芝生に枯れた部分があると早急に対処したくなりますが、間違った方法ではうまく治療できないことがあります。とくに、芝生が円形に枯れるブラウンパッチと同じような症状の病気はほかにもありますので、この病気をよく知っておくことが対策において重要となるのです。
そこで、この記事ではブラウンパッチの特徴からはじまり、治療や予防方法についてご紹介します。似た症状のほかの病気についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ブラウンパッチかどうか診断するためのポイント
ブラウンパッチの治療法の前に、その特徴や似ている病気についての説明をします。病気によって治療方法も変わってきますので、似たような病気を知り、本当にブラウンパッチなのかを見わけることが大事です。
ブラウンパッチの特徴
ブラウンパッチとは葉腐病ともよばれる病気で、芝生にかかる代表的な病気のひとつです。ブラウンパッチにかかった部分は褐色になり、芝生が丸形に枯れていくのが特徴です。おもに寒地型芝生で発生しやすく、6月の中旬から9月末までの気温が高い時期はとくにかかりやすい病気となっています。
ブラウンパッチに似た病気
場合によってはブラウンパッチではなく、似た症状の病気にかかっていることがあります。たとえば、同じような症状となる病気でラージパッチがあります。こちらは暖地型芝生にかかりやすく、発病するのがおもに秋から春にかけての涼しい時期という違いがあるのです。
また、疑似葉腐病という病気もブラウンパッチと見間違えることがあります。この病気は発生している部分とそうでない部分がはっきりとわかることや、病気にかかった部分から周囲へ広がりにくいなどの特徴があるのです。さらに、春ごろに発病しやすいため、発生時期でブラウンパッチかほかの病気かを見わけることもできるでしょう。
そして、芝生が褐色や紫褐色に枯れる赤焼病にも症状が似ている場合があるのです。この病気は発生した場所から周りへ急速に広がる特徴があるため、とくにブラウンパッチの進行が早いと見間違えやすくなります。このように発生する芝の種類や時期、枯れたときの色などに違いがありますので、芝生に発生したのはどの病気であるかを確認しましょう。
ブラウンパッチの詳細と治療法
このブラウンパッチが発生するのには、原因となる菌があります。そのため、ブラウンパッチを対処するにはこの病原菌について対策することが重要なのです。
病原菌の特徴
ブラウンパッチの原因となっているのは、リゾクトニア菌とよばれるものです。これはカビの仲間であり、放っておくと芝生から栄養を奪いながら増殖していきます。おもに22~28度の温度で、土壌の湿度が75~85%ほどになると、発生しやすくなるようです。
ブラウンパッチが発生しやすい状況
ブラウンパッチはおもに、高温多湿の環境で起こりやすい病気となっています。そのため、水を大量に与えすぎていると、この病気が発生する確率は高くなってしまうのです。また、土壌が隙間のない粘土質であることなどの理由で排水が困難な場合もブラウンパッチにかかりやすいので気をつけてください。
さらに、窒素肥料を与えすぎることでもブラウンパッチが発生しやすくなります。そのため、発生したときは与える肥料やその量を見直して、適切な治療方法を施すことが大事です。
ブラウンパッチの治療法
治療するには、芝生用殺菌剤を用います。どの殺菌剤でも治療できるとは限らないため、ブラウンパッチの治療に対応したものを選ぶようにしましょう。
また、病気にかかっている芝の品種にも気をつけてください。たとえば、寒地型芝生に暖地型芝生用の殺菌剤を使用したとき、芝が枯れてしまうおそれがあるのです。
そして使用方法も重要で、間違った使い方では殺菌できないことがあります。とくに、殺菌剤を薄めて使用したり、少量しか散布できていなかったりすると、薬剤に耐性を持った菌にしてしまう場合もあるのです。そのため、使用の際は殺菌剤のラベルや、説明書などに指定された用量や方法でおこなうようにしましょう。
ブラウンパッチを予防しよう
ブラウンパッチの予防には、効果的な方法がいくつかあります。おもに有効なのが芝生の生育環境の改善と、与える肥料や水やりを適切にすることです。
環境改善
芝生の湿度が高いとブラウンパッチが発生しやすくなるため、土壌の水はけや芝生の通気性を改善すると予防効果が期待できます。水はけについては、地面に傾きができるように目土を芝生にかぶせるなどがおすすめです。さらに、地面に隙間を作るエアレーションなどをおこなうと通気性を改善しやすいでしょう。
また、芝生にたまっているサッチを除去することも大切です。サッチとは芝の間につもっていく古い芝などの塊のことで、病原菌のすみかとなったり排水を妨げたりするなどの悪影響を引き起こします。サッチがたまってきたら、できるだけ取り除いておきましょう。
肥料や水やりを適切に
普段から芝生に与える肥料や、水やりにも注意してください。肥料は窒素肥料を少なめにして、カリウム肥料を多めに与えると、ブラウンパッチにかかりづらくなるでしょう。ただし、過剰に与えすぎると芝生を傷めてしまうおそれがあるため、肥料の規定量を超えないようにしてください。
そして、水は過剰にやりすぎないようにしましょう。地面に軽く水たまりができるぐらいがちょうどよいとされていますが、1日に何度もこの量で水やりをおこなうと、水分がたまったままになってしまいます。ただし、乾燥しやすい夏場では頻繁に水やりをすることも大切なので、地面の湿り具合を確認してから水を散布することをおすすめします。
さらに、水やりをおこなう時間帯も重要で、気温が低い朝などにおこなうようにしましょう。夏場では散布した水が高温になりやすいため、お昼ごろに水やりをすると芝生が傷みやすくなるからです。
まとめ
ブラウンパッチは、発生した芝生が褐色となって円形に枯れることや、6月から9月ごろに発生しやすい特徴があります。ただ、ラージパッチや疑似葉腐病、赤焼病などの症状が似た病気もいくつかあるので対処する際は気をつけてください。
この病気の治療には、病原菌を駆除することが重要となります。育てている芝の種類やブラウンパッチに対応した殺菌剤を使用しましょう。
また、高温多湿の環境で起こりやすい病気なので、発生を抑制するには土壌や芝生の水はけ・通気性を改善したり、水やりや肥料を適切に与えたりすることが大事です。もし、これらの治療や予防をおこなってもうまくいかないときは、業者に対処してもらうことをおすすめします。
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