冬の寒い朝。リビングへ行くとまるで外のように冷え込んでいて、慌てて暖房を付けるようなことはないでしょうか。また、カーテンを開けてみると一面に結露し、流れ落ちた水滴が床を濡らしていたということもあるでしょう。
寒さに対する対処として窓の対策は必要不可欠です。そのため窓の断熱シートを貼り効果を見込むという方も少なくないと思いますが、そもそも断熱シートはなぜ部屋の冷え込み防止に効果があるか、しっかりとわかっていない場合も多いでしょう。
今回は窓の断熱シートの効果を中心に、窓の断熱対策について考えていきます。
目次
窓に断熱シートを貼る効果って?どうして断熱できるの?
なぜ窓に断熱シートを貼ると断熱ができるのでしょうか。これには断熱の基本ともいえる「空気の層を作る」ことが関わっています。
外気の冷たい空気が窓ガラスに触れると、温度変化の影響を受けやすいガラスの熱は奪われていきます。一般的な単層ガラスの場合、冷やされたガラスは直接室内側の空気から熱を奪うことになり、部屋から熱が外へと放出されることになるのです。
代表的な断熱シートは窓枠部分に貼り付けるタイプ、気泡シートになっているタイプの2つです。このどちらもが空気の層を利用しています。窓枠部分に貼り付けるタイプはガラスとの間隔を開けることで、気泡シートはそれ自体がガラスと屋内の間に空気の層を挿し込むのです。
この場合、屋外からの冷気は「屋外の空気→ガラス→空気→シート→室内の空気」と伝わっていく形となり、室内に冷気を伝えるためには一度シートとガラスの間の空気が冷却された後、改めて冷気が伝わる必要があるのです。そのぶん屋内まで冷気が伝わるのが遅くなるため、部屋の温度低下を抑えることができます。
一般的な窓の断熱シートの効果は、このようなからくりによってもたらされます。
窓から熱が逃げる理由。寒いだけじゃない結露の理由
窓から逃げる熱の割合は半分ほどとも、7割近くに及ぶともいわれています。ではなぜ窓から熱が逃げ、結露につながるのでしょうか。
窓は断熱・気密の弱点
住宅の壁はグラスウールなど断熱材が求めやすくなったこと、またその技術進歩により断熱性が向上しています。同時に冷暖房の使用など、生活の変化に合わせて屋内の空気が外へ出にくい構造が求められ、家の気密性も高くなってきました。
人間をはじめとして、あらゆる生物は呼吸や汗などで体内の水分を空気へと放出しています。屋外であればその水分は広く拡散されるのですが、気密性が高まった屋内においては放出された水分がたまり、屋内の空気に含まれる水分量を上げる結果になるのです。
一方で窓は家の開口部であり、外とのつながりが求められています。そのため屋内と屋外を隔てるのは最小限であることが求められ、その結果ガラス1枚で空間が仕切られていることになります。
また、その効果を最大限に高めるために仕切りを外せるよう、サッシが使われていることが多いでしょう。なめらかな動作のためには内側が少し小さくなる必要があり、サッシには必然的にすき間が空いてしまいます。つまり、断熱性・気密性の高い現代の住宅における最大の弱点が「窓」なのです。
結露は温度だけでなく、水分量が関係する
ここで結露の仕組みを見てみましょう。
窓が結露する仕組みとして理解する必要があるのは「その空気が含むことができる最大の水蒸気の量」と「現在含まれている水蒸気の量」の2つの関係性です。とくに前者は『飽和水蒸気量』と呼ばれていますが、この量は空気の温度が低くなると少なく、高くなると多くなることが知られています。
では水蒸気を含んだ空気が冷却され、含まれている水蒸気の量が飽和水蒸気量を上回るとどうなるのでしょうか。この含みきれなくなった水蒸気はその分だけ液体に戻り「結露」となって冷たいものの表面へと付着します。窓の場合はガラスやサッシが屋外の冷気で冷やされ、冷えた窓が周辺の空気を冷却し結露になります。
同じ温度の空気でも、含まれている水蒸気の量が多ければ冷却の早い段階で結露につながります。
これらのことを踏まえれば、住宅の断熱対策の最重要点は窓の対策といえます。そのためには窓用断熱シートなどの効果を生かすとともに、エアコンの除湿機能などを併用することで屋内の水蒸気の量を減らすことが大切になってきます。
窓に貼るならどの断熱がおすすめ?
