
ペットうさぎの平均寿命は約8年です。ただし、最近は長生きするうさぎも増えてきました。
近年うさぎの食性に合ったフードの開発が進み、以前に比べてうさぎの健康を維持しやすくなったことが考えられます。インターネットの普及に伴ってうさぎの生態に関する知識を得られやすくなったことも理由のひとつです。
今回はうさぎの寿命やお世話のポイントについてご紹介します。ペットとして飼う予定、もしくはすでに飼っているのであれば、責任と愛情をもって最後のときまでお世話してあげてください。
うさぎの平均寿命
うさぎは基本的におとなしくて感情が読み取りにくく、非常にデリケートな動物です。うさぎの命は人と比べると短いです。もし家族として迎えるのであれば大切に育ててあげましょう。まずは、うさぎの寿命について解説します。
うさぎの寿命は野生とペットで異なる
うさぎの平均寿命は野生かペットかで異なります。詳しくは以下をご覧ください。
・野生うさぎ:約1~4年
・ペットうさぎ:約5~15年(平均は約8年)参照
・環境省 資料「捨てず 増やさず飼うなら一生」
・札幌市円山動物園「エゾユキウサギ」
なぜ野生とペットのうさぎにこんなにも寿命の差があるのかというと、まず生活環境の差が理由として挙げられます。野生のうさぎの食糧は自給自足のうえ、肉食獣から身を隠しながら過ごすという厳しい生活環境で生きていくためにストレスも多く、寿命も短くなりやすいです。
また、ほとんどのうさぎが寿命をまっとうする前に捕食されてしまうことも、寿命が短い原因と考えられます。足腰が弱り、逃げる力が弱くなれば簡単に食べられてしまう運命だからです。さらに、野生のうさぎは病気にかかっても誰かに治してもらうことはできません。そのため病気が悪化して死んでしまうことも多いのです。
野生のうさぎに対してペットとしてのうさぎはえさや生活環境は飼い主に与えられるため、きちんとお世話をしてもらえる環境であれば、5~10年生きることができるのです。うさぎに長生きをしてもらうためにも、たくさん愛情を注いでかわいがってあげたいですね。
うさぎの長寿記録
うさぎのなかには平均寿命を大きく超えて長生きする個体もいます。2020年12月時点で、ギネス世界記録に認定されている長寿記録をご紹介します。
今までで一番長生きしたうさぎは18歳
うさぎの最長寿命は1964年にオーストラリアで捕獲されたうさぎです。このうさぎは元々野生うさぎで、人の手によって育てられて18年と10ヵ月を生きました。うさぎのなかでも破格な時間を過ごしていることがおわかりいただけるかと思います。
現在一番長生きしているうさぎは16歳
現在、アメリカのイリノイ州で飼われている16歳のうさぎが、生きているなかでは最高齢として登録されています。病気を患っているにもかかわらず、食欲が旺盛なのが長生きしている理由ではないかということです。
ギネス世界記録に認定されていないだけで、もっと長生きしたうさぎを個人のブログやSNSで見かけることもあります。今現在、うさぎの寿命は延びてきているのかもしれませんね。
長生きしやすいうさぎの種類と平均寿命
現在のうさぎは、野生のアナウサギを家畜化したカイウサギといううさぎをベースに、数度に渡って品種改良されたものです。その結果現在は150種類以上のうさぎがいるといわれています。
カイウサギのなかでも日本でペットにできるうさぎの種類は、アメリカのARBA(American Rabbit Breeders Association)という団体によって決められており、現在50種類のうさぎが登録されています。こういった団体はほかにもあり、例えばイギリスのBRC(British Rabbit Council)などがあります。
この章では、日本で飼うことができるうさぎの品種のなかから、比較的長く生きる傾向がある種類とその平均寿命を見ていきましょう。ただし、うさぎの寿命はその個体の健康状態などによって異なるので、あくまでも参考としてご覧ください。
