高層ビルの外部や内部において、鉄筋がVの字やKの字に組まれている光景を目にしたこともあるのかもしれません。あの柱に設置されている鉄骨は、耐震ブレースといい、地震の際に揺れの衝撃から建物を守るためにあるのです。
では、耐震性を高める耐震ブレースとはどのような製品なのでしょうか。今回は、そんな耐震ブレースの特性や工事方法について紹介します。
目次
制震ブレースとは。どんな工法で設置されるのか
普段街でみかける建物において柱の間に、Vの字やKの字などに鉄骨が組まれているのを目にしたことがあるかたもいるのではないでしょうか。実は、この柱に組み込まれた鉄骨は、耐震ブレースと呼ばれ壁と同じ役割を果たしているのです。では実際に、耐震ブレースを取り付けにはどのような流れになるのでしょう。
①まずは、取り付ける場所の「現地調査」からおこなわれます。現地調査では、どの程度の場所にどんな型の耐震ブレースを設置するかをチェックします。
②耐震ブレースが入れられるよう、スペースがつくられます。そのまま、ブレースを組み込めるスペースがあればこの工程は省かれることもあるのです。
③建物と耐震ブレースをしっかりと結合させるために、「目荒し」をおこなうのです。目荒しとは、元々ある部材を粗き、傷をつけることで新たな部材にはめ込みやすくする作業のことです。
④設置個所の測定をし、本格的な「組み立て」作業が始まります。組み立て時には、型をはめそれにそって塗料を流し込んでいきます。
⑤組み立てが終わり、型にそって塗料が固まったら「枠の取り外し」をして設置完了です。
設置する場所や選ぶ耐震ブレースの形により、一部作業方法が異なることがあります。耐震ブレースは軽量であるため、建物に追加して設置してもさほど負担になりません。
制震ブレースで制震補強をするメリットとデメリット
大規模な耐震工事をおこなうのではなく、耐震ブレースを使い工事をおこなうとさまざまなメリットがあります。また、反対に気をつけなくてはいけない注意点もあるため、取り付けるまえにしっかりと理解しておくとが重要です。
メリット
比較的シンプルなデザインであるため、どの空間においても利用することができます。また、制震ブレースは比較的簡単に取り付けることができるため、時間も大規模な工事に比べてかかりません。
デメリット
ドアや窓にそって耐震ブレースを取り付ける場合、開閉がしにくくなってしまうことがあります。また、種類によっては、場所をとってしまうことも考えられるのです。
しかし、制震ブレースは屋外に取り付ける式のものもあるため、圧迫を感じる場所に設置するときは外に取り付けてもいいかもしれません。
制震ブレース以外の制震補強方法について
家屋において耐震補強をするたには、耐震ブレース工法以外にあるのでしょうか。実は、耐震ブレースを利用しなくても、耐震補強をすることができます。
耐震ブレース以外の制震補強方法に、仕口ダンパーというものがあります。仕口ダンパーとは、柱と柱の間に三角形の部材を取り付けることで耐震性を高めます。室内においてもつけることができ、柱に仕口ダンパーを取り付けることで、壁がある際と同じくらいの強度を持ちます。
仕口ダンパーは、銅板の間に粘弾性の板が挟まっている構造になっています。粘弾性とは、粘りけがある物質のことであり、衝撃が加わると受けた力を分泌しようとする性質があるものです。銅は比較的腐りにくい性質があるため、取り付けても劣化しにくいのです。
制震補強と免震補強・耐震補強の違いとは
耐震ブレースや仕口ダンパー以外にも、耐震補強工事の方法はあります。主な工事の方法は、制震補強、免震補強、耐震補強の3種類です。それぞれ、おこなう工事法方法や材料が違います。
耐震補強
耐震補強工事は、主に建物の壁をコンクリートでしっかり固めて、強くしたりして地震にたえることができるようにする構造です。主に病院や学校などの施設において使われていることが多く見受けられます。
制震補強
制震補強の場合、先ほど紹介したダンパーを利用した工法になります。主に揺れによる衝撃を吸収して建物の被害を最小限におさえるのです。
免震補強
建物の中にゴムやバネを取り付けることで、建物の揺れを和らげます。免震補強は、ほかの方法に比べて安全性が高く耐震性を保障された期間が長く続くのです。より安全な耐震工事がおこないたい場合、免震工事方法をおすすめします。
まとめ
耐震ブレースとは、建物の内側もしくは外側から柱に骨組みを追加する耐震工事のことをいいます。しかし、耐震ブレースで補強をおこなうと場合によっては、取り付けに時間がかかったり、鉄骨をつけることで場所をとってしまったりしてしまいます。
耐震工事をおこなって生活スペースが狭くなってしまうことを避けたいようでしたら、免震補強か耐震補強という工事方法もあります。
場所をとってしまう耐震ブレースを利用する制震補強より、場所をとらない免震補強・耐震補強をおこなってみてはいかがでしょうか。料金や工事内容などの詳細は業者に1度相談してみてもいいかもしれません。
耐震工事を依頼できる業者や料金
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