あまり聞きなれない「水抜き」という作業ですが、これを行わないと冷蔵庫が故障する可能性があるため、必ず行う必要があります。
冷蔵庫の水抜きは、具体的に「どのタイミングで」「何を」「どうしたらいいのか」詳しく解説していきます。
引越し前に冷蔵庫の水抜きが必要な理由
引越し業者に冷蔵庫の運搬を依頼する、もしくは自分で車に積んで引越しする前に、冷蔵庫の水抜きが必要な理由が主に2つあります。
運搬中の水漏れ被害を防ぐため
水抜きをしていない冷蔵庫を運ぶことは、水が注がれたバケツを運ぶようなもので、運送中のトラックの揺れで水がこぼれ出し他の荷物に影響が出てしまいます。
例えばダンボールに水がかかって底がもろくなってしまい、運搬中に底が抜け中身の落下、破損…といった事態になってしまうことも。ダンボールの中に重い荷物、割れ物や電化製品がある場合は目も当てられない結果になってしまいます。
自分の荷物だけであればまだしも、引越しプランが「混載便」という他の利用者とトラックスペースを共有する引越し方法だった場合だと、他人の荷物にまで影響が出てしまうということも考えられます。
そうなると、ただの引越しが賠償責任の問題にまで発展することになってしまう可能性が出てきてしまいます。
また、搬出搬入時に床が水浸しにでもなってしまったら、ただでさえ大変な引越し作業に加えて、掃除までしなくてはいけません。
水漏れによる冷蔵庫本体の故障を防ぐため
冷蔵庫内に水が残ったままだと、運搬中に内部で水があふれ出し基盤が濡れてしまうことがあります。そうなると、冷蔵庫の故障の原因になるのは言うまでもありませんね。
故障してしまった冷蔵庫は、修理費用を払って直してもらうか、処分することになります。ちなみに冷蔵庫は通常の粗大ゴミとして捨てることはできず、家電リサイクル品として処分することになるため少々手間がかかります。
いずれにせよ、引越し作業以上の手間と費用がかかってしまうことに間違いはありません。自分で冷蔵庫を運ぶ場合でも、故障してしまっては費用節約のために選んだ手段が本末転倒という結果になってしまうかもしれません。
一緒に運ぶ他の荷物のためにも、冷蔵庫本体を故障させないためにも冷蔵庫の水抜きは必ず行いましょう。
そもそも冷蔵庫の「水抜き」とは
そもそも冷蔵庫の「水抜き」とは、その名の通り冷蔵庫の水を抜いて排水することです。
冷蔵庫は電源を切ってコンセントプラグを抜くと、冷蔵庫内の霜や氷が溶けて、水受けトレイ(蒸発皿)に水が溜まります。この冷蔵庫に溜まった水を抜く作業のことを水抜きと言います。
ただ電源を抜いたらすぐ水抜きが完了するわけではありません。冷蔵庫のメーカーや型番によって多少違いはありますが、電源を切ってから約8時間後が水抜き完了の目安とお考え下さい。
また、自動霜取り機能が付いていないタイプの冷蔵庫だと、この作業が「霜取り」になります。
家庭に置いてあるような冷蔵庫を引越しで運び出す前に、この水抜きもしくは霜取りの工程が必要です。
現在販売されている冷蔵庫は自動霜取り機能が備わっているため、必要な工程が水抜きであることが多いのですが、念のため次章より説明する手順で水抜きや霜取りを行うようにしましょう。
また、冷蔵庫だけでなく洗濯機も同様に水抜きが必要になります。
冷蔵庫の水抜き(排水)は引越し当日までにやっておく
冷蔵庫の水抜き(排水)は引越しで冷蔵庫を運搬する当日には完了しておくのが理想です。
とはいえ水抜き作業自体はトレイに溜まった水を排水するだけなので、時間がかかるものではありません。
問題となるのが、水抜きを行うための前準備です。冷蔵庫の中身を片付けなければ電源は切れないし、電源を切らなければ水抜きはできません。
冷蔵庫の水抜き作業は以下のようなスケジュールに沿って行いましょう。
- 引越し1週間前
新しい食材は極力買わないようにし、冷蔵庫の中の食材を計画的に消費していく
(調味料など日持ちのする食材はダンボールに入れて持っていけるので、無理に消費する必要はありません) - 引越し前日
冷蔵庫の電源を切って、コンセントを抜く - 引越し当日
蒸発皿(水受けトレイ)に溜まった水を捨て、冷蔵庫を運搬
引越しの前日に冷蔵庫のコンセントを抜くためにも、それまでに冷蔵庫の中身の食材を計画的に消費していきましょう。
食材や調味料といった「冷蔵庫の中身の片付け」については以下の記事で詳しくまとめています。
冷蔵庫の電源コンセントを抜くのは水抜きをする前日の夜
水受けトレイ(蒸発皿)に冷蔵庫の水が溜まるまで、電源を切ってから8時間程度必要となります。そのため、引越し当日に電源を抜いていては到底間に合いません。
蒸発皿(水受けトレイ)に水が溜まるまで大体8時間が目安なので、水抜き作業を行う(水受けトレイの水を捨てる)前日の夜には、冷蔵庫の電源を抜いておく必要があります。
とはいえ、8時間というのは最低限の目安です。引越しの前日より早く冷蔵庫の中身が空になったら、その時点で冷蔵庫の電源を抜いても問題ありません。
冷蔵庫の引越し前と後、それぞれの「電源を入り切りするタイミング」については以下の記事で詳しくまとめています。
