街中でみる屋根は同じに見えるかもしれませんが、よくみると違いがあります。屋根材や屋根の形次第で、見る人が家にもつイメージも変わってくるかもしれません。そのため、屋根材選びは慎重になる必要があります。
屋根材のなかでもとくに日本人になじみがあるのが瓦屋根です。風流なイメージがあるため、古民家風にしたいという方からも人気があり、注目されている屋根材のひとつとなっています。
そこで今回は日本古来からある瓦屋根について詳しくご紹介していきます。
目次
屋根材の種類はどんなものがあるの?
築年数がたっている住宅では瓦屋根を使っていることが多いですが、最近では瓦屋根をみることが少なくなってきました。その理由のひとつが屋根材の種類が豊富になったことです。そのため選択肢が広がり、瓦屋根を選ばなくなっていったのです。瓦屋根以外にどんな屋根材があるのでしょうか。順番に見ていきましょう。
スレート
セメントに繊維素材を混ぜたことで強度を高めた薄い板の素材です。カラーベストやコロニアルといったら聞いたことがあるかたもいるかもしれません。
軽量なだけでなく、色やデザインも豊富な屋根材です。また、安いため普及率も高く、多くの業者で施工することができます。
しかし、軽量のため暴風などの影響を受けやすく、比較的雨漏りがしやすい屋根材とされています。また、定期的な塗装をしなければならず、施工したときは安くすみますが長い目でみたときには維持のための費用が高くつくこともあります。
トタン屋根
亜鉛メッキの鋼板のことをトタンといいます。軽量で安く、つなぎ目が少ないため雨漏りしにくいので、メンテナンスをしっかりおこなえば長く使うことができる素材です。
しかし、断熱性能が低く、サビが発生しやすいため、トタン屋根を選ぶ方も少なくなってきました。また、雨音がうるさいなど防音性が低い特徴もあります。
ガルバリウム鋼板
アルミ亜鉛合金メッキ銅板のことで、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%からできているものです。耐食性や加工性などにすぐれ、素材が燃えにくいので耐火性にもすぐれています。
しかし、断熱性が低く、夏は断熱対策をしないといけなくなります。また、ほかの屋根材と比べると防音性も低いため、別途防音工事が必要になるなどトータルコストがかかってしまうことがあります。
ステンレス
サビにくく、海岸近くの方に人気があります。腐食に強いだけでなく、強度も高く、軽量なので耐震性にもすぐれています。
そのためよほどのことがないかぎりメンテナンスが不要となっていますが、経年劣化により色あせが発生してきます。また、ほかの屋根材と比べると高価なためあまり普及していません。
アスファルトシングル
アメリカの住宅のほとんどがアスファルトシングルを使っています。不燃布やグラスファイバーをコーティングして固め、表面に細かい砂などで保護し、さらにその上からアクリル樹脂などを使って固定させることでつくられます。
そのため、柔らかくどんな屋根形状に対応することができ、軽量で耐震性にすぐれています。
しかし、施工している業者が少なく、業者選びに限りがあり、定期的なメンテナンスが必要となります。
この他にもさまざまな種類があり、屋根材は増加傾向にあります。屋根材によっては、メンテナンス費用が高額になったりするものもあるので、将来を見据えて屋根材選びをすることが重要となるのです。
瓦屋根の形状・材質・素材
瓦屋根にしたいと思っても屋根の形次第でデザインも変わってきます。そこで屋根の形状をいくつかご紹介していきます。
瓦屋根の形状
寄棟屋根
寄棟屋根とは4方向に傾斜する屋根面をもつ屋根のことです。寄棟屋根だと、雨漏りの心配も少なく、屋根裏部屋や換気口を設置することもできます。
方形屋根
背の低いピラミッド型の屋根で、神社やお寺などに多くみられる屋根の形です。この屋根の形状は頂点から雨漏りするおそれがあり、しっかりとした施工が重要となってきます。比較的施工も大がかかりとなることが多く、一般家庭には向いていないかもしれません。