では、窓に断熱シートを貼る際効果が高いものはどういうものなのでしょうか。
断熱効果が高いのは「冬専用」
窓用の断熱シートには夏用・冬用・オールシーズン用の3種類があります。ついついオールシーズン用に手を伸ばしがちですが、断熱効果が高いのは冬用の断熱シートです。
冬用の断熱シートは先ほども触れたような気泡シート状のものが多いほか、窓枠に貼り付けるタイプなどもあります。いずれも空気の層によって断熱効果を発揮するタイプなのですが、デメリットとして見た目が悪いことが挙げられるでしょう。
冬用の断熱シートは寒い時期が過ぎたら剥がして廃棄することを前提にしており、使い捨てである以上透明度を上げることは困難です。とくに気泡状のシートは荷物の緩衝材を連想させるなど、見た目として決してよいものではありません。
ただ、使い捨て前提であるからこそ実現できる機能もあります。たとえば、ガラスとシートの間にシリカゲルなどの乾燥剤を入れ、断熱部分の空気に関して結露しないような工夫なども使い捨てだからこそできることです。
年間を通して貼るならオールシーズン用があるが…
一方、オールシーズン用は年間を通じて貼っておくことを想定しているため、透明なシートをガラス面に貼るタイプも多いようです。ただしガラス面とシート面の間に空気の層がないため、断熱効果に関してはある程度見極めが必要になってきます。
見た目が…結露は防止できない?悩みをクリアにするなら
窓の見た目を重要視するならば冬用断熱シートはなかなか使いにくいのが実情です。では窓に断熱効果とその見た目を両方配慮しているものはないのでしょうか。
複層ガラスへ交換して断熱効果を高める
窓の冬用断熱シートの効果は空気の層を利用することで得ることができますが、同じく空気の層を利用したものとして『複層ガラス』が挙げられます。
複層ガラスは板ガラスを2枚、すき間を開けて平行に固定します。こうすることでガラスの間に空気の層が生まれ、窓枠に貼る断熱シートのような効果を見込むことができるのです。また、部屋の空気が直接冷やされないため、結露防止の効果も見込めます。
ただし、経年劣化によってガラスの間に水蒸気が入ることも考えられるので注意が必要です。
複層ガラスのガラス間には、通常は乾燥させた空気が注入されています。製品によっては真空になっているもの、アルゴンガスが封入されているものもあるので確認が必要になってくるでしょう。
複層ガラスは『ペアガラス』とも呼ばれます。その価格については過去コラム「ペアガラスの価格はいくら?窓で断熱・遮熱して快適なお住まいへ!」にて取り上げていますので、こちらもぜひご覧ください。
あわせてサッシの交換も検討
住宅で多く使われているアルミサッシは外からの熱を伝えやすい素材なので、断熱効果を見込むのであれば樹脂製のサッシに交換する必要が出てきます。サッシ交換をする場合はガラスも交換するのが基本であり、複層ガラスの種類によってはサッシに影響が出てくる場合も少なくありません。そのためガラス交換の際にはサッシ交換についても考えてみましょう。
ガラスと同様、サッシについても断熱効果が高められた製品が登場しています。すきま風も断熱対策にとって重要ですが、この点についても改良を加えたものがいくつかあります。予算との兼ね合いもあるでしょうが、ガラスを変える前にサッシの交換についても必要かどうか確認しておいてください。
まとめ
窓は住宅の中でも熱が逃げやすいところであり、部屋の断熱を考えるに当たって窓対策を避けることは難しいといえるでしょう。窓用の断熱シート使用で効果を最大限に発揮させるのもひとつの手であり、高くても複層ガラスへの交換などを思い切っておこなうのもまた一手です。
一段と冷え込む冬にむけて部屋の断熱対策を万全にし、暖房を最大限効率化していきたいものです。
断熱工事を業者に依頼する際は
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