玄関先に瓦の破片が落ちていたり、窓から見えた瓦がズレていたりしたことはありませんか?瓦の不具合を放置したままでいると見た目も悪く、割れ目から雨水が浸み込んで屋根が腐食してしまうおそれがあります。瓦に欠けやヒビがある場合は、早めに修理しましょう。
今回は、瓦屋根を自分で修理する方法を動画付きで紹介させていただきます。こまめに修理して、屋根からの雨漏りの心配を取り除いていきましょう。
目次
瓦屋根の構造を知ろう
日本家屋の伝統的な屋根素材といえば、やはり瓦ではないでしょうか。断熱効果、対候性、遮音性に優れている瓦は、非常に優秀な屋根素材といえると思います。
瓦は日本の気候に適しているといわれています。お住いの屋根にも瓦が使われているとのことでしたら、壊れたときのことを考えてどのような構造で取り付けられているのか知っておくとよいかもしれません。
屋根の構造をわかりやすく説明した動画があります。まずはこちらの動画をご覧ください。
【屋根瓦の基本的なならべかたです!】
【日本瓦の葺き方.wmv】
これらの動画では瓦屋根の取り付け方法を説明しています。屋根の上には雨漏り対策のための防水紙が張りつけられており、その上に瓦がズレないように桟木(サンギ)と呼ばれる木材を打ち付けられています。その桟木(サンギ)に瓦をひっかけ、釘で止めることで固定することができるそうです。
昔の施工方法は瓦を土の上に乗せるだけのものもあったのですが、現在では安全上動画のように釘で止めているのがほとんどです。このように瓦屋根の構造を把握しておけば、屋根にトラブルが起きたときに瓦の屋根を自分で修理することができるかもしれません。
瓦屋根の種類を確認しよう
もしも屋根に葺かれている瓦が壊れて割れていた場合、修理しなければ雨漏りを起こしてしまうおそれがあります。屋根に使用されている瓦の種類を把握しておけば、割れてしまったときでも種類に応じた修理方法を選択することができます。今住宅で主に使用されている瓦屋根の種類をご紹介させていただきますので、参考にしてみてください。
屋根に使われている瓦は、製造方法や形、素材によってさまざまな種類があります。
釉薬瓦
粘土を瓦の形に成形した後に、ガラス質の釉薬をかけて焼いたものです。
いぶし瓦(釉薬なし)
いぶし瓦は釉薬を使用しないでつくられた瓦です。瓦を焼いた後、釜の中でいぶします。
J形(和瓦)
日本では古くから見られる、波打ったような形をした瓦です。
F形(平板瓦)
でこぼこのない平らですっきりしたデザインが特徴の瓦です。
S形(洋瓦)
大きく波打っている、洋風建築に使用されることのおおいおしゃれな形の瓦です。
セメント瓦
セメントと砂を主な原料にした瓦です。
住宅で主に使用されている瓦屋根には以上のものがあります。お住いの住宅に使用されているものがどれに当たるのか、調べてみてください。故障した瓦屋根を自分で修理するときに作業がやりやすくなると思います。
瓦屋根の上の歩き方と安全確保の方法
瓦屋根を自分で修理する場合、屋根に上って作業をおこなわなければなりません。安全に作業をおこなうためにも、足元に注意して作業をしてください。屋根の上を歩くときには瓦を踏むので、さらに瓦が割れてしまうこともあるので注意が必要です。
瓦屋根の上の歩き方を説明した動画を紹介させていただきます。参考にしてみてください。
【古い瓦って何処に乗れば割れませんか?】
瓦のズレをDIYで修理する方法
瓦屋根の不具合で多いのが、瓦のズレです。瓦がズレたままでいると、雨漏りの原因になってしまうといわれています。瓦のズレを発見したときは早めに直しておきましょう。
瓦のズレは、実は瓦屋根では自分で修理しやすい不具合といわれています。ズレた瓦を、瓦ハンマーでコツコツ修正することで簡単に戻すことができるのです。ズレの規模にもよりますが、1つ1つの瓦の位置を地道に修正してみてください。
ただし、瓦がズレたまま接着剤であるコーキング剤を瓦屋根全体に塗ってしまった場合にはこうはいきません。ズレを修正するのが難しくなってしまいますので注意が必要です。
瓦割れをDIYで修理する方法
瓦屋根の不具合でズレと同じぐらい頻繁に起こるのが瓦割れです。瓦割れもそのままにしておくと雨漏りを起こしてしまいますので、早めの修理をおすすめします。
防水テープで補修する
2.割れた面の汚れを拭き取る
3.防水テープを割れた箇所に数枚重ねて貼る.
