屋根の形で家の寿命が決まる!?屋根の種類と選び方を解説します

2021.4.30

屋根の形で家の寿命が決まる!?屋根の種類と選び方を解説します

家を建てるときやリフォームする際、屋根の形にもこだわってみませんか?
屋根は住宅の顔ともいえる部分。もちろん素敵なデザインを選ぶことも大切ですが、屋根という建材の本来の用途にも目を向けてみましょう。

屋根には雨の水分や風圧から家を守り、直射日光を遮ることで室内を快適な温度に保つ効果があります。そして屋根の形状によって、雨風を受け流す効率や室温の変動具合は大きく変わってきます。

つまり、屋根の形状は見た目だけでなく、住宅そのものの寿命や過ごしやすさにも直結するのです。

本コラムでは、これから家を新築する方や屋根リフォームを検討されている方へ向けて、屋根の形状ごとの特徴を解説します。お住まいの環境に適した屋根を選んで、大切な家を末永く守り続けましょう。

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屋根の形の選び方

新築やリフォームなどで屋根を新しく取り付ける際、屋根の形状はいくつかの種類のなかから選ぶことができます。ハウスメーカーに取り扱いさえあれば、基本的に屋根は家主の希望通りのものを取り付けられることでしょう。

とはいえ、長年住む家のことなので、より住宅に適した良いものを選びたいですよね。屋根の主な仕事である「雨風を防ぐこと」と「熱を遮ること」は、屋根の形状によって大きく効果が変わります。

たとえば風の強い地域では、庇(ひさし)の広い形状の屋根は向いていません。軒先のせり出た部分が風に煽られやすく、屋根に大きな負担がかかるためです。

ほかにも、雪の多い地域では屋根の面積が狭いほうが積もる雪の量が少なく、家にかかる重量を減らすことができます。
日差しの強い地域なら、屋根裏の空間を広くとれる形状の屋根を使うことで、空気が断熱材の役割を果たして熱を防ぐ効果が高いです。

このように、屋根の形状は見た目のデザイン性だけでなく、屋根が家を守る効果を左右する重要な要素です。お住まいにどんな形状の屋根が適しているのかは、お住まいの地域の気象条件によって大きく変わります。

次項からは屋根選びの参考として、代表的な屋根の形状とその特徴について解説していきます。お住まいに適した屋根がどんなものか考えながら確認してみてください。

屋根の形の選び方

片流れ屋根の特徴

片流れ屋根とは、1枚の板状になっている斜面が1つだけの屋根の形状のことです。その名の通り、屋根に降り注いだ雨水は片側1方向にのみ流れます。シンプルかつシャープなデザインが特徴的で、洋風建築によくマッチします。

メリット
・屋根上の面積がもっとも広くとれるため、太陽光発電パネルなどを設置しやすい
・斜面が1つだけど構造が非常にシンプルで、工事費用を安くおさえられる場合が多い
・屋根裏の空間を広くとれるため、室内の天井を高くしたり物の収納に便利
・雪が積もったあとに太陽光が当たる面積が広いため、雪が溶けやすい
・屋根裏の空間に面した壁があるため、換気口を設置しやすい

デメリット

・雨水が1つの斜面に集中するため雨どいに流入する水量が多く負担がかかりやすい
・斜面と逆側の壁は雨風が直撃するため、壁材が劣化しやすい
・雪の積もる面積が大きく重量が増すため、住宅に負担がかかりやすい

片流れ屋根の特徴

方形屋根の特徴

方形(ほうぎょう)屋根とは、背の低いピラミッドのような角錐状になっている屋根の形状のことです。4方向に斜面があり、屋根の頂上は「点」になっています。屋根を真上から見ると正方形になっていることが多く、4つの斜面の広さが同面積になっていることが特徴です。

メリット

・雨水を均等に4つの方向に分散できるため、雨どいへの負担が少ない
・雪が積もる斜面も均等に4分割されるため、屋根自体の耐久性も高い
・全方向からの雨風を均等に受けられるため、壁の劣化をおさえやすい

デメリット

・斜面ひとつひとつの面積が小さくなるため、太陽光発電パネルは使いづらい
・雪や雨の落下する方向が4つあるため、それぞれの場所に対策が必要
・屋根裏空間がすべて屋根で覆われているため、換気口を取り付けづらい

