
デジタルカメラやスマートフォンとパソコンとの間でデータをやり取りする場合、SDカードを利用するのが便利です。単純にデジタルカメラやスマートフォンのストレージ容量を増やすのにも使えるSDカードは、いまや電子機器を持ち歩くうえで重要な存在のひとつとなりました。
そんなデジタルライフに立ちはだかる問題が、SDカードを認識しないトラブルです。大事なデータが消えてしまったのではないかと、不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本コラムでは、パソコンや電子機器にSDカードが認識されなくてお困りの方向けに、トラブルの原因と対処法を解説します。なんとしてもSDカードを認識させて、データを救い出しましょう!
目次
まずはSDカードの規格を確認!
電子機器がなぜSDカードを認識しないのかを考える前に、まずはSDカードの規格について知っておきましょう。SDカードにはいくつかの規格が用意されていて、機器によっては特定の規格のものしか認識しない場合があるためです。
SDカードは容量によって規格が分かれている
SDカードの規格は、おもに容量によって3種類にわけられています。さらにスマートフォン用のMicroSDカードにも同じように規格があるため、市場には全部で6種類のSDカードが並んでいるわけです。
それぞれの規格の名称と容量について、以下にまとめておきます。
2GB以下 | 4GB~32GB | 64GB以上 | |
SDサイズ | SDカード | SDHCカード | SDXCカード |
Microサイズ | MicroSDカード | MicroSDHCカード | MicroSDXCカード |
ざっくりと、一番小容量のSDカード、ミドルクラスのSDHCカード、大容量のハイエンドモデルにSDXCカードがある、と考えておきましょう。SDカードを購入する際には必ず商品名として記載されていますので、どの規格がどれくらいの容量なのか覚えておくとよいかもしれません。
読み取る機器の対応状況を確認しよう
SDカードは容量によって規格が分かれていますが、それによって生じる問題がひとつあります。基本的に大容量のものは新しい規格なので、古い機器では読み取れないことがあるという点です。
たとえば、SDXC規格のカードが発売される前に販売されていた電子機器では、SDXCカードは原則読み取ることができません。カードスロットの形状は同じでも、挿入したカードがSDカードであると認識できず、データを読み込んでくれないのです。
最上位のSDXCカードに対応している機器であればすべてのSDカードを読み取ることができます。しかし、SDカード用の機器ではSDHC以上のカードは読み取れない可能性があることを覚えておいてください。
したがって、お使いの電子機器が新しく購入したSDカードの規格に対応しているかどうかは、SDカードを使用するうえで非常に重要なポイントとなります。とくに古いデジタルカメラやスマートフォンをお持ちの場合は、対応しているSDカードの規格をしっかり確認しておきましょう。
電子機器がどの規格に対応しているかは、パッケージやカタログ、取り扱い説明書などに必ず記載されています。電子機器のSDカードスロットの周囲に、対応する規格が書かれていることもあるようです。
また、メーカーの公式サイトにも記載されていることが多いでしょう。確認できる資料がお手元にない場合は、公式サイトを見ると対応規格がわかるかもしれません。
またパソコンの場合、パソコン内蔵のカードスロットが規格に対応していないせいでSDカードを認識しないのであれば、外付けの「カードリーダー」を利用する方法もあります。新しい規格に対応したカードリーダーを使って、SDカードを認識させてみましょう。
SDがシステムに認識されているかをチェックしよう
対応する規格のSDカードを使っているのに、電子機器が一向にSDカードを認識しないという場合は、何が原因で認識されていないのかを確かめる必要があります。SDカードを認識しなくなる原因として考えられるものを下記にチェックポイントとして挙げておきます。
SDカードが表裏や前後逆向きに挿入されていないか
当然ですが、SDカードには裏表があり逆に挿入しても認識されません。大抵のSDカードは逆向き挿入防止のために形状に起伏をつけるなど工夫されています。しかし、MicroSDカードは小さく起伏に乏しいので、表裏を間違えて挿入してしまうケースが多々あります。
SDカードがスロットにしっかり奥まで挿入されているか
