玄関の施錠は、自宅へ他人が侵入することを防ぐために最も重要なことです。もし玄関に鍵がかかっていなければ、自宅にある資産は非常に無防備な状態になってしまうでしょう。そのため防犯対策で、ピッキングに強い鍵を選んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし侵入者が解錠をする手口は「鍵穴」だけではなく、「錠」を操作してドアを開けてしまうケースもあるのです。そのためこのコラムでは、そうした「カム送り解錠」による手口と対策方法について解説していきます。自宅を守るためにも、参考にしてみてはいかがでしょうか。
カム送り解錠とはいったいどういう方法?
開錠の手口でよく聞かれるものとして、ピッキングが挙げられると思います。しかし鍵を開ける方法は、それだけではありません。ピッキングは鍵穴を操作するのに対して、カム送りは錠を操作して解錠する方法です。両者ともに鍵を開ける目的で使用されるため、ピッキングと同じように知識を持っておく必要があるでしょう。
シリンダーのすき間から直接中の錠部分を操作してしまう
バイパス解錠とも呼ばれるカム送りは、鍵穴ではなく鍵の内部に力を加えて解錠する方法です。ドアにはさまざまな厚さが存在するため、シリンダーはそれらに対応するためカバーが動くようになっているものがあります。
そのため、鍵穴がついた部品であるシリンダーとドアとの間に針金状の金具を侵入させ、内部のカムという部品を動かすことで解錠が可能になるのです。
解錠の痕跡を残さずに侵入することも可能
ピッキングは、鍵穴に工具を差し込んで鍵を開ける際と同様の方法で開錠をおこないます。そのため、鍵ではないものを鍵穴に差し込まれたシリンダーにはキズがつき、開錠の痕跡が残る可能性があるでしょう。
しかし内部に作用するカム送りによる解錠は、その痕跡が目立ちにくいといえます。また、閉めることも容易であるため、侵入されても気づかないという点で非常に危険性が高い手口です。
カム送り解錠の対策はどうすればいいの?
先述のとおりカム送りによる解錠は、ピッキングによるものとは手口がまったく異なります。そのためピッキング対策が施されたものであっても、侵入されてしまう可能性があるでしょう。ここでは、カム送りによる侵入を防ぐための具体的な対策について紹介していきます。
シリンダーではなく錠部分の対策・交換を
カム送りによる被害への警告は、2002年に警視庁から出されています。そしてその警告の内容には、カム送り解錠をされるおそれのあるメーカーと錠の一覧も含まれているのです。そのためそうした要件に当てはまる方は、シリンダーではなく錠の交換・対策をすることをおすすめします。
カム送り解錠対策の例
錠を交換しないという方は、カム送りに対して対策を施す必要があります。カム送りの手口は、シリンダーとドアの間から金具を侵入させることであるため、それをさせないことが有効な対策になるといえるでしょう。そしてそのための対策として以下のようなものが挙げられます。
シリンダーとドアの間をふさぐ
カム送りは、シリンダーとドアの間に金具を差し込むことでロックを解きます。そのため、その隙間をスペーサーで埋めてしまうことが有効であるといえるでしょう。隙間を埋める役割をもつスペーサーにはさまざまな種類があるので、気になる商品を試してみてはいかがでしょうか。
ドアノブとシリンダーが一体となった長座型の鍵に取り換える
長座型の鍵は、ドアノブとシリンダーが一体となっています。そのため、そもそも金具を挿入する隙間ができません。鍵の交換には少々手間がかかりますが、カム送り解錠の対策としては非常に効果的です。
補助錠を取り付けるのも有効な手段
カム送りの対策として、補助錠の取り付けも有効です。補助錠は本来ドアについている主錠よりも簡易的なもので、単体では解錠が容易であるといえます。
しかし主錠と組み合わせることで、侵入者に2つの解錠作業をさせることが可能です。そのためカム送りだけ、ピッキングだけという侵入者や時間を要する作業をためらう侵入者から自宅を守ることができるでしょう。
錠部分は自分で外して交換できるの?業者への依頼費用とも比較
「カム送りによる解錠の被害が心配だ」という方のなかには、錠の交換を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでこの章では、自分で錠を交換する手順について見ていきます。
しかし交換の際には、シリンダーやドアノブの取り外しなどの大掛かりな作業が必要になるでしょう。そのため業者に交換を依頼したいという方に向けて、自分で交換する場合と業者に依頼する場合との費用の比較もおこないます。
錠部分の交換を業者に依頼するとどのくらいかかる?