※各品種の平均寿命は、アメリカンペットメモリアル「うさぎの種類と寿命について」を参考にしています。
アメリカンファジーロップ
アメリカンファジーロップは、「フレンチアンゴラ」と「ホーランドロップイヤー」の交配種である「ファジーホーランド」と呼ばれるうさぎを交配させることで生まれた品種です。穏やかな性格で人に懐きやすいため、うさぎ初心者でも飼いやすいうさぎといえます。見た目のかわいらしさから、ペット用のうさぎのなかでも注目を集めている品種です。
▼平均寿命:約5~10年
この品種は耳が垂れていて、耳の病気になりやすいので、こまめな耳の健康状態のチェックが欠かせません。また毛量が非常に多い種類なので、定期的なブラッシングなども必要です。
参照:ペットショップのコジマ「アメリカンファジーロップ」
ネザーランドドワーフ
ネザーランドドワーフはオランダで品種改良されたうさぎで、丸顔と短い耳が特徴です。性格は活発で好奇心旺盛。人慣れしやすい種類なので、比較的飼いやすい品種でもあります。機嫌が悪いと足を踏み鳴らしたり、鳴き声でアピールしたりと、感情表現が豊かな品種です。
▼平均寿命:約5~6年
ただし、人慣れのしやすさには個体差があり、ネザーランドワーフのなかにはあまり人に懐かない個体もいます。そのような個体は、無理やりスキンシップをとろうとすると、ストレスで体調を崩すこともあるので、注意が必要です。
参照:ペットショップのコジマ「ネザーランドドワーフ」
ライオンヘッドラビット
ペット用うさぎの種類のなかでは、比較的新しい品種です。ライオンのたてがみのようなふさふさとした毛はとてもかわいらしく人気があります。新しい品種で血統が安定していないため、個体によって見た目が異なることがあります。
▼平均寿命:約5~10年
おとなしく穏やかな性格で人慣れしやすいので、初めてうさぎを飼う方にもおすすめです。ただし毛が長いので、こまめなブラッシングを怠らないようにしましょう。
参照:ペットショップのコジマ「ライオンラビット」
雑種
雑種の代表的な種類はミニウサギです。ただしミニウサギという品種はなく、さまざまな品種の交雑種を総称してそう呼ばれます。ミニウサギというと小さいうさぎを想像しますが、大きさやカラーバリエーションは個体によって違います。小さいうさぎもいれば、大きいうさぎもいるのです。
▼平均寿命:約5~10年
ミニウサギは人に懐きやすく、感情表現が豊かです。しかも大人のミニウサギは体が丈夫で病気に強い個体が多いので、初心者の方にもおすすめです。
参照:ペットショップのコジマ「ミニウサギ」
うさぎが長生きする飼い方のポイント
うさぎは動物のなかでも特にデリケートな性格で、ストレスにとても弱い生き物です。「うさぎに長生きしてもらう」ためには、うさぎのストレスとならない生活環境を作ることが大切です。ここではうさぎの飼い方のポイントを見ていきましょう。
食事
うさぎは草食動物です。犬や猫とは違い、魚や動物性の肉は食べません。生後6ヵ月頃まではペレットを1日2回と、イネ科のチモシー牧草を与えましょう。生後6ヵ月以降は、体重の3~5%程度の量のペレットを1日2回と、チモシー牧草を与えてあげるとよいです。さらに少量の野菜も用意してあげると栄養バランスがとれてよいですね。
ただし、個体によって適したえさの量は異なるので、飼っているうさぎの種類に適した量を用意してあげてください。高齢になってきたら、牧草とペレットを中心にしながら、体調を見て量を調節してあげましょう。
参照
・うさぎ専門店ラッキーハート「うさぎのエサの与え方」
・日本動物医療センター「うさぎさんの食事〜どんな野菜やおやつならあげてもいいの?〜」
生活環境
うさぎはストレスを感じやすい動物なので、なるべくストレスを感じさせない場所を作ってあげることが必要です。
