で中身が転がってしまい、逆に調味料が漏れ出す原因になります。そのため調味料の間には新聞紙などを詰め、中身が動かないようにすることが大切です。
調味料の箱はわかるようにしておこう
ここまで触れてきたように、調味料を運ぶ際にはデリケートな部分も多くあります。そのため「圧力が加わらない上部へ置く」とともに、引越し後は速やかに開封し保管方法を変える必要が出てくるでしょう。
その際、調味料が入っている箱がどれかわからないと、引越し後家に入れる段階でどの荷物かわからなくなってしまいます。どの部屋の荷物かわかりやすくするのが引越しの大きなポイントのひとつですが、とくに調味料に関しては箱を見ただけでどれなのか、誰が見てもわかりやすく書いておきましょう。また箱の上下についてもしっかりと示しておいてください。
自分で運ぶのもひとつの手段
引越しのトラックで調味料を運ぶのが不安であれば、自分で持っていくのもひとつの方法として考えられます。クーラーボックスなどを利用すれば1日程度の引越しなら対応可能ですし、自分で運ぶぶん安心感も出てくるでしょう。
まとめ
引越しの際、使っていない調味料については処分してしまうのが無難です。しかし「少々」という加減が多い調味料ではほかの食材と異なり、計画的に使いきれない場合も多くあります。その際は「食品」だということを頭において、念には念を入れて荷造りをするようにしましょう。
また引越し業者の多くは「引越しのプロ」であり、これまでの経験からアドバイスをもらえることも少なくありません。見積もりを依頼する際、不安な部分も同時に聞いてみてください。
引越し業者を検索
厳選した全国の引越し業者を探せます!