
天井にシミができると、「雨漏りしてしまった……」と思う方も多いかと思います。実際にそのとおりのこともありますが、じつは違う原因でシミができてしまったということもあるのです。
上の階の水漏れや天井裏に潜む動物など、ほかの要因によってシミができてしまうことがあります。ここでは、そのような原因をひとつずつ見ていきます。原因をちゃんと見極めて、適切な対処をしましょう。
目次
ケース1:雨が降った際にシミができた
やはり天井にできるものですから、大雨などが降ったときに起こった雨漏りが原因である可能性が高いです。雨が降ると天井にシミができるという状況であれば、ほとんどの場合雨漏りだと考えてよいでしょう。
大雨・台風などで天井から雨漏りするということは、まず屋根材が劣化して、すきまが空いてしまったと考えられます。もしくは、強い風により屋根瓦が飛ばされてしまったり、ずれてしまったりしたときにも起こるおそれがあります。晴れているけれど風の強い日に屋根や壁がダメージを受け、その後雨が降った日に雨漏りしてしまった、という例もあるようです。
そのように雨漏りの原因は多様ですので、まずどこから雨漏りしているかチェックしてから、原因となっている場所を修理するという対処をしていきます。
雨漏りの調査方法
修理の前に、雨漏りの調査方法を確認していきましょう。調査は自分でもできますが、場合によっては見つけるのが困難なこともあります。そのときは、業者に調査を依頼するようにしてください。
屋根のチェック
雨が降ったときに一番影響がありそうなのは、やっぱり屋根です。屋根瓦をよく見てみてください。割れたり、ひびが入っていたりしていませんか?軒先(のきさき)がずれてしまっていることがあり、そこから雨水が浸入する可能性もあります。
ストレート屋根の場合は、老朽化により屋根表面の塗装がはがれ、雨水がじわじわしみてくることも考えられます。変色していたり、カビやコケが生えたりしている部分もあやしいですね。そのような部分がないか、確認してください。
ただ、屋根にのぼってのチェックは転落する危険性があります。そのため目視で確認できる部分にとどめ、そのほかは業者に依頼しましょう。
外壁のコーキング部分のチェック
コーキング(コーキング材)とは、窓と壁の設置部分などにできてしまったすきまを埋めるために使われているものです。これは5~10年ほどで劣化してくるものなので、劣化したコーキングがはがれている部分から雨漏りすることも多いのです。
コーキングが施されている場所にはがれている部分がないか、確認してみましょう。
もしどこから雨漏りしているかわからない場合は……
素人が雨漏り箇所の調査をしても、特定が難しいことも多いです。その場合は業者に調査を依頼するようにしましょう。業者は目視だけでなく、以下のようなさまざまな方法で調査をおこなってくれます。
・調査液による調査(紫外線を当てると光る液体をかけて雨漏り箇所を特定)
・サーモグラフィ調査(赤外線カメラを使用して雨漏り箇所を特定)
・香料調査(香りの付いたガスを家の中から流すことで雨漏り箇所を特定)
ただし、これらの調査をおこなう際は、基本的に費用が発生します。見積りの際に確認しておきましょう。
雨漏りの修理方法
雨漏りしている箇所を特定したら、修理をおこなっていきます。修理は専門的な知識が必要なうえ、高所作業になることが多く危険をともなうため、基本的には業者に依頼をします。その際、かかる費用は状況によって大きく変わりますので、見積りを取って確認しましょう。
ただ、修理業者を呼んでもすぐに来られないこともあります。その際、応急処置程度なら自分でおこなうことができるので、その方法をご紹介します。
雨漏りしている場所にバケツなどを置く
バケツがなければ洗面器でも、キッチン用のボウルでもいいです。床がぬれてしまうと、単純にすべって危ないということもありますが、放っておくと水がしみこんで、床の内部が腐ってしまうおそれがあります。
次に、雨漏りしている場所の近くに電化製品があれば、感電の危険があるので取りのぞくようにしてください。近くにコンセントがある場合も使用を中止し、プラグを取り外することをおススメします。
ブルーシートを使う
大がかりな対処になりますが、雨漏りしている部分の屋根をブルーシートでおおってしまうという方法です。固定のためにブルーシートの端を土のう袋やテープで押さえつけるというやりかたです。
しかし、これをおこなうためには脚立を使って屋根にのぼらなくてはならないので、なれていない場合は無理せず業者を待ちましょう。もし実施する場合は、危険ですので必ずヘルメットをして2人以上でおこなうなど、安全対策を徹底するようにしてください。
マンションやアパートでの雨漏りについて
もし、マンションやアパートにお住いの場合、自分で勝手に修理などをしないようにしましょう。雨漏りだと思ったらすぐに管理会社・管理人に連絡をし、対応を待ってください。
管理会社や管理人の対応によっては納得できないこともあるでしょう。しかし、トラブルを起こさないためにも冷静に接するようにしてください。
ケース2:雨が降っていないがシミができた
雨が降っていないのにシミができたという場合は、雨漏り以外が原因となっていることもあるのです。その中でよく見られる、水漏れと結露について詳しくご説明していきます。
水漏れの場合
マンションやアパートの場合、最上階以外の天井にもシミができることがあります。上の階の壁から浸入した雨水が徐々に伝わってきて雨漏りすることもあるのですが、多くの場合、上の階のトイレやお風呂、排水管などから水漏れしているなどのことが考えられます。
そのようなことが疑われるのであれば、まずは大家さんや管理会社へ連絡をしましょう。その後、どこに責任があるかによって誰が修理をするかということが決まります。
結露の場合
天井裏で結露が発生しできた水によって、シミができてしまうということもあります。結露は天井裏の断熱性が不十分だと起こりやすいです。そのため、根本的に解決するのであれば、天井裏の断熱を適切な方法でおこなうことになります。