冷蔵庫の水受けトレイ(蒸発皿)の位置
冷蔵庫の機種によっても、水受けトレイ(蒸発皿)の位置は若干異なりますが、基本的には
「冷蔵庫の下」もしくは「冷蔵庫の背面」に水受けトレイが内蔵されています。
冷蔵庫の下に水受けトレイがある場合は、水がこぼれないようにトレイを引き出して水を捨てれば問題ありません。
水受けタンクが背面にある場合は、まず冷蔵庫を動かす必要があります。冷蔵庫の中身が入っていなくても、冷蔵庫は非常に重たいので必ず2人以上で慎重に動かしましょう。
背面が見える位置に冷蔵庫を動かしたら、ドライバーなどを使って水受けタンクを取り出しましょう。冷蔵庫によってはドライバーなどを使わなくても水受けタンクを取り出せるものもあります。
また、古い冷蔵庫の場合だと水受けトレイ自体が無く、冷蔵庫の排水口から溜まった水を直接捨てるタイプの冷蔵庫もあるようです。
冷蔵庫に水受けトレイ(蒸発皿)が見当たらない場合は、取扱説明書などで水受けトレイの場所を確認しておきましょう。
引越し業者が水抜きをやってくれる場合も
万が一、引越し当日に冷蔵庫の水抜き作業が終わっていない場合は、別日に冷蔵庫だけ引越し扱いになることがあります。
そうなったら、引越しがスケジュール通りに進まなくなるだけではなく、追加料金が発生する可能性があり、せっかく安い見積もりをもらっていても、引越し料金が高くなってしまうかもしれません。
引越し当日に、水抜きが終わっていなくても対応してくれる引越し業者もあるようですが、
冷蔵庫が故障する可能性も高く、水が漏れ出すこと前提で梱包をしなくてはいけないので運搬に時間がかかってしまいます。
ただし、なによりも冷蔵庫本体の破損だったり、他の荷物への影響があったりする危険性を考えると、やや高く見積もられたとしても冷蔵庫だけを別の日に配送することをおすすめします。
冷蔵庫の引越しをスケジュール通りに行うため、余計な料金を発生させないために、引越しの前日までに必ず冷蔵庫の電源コンセントを抜き、冷蔵庫の水抜き作業を終わらせておきましょう。
冷蔵庫によって霜取りが必要
家庭用の冷蔵庫としては最近あまり見かけなくなりましたが、「直冷式」と呼ばれるタイプの冷蔵庫や1ドアタイプの小型冷蔵庫は自動霜取り機能が備わっていません。
「直冷式」と言われてもあまりピンと来ないかもしれませんが、ドアを開けると冷蔵庫一面にびっしりと霜がついているような冷蔵庫のことを言います。
この場合、水抜きではなく霜取りの工程が必要となります。
直冷式の冷蔵庫の場合は、外気温や霜の付き具合で霜が溶けるのに必要な時間が異なります。外気温が低い場合などは、霜が溶けるまでに時間がかかるので、一般的な冷蔵庫よりは早めに作業を開始する必要があります。
直冷式の冷蔵庫の場合は、余裕をもって引越しの2日前には冷蔵庫の電源を抜いて早めに水抜き作業を行うことをおすすめします。
霜取りの手順
霜取り作業を行う前に、次のものを事前に用意しておきましょう。
- 水を吸い取るタオルや新聞紙
- 霜を削るプラスチックのスクレーパー(プラスチック製)
スクレーパーとは、先端が平らになったヘラのようなものでホームセンターなどで購入が可能です。
- 冷蔵庫の中身を全て取り出しておく
- 引越しの2日~前日前までに冷蔵庫のコンセントを抜き電源を切る
- 冷蔵庫の周りにタオルや新聞紙を敷く
- 冷蔵庫のドアを開けっぱなしにしておき、霜が溶けるまで放置する
- 冷蔵庫の中身を全て取り出しておく
- 引越しの2日~前日までに冷蔵庫のコンセントを抜き電源を切る
- 冷蔵庫の周りにタオルや新聞紙を敷く
- スクレーパーで霜を削ってバケツなどに入れて捨てる
スクレーパーを使うときの注意点ですが、冷蔵庫を傷つける原因になるので金属のスクレーパーは使用しないようにしましょう。
霜が厚く、スクレーパーを使ってもなかなか霜が取れない場合は、温かいタオルなどで霜を溶かすと作業がしやすくなります。
いずれの方法にせよ、霜が溶けて大量の水になることが予想されるので、床や冷蔵庫本体が水浸しにならないように、タオルや新聞紙などでの対策を徹底するようにしてくださいね。
「冷蔵庫の霜取り」については以下の記事で詳しくまとめています。
まとめ
引越しの際、冷蔵庫の水抜きを行わないと冷蔵庫が故障する原因にもなる為、必ず水抜きを行う必要があります。
引越しの前日までに計画的に食料を消費して、冷蔵庫の中身を空にしておきましょう。
引越しの準備はダンボールに荷物を詰める作業だけでなく、冷蔵庫や洗濯機の水抜きなど意外とやることがたくさんあります。
水抜き作業を忘れて、当日追加料金を請求されないためにも、計画的に冷蔵庫の水抜き準備を進めましょう。
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「冷蔵庫の引越し準備」や「冷蔵庫だけの引越し料金」などについては以下の記事で詳しくまとめています。
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