雑損控除には屋根修理の費用も含まれます。
雑損控除は災害などが原因で発生した損失を所得から控除するものです。そのため、台風や地震などにより壊れてしまった屋根の修理費用は、この雑損控除の対象となります。
雑損控除を申請することで翌年の所得が減額されますので、忘れずに確定申告をおこないましょう。当記事では雑損控除の適用条件や申請方法などを解説します。また、控除額の算出方法についても解説しますので、ぜひお役立てください。
目次
雑損控除の対象と適用条件
繰り返しになりますが、雑損控除とは、台風や地震などの災害、盗難または横領により資産が損害を受けた場合に、その修理などにかかった費用を所得から控除するものです。雑損控除を申請すると、翌年の所得税が軽減されます。雑損控除を受けるには、損害を受けた資産が以下のいずれかに該当する必要があるので、確認しておきましょう。
- 資産の所有者が納税者
- 資産の所有者が納税者と生計を一にする配偶者または親族で総所得金額等38万円以下の人(令和2年分以降は48万円以下)
- 生活に必要とされる資産であること
さらに以下では、雑損控除の対象になる損害原因についてより具体的に解説します。
雑損控除の対象になる損害原因
雑損控除の対象になるのは以下のようなことです。いずれかによって発生した損失であれば、雑損控除を申請することで所得控除を受けられます。たとえば台風の強風によって屋根が壊れてしまった場合は、雑損控除に屋根修理費用を含めることができます。
- 自然災害(地震、台風、洪水など)
- 人為的災害(火災、爆発など)
- 害虫などによる災害
- 盗難
- 横領
雑損控除は最長3年繰り越しできる
大きな災害の場合は、損害額がその年の所得の合計額より大きくなってしまい、その年だけでは控除しきれないこともあるかもしれません。そのような場合は、最長3年にわたって各年の所得から控除可能です。そのため、予想以上に損害額が大きくなってしまった……という場合でも雑損控除を申請することをおすすめします。
災害による雨漏り修理はお早めに!
ここまで雑損控除の基礎知識について解説してきました。しかし、現状雨漏りが続いている場合は、まず業者に依頼して修理してもらうことをおすすめします。雨漏りは放置するとカビの原因になり健康被害が発生することもあるからです。
雨漏り修理業者をご紹介している弊社では、24時間365日ご相談を承っておりますので、お困りのさいはぜひご相談ください。
雑損控除額の算出方法
ではここから、計算式を元に、実際の控除額を算出してみましょう。控除額の算出では、まず「差し引き損害額」を調べます。
〇差し引き損害額
損害金額+災害関連支出-支払われた保険金など
災害関連支出とは災害で被害を受けた住宅や家財などの取り壊し費用や修理費用のことです。壊れた屋根の修理費用はここに含まれます。さらに以下の計算をおこない、合計金額が多い方が控除額となります。
【1】差し引き損失額―総所得金額×10%
【2】差し引き損失額のうち「災害関連支出」―5万円
ではこの計算式を元に、具体的な数字を当てはめて計算してみましょう。
具体例を元に計算してみよう
ここでは、以下のような具体例を挙げて控除額を算出してみます。
〇具体例
総所得200万
・損害金額100万円
・修理費用(災害関連支出)50万円
・保険金100万円
〇差し引き損害額:100万円+50万円―100万円=50万円
この差し引き損害額を【1】【2】の計算式に当てはめてみましょう。
【1】50万円―200万円×10%=30万円
【2】50万円-5万円=45万円
よって、雑損控除額は45万円となることがわかります。このようにして控除額を算出してみましょう。
雑損控除を受けるためには確定申告が必要
ここからは雑損控除の申請方法について見ていきましょう。雑損控除は年末調整の対象にならないため、会社員の方であっても自分で確定申告をする必要があります。ここでは必要書類と申請手順を解説しますのでお役立てください。
必要な書類
雑損控除の申請では、確定申告の書類に以下のものを添付して申請します。申請時に慌てないように事前に準備しておきましょう。
- 被害を受けた住宅の取得年月や床面積などがわかる書類
- 災害関連支出の金額がわかる書類(修理見積り書や領収書など)
- 受け取った保険金額がわかる書類
- 罹災証明書(災害の場合)
雑損控除の手続き方法
まずは確定申告書の雑損控除の欄に、損害金額や保険金額、災害関連支出額などを記入します。そして「差し引かれる金額」の「雑損控除」の欄に損害金額を記入してください。内容に間違いないか確認したら提出して申請完了です。
場合によっては災害減免法の方がお得になるかも!
ここまで雑損控除について解説してきましたが、じつはもうひとつ所得控除を受けるための方法があります。それが「災害減免法」の利用です。災害減免法では、災害によって住宅や家財が損失した場合に、その年の所得税が軽減もしくは免除になります。この措置での控除額は以下のようになっているので確認しておきましょう。
- 所得500万円以下:所得税全額
- 所得500万円超~750万円以下:所得税額の2分の1
- 所得750万円超~1000万円以下:所得税額の4分の1
このことから、所得500万円以下であれば、雑損控除よりも災害減免法を利用した方がお得であるといえるでしょう。ただし災害減免法は雑損控除と併用できないという点や、雑損控除に比べて適用条件が厳しい点など、いくつか注意点もあります。詳しくは以下で解説しますので、どちらか迷ったときの参考にしてください。
災害減免法の適用条件
災害減免法は雑損控除に比べると適用条件が厳しくなっています。
- 損害金額が損失を受けた住宅や家財の時価の2分の1以上
- 災害に遭った年の所得金額の合計が1000万円以下
また、災害減免法の対象は災害関連の損失のみです。そのため、横領や盗難による損害の場合は雑損控除一択になります。
災害減免法は繰り越しできない!
既にご紹介しているように、雑損控除では、損害額がその年の所得金額の合計より大きい場合、最長3年にわたって各年の所得から控除を受けられます。しかし、災害減免法では損害額が大きい場合でも繰り越しすることができません。そのため状況に応じて適切な方法を選ぶようにしましょう。
まとめ
雑損控除は災害などによって発生した損失を所得から控除するものです。そのため、台風や地震などにより壊れてしまった屋根の修理費用は、この雑損控除の対象となります。ただし雑損控除として屋根修理費用を申請するためには確定申告が必要なので、必要書類と手順を参考に、忘れずに申請をしましょう。
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