
自然災害のなかでも、地震は日本人にとってとくに身近で恐ろしい存在です。多くのご家庭で、地震被害にあったときの対策をしていることと思います。しかし、その地震対策はもしかすると不十分かもしれません。
この記事では、家庭の地震対策に欠かせない「制震ダンパー」についてご紹介します。制震ダンパーとは、住宅を地震から守るためのものです。
その制震ダンパーについて、種類や特徴、工事にかかる日数などを詳しく解説していきます。制震ダンパーという名称を初めて聞いた方も、取り付けようか迷っている方も、ぜひこの記事を読んで、自宅に取り付けるかどうかを考える参考にしてください。
制震ダンパーとは?
制震ダンパーとは、住宅の地震被害を抑えるために、壁や柱、梁などの接合部付近に設置する器具です。地震による震動を、粘弾性のゴムや油圧、金属などの力によって吸収することで、建物の揺れを軽減させることができます。形状は、板状のものや棒状のものが主流です。
地震で多くの人に被害を及ぼすことのひとつが、建物の倒壊です。建物が倒壊することで生命が大きな危険にさらされるだけでなく、助かったとしてもその被害損額は膨大なものになってしまいます。
地震対策にはさまざまな方法が考えられますが、生命を守るためにはまず、住宅の倒壊を防ぐことが必須なのです。その意味でも、建物の揺れを軽減させて被害を抑える制震ダンパーを住宅に取り付けることは重要になります。
しかし、この制震ダンパーはホームセンターで買って自分で取り付けるということはできません。業者に頼んでリフォーム工事をする必要があります。また、その種類もさまざまあります。次章からは、その種類と特徴、そしてリフォームをするために知っておくべきことについてみていきましょう。
ダンパーの種類と特徴
制震ダンパーは、大きく分けて3つの種類があります。オイルダンパー、鋼材ダンパー、粘弾性ダンパーです。それぞれの特徴とメリット、デメリットについてご紹介します。
オイルダンパー
オイルダンパーは、油のねばりを利用して建物の揺れを軽減する装置です。メリットとしては、大きな揺れにも小さな揺れにも効力を発揮するという点が挙げられます。どのような地震にも対応できるというだけでなく、台風などの強風にも対応できるのです。
一方で、メンテナンスが必要になる場合があります。これは、構造がほかのダンパーと比べても複雑で、経年劣化で油が漏れだしてしまうことがあるためです。また、ほかのダンパーよりも高価である点もデメリットといえるでしょう。
鋼材ダンパー
鋼材ダンパーとは、金属を材料として作られたダンパーの総称です。金属が曲がる力を熱エネルギーに変えることで揺れを軽減させます。
メリットとしては、メンテナンスが不要で安価であるという点が挙げられます。一方デメリットは、小さな揺れには効力が低く、耐久性が低いという点です。おもに大地震に備える目的で取り付けるダンパーです。
粘弾性ダンパー
粘弾性ダンパーは、オイルダンパーと鋼材ダンパーの両方をあわせもったような性質のダンパーです。シリコンやゴムなどの粘弾性がある材料から作られます。
メリットとしては、とても小さな揺れでも効力を発揮するという点が挙げられるでしょう。こちらもオイルダンパーと同じく、どのような地震にも対応できるとともに、台風などの強風の場合でも家を守ることができます。
一方デメリットは、設計が複雑で、その建物にとって適切であるかの判別が難しいという点や温度の影響を受けてしまうという点が挙げられます。
取り付け工事にかかる日数
制震ダンパーの取り付け工事までの流れについてご紹介します。まず、業者に制震工事を依頼します。そうすると、業者が依頼を受けた建物まで点検に来て、工事が可能かどうか、どんな工事をするかについて説明を受け、工事の日にちを決めることになります。
制震ダンパーの取り付けは、壁を解体し制震ダンパーを取り付け壁を修復する、という工程を取り付ける制震ダンパーの数だけおこなうことになります。ただし、取り付ける場所によっては、壁紙をすべて貼りかえる必要があったり、エアコンなどの機器を一度取り外す必要があったりします。
取り付け工事は、取り付ける制震ダンパーの数などの状況によって変わりますが、一般的に2~3日ほどで完了です。完了したら、今後のメンテナンスや地震が起きた際の対応などを忘れずに確認しておきましょう。
しっかり地震に強い家にするならリフォーム工事を
制震ダンパーのことについてご紹介してきましたが、制震ダンパーはあくまで建物の揺れを軽減するものです。大きな地震が発生したとき、建物自体に問題があれば、制震ダンパーを取り付けていても危険な場合があります。
たとえば築数十年が経っている場合や軟弱な地盤に建っている場合、一階と二階の大きさが違ったりして安定性に欠ける場合などは、制震ダンパーだけでは対策として不十分かもしれません。そのような場合は、業者に住宅の耐震性のチェックをしてもらったうえで住宅の耐震性を高めるリフォームをすることをおすすめします。
耐震性を見る際には、地盤や重量、壁、床、接合部分などをチェックします。そのうえで、住宅を支える基礎の部分を補強する、傷んだ部材を交換する、抵抗力の強い壁に変える、接合部を補強するなどのリフォームをおこないましょう。
耐震性を高めるリフォームをおこなうことで、よりたしかな安全を得ることができます。制震ダンパーだけでは不安だという方は、耐震リフォームも考えてみてください。
まとめ
自宅にいるときに大地震が襲ってきたとしたら、自分の家は大丈夫だと言えますか?今回ご紹介した制震ダンパーは、そんな地震の揺れを軽減し、住宅を守ってくれる心強い味方です。オイルダンパー、鋼材ダンパー、粘弾性ダンパーの3種類は、それぞれ性能や値段なども変わってきますので、ご自宅の状況に合わせて選択するとよいでしょう。
また、制震ダンパーも含め、住宅の耐震性を高めたいと考えている方は、まず業者に問い合わせて建物の状態をチェックしてもらいましょう。そのうえで、必要であれば制震ダンパーに加えて住宅の耐震リフォームをおこなうことをおすすめします。
耐震工事を依頼できる業者や料金
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「耐震工事」をご覧ください。