4.元の場所に戻す
新しい瓦に取り替える
2.新しい瓦を取り付ける
もし瓦に釘が付いているようでしたら、一緒に取り外し・取り付けをおこないましょう。
コーキング剤で補修する
2.瓦の汚れを拭き取る
2.コーキングガンにコーキング剤をセットする
3.割れた箇所にコーキングを詰めていく
4.ヘラで表面をならす
5.乾燥させる
6.元の場所に戻す
コーキング剤を購入するときは、瓦の素材に合ったものを選ぶようにしましょう。コーキング剤の種類によって乾燥時間も異なります。
また、コーキングをおこなうのは瓦の表面だけにしておいてください。瓦と瓦の隙間も埋めたくなるかもしれませんが、隙間を埋めると湿気の逃げ道が無くなり雨漏りしてしまうことがあります。
割れた瓦をパテで接着する
2.瓦の汚れを拭き取る
3.パテを瓦に塗り込む
4.瓦がくっつくように両手で押さえ、はみ出たパテをヘラや布で拭き取る
5.ガルバリウム銅版を瓦より少し小さめにカットする
6.ガルバリウム銅を瓦のカーブに合わせて曲げる
6.瓦の裏側に曲げたガルバリウム銅をあて、元の場所に戻す
瓦屋根を自分で修理する場合、費用を安く済ませることができます。屋根の上での作業になるので、安全を確認した上でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
漆喰(しっくい)の崩れをDIYで修理する方法
漆喰とは石灰を主な原料にした、壁や天井などに使用される壁材のことをいいます。瓦屋根では一般的に瓦どうしを固定したり、雨水の浸透を防いだりするために使用されています。そのため、この漆喰に崩れがあると、雨漏りの原因になる可能性があるのです。この場合、漆喰の補修が必要になるでしょう。
修理方法は下記の手順を参考にしてみてください。
2. 下地の表面を均等に整え、霧吹きで湿らせる
3. 漆喰を隙間なく適度な量で均一に塗る
4. 専用のコテを使って漆喰の表面を整え、乾燥させる
補修方法は意外と簡単と思われるかもしれません。しかし、一般の方がこの作業をすると瓦が割れてしまったり、漆喰の塗りすぎで雨漏りの原因となったりしてしまうおそれもあります。キレイにできるか心配とのことでしたら、プロに依頼をしましょう。
下手な施工は雨漏りになる!よい施工をしよう
まずはこちらの動画をご覧ください。
【瓦を外して見ないとわからない雨漏りの原因です!】
この動画のように、瓦の見えない部分に不具合が起こっているおそれもあります。正常に施工がされていれば雨漏りを防ぐことができますが、少しでも甘い施工がされているとそこから雨が入り込んでしまうことがあるのです。
瓦屋根を自分で修理するときは、雨漏り対策のことも考えた修理をしなければいけません。もしも修理するのが不安なときは、無理をせず業者に依頼することをおすすめします。
地震や台風で大きく崩れた場合は業者に相談を
大きな地震や台風の被害があった場合は、部分的な瓦屋根の修理ではなく、瓦屋根全体の修理が必要になることがあります。瓦の症状によっては、下地、漆喰など全て取り払い、葺き替えが必要となることがありますので、自分で修理するのではなく業者に相談してみるとよいでしょう。
加入している火災保険を確認しよう!
強風などの自然災害により屋根が損傷してしまった場合、火災保険で保険金を受け取ることができる場合があります。加入している火災保険に「風災・雹災・雪災」の補償がないか確認してみましょう。ただし、火災保険が必ずしも適応されるとは限りません。
・被害にあってから3年以上経過している
・修理費用が20万円以下
保険会社によって、適応される年数が異なる場合があります。また、あらかじめ設定してある免責の金額によって支払われる金額が異なりますので、詳しくは加入している保険の内容を確認してみましょう。
2.送られてきた保険申請の書類を記入する
3.屋根の修理業者に被害状況を見てもらい、見積り書と被害写真を受け取る
4.保険鑑定人に現場の被害状況を見てもらう
5.保険金が確定する
保険金が支払われるかどうかは、保険鑑定人の調査によって決まります。屋根の修理は結果が出てから依頼するようにしましょう。
瓦屋根の修理にかかる費用相場
瓦屋根の修理にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。費用の相場を約30坪の家だと仮定してご紹介していきます。
葺き替え …… 約60万円~200万円
重ね葺き …… 約80万円~120万円
これらはあくまでの目安であり、建物の広さや材料の量・質によって費用は変わってきます。また、業者ごとに金額設定や計算方法が異なるため、正しい費用を知るためにはいくつかの業者に見積りを依頼することをおすすめします。
古い瓦屋根は修理と同時に耐震化も検討しよう
古い瓦屋根の修理をするときは、瓦の重さなども考えて耐震化を検討してみる必要があります。瓦屋根だからといって地震に弱いというわけではありません。しかし、家のつくりによっては耐震化されていないものもあります。
古い瓦屋根は地震によって被害が拡大することも考えられます。いざというときのために、より軽いものに葺き替えをするなど耐震化を考えてみるのも大切です。
まとめ
日本の風土にあった瓦屋根は、費用を抑えて少しでも長く使いたいものですよね。瓦が壊れたときも、作業に気を付ければ自分で修理することもできます。
それでも、高所での知識が必要になる作業ですから修理するのに不安を感じるかもしれません。そんなときには無理をせず業者に修理を依頼しましょう。雨漏り対策をした瓦屋根の修理をしてくれますよ。
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