方形屋根の特徴

切妻屋根の特徴

切妻(きりづま)屋根は、2つの斜面をもった山形の屋根です。日本の住宅ではもっともポピュラーとされる形状で、いわゆる「家の屋根」というとこの屋根の形状を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。切妻屋根は屋根裏換気のしやすい構造なので、湿気の多い地域に家を建てる場合に向いています。

メリット

・斜面が2つだけと片流れ屋根に次ぐシンプルさで工事費用を安くおさえやすい
・傾斜が2つに分かれていて、雨風や雪を2方向に分散させられるため負担が少ない
・斜面の面積を広くとれるため、太陽光発電パネルを設置しやすい
・ポピュラーな形状なので取り扱うメーカーが多く、材質も選びやすい
・屋根裏空間に面した壁があるため、換気口を設置しやすい

デメリット

・屋根で覆われていない場所ができるため、その場所の壁材が雨風で劣化しやすい
・切妻屋根を使った家は非常に多いため、デザイン面で個性を出しづらい
・方形屋根などの斜面の多い屋根に比べると雨どいへの負担が大きい

切妻屋根の特徴

招き屋根の特徴

招き屋根は切妻と片流れを足して2で割ったような形状の屋根で、片流れ屋根の斜面と逆側にも小さな屋根がついています。つまり、2つの斜面の広さがそれぞれ異なる屋根なのです。

メリット

・屋根の形状が特徴的なためデザイン性が高い
・片流れ屋根のデメリットを軽減しているため、耐久性が高い
・広い側の斜面には太陽光発電パネルが設置しやすい
・構造がシンプルなので工事費用を安くおさえやすい

デメリット

・雨風や雪のかかる面積が不均等なため、1カ所に大きく負担がかかりやすい
・屋根で覆われていない場所ができるため、その場所の壁材が雨風で劣化しやすい
・雨どいに流入する雨量も場所によって違うため、場所ごとに雨どいの寿命が異なる

招き屋根の特徴

はかま腰屋根の特徴

はかま腰屋根は、切妻屋根の斜面と斜面が接する線(棟)の両端を斜めに切り落して小さな斜面を設置したものです。大抵の場合、切妻屋根を改造してこの形状の屋根にします。

住宅を含む建築物についてのルールを定めた「建築基準法」では、道路脇の建物に対して道路に射し込む光を遮らないよう「道路斜線制限」という制限を設けています。

切妻屋根の端がこの斜線制限に引っ掛かってしまった場合に、屋根の角を切り落として光の通り道を確保するために考案されたのがこのはかま腰屋根という形式です。

メリット

・建築基準法を守りつつ屋根の面積を確保できる
・ポピュラーな切妻屋根を少し改造しているため、デザインが個性的

デメリット

・切妻屋根に比べると斜面を増やした分構造が複雑になるため、メンテナンスに手間がかかる
・斜面と斜面の接する線が増えるため、そこから雨漏りするリスクがある

はかま腰屋根の特徴

寄棟屋根の特徴

寄棟(よせむね)屋根とは、2つの広い斜面と2つの狭い斜面を組み合わせた4枚斜面の屋根の形状のことです。

同じ4斜面屋根である方形屋根との違いは、方形屋根の斜面が4つとも同じ大きさなのに対し、寄棟屋根は広い斜面と狭い斜面があります。また、方形屋根の頂上が「点」ですが、寄棟屋根は「線」状の棟になっている点も特徴です。

メリット

・雨風や雪を4方向に分散させられるため耐久性が高い
・広い斜面をとれるため、太陽光発電パネルを設置しやすい
・切妻屋根よりもデザイン性が高い

デメリット

・棟(斜面と斜面の接する線)が多いため、そこから雨漏りする可能性がある
・4方向から雨や雪が流れ落ちるため、排水経路の管理が必要

寄棟屋根の特徴

屋根の種類は増加してる!

前項までで解説したように、屋根は形状が異なるだけで耐久性や快適性がかなり異なります。雨水の流れ方や風が吹きつける圧力は、屋根の形に大きく影響されるためです。

お住まいの地域の気象条件下で快適に暮らすにはどんな屋根の形を選べばよいのか、さまざまな要素を考慮に入れつつ考えてみましょう。

近年は、個々人のライフスタイルの変化や家に対する価値観の多様化によって、屋根の形にもいろいろな種類が登場してきました。屋根選びにおいて、まず優先すべきなのは家や住人を保護する能力ですが、デザインが良いかどうかも大切なことですよね。

多くの場合、とくに一軒家は一生のなかで長い時間をともに過ごすことになる場所です。家の寿命、快適性だけでなく、どんなデザインの屋根の下で暮らしたいかも考えておきたいところです。