SDカードを正確に認識するには、カードの端子部分がスロットの端子としっかり接触している必要があります。スロットにバネが内蔵されているとなかなか奥まで挿入できないことがあるため、「カチッ」という手ごたえがあるまでしっかり押し込みましょう。
MicroSDカードはアダプタにきちんと挿入されているか
スマートフォンなどに使われているMicroSDカードは、大きさが異なるためSDカード用のスロットには挿入できません。そのため、MicroSDカードをSDカードのサイズに変換するカバータイプのアダプタを使用する必要があります。
アダプタとMicroSDカードも当然しっかり接触していなければデータのやり取りができないので、正しい向きで奥まで挿入されているかを確認しましょう。
SDカードスロットに埃やゴミが詰まっていないか
意外と多いのが、スロットに埃やゴミが溜まっていてSDカードが接触不良を起こしているケースです。このような場合はSDカードスロットをクリーニングする必要があります。クリーニング方法のひとつとして、掃除機など強力な吸引力があるものを駆使して掃除するという方法があります。ただし、掃除機を使用するときは、SDカードなどを間違って吸い込んでしまうおそれがあるため、周りに重要な部品などを置かないようにしましょう。
さらに、掃除機を使うだけでは完全にホコリやゴミを取りきることは難しいため、つまようじや綿棒などを活用し細かい場所のゴミをかき出すのも有効な手段となります。
針金など細くて頑丈なものでも掃除することができますが、内部を傷つけるおそれがあるものはなるべく使用しないのがおすすめです。
さらにクリーニングをするときは「接点復活剤」を使用するのもいいでしょう。電気接点用の防錆、潤滑剤になりますので、比較的安心して使うことができます。
通常の潤滑剤だと、使用後に新たな異常を引き起こすおそれがあるためおすすめできません。精密機器に使用しても問題ないものを使用することが大切です。
ダミーケースがスロットに挿入されたままになっていないか
ダミーケースとは、空になっているスロットに埃やゴミが入らないよう、使わない際に取り付けておく挿入式のカバーのようなものです。ダミーケースがはまっているスロットに強引にSDカードを挿し込むと、破損の原因にもなるため、あらかじめダミーケースを取り外しておきましょう。
以上がおもなチェックポイントになります。また、複数台パソコンをお持ちの場合は、認識されないSDカードを別のパソコンに挿入してみてください。別のパソコンにSDカードが認識されるならパソコン側に問題がありますし、認識されないならSDカード側に問題があります。
SDカードを認識しないトラブルは、カードの向きや挿し込み方など物理的な障害が原因となっていることが意外と多いようです。カードスロットを掃除し、もう一度しっかりと差し込むことをまずは試してみてください。
リーダーが正常に動いているかをチェックしよう
パソコン内蔵のカードスロットや、外付けのカードリーダーを含めて、SDカードを差し込む機器のことを「リーダー」と呼びます。このリーダーに何らかの不具合が起きて、正常に動いていないと、カード自体に問題がなくてもSDカードを認識しないことがあるようです。
多くのリーダーは、正しく動作していることを示すランプが搭載されているため、SDカードを挿し込んだときにきちんとランプが点灯しているかを確認しましょう。
対応する規格のカードを正しい向きでしっかり奥まで挿したのにランプが点灯しない場合、リーダー側に問題があるのかもしれません。
とくに外付けカードリーダーの場合、パソコンのUSBポートにケーブルで配線しています。そのため、ケーブルがしっかり刺さっていなかったり、コネクタが接触不良を起こしているとカードリーダーもうまく動かないことがあるでしょう。
また、ハブなどを使ってUSBポートを増設し、大量のUSB機器をタコ足配線していると、それぞれの機器に流す電圧が足りなくなって、カードリーダーが正常に動かなくなるということもあるかもしれません。
カードリーダーを別のUSBポートに接続しなおしたり、USBハブを使っている場合はパソコンのUSBポートに直接繋げなおしたりするなどの対処を試してみてください。
フォーマットが対応しているかチェックしよう
SDカードは、機器が規格に対応していることももちろんですが、フォーマット形式も対応している必要があります。パソコンからデジカメにデータを転送しても、基本的にフォーマットが対応していないとアクセスすることができません。
