耐震性は、日本の建築では無視できないものです。昭和の初期から、より強固な建造物を造り上げるにはどのようにすべきかということが重視されてきました。
その風潮のなかで、1960年代にアメリカから伝わった建築法にツーバイフォー工法があります。これを利用すると従来の建築物よりも耐震性が向上することがわかり、日本で広く普及し始めました。しかし、なぜアメリカの工法が耐震性の高いものだったのでしょうか。従来の工法との違いを踏まえて、なぜツーバイフォーが地震に強いかを紹介します。
目次
ツーバイフォー工法とは?在来工法との違い
地震が多発する日本では、横揺れに負けない家の構造が重視されています。他国より厳しい耐震基準を満たした建築物を作り上げ、倒壊しないことを目標としているのです。
従来の日本建築では、屋根は柱で支えるものであり、壁のほとんどは土壁や障子などで仕切られていました。これでは地震が来た時に、屋根を点でしか支えることができないため、横向きの負荷に耐えられず地面と屋根がずれるようにして崩れてしまいます。
そのようななか、北米からツーバイフォー工法が伝わってきました。壁を強固な板でとめて、床や天井も板で固定するという建築法です。これにより、屋根を柱だけではなく壁でも支えることができるような建築物が造られるようになりました。
本来ツーバイフォーは、建築が簡単で、アメリカのハリケーンに耐えることができる建築物として北米では人気です。この風の負荷の方向は地震の揺れによる負荷と同じ水平方向の力ですから、日本では頻発する地震に耐えることができる家として注目されました。つまり、ツーバイフォーは地震に強いとされて日本でも好まれるようになったのです。
従来の工法とツーバイフォー工法の大きな違いは、柱を重視するか、壁を重視するかという違いです。ツーバイフォーは構造として風や地震などの水平方向の負荷に強いという特性を持ち、日本での災害に対応した建築物として利用されるようになりました。
ツーバイフォー工法は地震に強い!震災による被害
ツーバイフォー工法を利用すると地震の被害をおさえられるとされていますが、実際にどのようにして地震による被害を抑えるのでしょうか。
ツーバイフォー工法には、他の木造建築はほぼ柱のみで家を支えるのに対し、壁という面で支えることができるという特徴がありました。これによって地震のときの崩れやすさにかなり大きな差ができます。
例として、柱や梁に見立てた12本の棒のみで組み立てたサイコロ型の立体と、ツーバイフォーの壁を意識した6枚の板で構成される立体では、どちらの方が壊れにくいでしょうか。
棒である柱と梁だけではねじれたり、ゆがむ力を加えるとすぐに変形し、壊れてしまうかもしれません。一方板である壁でできた立体は、どの方向からの力でも変形しづらく、強固な構造になっていることがわかります。
このように、柱と壁のどちらを重視しているかで、従来の建築法とツーバイフォー工法には耐震性で大きな差があることが予想できます。
ツーバイフォー工法はデメリットもある
ツーバイフォーを利用すると、耐震性が従来の建築物よりも大幅に向上するということがわかりました。しかしこのツーバイフォー工法は日本での歴史が浅く、発祥の地であるアメリカやカナダとの気候が違うため、欠点が発生するとされています。ツーバイフォーを日本で利用することで、一体どのような短所が見えてくるのでしょうか。
ひとつめは、湿度の違いです。北アメリカではからっとした気候が多いですが、日本は島国で、地域によっては多湿な時期があります。ツーバイフォー工法は壁を多用する工法から、建材である木の面積が大きくなるため、多くの湿気を吸ってしまいます。
湿度を多く含んだ建造物は、釘がサビやすくなり建材の劣化が早くなる傾向にあります。それだけではなく、湿気を含む木材を好むシロアリなども呼び寄せてしまう危険性があるでしょう。
従来の工法では釘などはあまり使わず木を組むことで、サビの心配なく強固な構造となっています。ツーバイフォーの欠点のひとつとして、従来工法の建築物と比べてこまめなメンテナンスが必要になりがちだといえてしまいます。
もうひとつの欠点として、開口部が制限されてしまうということに注意が必要です。柱の代わりに壁で天井を支えるため、窓や扉で壁に穴を開けすぎてしまうと屋根や揺れの負荷に耐えられなくなり、非常に危険になってしまいます。
壁の配置や強度などは、建築メーカーや業者とよく相談しなくてはいけません。ツーバイフォーを地震に対応させるためには壁量が多く必要なため、狭い部屋ばかりで窓も小さくなり、開放感のない家になってしまう可能性があります。
ツーバイフォー工法でも油断は禁物!古い住宅は補強工事を
ツーバイフォー工法は地震に対して非常に強いため、古いものでも安心だと思われるかもしれません。しかし耐震基準という、日本で耐震性を語るうえで欠かせないものがあります。
日本にツーバイフォー工法が伝わったのは1960年代とされています。日本で大きな耐震基準の変更があったものは1981年と2000年で、これをまたいだ建築物はツーバイフォー工法で建てられたものであっても現在の耐震基準を満たしていないかもしれません。
とくに、2000年にはツーバイフォー工法でカバーしきれない、基礎に関する言及も追加されました。建物が無事でも基礎が崩れてしまうと、家も倒壊してしまうおそれがあります。
もし、自分の住んでいる住宅が2000年以前に着工されたのであれば、一度耐震診断を受けてみましょう。耐震診断を利用すると、新耐震基準を満たしているか、満たしていなければどのような耐震補強工事が必要かを知らせてくれます。
まとめ
ツーバイフォー工法は従来の工法よりも、壁量や配置によって耐震性が非常に優れているということがデータや構造からわかりました。もし新しい家を建てる時に地震に対する耐久力を重視するのならば、ツーバイフォー工法は最適といえるかもしれません。
しかし、ツーバイフォー工法にはデメリットもあります。開放感がなく、メンテナンスの必要性が高いともいわれているため、それを考慮に入れて選択しましょう。
もし、家をツーバイフォーにしたい、ツーバイフォーでも地震が不安なのであれば、業者と相談すればより耐震性を向上させられるかもしれません。
耐震工事を依頼できる業者や料金
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「耐震工事」をご覧ください。
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