切妻屋根
一番街中でみることが多い屋根で、四角い建物の上に三角屋根がついたものです。屋根のサイズと瓦をあわせると瓦を有効的に使うことができ、コストを削減することができます。また、シンプルな屋根の形状をしているため雨漏りのおそれも少ないです。
このように瓦屋根といっても屋根の形状でデザインも変わってきます。自分のイメージにあった屋根の形状選びも重要となってきます。
瓦屋根の素材・材質
瓦屋根には瓦の原料の違いによって2つに分けられます。
粘土瓦
粘土を原料としてつくられた瓦のことをいいます。粘土を形成し、乾燥させ、高温で焼き上げていきます。そのため、耐久性にすぐれており、塗装の必要がありません。粘土瓦はさらに細かく種類があります。
セメント瓦
セメントを原料としてつくられた瓦です。粘土瓦と見た目などは似ていますが、メンテンスが必要となります。また、葺き替えも定期的におこなわなければなりません。
屋根材の製造方法
さらに瓦は製造方法によって細かく分類することができます。
釉薬瓦(ゆうやくがわら)
瓦を焼き上げる前に形成したとき、ガラス質の釉薬を表面にかけてから焼いた瓦です。釉薬の種類によってさまざまな色をだすことができ、陶器のような表面となります。
いぶし瓦
瓦を焼き上げ後に最終的にいぶしていきます。表面に炭素の膜を形成させ、銀色の独特のつやをだすことができます。
練り込み瓦
粘土に二酸化マンガンなどの金属酸化物を練り込み焼いた瓦のことをいいます。金属酸化物独特の発色することによる、色ムラのある自然な質感が特徴です。しかし、一般的に使われることも少ないので特注で頼むことが必要となります。
素焼瓦
粘土をそのまま焼き上げた瓦のこともいいます。そのため、自然な朱色に仕上がり温かみのある瓦ができます。ヨーロッパなどで広く普及しており、日本では沖縄などでみることができます。
ガラス瓦
ガラス製の瓦で屋根に部分的に取り入れられることが多いです。下地ユニットと組み合わせ、雨水対策もできる構造になっており、注目されている素材となっています。
瓦はどんな種類の瓦を使うかでも、屋根のイメージを変えることができます。
瓦屋根はメリットがたくさん!耐用年数も長くて高性能
瓦屋根にリフォームしたいと思っているかたも少なくありません。しかし、まずは瓦屋根の特徴をしっかりと理解しておくことが重要です。
断熱性や遮音性が高い
日本の気候は高温多湿です。とくに夏は猛暑になることも多いかと思います。昔はエアコンなどの空調機器がなかったため、いかに夏の猛暑を快適にすごし、冬は暖かくすごせるかを工夫で補ってきました。その工夫の一つが瓦屋根なのです。
瓦屋根は屋根の下地と瓦の間に空間があり、空気層が生まれます。この空気層は外の熱を伝えにくい構造になっており、窓に使われている断熱性が高いガラスと同じような効果をもたらしてくれます。
そのため、瓦屋根は湿気がこもりにくく、冬は結露が発生しにくくなり、夏は外の熱が伝わりにくいので、快適にすごすことができるのです。
耐久性
瓦は土を焼いてつくられているため丈夫な素材となっています。また、紫外線の影響を受けにくく、色あせやサビなどの腐食が少ないのです。
メンテナンス
耐久性がある瓦屋根は、メンテナンスがほかの屋根材と比べて少ないです。もし、割れたりヒビがはいったりしても部分的に取り換えることもできます。
デザイン性
瓦屋根はほかの屋根材と比べて、種類が豊富です。そのため、和風だけでなく洋風の家にもあわせることができます。組み合わせ次第で、威厳のある古風なものやモダンなつくりのものまで幅広くつくることができます。
このように瓦屋根にはさまざまなメリットがあります。瓦屋根というと、田舎の風景にある昔ながらの家を想像してしまいがちです。しかし、最近では都会の風景ともマッチする瓦屋根をデザインすることもできるので、人気が高まりつつあります。
「瓦屋根は地震に弱い」は間違い?