その場合は一度SDカードのデータのバックアップをとってから、適切な形式でフォーマットをしなければなりません。修復ソフトをダウンロードしてパソコンにインストールした後、表示された画面ごとに適切な操作をおこなっていきましょう。
- 修復ソフトを起動させたら「Drive」をクリックしてSDカードのドライブを選びます。
- その後「オプション」を選択しましょう。
- 「オプションフォーマット設定」が表示されるため、「倫理サイズ調整」という項目を「ON」に設定します。
- 次の画面で「フォーマット」を選択し、完了です。
フォーマットはそれまで保存されたデータをすべて削除することになるため、大切なデータはあらかじめ別の場所にバックアップしておく必要があります。バックアップをとろうにもそもそも認識されないせいでデータを取り出せないという場合は、破損したデータを復旧するソフトなどで対応することも可能です。その際は、データ復旧のできる業者に依頼するのが無難かもしれません。
それでも認識しないときは
カードリーダーは正常に動いていて、対応した規格のカードを正しい向きで挿入しているのに、それでもなおSDカードを認識しない。そんなときは、SDカード内のデータの形式がパソコンで読み込めない状態になっている可能性があります。そのため、以下のような対処法を試してみてください。
ファイルを修復する
SDカードが認識しないというとき、保存していたデータやファイルに問題があるおそれがあるため、ファイルやデータ自体を修復する可能性があります。修復するためには「EaseUS Data Recovery Wizard」というデータ復旧ソフトを使用するのも効果的です。ファイルの修復方法は以下のとおりです。
- ソフトを起動して、認識しないSDカードを接続します。
- 画面が表示されたら「スキャン」をクリックしましょう。
- データの検索が始まるため、修復したいファイルを指定していきます。
- 選択したら「リカバリー」をクリックして取得することができれば修復完了です。
パーティションを修復する
パーティションが認識しないため、SDカードを認識しないということも考えられます。パーティションを修復することで解決できる可能性があるのです。そのためには「TestDisk」という専用ソフトを使用するのがよいでしょう。パーティションの修復方法は次のようになります。
- ソフトを立ち上げると専用のウインドウ画面が出るので、項目を選択していきます。特別難しいコマンドを入力する必要はないため、あまり操作に迷うことはないでしょう。
- まずは「No Log」という項目を選択します。
- 先へ進んだら修復するドライブを選択して「Proceed」をクリックします。
- 次に「Quit」をクリックするとプログラムが終了するはずです。
- 次にパーティションテーブルのタイプを選び「Enter」を押して先へ進みます。
- TestDiskの動作メニューでは「Analyse」をクリックしましょう。この項目がパーティションの復元となります。
- 工程が先へ進むとパーティションの情報が出るので、「Quick Search」でスキャンして確認をすることが大事です。
- 修復するパーティションを選ぶことができたら、書き込みしなければならないので「Write」を実行します。
- 書き込みが終わっても自動終了せず、メッセージが表示されるためTestDiskを終了してパソコンを再起動させることが重要です。
※正しいパーティションを選ぶには、中身にどのようなフォルダが入っているかを調ベル必要があります。パーティションに何が入っているかを見るためには「P」キーを押して一覧を表示させましょう。
再起動後にアクセス可能となっているなら修復成功となります。ファイルやパーティションの修復でどうにもならないときは、パソコン修理のプロに相談するのが得策でしょう。
パソコン以外の機器でSDカードが認識しないときは
SDカードが認識しない原因がパソコンではなくデジカメやスマートフォンにあるとき、どのような対処をしたらいいのかをご紹介します。
スマートフォンで認識しないとき
スマートフォンに挿し込んでも認識しないときは、再起動してみると改善する可能性があります。また、しっかり接続できていない場合も考えられるため、SDカードを一度挿し直してみるのもいいでしょう。
それでも改善しないのなら、スマートフォンでSDカードを「マウント処理」するのも効果的です。一時的にマウントを解除した後に、再認識させるというのもひとつの手段になります。
