
寒い冬、外の温度を中に入れないため、少しでも断熱対策をしておきたいものです。身近なところではエアキャップ(プチプチ)が簡単にできる断熱対策として有名になってきましたが、気になるのが見た目の部分でしょう。そこで、プチプチほど身近ではありませんが手軽に、かつ効果的に使える材料として「プラダン」を利用してみませんか?今回はプラダンを使った断熱対策について取り上げていきます。
目次
プラダンってなに?本来の利用法
そもそもプラダンとはどういう用途で開発されたのでしょうか。その答えは「何度も利用できる段ボール」です。
段ボールの代わりに「何度も使用する」ことが目的
段ボールは紙でできており、安い・軽い・ある程度の強度がある・加工しやすい・再資源化しやすいという条件が揃っていることから、現在でも製品輸送を中心に広く利用されています。しかし段ボールは基本的に使い捨て目的であり、そのまま再利用するには耐久性が足りませんでした。
その耐久性を克服するべく、プラスチックを使って段ボールを作ったのが「プラダン」です。そのため段ボールの性能が強化されたものと考えてもよく、段ボールが持つ以下の条件を兼ね備えています。
【軽くて強度がある】
プラダンの断面は段ボールと同じ「中空構造」です。2枚の薄い板の間を柱となる板(リブ)が支える構造のため、軽さの割には充分な強度を持っています。
【加工しやすい】
薄い板の組み合わせのため段ボールと同様、カッターなどの刃が通ります。また熱を加える頃で曲げることができるほか、ふたのような可動部を作ることも可能です。
【耐久性がある】
プラスチック(ポリスチレン)でできているため水や折り曲げ・薬品などに強く、段ボールよりも丈夫です。また通常の環境では熱による変化もしづらいため、何度も繰り返し使用することに向いています。
ただしポリスチレンは紫外線に対してそれほど強くないことが欠点でした。これを克服するため、透明度のあるポリカーボネイト性のプラダン・UV加工のされたプラダンも開発・販売されています。
【リサイクルしやすい】
高温にすると溶けるため、ふたたびプラスチック製品へと再利用しやすいです。
【安い】
段ボールほどは安くないものの、お手頃な価格で充分な性能を持っています。
主な用途は輸送や養生
製品を入れるとき、段ボールだと重さや輸送の際のダメージを受けやすいという欠点がありました。またふたが開かないようにするテープ留めも段ボールを傷つけやすく、使い捨てになることも多かったのです。しかしプラダンであれば耐久性があり再利用できるほか、マジックテープなどを活用すればふたが開かないようにもできます。そのため部品を組立工場に運ぶ際などの「通い箱」に利用されています。
また値段が安く耐衝撃性もあることから、家具を移動させる際に壁を傷つけないよう覆う「養生材」としての利用も盛んです。
そしてこのプラダンは断熱対策としても効果を発揮します。その理由を次の章では見ていきましょう。
プラダンが断熱にも効果的な理由って?
プラダンが断熱面でも利用しやすい理由として、見た目の良さと加工のしやすさがあげられます。またそのほかにもプラダンは断熱面で優れているのです。
中に空気の層があり、断熱性に優れる
熱の伝えやすさを示す数値として「熱伝導率」というものがあります。寒い日、公園の鉄格子を触ったところ「冷たい」というより「痛み」さえ感じたことはありませんか。それは金属(鉄)の熱伝導率が高く、気温の変化に合わせて熱を出し入れしやすいからです。
そして意外に感じるかもしれませんが、空気の熱伝導率は金属やガラスに対して非常に小さくなっています。たとえば断熱ガラスはガラスとガラスの間に空気の層を入れ、寒さを部屋の中まで伝えにくくしていることがあげられるでしょう。
プラダンも中が空洞になっているため、空気の層がガラスから伝わる熱をカットしてくれます。
耐久性が高く、見た目がよい
プチプチ(エアキャップ)は「箱の中」で利用する梱包材のため、どうしても見た目の面では劣ってしまいます。しかしプラダンは「箱本体」として使うなど、ある程度主役として使うことを想定しています。また水を吸いにくいなど耐久性もあるため、見た目よく仕上げやすいのです。
加工しやすい
窓は意外とサイズがバラバラなため、必要に応じて加工しなければ効果を最大限活用できません。プラダンは先ほど確認した通りカッターの刃が通りやすいため、自分でも加工しやすい素材です。
プラダンによっては採光も確保できる
プラダンの中でもポリカーボネイト製のものは透明度があり、ある程度の光を通します。一方で光を和らげるため、適度な光を利用することに向くのです。
このように見た目・性能両面から優れている素材・プラダン。どのように使えばその性能をフルに発揮させることができるのでしょうか。
プラダンはどう使えば断熱効果が出る?
プラダンの使い方は大きく分けて3つ。「立てかける」「貼り付ける」「独立して利用する」です。
立てかけるだけでも一定の効果
細かい作業はどうしても苦手、飽きっぽくてわざわざ工作するとか向いていない。そんな方はプラダンを買ってきた後、窓際に立てかけるだけでも一定の効果を発揮します。立てかけるだけでも窓ガラスとプラダンの間に空気の層ができ、断熱効果を生むからです。
窓に貼り付ける
ちょっとした工作なら得意、という方はプラダンを窓に貼り付けてみましょう。窓のサイズを測り、それに合わせてプラダンをカッターなどでカットしてください。あとは両面テープで貼り付けるだけで断熱対策の出来上がりです。
二重窓を作る
工作が得意、という方は二重窓の製作にチャレンジしてみましょう。二重窓にすることで断熱効果がアップするほか、状況に応じて使い分けることが可能になりますよ。
プラダンを使った二重窓の製作方法については「ポリカプラダンの2重窓で断熱して結露も防げるおしゃれなDIY をご紹介」の記事で詳しく取り上げていますので、こちらもぜひご覧ください。
プラダンと並行できる断熱対策
最後に、プラダンと一緒にできる断熱対策について考えてみましょう。
カーテンでさらなる窓の断熱対策
カーテンは見た目をよくするだけでなく、二重窓のように空気の層を作る効果も持っています。そのためプラダンだけでなくカーテンも使って、さらなる対策をしてみてはどうでしょうか。
ただし隙間が空いてしまうとその効果は下がってしまいます。カーテンの長さが充分に足りているか、カーテンの上部が開いていないかなども確認しておきましょう。
カーペットやアルミシートで床の対策も
窓だけでなく床にも目を向けてみましょう。床暖房がない場合はカーペットを敷いたり、アルミシートやコルクシートなどをカーペットと床の間に挟んだりして床の冷たい熱が伝わってこないようにすることもひとつの方法です。
まとめ
プラダンは本来段ボールの代わりとして輸送などの目的に開発されたものですが、その構造から断熱性を持つだけでなく値段や加工しやすさなどの面で利便性の高い素材となっています。プチプチなどと違い「わざわざ購入しなければ手に入りにくい」というのがデメリットではあるものの、見た目にそれほど影響せず対策ができるため一度購入してしてはどうでしょうか。
また本格的に寒さが部屋に伝わってきた場合は窓部分以外の対策も検討してみてください。
断熱工事を依頼できる業者や料金
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「断熱工事」をご覧ください。