「パソコンの画面が突然真っ暗になって動かない!」
このような状況におちいると、故障かと思ってあせってしまいますよね。しかしこの黒い画面、故障ではないこともあるのです。
『ブラックアウト』と呼ばれるこの現象は、症状次第では自分で直せることもあるので、まずはあせらずにひとつひとつ行動してみましょう。
この記事ではブラックアウトの原因から対処法、さらには修理に出す際のメーカーと民間業者の違いについて解説していきます。お困りの際はぜひ参考にしてみてください。
目次
「突然画面が真っ暗に!」ブラックアウトとは?
「パソコンをいつも通りに起動させたら、画面が黒くなったまま動かかなくなってしまった」
「パソコンで作業中に突然画面が真っ暗になってしまった」
このようなトラブルに悩んでいる方は多く、このような現象を「ブラックアウト」と言います。ブラックアウトが起きるタイミングは、パソコンの起動時や作業中、アップデートの後などさまざまです。
考えられる原因
急に画面が真っ暗になるとビックリしてしまいますが、ブラックアウトが起きてしまう原因は大きく分けて以下の3つが考えられます。
- ケーブルなどの接続不良
- パソコンの部品の故障
- Windowsのシステムの不具合によるもの
作業中ではなくパソコン起動後にブラックアウトしてしまう場合、画面が真っ黒になるタイミングによって原因が異なります。ケース別にご紹介いたしますので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
メーカーのロゴが画面に表示されない
パソコンの電源を入れると、はじめにNECやVAIOといったメーカーロゴがモニターに表示されると思います。このロゴが表示されずにパソコンが起動せず画面が真っ黒になっている場合は、パソコンの部品のトラブルや故障が原因の可能性が高いです。
メーカーのロゴは、BIOS(バイオス)というパソコンのデバイスを制御するためのプログラムが表示させています。そのBIOSに不具合がある場合はグラフィックボードやメモリの不具合、または接触不良などが考えられるのです。
詳しくは「BIOSが起動していない」をご覧ください。
Windowsのロゴが画面に表示されない
メーカーのロゴが出てきたが、Windowsのロゴが出ないまま黒い画面で止まっている……この場合はパソコン部品の故障、またはWindowsのシステムに問題があることが考えられます。
メーカーのロゴが表示されたあと、Windows やドライバーといった重要なプログラムが読み込まれていくのですが、Windows を保存しているハードディスクという部品が故障しているとパソコンが起動できません。またプログラムにトラブルが起きているとブラックアウトがおきてしまいます。
どちらのロゴも表示された後に黒い画面になる
この場合はWindowsのシステムに問題があることが考えられます。
Windowsのシステムに原因がある場合は、「スタートアップ修復」で問題を解決できる可能性があります。
詳しくは「スタートアップ修復」をご覧ください。
特殊な『ショートカットキー』も!ブラックアウトを自力で対処するには
ときには深刻な故障の可能性もあり、修理に出さなければいけないこともある『パソコンのブラックアウト』。かといって修理は手間もお金もかかる……そんなときは、自力でもできる簡易的な対処法を試してみましょう。
いったん様子を見る
パソコンがブラックアウトしてしまった際、いきなり強制再起動などをしてしまうとかえって逆効果になってしまうことも。まずは数分間、様子を見てみましょう。
モニターの一時的な不調であれば、再起動やモニターの電源の入れなおしなどで直ることもあります。また、単純に起動に時間がかかってしまっていることもあるので、いったん落ち着いていつも通りのパソコンか確認してみてください。
それでも動かないようであれば、パソコンへ接続されたケーブルや機器の点検を始めてみてください。
充電・接続の不具合
この症状のもっとも単純な原因としては、『充電切れ』『電源が投入されていない』などがあげられます。また『モニターのケーブルがつながっていない』『ケーブルの接続が間違っている』なんてことも。配線や取り扱い説明書を確認してみることも大切です。
外付け機器を外す
ブラックアウトしてしまう原因には、USBメモリなどの外付けの機器に問題がある、というものもあります。とくに直近に後付した機器(グラフィックボードなど)があれば、一度外して起動してみましょう。
起動できたら、順番に外付け機器を付けていきます。そうすることで、フリーズの原因究明ができるのです。
グラフィック回路の再起動(Windows 8以降の場合)
上記の方法で改善されない場合は、グラフィック回路にエラーが起きている可能性があります。一度その部分の再起動を試してみましょう。Windows10または8限定の機能となりますが、『Windowsのホームボタン』+『Ctrl』+『Shift』+『B』を押すと再起動できます。