ただし、スマートフォン自体の不具合が大きいと直らないおそれもあるようです。その際は、スマートフォンを修理するSDカードを購入して対処するのがよいでしょう。
デジカメで認識しないとき
デジカメでSDカードを認識しないときは、さまざまな原因が考えられます。接触不良によるものなら、掃除して異物を取り除くのも有効です。
また、規格が対応していないのが原因だった場合「カードが異常です」などのメッセージが表示されます。そのような表示が出たら、規格が合っているSDカードに交換するようにしましょう。
SDカードリーダーなどで認識しないとき
SDカードリーダーを使ってカメラなどに接続している場合、しっかり電源が入っている確認しましょう。認識しないときには電源が入っていなかったり、電源プラグが抜けていたりすることも考えられます。
SDカードが認識しないエラーを防止するために
先ほど軽く触れたように、SDカードが認識しないエラーの原因のひとつに、「保存したデータの破損」が挙げられます。では、データが破損してしまう原因は何なのでしょうか。SDカードのエラーを防ぐために、データを破損させない使い方をご説明します。
読み書きしているときに取り出さない
これは想像しやすいと思われますが、SDカードにデータを読み書きしている途中でカードをスロットから取り出すことは絶対に避けましょう。データが完全に保存される前にカードを抜いてしまうと、中途半端な状態のデータは破損してしまいます。
パソコンにはSDカードやUSBメモリなどの読み書きを、完全に停止して抜き挿しできるようにする「安全な取り外し」という機能があります。
SDカードをスロットから取り出す際は、必ずデータの読み書きがおこなわれていないタイミングで、「安全な取り外し」機能を使ってから抜くようにしましょう。
使用年数を意識しておく
どんなものも時間が経つにつれて劣化していくように、SDカードにも使用限度年数、すなわち寿命があります。SDカードの寿命は一般的に3年程度です。購入から3年以上が経過したSDカードは、データが劣化したり破損したりしてしまう可能性が高まるということを覚えておきましょう。
また、SDカードはプラスチックと半導体でできているため、熱や衝撃、湿気にあまり強くありません。高温多湿の環境に保管していれば当然3年より早く寿命を迎えてしまうこともあるので、SDカードを保管する場所にも気を使う必要があります。
とくにドライブレコーダーやカーナビなどの車載機器にSDカードを使用する場合、季節によっては非常に高温で直射日光にさらされる場所に保管しなければならないかもしれません。
SDカードには熱や衝撃に対して強い高耐久のモデルもあるため、環境に合わせてSDカードも選ぶようにするのがおすすめです。
SDカードの読み書き回数上限について
SDカードには時間的な寿命とは別に、読み書きのできる回数の上限があります。一定回数の読み書きをおこなうと、その時点で寿命に関係なくそれ以上の読み書きができなくなってしまうのです。
ただ、読み書きの回数上限は、SDカードの規格や機種によっても異なりますが、市販のものでは大体3,000回~10,000回程度が目安とされています。1日1回読み書きをしても9年近くかかる計算になるため、あまり気にする必要はないかもしれませんね。
タコ足配線を直す
タコ足配線はコンセントの口数を増やすのに有効な反面、電力の不足を招きやすいです。ケーブルの電力が不足していると読み込みに失敗する原因となりかねませんので、コンセントの配線を見直すのも大事です。
まとめ
パソコンやデジタルカメラ、スマートフォンなどがSDカードを認識しないトラブルは、さまざまな原因によって引き起こされます。
そもそも規格が合っていないといったケースや、スロットに正しく挿し込めていなかったり、リーダー側に問題が起こっていたりするパターンもあるでしょう。
大切なデータを取り出すためには、落ち着いて原因をひとつひとつ検証しながら探っていくことが重要です。冷静に考えてみたら、意外と簡単なことで認識しなくなっているのかもしれません。
ただし、SDカードはデリケートな精密機器のひとつです。スロットに強引に抜き挿ししたりしていくうちに、データではなくカード自体が物理的に破損してしまうおそれもあります。
個人での対処が難しいと感じたら、パソコン修理のプロにデータの救出を依頼することも考えておきましょう。
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