業者に錠の交換を依頼した場合、17,000円前後が相場であるといえそうです。ただし、相場には数千円前後の差があったり錠の種類によって費用が高くなったりするため、参考程度にすることをおすすめします。
それに対して自分で作業をする際は、錠を購入する料金のみであるため10,000円程度を見込んでおくとよいでしょう。しかし作業に要する時間や手間を省きたい方や作業時のミス防止などのクオリティを求める方は、業者に依頼するほうが無難であるといえます。
錠部分の取り外しに必要な工具
錠を交換するためには、現在付いている錠を取り外して新しい錠を付けるという工程が必要です。そしてその工程を進めるには、プラスドライバー・マイナスドライバーが必要になります。ネジの大きさは錠の種類によって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
錠部分の取り外し・取り付けの方法
錠の交換は、以下の手順に従って進めていきましょう。ただし交換する新しい錠は、ドアノブに合ったものを選ぶ必要があります。ドアノブの厚さなどの設置条件が合っていない錠を購入してしまうと、取り付けられないおそれがあるので注意しましょう。
1.ドライバーでドアノブに付いているプレートを取り外す。
2.プレートの内側にあるピンを抜き取る
3.ピンで固定されていたシリンダーを取り外す
4.ドアの表裏に付いているビスを取り外し、レバーハンドルを外す
5.錠が取り外せるので、新しいものと取り換える
6.1~4を逆の順番で取り付けていく
カム送り対策だけでなく、シリンダー側の対策も忘れずに
ここまでは、主にカム送りによる解錠ができないようにするための対策を紹介してきました。しかし防犯のためには、錠以外の部品についても知っておくことが重要でしょう。そのためこの章では、防犯対策をより完璧なものに近づけるためにシリンダーについて見ていきます。
ピッキングなどに強いシリンダーを選ぶことも重要
このコラムの冒頭でも触れたように、開錠の手口として有名なものにピッキングがあります。ピッキングは鍵穴から開錠する手口であるため、鍵穴の付いた部品であるシリンダーをよりよいものにすることが防犯性能を高めるといえるでしょう。
どのようなシリンダーがおすすめなの?
シリンダーは、ロータリーシリンダーとディンプルシリンダーをおすすめします。なぜならシリンダーの性能のよさとは、鍵穴の構造が複雑であることを意味するからです。その点においてこの2種類はとても優秀であり、ピッキングされにくいシリンダーであるといえます。
シリンダーの交換費用の相場
シリンダーの交換を業者に依頼する場合は、10,000円前後が相場になります。ただし、錠と同様にシリンダーの種類によって料金が上下するため注意しましょう。業者によっては、錠とシリンダーの交換をセットでおこなうことによって料金が安くなることもあるようです。
まとめ
自宅の防犯性能を高めるために、カム送りへの対策は非常に重要な要素となります。そのためドアに付いている錠が、警視庁の警告にあるメーカーや商品と当てはまっているかどうかを確認してみましょう。
カム送りによる解錠被害が心配な方は、シリンダーとドアの間にすき間ができないように対策をしたり、錠を交換したりすることをおすすめします。また、カム送りだけでなくピッキングへの対策もしたいという方は、シリンダーを取り換えることが効果的です。
こうした錠やシリンダーの交換は自分でおこなうこともできます。しかし、あらかじめ錠やシリンダーの種類を確認したり手順をミスなく進めたりするためには、時間と手間が必要になるでしょう。もしそうした交換作業が大変だと感じるならば、業者に依頼することをおすすめします。プロの業者であれば、依頼者の要望にかなう鍵の交換をスムーズにおこなってくれるでしょう。
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