このショートカットキーはグラフィックスドライバーの再起動(リセット)をおこなう、というもので、本体の再起動や強制終了なしで画面描画の問題を解決できることも。パソコンがブラックアウトしてしまった場合、このショートカットキーを入力してみてください。
ノートパソコンの場合は、一度パソコンを閉じる、という方法でも大丈夫です。モニターを一度スリープさせて、様子を見てみてください。
パソコン本体の再起動
グラフィック回路の再起動をしてもうまくいかない場合、本体の再起動をしてみましょう。といっても画面上で選べないため、『Ctrl』+『Alt』+『Delete』のショートカットキーを入力してください。それで青い背景の画面が表示された場合、電源マークから再起動を選びましょう。この一般的な再起動は、Windows7でも同様におこなうことができます。
コマンドを入力しても画面が映らない場合でも、キーボード操作で再起動できるかもしれません。ショートカット入力後、『↑』1回(電源メニューにカーソルを合わせる)、『Enter』1回(メニューを開く)、『↓』2回(再起動にカーソルを合わせる)、『Enter』1回(再起動を実行する)の順に入力していけば開始されるでしょう。
また、Macの場合は『Control』+『電源スイッチ』を押すとシステム終了のダイアログが出てきます。そこで『R』を押せば再起動できます。
これらのコマンドをおこなっても何も変わらない場合は、次の『強制再起動』に移りましょう。
強制再起動
ここまでの方法を試してもどうにもならない場合や、再起動すらできなかった場合は、強制終了もやむをえません。何度か電源をむりやり切って、手動で起動をやり直してみましょう。基本的にパソコンは、電源ボタンを長押しすることで強制的にシャットダウンすることができます。
Macの場合は、『アプリケーションを保存せずに強制再起動する』というコマンドがあります。『Command』+『Control』に加えて、電源スイッチを押しましょう。
とはいえこの方法はパソコン内のデータが消えてしまったり、一部こわれてしまうおそれもあります。少しでもリスクを減らすためにも、パソコンの『HDD/SSDランプ』が点滅しているかどうかチェックしましょう。このランプが消えていれば(HDD/SDDへのアクセスがない状態なら)、強制終了のリスクは大きく下がります。
このランプの位置はパソコンの種類によって異なります。見分け方としては、『HDD』や『SDD』の刻印や、『円柱のようなマーク』の刻印が特徴的です。この刻印も機種によって少々異なることがあるため、うまく見つからないときは取り扱い説明書を確認しておきましょう。
『起動時にブラックアウトしてそのまま』の場合の対処法
パソコンがブラックアウトしたまま、という症状の原因は複数あります。とくに多いのが、『起動時』のフリーズです。
自分のパソコンの症状と見比べて、対処法を探っていきましょう。下記では、『起動時にブラックアウトしてそのまま』の場合の原因と対処法を解説していきます。
BIOSが起動していない
電源やモニターの接続、充電状況などに問題がない場合は、そもそも『BIOS』と呼ばれる制御プログラムが動いていない可能性があります。
BIOSとはOSやシステムの起動・ハードディスクや周辺機器の管理を担当するプログラムのことです。この部分に異常が発生していると、さまざまな点に不具合が出てきます。
パソコン自体は動いているのに画面に何も映らない、という場合は、まずこのBIOSを疑ってみましょう。
BIOSが起動しない場合は、マザーボードに異常が発生している可能性が高いです。原因としてはマザーボード上にあるCMOSの電池切れやメモリの異常である場合が多いので、一度メモリの接続のし直しや電池の交換を試してみましょう。
また、BIOS由来の原因解決に関しては少々複雑になる点もあります。
『BIOSが起動しない原因は電池かも…BIOSの基礎知識と交換方法もご紹介』
『CMOS電池は縁の下の力持ち!古い電池を自力で交換する3ステップ』
などの記事も、併せてご覧ください。
配線ミスや充電不足の場合は比較的簡単に対処できますが、CMOSの電池交換やメモリの交換などの作業にはある程度の知識や技術が必要となってきます。かえって状況を悪化させないためにも、自分で修理できそうなのか、それとも修理を依頼した方がよいか、じっくり考えましょう。
『白文字が出た』場合の対処法
比較的症例は少ないですが、購入したメーカーのロゴが出た直後にブラックアウトし、白文字が出てしまうこともあります。このような場合は、Windowsのシステムや周辺機器に問題がある可能性が高いです。