また、室内に水槽など水が常に入っているものを置いておくと湿度が上がり、天井裏の結露の原因となることがあります。一度室内に置いてあるものを見直してみるのもいいかもしれません。
ケース3:そのほかのシミの原因
もしここまで紹介したような原因が当てはまらない場合、ほかに動物のフンや尿、建材の不具合や劣化などの原因も考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
動物の場合
戸建ての住宅の場合だと、天井裏に住みついた害獣のフンや尿によるものの可能性もあります。とくにハクビシンやタヌキの場合、同じ場所に続けてフンをする「ためフン」という習性があるため、住みついてしまわれるとシミができやすくなります。
天井裏に動物がいる場合は、対処しないと悪臭やノミの発生などの被害も受けてしまいます。そのため、種類を特定して適切に対処するようにしましょう。
建材の劣化や不具合の場合
「ラミネート天井」という、板に模様がプリントされているものが使われている場合、施工時に使用された接着剤がしみ出してしまうことがあります。その結果、天井にシミができてしまうことがあるのです。ラミネート天井が劣化したり、施工がうまくいってないとこのようなことが発生することがあります。
このような場合は、業者にリフォームの相談をしましょう。
天井のシミは早めに対処を!放置していると起こる問題
天井のシミは見た目だけでなく、放置しているとさまざまな問題を引き起こすことがあります。とくに雨漏りが原因でシミができた場合は、多くの被害をもたらすこともあるので、ここでおもなものをご紹介していきます。
天井だけでなくこんなところにも
雨は上から降ってくるものなので天井のシミばかり心配していましたが、気にしなくてはならないところはそれだけではありません。もし建物の外壁にひび割れや穴があいていた場合、それがとても小さな傷であってもそこから水が浸入し、壁にまでシミをつくってしまうことがあります。
壁にシミができてしまったら、そもそも見た目が美しくないですよね。さらに、水が入りこんでしまったことにより、壁紙を張りつけるための接着剤が粘着力をなくしてしまうため、はがれやすくなってしまいます。
カビ
カビは、高温多湿の環境を好みます。雨漏りした天井のシミの裏や壁の中は、絶好の優良物件であり、彼らにとっては増殖しやすく居心地のいい環境といえるでしょう。カビが発生している部屋はカビくさくなるうえ、さらに、そこへダニも集まってくることになります。
これによりアレルギー反応やぜん息を起こしてしまう可能性があるほか、シックハウス症候群を引き起こす場合もあるのです。カビによる健康被害はかなり深刻であることがわかります。
建物の内部が腐ってしまう
住宅を支えている柱など木材が水でしめったままだと、腐ってもろくなるので、もし大きな地震がきたとしても建物を支えられないかもしれません。
さらに天井や壁の内部が腐ると、今度は建物自体がシロアリのエサになってしまう可能性も出てきます。これが原因で建物がかたむいてしまったり、最悪の場合倒壊してしまうこともあるので、とても危険なのです。
残ってしまった天井のシミを消す方法
天井のシミの原因となっていることを解消しても、シミ自体は残ってしまうことがあるのです。そのような場合、どうやったら天井のシミを取ることができるのか、その3つの方法をご紹介していきます。
天井のクロスを交換する
天井にクロスが張ってある場合は、交換することでシミを消すことができます。作業方法は古いクロスをはがして、新しいものに張り替えるだけです。
しかし、クロスは技術がないときれいに張ることが難しいです。また、天井という場所だということもあり、素人が張り替えをするのは難しいでしょう。そのため、ほかの方法を試してみるか、業者にクロスの張り替えを依頼するのがおすすめです。
天井に漂白剤を塗る
薄めた漂白剤をスプレーすることで、天井のシミを消せることもあります。漂白剤は10%程度に薄めて使用しましょう。また、作業時には換気をしっかりとし、ゴーグル、マスク、ゴム手袋をつけて、床などは養生しておくようにしてください。すぐに効果が出ないこともあるので、2日ほど様子を見るようにしましょう。
漂白剤を使用した方法は、天井の素材などによっては色落ちを起こしてしまうこともあります。もし、色落ちが不安であるなら、漂白剤を使うのは避けたほうがようでしょう。
天井を塗装する
天井のシミに塗料を塗り、消してしまう方法です。この方法の場合、シミの部分だけを塗装してしまうとかえって目立ってしまうため、天井や壁の全面を塗装するということになってしまいます。そのようなことを理解したうえで、作業をおこなうようにしてください。
塗装をおこなう前に、まず、天井の壁紙をチェックし、浮きやはがれなどがないか確認しましょう。このとき浮きやはがれなどがあれば、まずそれらを解消しておく必要があります。
それでは、塗装の手順を見ていきましょう。まずは準備をしていきます。塗料やハケなど必要な道具をそろえ、マスキングテープなどで養生して、汚れてもいい服装に着替えます。
準備が終わったら、しっかり換気をしつつ塗料を塗っていくのです。塗り終わったら塗料が乾く前にマスキングテープをはがします。
まとめ
天井のシミは、雨漏りが原因ではないこともあります。どのようなことが原因となっているのか、状況に応じて対応も違ってきますので、しっかりと見極めるようにしましょう。
天井のシミの原因が雨漏りの場合、放置しているとさまざまな被害を受けることがあります。そのため、なるべく早く大元である雨漏りの修理をおこなうようにしてください。
雨漏りの修理は基本的に、素人がおこなうのは難しいです。個人でおこなうのは応急処置にとどめ、雨漏りに対する知識のある業者に修理を依頼するようにしましょう。
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