家の外壁の汚れは見た目に影響するため、汚れが目立つ場合は洗浄や外壁塗装を検討する必要があるでしょう。また「塗装が剥がれていませんか?外壁塗装で大切なお家を守るために 」でも触れているように、外壁塗装の際も塗装の定着率をよくするために、あらかじめ壁面を洗浄しておくことが必要になります。この洗浄の作業では、一般的に水の圧力で汚れを落とす「高圧洗浄」が使われます。
一方、最近では「バイオ洗浄」という方法で外壁の汚れを落とすことも多くなってきました。ただ、バイオ洗浄という名前と追加料金を聞いただけでは「費用が高くなるだけで、効果がわからない」という場合も少なくないでしょう。
今回はバイオ洗浄について、その内容とメリット・デメリットなどについて見ていきます。
目次
バイオ洗浄とは?
バイオ洗浄とは、専用の洗浄剤を使って外壁などの汚れを落とす方法です。とくにカビやコケなどは根を張る・菌が残るといったことがあり、従来の高圧洗浄だけでは再発しやすいといった特徴がありました。バイオ洗浄では洗浄剤を噴霧器やローラーなどで外壁に塗るため、こうした生物系の汚れを根こそぎ落とし、再発しにくくする効果があるといわれています。
なお事前に外壁を濡らす・洗浄剤を落とすといった作業で高圧洗浄を併用するため、高圧洗浄に対するオプションとして提供される場合が多いです。
バイオ洗浄と高圧洗浄はどう違う?
バイオ洗浄は従来の高圧洗浄の欠点をカバーするために開発された方法です。そのため水だけで行う高圧洗浄とは異なる部分があります。
高圧洗浄は水の圧力によって汚れを落とすため、少なからず壁に対して負担がかかります。とくに雨どいや目地のシーリング材は弱い部分であり、こうしたところに汚れがある場合注意して作業を行う必要があります。
一方、バイオ洗浄では洗浄剤を浸透させることで汚れを浮かせるため、壁にかかる負担は小さくなります。
バイオ洗浄は洗浄剤を大量に使うため、洗浄剤は環境への負荷が小さいものを選びます。ただ家庭菜園や盆栽などで植物を育てている場合、庭に池があり中で鯉を飼っている場合、建物内で食品を扱っている場合などは影響することが考えられるので、バイオ洗浄は避けたほうがいいとされています。
バイオ洗浄は本当に必要か
バイオ洗浄はメリット・デメリットがあるため、必要性が高くなければ高圧洗浄だけで済ませるという選択肢もあります。バイオ洗浄の向き・不向きはまとめると次の通りです。
バイオ洗浄が向いている条件
湿気が多く、カビやコケが発生しやすいとき
バイオ洗浄剤は浸透することによって壁についているカビやコケを落とします。表面的な洗浄・洗い残しの可能性も考えられる高圧洗浄は根や菌が残ることで再発につながりやすく、根こそぎ落とすバイオ洗浄が向いているといえるでしょう。とくに北面は日が当たりにくいため、この面だけでもバイオ洗浄を行った方がいいかもしれません。
気が多い沿岸や河川沿い、田んぼの近くなどはカビやコケも生えやすいため、原因となる胞子や菌を徹底的に落として発生を抑制する必要があるでしょう。
・細かい凹凸が多いとき
細かい凹凸は水の圧力が分散されやすく、高圧洗浄では奥まで洗浄できない可能性もあります。浸透することで汚れを浮かすバイオ洗浄はその点で、細かい凹凸のある壁でも汚れを落としやすいといえるでしょう。
・外壁を塗り替えるとき、費用がかかっても徹底的な洗浄を行いたいとき
汚れの上から塗装を行うと、塗装の寿命が落ちてしまいます。そのため外壁塗装の前には汚れを残しにくいバイオ洗浄がすすめられることが多いでしょう。
バイオ洗浄が不向きな条件
・庭で植物を育てているとき。建物内で食品を扱うとき
バイオ洗浄剤は環境の負荷が小さいものを選択しますが、大量に使うため影響が全くないと言い切ることは難しいでしょう。とくに食品系を建物内で扱う、家庭菜園を行っているような場合はバイオ洗浄剤が口へと入る可能性もあり、避けたほうがよいとされています。
・排気ガスやサビが原因の汚れがひどいとき
バイオ洗浄剤は生物系の汚れに適応させたものであり、排気ガスやサビによる汚れには向いていません。落とせたとしても再発防止効果がないため、光触媒塗料や防錆剤を使用するなど別途対策が必要となるでしょう。
・費用をかけたくないとき
バイオ洗浄は工程数が増え、洗剤の購入費もあるため費用が上がります。また水道代は別途かかりますが、バイオ洗浄は事前事後に高圧洗浄を行います。そのため単純計算で2倍の量の水を使うことになるので、費用を抑えて外壁の洗浄をしたい場合は向いていないといえるでしょう。
バイオ洗浄の施工手順
一般的なバイオ洗浄は、「高圧洗浄→洗浄剤塗布→高圧洗浄」のように、高圧洗浄を挟んだ形で行います。なお2回高圧洗浄を行いますが、あくまで補助的な役割のため高圧洗浄のみの作業より壁への負担は小さいとされています。
手順1)養生をする
水で濡らしてはいけない給湯器など電気機器や、洗浄剤がかかってはいけない植物などをビニールで覆い、作業に支障がないようにします。
手順2)外壁全体を濡らす
高圧洗浄機を使い、バイオ洗浄を行う壁全面を水で濡らします。これは洗剤を浸み込みやすくするための作業であり、しっかり水を撒いていきます。
手順3)バイオ洗浄剤を塗布する
ローラーで直接壁に塗る場合、噴霧器などを使って塗る場合があります。汚れの度合いによっては洗剤の濃度を変えたりすることもありますが、洗浄剤を前面に塗布することが大切になってきます。
手順4)しばらく浸透させる
洗浄剤が浸透するのにはある程度時間がかかるため、5分から10分程度間を置きます。この洗浄剤の浸透によって、カビやコケなどの汚れを浮かせ、水で流しやすくします。
手順5)洗い流す
高圧洗浄機で水を撒き、洗浄剤や汚れを落とします。
代表的な洗浄剤
バイオ洗浄剤としてはさまざまな種類のものが販売されています。外壁の洗浄では廃液を回収することが難しいため、環境への負荷が低いタイプが主流です。例えば次のような特徴を持つ洗浄剤が市販されています。
・弱アルカリ性植物性抗菌洗浄剤(エスケー化研「SKクリーナースーパー」など)
植物成分を主原料に開発されているため、環境にやさしいとされています。
・生分解性バイオ洗浄剤(ケムインターコムスタージャパン「ステップワン」など)
微生物により分解されやすい洗浄剤として開発されており、また中性洗剤であるため環境にもやさしいとされています。
まとめ
バイオ洗浄は高圧洗浄では落としきれない汚れに対応するために開発されており、徹底的な洗浄を行うには向いている方法といえるでしょう。
一方、水だけを使う高圧洗浄と比べると、環境への負荷や作業費用が気になるところです。高圧洗浄のみで済む部分は高圧洗浄で行い、湿気が多い面など気になるところだけバイオ洗浄を併用して行うといった使い分けをすることも必要です。その選択については、業者の指示を仰いでもよいでしょう。
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