まずは再起動や周辺機器(USBやCDなど)の取り外し、『放電』を試してみましょう。
放電は、電源を完全に切った状態で周辺機器、ケーブルなどをすべて外し、1~2分間ほど放置するとできます。ノートパソコンの場合はバッテリーも外しましょう。外せない機種の場合は、機種によって専用の方法があることが多いです。そのような場合は取り扱い説明書をチェックしてください。
これらの方法で直らなかった場合は、OSの不具合やハードディスク(HDD)などのハードウェアに問題がある可能性があります。ハードディスクの異常は個人の作業で直すことが困難であるため、修理を依頼することが多くなるでしょう。
OSの不具合の場合は自分で直せることもあります。その修復方法は次章の修復方法と通じるので、ぜひ参考にしてください。
『OSのマーク中にブラックアウトした』場合の対処法
起動後、OS(Windowsなど)のロゴは表示されたものの、すぐにブラックアウトしてしまった、またはフリーズ・ループしてしまう。このような症状の原因は、おもにOSの不具合だといわれています。
OSが起動する際に不具合が起きると、OSマークの時点で画面が止まってしまうことがあります。このような症状は比較的自分でも直しやすいため、対策方法を以下で解説していきましょう。
スタートアップ修復
スタートアップ修復は、Windowsに内蔵されているOSの修復機能です。基本的な不具合はこの機能で直るとされていますが、この修復でも直らないことももちろんあるため注意してください。
また、この機能は機種によっては購入時に付属したディスクが必要なケースもあります。まずは一度購入時に付属してきたものや取り扱い説明書を確認してみましょう。
- パソコンを起動する。
- 数秒後、メーカーのロゴが出た時点で『F2』を押す。うまくいかないときは起動直後から『F2』を入力しておく。
- 起動したBIOSのセットアップユーティリティ項目の中から『Exit』を探し、タブを移動させる。(十字キーで移動可能)
- 『Exit』にタブを合わせたらそのまま下に移動し、『HDD Recovery』にカーソルを合わせる。
- 『Enter』キーを押すと、『Execute HDD Recovery?』と問うポップアップが表示されるので、[Yes]を選択。
- 決定すると、メーカーロゴ画面に戻るので、しばらく放置。
- 『キーボード レイアウトの選択』が表示されるので、『Microsoft IME』を選ぶ。
- 『オプションの選択』が表示されたら、『トラブルシューティング』→『詳細オプション』→『スタートアップ修復(自動修復)』の順に選択。
- パソコンの管理者のアカウントを選択し、パスワードを入力したら準備完了。再度、しばらく放置する。
パソコンの内部修理には、この方法以外にも『システムの復元』という選択肢があります。このシステムの復元は、『パソコンのシステム内部を正常に動いていたときの状態まで復元する』という作業です。
この機能は、スタートアップ修復の手順の8番目、詳細オプションから選択する地点にあります。スタートアップ修復でも直らなかった場合は、こちらの機能も実施してみましょう。
『黒い画面にマウスカーソルのみ』は危険!?
上記の症状以外にも、パソコンがブラックアウトしてしまう症例はあります。それは、『起動時や操作中、黒い画面にマウスカーソルのみが映っている』というケース。この場合はさまざまな原因が考えられます。中にはウイルスというおそろしいケースもありうるので、一度確認してみましょう。
原因
黒い画面にマウスカーソルのみ表示される原因には、おもに以下のようなものがあります。
- OSアップデートの最中・直後
- セキュリティソフトなどの不具合
- ウイルス感染
これらの原因は、下にいくにつれて深刻度が増します。
OSのアップデート中や直後などはしばらく画面が黒いままになることがあるため、いったん1時間を目途に放置しておきましょう。
放置しても直らない場合は、セキュリティソフトの不具合のケースが考えられます。何度か強制再起動をしても直らない場合は、『セーフモード』を利用して起動してみましょう。
- まずは『スタートアップ修復』を試す。(前章参照)
- 修復でも直らなかったら、『オプションの選択』→『トラブルシューティング』→『詳細オプション』へ。
- 『スタートアップ設定』を選択し、その中から4番の『セーフモードを有効にする』を選択(4のキーを押す)。
- 起動するか確認する。
この方法で起動できた場合、セキュリティソフトを一度削除またはアップデートするなどしてみましょう。また別の疑わしいソフトやドライバがあれば、同時に削除または停止しておいてください。
このセーフモードで起動できなかった場合は、システムやパソコン内部の不具合の可能性があります。『システムの復元』をして直らなければ修理も検討してみてください。