うさぎは人と違って毛量が多いにもかかわらず、体温調節が苦手な動物。暑いのも寒すぎるのも苦手です。24時間エアコンを稼働させて、うさぎが暮らしやすい空調を整えるとストレスを減らしてあげられます。うさぎが健康で快適に暮らせる温度は16℃~21℃です。
また、野生のうさぎは常に外敵におびえながら生きているため、ペットのうさぎも騒音を苦手とします。うさぎはテレビや洗濯機、部屋の出入り口といった音が鳴る場所だと安心して暮らすことができません。
私たち人間にとってはただの生活音であっても、うさぎにはそれが大丈夫な音なのかどうかわからないのです。部屋の隅っこや静かな場所にゲージを作ってあげることも大切です。
さらに、うさぎは群れで生活する生き物であるため、いつも一緒に生活している飼い主が数日家をあけてしまうのもストレスになることがあります。「寂しいとうさぎは死んでしまう」というのはあながち嘘ではないのです。
そして、野生のうさぎは走り回っていますから、ペットのうさぎも運動をさせてあげましょう。運動不足による肥満もまた、ストレスの原因となってしまいます。1日に1回は必ずゲージの外へ出して自由にさせてあげられるといいですね。
とはいえうさぎは怖がりですから、いつも決まった場所でさらに安心して遊べる室内にスペースを確保してあげるとよいですよ。
健康管理
うさぎを飼う場合は生後3か月を目安に健康診断をおこない、予防接種なども合わせて受けておきましょう。定期的な健康診断をおこなうことで、病気を早期発見、治療することができます。
子どもを望まないなら避妊去勢手術を
うさぎは高い繁殖力をもっており、季節関係なく発情する動物です。繁殖相手がいないなどして繁殖できない状態がずっと続くとストレスがかかってくるうえ、病気になってしまうことも考えられます。
オスの場合は飼い主にも攻撃的になってしまうため、子どもを産ませる予定がないのであれば、かかりつけの動物病院で適切に去勢の処置をしてもらいましょう。これはうさぎの健康だけではなく、数が増えて飼いきれなくなるという事態を防ぐためにも重要なことです。
うさぎの異変に気付いたら早めに動物病院へ!
うさぎは、表情や態度から感情を読み取りにくいため、体調の変化に気付きにくい生き物です。残念ながら、調子が悪いと気付いた時点で、すでに回復できないほど悪化していることが多いです。これは野生の過酷な環境で生きていくために、弱っているところを見せないようにするためだと考えられます。
まだ大丈夫だと思っていて手遅れにならないよう、少しでもうさぎの様子がいつもと違うと感じたら早めに動物病院に相談しましょう。ただし、うさぎを診られる獣医さんがいる動物病院はまだまだ少ないのが現状です。万が一に備えて、診てもらえる病院を探しておくことをおすすめします。
うさぎがかかりやすい病気
病気の早期発見・治療のためには、うさぎがかかりやすい病気やその症状を知っておくことが大切です。以下におもな病気の症状をまとめたのでぜひご覧ください。
不正咬合(ふせいこうごう)
何らかの原因で、うさぎの歯の噛み合わせが悪くなっている状態です。ひどくなると自分で食事をとれなくなってしまうので、早めに対処する必要があります。口から長い歯が伸びていたり、口からよだれが垂れていたりする場合は、早めに動物病院に相談しましょう。
スナッフル
鼻水やくしゃみなど人間の風邪のような症状が出る病気です。この病気はおもにストレスや細菌感染などによって起こると考えられています。鼻と目はつながっているので、症状がひどくなると目ヤニなどの症状が出ることもあります。様子がおかしいと感じたらまず動物病院に相談してください。
ソアホック
うさぎの足裏の毛が抜け落ちて炎症が起きる病気です。この病気は不適切な飼育環境や過剰な体重増加がおもな原因とされています。足の裏の毛が抜けてピンク色の地肌が見えていたり、足の裏から血が出ていたりしたら、早めに動物病院に相談しましょう。
参照:ジェックス株式会社「うさぎの健康チェック」
おかしいと感じたらまずは動物病院に相談を!