家を新築する際や屋根のリフォームを行う際は、ハウスメーカーや建築士と相談して屋根を選ぶ機会が来るかもしれません。そのときに、希望にあった適切な屋根を選ぶためにも、屋根についての知識はもっておいて損はないでしょう。

また、屋根には形状だけでなく、材質にもいくつかの選択肢があります。屋根に使う材質にあわせた形状の屋根を選ぶ必要が出てくる可能性もあるため、あわせて簡単にご紹介しておきます。

<代表的な屋根材>

日本瓦(かわら)

日本家屋においてもっとも有名な屋根材といえば瓦でしょう。とくに陶器でできた黒光りする日本瓦が屋根の上に並ぶ光景は、日本人の原風景として広く親しまれています。

日本瓦の特徴はなんといってもその耐久性です。とにかく頑丈で雨風に強いため、適切なメンテナンスをすれば100年近くも品質を保つことができるとされています。

しかし、重量が非常に重いため屋根や家自体にかかる負担が大きく、地震が起こった際に重い瓦が落下してくる危険性もあります。

日本瓦が適している屋根の形状は、方形屋根や寄棟屋根です。斜面が多い屋根の方が、斜面ひとつひとつにかかる重量が少なくなるため、家の耐久性に大きく影響します。また複雑な形状でメンテナンスしづらい形状の屋根にも瓦が向いているとされています。

屋根

スレート

スレートとは粘板岩(ねんばんがん)という鉱物を薄く加工した屋根のことです。現在は薄いセメント板のことをスレートと呼ぶこともあります。

スレートは瓦に似た質感をもちながらも非常に薄いことが特徴で、エッジの効いた都会的なデザインの家によくマッチします。重量も軽いため、住宅にかかる負担をおさえられる点も魅力です。

一方でスレートは瓦に比べると薄い分やはり耐久性が低く、雨風によってひび割れや剥がれが起きやすいとされています。頻繁なメンテナンスを行ったとしても寿命は20年程度が限界です。

寿命を迎えた屋根材は大規模な交換を行わなければならないため、メンテナンスコストがかかります。ただし、スレート自体の価格は瓦よりもかなり安いため、初期費用と維持費用、どちらを重視するかは考えておく必要があるかもしれません。

スレートが適している屋根の形状は、切妻屋根や招き屋根、片流れ屋根だとされています。重量が軽いため斜面の少ない屋根でも負担がかかりにくく、逆に斜面の多い屋根ではメンテナンスがしづらいためスレートは向いていません。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は、屋根材としてポピュラーな「トタン板」をさらにアルミ合金でコーティングした金属屋根材です。トタンよりもはるかに頑丈で雨風に強く、重量も軽いため、さまざまな屋根の素材として使うことができます。

ガルバリウム鋼板はサビにくい材質ではありますが、塗装が剥がれてしまうと急速にサビついてしまうという性質をもっています。そのため、スレートほどではないにせよ、定期的なメンテナンスは必ず行なわなければなりません。

また金属板なので熱を遮る効果は瓦やスレートには劣り、快適に生活するには別途断熱材を取り付けるなどの工夫が必要になります。

ガルバリウム鋼板が適している屋根の形状は、切妻屋根や片流れ屋根です。スレート同様軽量で負担が少なく、かつメンテナンスをしやすい形状の屋根に使うのに向いています。

このように、屋根選びは形状と材質の2つの要素を組み合わせた多数の選択肢があります。どんな屋根を選ぶかは家の寿命や快適性に大きくかかわってくるため、形状と材質についての予備知識をおぼえておくのがよいかもしれません。

屋根の種類は増加してる!

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まとめ

屋根の形状には代表的なもので7~8種と多くの種類があります。とくに切妻屋根や寄棟屋根を採用している家は多いので、お住まいの屋根がどの種類にあたるのか一度確認してみてもよいかもしれません。

屋根の形状は、デザインや印象だけでなく、家の耐久性や過ごしやすさに密接にかかわっています。風の強い地域、豪雪地帯、湿気の多い地域、日差しの強い地域など、気象条件によって適した屋根の形状は大きく異なるのです。

長く住むことになる家のことですから、気象条件や環境、デザインなどを多角的に考えて、家に適した屋根材を選びたいところです。家の寿命を選ぶ屋根の選び方を把握して、ぜひとも家づくりの参考にしてみてください。

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