セキュリティソフトや疑わしいドライバを削除したにもかかわらず状況が改善しない、という場合は、ウイルス感染の可能性もあります。そのようなおそれがある場合はセキュリティソフトを入れなおして駆除するか、メーカーおよび業者に相談してみましょう。また、セキュリティソフトやOSは定期的に更新するようにしてくださいね。
もしものときのために!回復ドライブを作ろう
パソコンがブラックアウトしてしまったとき、知識や対策を持っていなければあせってしまうでしょう。そんなときのために持っておきたいのが、システムの回復ドライブです。この回復ドライブは基本的にWindows8か10用のものとなります。
作成方法
回復ドライブは、USBメモリを用いて作成します。
- マウス、キーボード以外の機器は外し、何も入っていないUSBを接続する。
- 『ホームボタン』→『設定』を選択し、検索欄に回復ドライブと入力する。
- 『回復ドライブの作成』を選択。ポップアップが出てきたら『はい』を選択。
- 『回復ドライブの作成』が出たら、チェックボックスのチェックを外して『次へ』を選択。
- 同様に次の『USBフラッシュドライブの選択』も『次へ』を選択する。
- 最終的に『作成』のボタンが出たら、クリックする。
上記の方法で、USBメモリ型の回復ドライブが作成できます。この回復ドライブには前述した『スタートアップ修復』と同様の機能があるため、スタートアップ修復が起動しない場合などに活用してください。
またWindows7の場合は、CD型の修復ディスクが用いられます。詳しくは、「自分で作れるシステム修復ディスク!windows7の復旧もこれで大丈夫」をぜひご覧ください。
修理の場合はどちらに出す?『メーカー』と『民間業者』の差
パソコンがブラックアウトしてしまう原因は、多岐にわたります。上記の対処法でも改善しない場合は、個人では対処しきれないようなエラーが潜んでいる可能性があります。そのような場合は、メーカーまたは民間業者に修理を依頼した方が手早く、安心できるでしょう。
しかし、このメーカーと民間業者にはどういった違いがあるのでしょうか。その差を詳しく解説します。
メーカー依頼の特徴
多くのメーカーでは、購入から一定期間「保証期間」が設けられています。保証期間内であれば画面割れや落下などの場合を除き、無償で修理をしてもらえるのです。パソコンによっては付いていないこともありますので、購入時の書類などを再確認してみましょう。
保証期間が残っているのであれば、メーカー修理がお得です。また、部品交換の際も純正部品を使うため安心感も比較的高いでしょう。
デメリットとしては、思った以上に修理に時間がかかることがあげられます。メーカーによって異なりますが、基本的に本体をメーカーの修理工場などに送る必要があるため、その分修理日数に時間を要します。
また、保証期間内であれば修理費用は安くなりますが、保証が切れてしまうと当然費用を払わなければいけなくなるので留意しておきましょう。
以上の点から、できるだけ早く修理してもらいたい場合などは、メーカー修理はやや不向きといえるでしょう。
民間業者の特徴
民間業者とは、メーカー以外でパソコン修理を請け負っている会社のことです。そんな民間業者のメリットは、やはり『安さ』と『スピード』でしょう。
保証期間後や保証対象外のメーカー修理に比べて、多くの民間業者は安い修理価格を設定しています。また依頼から修理完了までの期間も比較的短い業者が多く、すぐに対応してもらえることが多いでしょう。できるだけ早くリーズナブルに修理してもらいたい方は、この民間業者が適しています。
デメリットとしては、どうしても『信頼性』の面がメーカーに比べて劣る、という点があります。非常に数の多いパソコン修理業者は慣れていないと選び方も難しく、ときには自分に合わない業者と当たってしまうことも。業者選びの際は値段だけで安易にきめず、しっかり比較してきめることが大切です。
気になる業者からは見積もりや相談をしっかり取り、その費用をきいておきましょう。また、見積もり後や修理後の追加料金についてなど、業務の明瞭さについても確認を取っておくことが大切です。まずはホームページなどをチェックして、信頼できるかを自分の目で判断してから連絡を取ってみましょう。
まとめ
パソコンがブラックアウトしてしまった場合は適切な対処と判断が大切です。まずは簡易的にできる充電や接続の確認、モニターの再起動などを試してみましょう。
直らなければ、フリーズするタイミングや画面ごとの対策を取っていく必要があります。OSの軽い不具合であれば内部の修復機能でも改善しますが、マザーボードなどが故障している場合は修復がやや困難です。修理作業に必要な知識や技術に自信のない方は、業者に依頼しましょう。
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