瓦屋根は地震に弱いということを聞いたことがあるかたもいるのではないでしょうか。瓦屋根は重く、全壊した瓦屋根の家の映像をみたことあるかたも多いため、そういった印象が強く残ってしまっています。
たしかに屋根の重さによって家の耐震性が変わってきます。家の構造が同じの場合、屋根材がより軽いほど建物の揺れが小さくなります。しかし、軽い屋根だから倒壊しないというわけではありません。地震の影響を受けやすいのは、地盤や家の構造による場合がほとんどです。そのため、瓦屋根だから倒壊するというわけではないといえます。
壁の量が少なく、梁が細く、基礎が弱かったりすると、いくら屋根が軽くても地震などの影響を受けやすく、揺れも大きくなる傾向があります。家の耐震性は屋根だけでなく、建物全体の構造が重要となってくるのです。
また、建築基準法では、構造計算が義務付けられています。これは屋根の重さを考慮し、柱や梁、壁の量など基準が確保されるためのものです。
屋根が重ければその分家の構造が強化されるよう法的に定められているため、屋根が軽いから耐震性が瓦屋根よりある、と一概にいえるわけではなくなりました。
ほかにも1999年に全日本瓦工事業連盟が定めたガイドライン工法には、従来の瓦屋根に比べて瓦を葺きかえる方法が違うため、耐震性が格段に高まっています。
気をつけなければならないのが、改正前の建築基準法で建てられた家です。今より耐震基準が弱く、耐震性に問題がある家が多くなっているのです。そのため、不安であれば耐震診断などをおこなうことをおすすめします。耐震診断は費用がかかりますが、自治体から補助金を受けることができるかもしれません。
瓦屋根の葺き替え工事にかかる費用の相場
瓦屋根のメンテナンスするときには葺き替え工事をすることが多いです。葺き替え工事は今ある瓦をすべてはずし、新しく屋根材を設置することです。この葺き替え工事をするときは、新しい屋根材がなにになるかで費用が変わってきます。
日本瓦→スレート 約40万~210万
日本瓦→ガルバリウム鋼板 約50万~240万
一般的な住宅の大きさだとこのような費用がかかってきます。しかし、屋根の形状によっても費用が大きく変わってきます。また、雨漏り対策として費用を追加でかかる屋根材もあるため事前にしっかりと見積りをとることをおすすめします。
葺き替え工事は必ずしも必要というわけではありません。また、火災保険の風災補償で修理費用が補償されることもあります。火災保険に自動についていることが多い風災補償は、強い風で損害がおきたときに、保険会社が費用を負担してくれるものです。そのため、瓦修理を0円で修理できることもあります。
しかし場合によっては、適用されないこともあるで、工事する前に一度保険会社に相談してみることをおすすめします。
瓦屋根のメンテナンスはどうしたらよい?
家の耐久性や景観を保つためにも、屋根のメンテナンスは重要となってきます。瓦屋根のなかでも、化粧スレートの屋根は劣化が早いといわれています。今後のメンテナンスも考えると、耐久性が高い屋根材に変える方も少なくありません。
しかし、瓦屋根は耐久性も高く、デザイン性にもすぐれています。ではより長く使用するためにはどのようなメンテナンスをしたらよいのでしょうか。
瓦屋根はヒビやずれがあったらすぐに修理しなければなりません。このヒビやずれから雨水が侵入し、瓦の下地を痛めてしまうおそれがあるのです。下地を痛めると、家の内部は雨水が侵入し、腐食が進行していきます。腐食が進行すると、家の骨組みまで腐食することもあり、家自体の強度がおちてしまうことも考えられます。
そうなってしまうと、瓦屋根が雨水の重みに耐えることができず、屋根が崩落する危険性が高まってしまいます。屋根が崩落してしまうと、修理費用が高くなるだけでなく、生活が不便になってしまいます。
瓦と下地の劣化が激しい場合は、屋根の葺き替えをするのが一般的です。しかし、瓦の処分費用や材料費、工事費用がかかるため高額になる傾向があります。瓦屋根は自分で直すこともできます。しかし、瓦屋根は足場が不安定なことも多く、落下する危険性が高くなってしまします。
作業するときは安全ロープやすべり止めがついた靴を履くなど、安全性をより高める必要があります。
まとめ
日本人にとって瓦屋根はなじみが深く、風流なイメージをもたらせてくれます。また、古民家風の家やカフェも流行しているので、瓦屋根の需要も少なくありません。しかし、いくら寿命が高くてもしっかりとメンテナンスする必要があります。
また、瓦屋根以外にも屋根材の種類はたくさんあり、どれを選べばいいか迷ってしまいがちです。屋根材に注意して選んでいる方は少なく、屋根材の特徴を理解していないかたも多いのです。
そのため、屋根材選びに失敗していまい、すぐにメンテナンスが必要となることもあります。そうならないためも、屋根材選びに迷ったら業者相談してみてはいかがでしょうか。
関連記事カテゴリ一覧
瓦工事の記事アクセスランキング
瓦工事の最新記事
カテゴリ別記事⼀覧
- お庭の手入れ
- 害虫駆除
- 害獣駆除
- 電気工事
- 鍵開け・交換・修理
- 窓ガラス修理・ドアノブ修理
- 家の修理
- バッテリー上がり
- ハウスクリーニング
- ペット火葬・葬儀
- 家電修理
- パソコン修理・ネット回線
- 家具・雑貨の修理
- 外壁・屋根工事
- リフォーム
- 防犯カメラ設置
- 盗聴器・その他調査診断
- 便利屋・代行サービス
- 引越し・配送サービス
- オフィス・店舗向けサービス
- その他