もし、うさぎの様子がいつもと違っておかしいと感じたら、「過剰な心配かもしれない」と思っても病院へ連れていきましょう。うさぎは感情が読み取りにくいうえ、痛みを我慢してしまう生き物です。うさぎの体調の変化に気付かずにそのまま亡くなってしまった……。という事例は少なくありません。
特に、食欲がない。水を飲まない。排泄をしない、排泄物がおかしな色、形、柔らかさをしているなどの目に見える症状があれば、一度病院を受診しましょう。
高齢うさぎのお世話で押さえておきたいポイント
うさぎの高齢期は7歳からといわれています。高齢期に近づいてくると、食欲がなくなったり、縄張り意識が弱くなって行動範囲が狭くなったりと、さまざまな変化があらわれます。このような変化に早く気付いて、年齢に合ったお世話を心がけましょう。高齢うさぎのお世話で押さえておきたいポイントは以下の3つです。
・えさの変更と食事の介助
うさぎのえさは、基本的には牧草とペレットを中心に与えます。歯が弱ってきてあまり食べられなくなったら、ペレットをぬるま湯でふやかして与えるのがよいです。自分で食べられなくなってきたら、シリンジ(針のついていない注射器)で直接口に入れてあげるなどの介助をしましょう。
・ケージ環境の整備
人間と同じように高齢のうさぎは足腰が弱ってくるので、できるだけケージ内の段差をなくしてあげることが大切です。またエサ入れをふちの低いものに変えたり、水飲みの位置を低くしたりするなどの対策もしてあげましょう。
・毛づくろいの介助
うさぎが高齢になって毛づくろいができなくなってきたら、こまめにブラッシングをして皮膚を清潔に保ってあげましょう。また動きが鈍くなるとお尻まわりが排泄物で汚れてしまいやすくなるので、こまめに処理をすることが大切です。場合によってはおむつをつけてあげるのもよいですね。
参照:日本動物医療センター「高齢うさぎの介護を知っておこう」
健康的に高齢期を迎えさせてあげましょう
近年では、うさぎの生活環境や食べ物の質が向上しつつあること、そして、うさぎを診られる獣医さんが増えてきたことから、うさぎの寿命は年々延びつつあります。しかし、高齢期を迎えるうさぎがすべて健康なうさぎなのかといわれると、首を縦にはふれません。なかには介護が必要なうさぎや、寝たきりのまま一生を終えてしまううさぎも多くいます。
うさぎが健康的に成長し、幸せな一生を送らせてあげるためには、うさぎが若いときからの健康管理が重要になってきます。
- 徹底した健康管理
- バランスのよい食事
- ストレスのない生活環境
- 適度な運動
このようなことを、うさぎの年齢に応じた最適な方法で、うさぎが生きている間ずっと続けてあげることが、高齢うさぎの健康を維持するうえでとても大切です。
最後まで責任と愛情をもってお世話しよう
うさぎは非常にストレスに敏感な動物で、ストレスがうさぎの寿命を縮めてしまいます。特に高齢うさぎの介護となると、飼い主自身が疲れてしまい、その疲れがうさぎのストレスとつながってしまうことがあるのです。高齢うさぎだからこそ、まめに丁寧にお世話をしてあげましょう。
うさぎに限らず、命ある生き物は必ずお別れのときがきます。悲しいことですが、死んでしまったその後のことも考えてあげるのも、飼い主の責務です。うさぎが亡くなってしまったら、今までの感謝の気持ちを込めて大切に弔ってあげてください。
まとめ
うさぎの寿命は野生で約3年。ペットとして飼う品種であれば約8年といわれています。うさぎに長生きしてもらうためには、うさぎが暮らしやすい環境をつくるとともに、責任と愛情をもって大切に育ててあげることが重要です。
うさぎは感情が読み取りにくい生き物です。体調を崩したとき、その感情の読み取りにくさが災いして、不調に気付けなかったということも少なくありません。だからこそわずかな異変も見逃さず、飼っているうさぎの様子がおかしいと感じたら、かかりつけの病院へいってくださいね。
もし、大切に育てていたうさぎが死んでしまった場合は、非常に悲しいことですが、丁寧に弔ってあげましょう。
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