
高齢になるにしたがって、体を支える力は弱ってきます。そのため体が不安定になってふらつきやすく、転倒などの危険性が高まります。その対策が手すり設置です。手すりを設置することによって、足だけでなく手にも体重を分散させ、しっかりとつかむことで壁に手をついて歩くよりも危険性を低くすることができるでしょう。
しかし、手すり設置となると壁に穴を開ける必要があるため、賃貸住宅では工事に踏み切りにくいことも少なくありません。また費用面でも気になります。そのため、取り外しが容易にできる手すりも近年登場してきました。
今回は工事不要の床置きやつっぱりタイプのものを中心に、介護用手すりについて紹介します。
目次
設置するだけが手すりじゃない。床に置くタイプの手すりの特徴
介護用の手すりは、今では様々な種類がでてきました。
床に置くタイプの手すりはベッドや布団などからの「起き上がり」、座った状態からの「立ち上がり」、廊下などの「移動」といった動作を補助するためのものです。特徴として床面に置くだけで設置や使用ができることでしょう。安定した広い床面があれば、部屋の真ん中であっても使えます。
しかし、ネジや釘でしっかりと固定しないため、とくに「横方向」の力に弱いとされています。そのために土台板が大きくなっているのですが、摩擦力で抑えるのには限界があります。また、土台板が大きいため場所を取りやすく、土台板の段差に引っかかって転倒するといった事故の可能性もあるようです。
つっぱりタイプの手すり。天井と床で固定する手すりの特徴
床と天井の間に棒を伸ばし、力を加えて固定するつっぱりタイプの手すりは、床に置くタイプと同じく「起き上がり」「立ち上がり」「移動」といった動作を補助します。縦方向だけでなくある程度の横方向の力にも耐えることができ、土台も小さいため転倒のリスクは低くなります。
ただ、天井・床とも構造的に弱い部分があります。とくに、天井は力がかかることが想定されていないことも多いです。設置する際には梁など強度のある場所を確かめる必要があるでしょう。また固定するといってもネジや釘で固定する強度には及ばないため、適切な使用が大切になってきます。
置くだけ簡単。玄関の動作補助に最適な手すり
日本の住宅の大きな特徴といえるのが玄関の「あがりかまち」と呼ばれる部分でしょう。日本では靴を脱いで住宅に上がる習慣があるため、玄関には内と外の境界として段差が設けられていることが多いです。とくに、段差部分に付けられる横木は「あがりかまち」と呼ばれ、住宅の顔として大きな役割を果たしています。
しかし、この段差は高齢者にとってはのぼりおりがつらい部分でもあります。そのためこの「あがりかまち」に介護用の手すりを取り付ける必要があると感じている方も多いようです。このあがりかまちに置くタイプの手すりも普及しています。
あがりかまち用の床置きタイプの手すりは、下部に土台板を設置して本体を支えることが多いです。上部は土台板なしで直接床に接していて、接地部分を操作することで高さ調節をすることが可能です。壁に取り付ける場合は片側だけにしか設置できませんが、床置きタイプは両手すりタイプもあり、より安全に上り下りすることが可能です。プールに設置されている手すりに形が近いといえばイメージしやすいかもしれません。
また、古くに建てられた住宅の場合段差が大きい場合もあります。そのためステップ台で中間の高さを設けることでよりあがりかまちを上り下りしやすくする必要もあるでしょう。
そのほか、手すりを設置したほうがいい場所の情報などは「安全で便利! 手すりを増やして暮らしやすい家にリフォームしましょう 」でご紹介しています。
介護の手すりは自作できる?DIYの方法
床に置くタイプ・つっぱるタイプの手すりは工事不要といったメリットがある半面、安定性に欠ける部分があります。そのため、介護の手すりを考える際には「壁取付け型」の手すりと使いわける必要がありますが、工事をするにしても気になるのが費用の面です。
そのため壁取付け型の手すりを取り付ける際には、DIYで作業することによって費用を抑えてみてはどうでしょうか?
1.手すりの利便性や設置場所を考える。
手すりをしっかり握るためには、直径34mmの太さが適しているとされます。高さは750mmから850mmほどに設置するとよいとされていますが、「使う人が使いやすい太さ・高さ」を見つけることが最優先でしょう。
とくに横に移動するための手すりの場合、壁の取り付け部分に制約がでてきます。手すりは力を支えるためのものなので、下に押す力に耐えることが必要です。そのため壁の内側に柱がある部分や、直接柱に取り付けることを考えましょう。また12mm以上の厚さがある木板を取り付け、全体で支えるのも1つの方法です。
手すりの端に出っ張りがあると服などが引っかかる可能性があります。そのため端に金具が来るタイプや、壁側に湾曲して引っかかりにくくしたタイプの手すりにする必要があるでしょう。
2.材料や道具を準備する
手すりの材料となるのは棒材と固定用の金具です。金具は手すり用のものが市販されているため、こうしたものを利用するほうが無難でしょう。また、手軽に取り付けられるよう棒材と金具がセットになったものも市販されています。
一方、ネジをしっかりと締めて壁に固定するための電動ドライバー、手すりとなる棒に下穴を開けるためのキリ、長さを測るためのメジャー、手すりの棒を切るためののこぎりが道具として必要になります。またマスキングテープもあると、手すりの設置イメージがつかみやすくなります。
3.金具を仮止めする
設置場所を決め、マスキングテープなどで目印を付けておきます。それに合わせる形で取り付け金具を仮止めしていきましょう。必要に応じて下穴開けやアンカー取り付けが必要になるかもしれません。また、この段階ではしっかりとネジを締める必要はありません。
4.棒材の取り付け
メジャーで金具の間の距離を正確に測り、距離に合わせて棒材を切ります。切ったら金具を一度壁から外し、棒材をはめた後再び壁にネジ止めします。仮止めとちがい、電動ドライバーでしっかりとネジを締めて動かないようにすることが大切です。
その後、棒材と金具の間のネジがあれば固定します。下穴がないとネジが通りにくいため、事前にキリで開けておく必要があるかもしれません。こうしたネジ止めを行い、金具に応じてカバーなどを取り付ければ完成です。
まとめ
床置きやつっぱり型の手すりは大がかりな工事が不要な半面、安定性といった面にはやや欠ける部分があります。また、こうした手すりは介護保険を使う場合、福祉用具の貸与といった形になります。そのため可能であれば壁に取り付けるタイプとの使い分けが必要になってくるでしょう。壁に取付けるタイプはDIYでも施工できますが、プロでないと施工が難しい箇所もあるでしょう。そのためDIYでの作業が難しいと思った場合は一度、手すり設置のプロに相談してみてください。
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