庭や公園などにたまりがちな落ち葉。もしガーデニングなどをしているのであれば、落ち葉は堆肥として有効活用できます。コストも抑えめに、自分で作った肥料でガーデニングを楽しみたいのであれば、落ち葉堆肥を作ってみてはいかがでしょうか。
落ち葉堆肥の作り方は、それほどむずかしいものではありません。手順や必要なもの、注意点などをしっかり把握すれば、きっとよい堆肥を作ることができるでしょう。
この記事では、そんな落ち葉堆肥の作り方や注意点、作成のコツについてわかりやすく解説していきます。
目次
堆肥とは?落ち葉で堆肥を作るメリットや腐葉土との違い
そもそも『堆肥』とは、ごみや枯れ葉、動物のふんなどさまざまなものが混ざって発酵した、有機性の肥料のことです。
堆肥には土と混ぜて使用することで、その土の状態を改善する効果があります。土の状態がよくなれば、そこで育つ植物にも当然よい影響がもたらされます。ガーデニングや栽培をする際に、この堆肥はなくてはならないものといえるでしょう。
落ち葉で堆肥を作るメリット
落ち葉を利用した堆肥には、以下のようなメリットがあります。
・材料の入手がかんたんで、作りやすい
・コストがほとんどかからない
・ごみとして捨てる手間がはぶける
・自分で作った肥料で植物を育てられる
・落ち葉を焼却しないため、近隣に迷惑がかかりにくい
ざっとあげただけでも、落ち葉堆肥にはこれだけのメリットがあります。堆肥作りには時間こそかかりますが、自分で肥料を作るやりがいは非常に大きいものといえるでしょう。
また、堆肥に似た言葉に、『腐葉土』というものがあります。混同されがちですが、このふたつには明確な違いがあるのです。
堆肥と腐葉土はどう違う?
堆肥は、かんたんにいえば『肥料』です。堆肥は自然に近い肥料であるため植物に対する栄養価は非常に高くなっており、土と一緒に使えば作物や果実をより生長させてくれるでしょう。見た目は土に近く、動物のフンなどさまざまな材料で作成できる点が特徴です。
対して腐葉土は、文字通り腐った葉によってできた『土』です。腐葉土は土の通気性や排水性、保水性を高め、土の状態を改善する効果があります。また、見た目も堆肥とは少々ことなり、雑草や葉、枝などの原材料がそのまま形として残っている点が特徴的です。
今回ご紹介する『落ち葉堆肥』は、どちらかといえば腐葉土に近い堆肥です。植物性の堆肥である落ち葉堆肥は土に近い見た目をしており、土と混ぜれば状態の改善が見込めます。
直接的な栄養価こそ動物性の堆肥に比べて低いですが、そのような堆肥は作成が少々むずかしいというデメリットがあります。容易かつ安価に良質な腐葉土を作れるというのは、これ以上ないメリットといえるでしょう。
また、庭木や植物などは長い目で見た生育をしていくことが多いため、土壌をしっかり改善してくれる面から、腐葉土より落ち葉堆肥は非常に有用です。ガーデニングに必須のものを自分の手で作ってみたいのであれば、この落ち葉堆肥はピッタリといえます。
堆肥に適した落ち葉の種類・落ち葉の集め方
『落ち葉堆肥』の名前にもあるように、今回ご紹介する作業に落ち葉は不可欠です。
しかし堆肥を作るときに集める落ち葉は、どの種類の葉を使ってもよいわけというわけではありません。堆肥に適した落ち葉を選んで、よりよい肥料を作りましょう。
落ち葉堆肥に適した木の種類
落ち葉堆肥に使う木は、基本的に広葉樹が適しているといわれています。これは落ち葉を発酵させることが目的だからです。
固く分解されにくい針葉樹や、葉のしっかりした一部の広葉樹は、発酵に時間がかかるためあまり適していません。具体的な例を挙げれば、以下のような木が向いているといえるでしょう。
・ケヤキ
・ポプラ
・クヌギ
・ブナ
・カエデ など
逆にスギやマツ、ヒノキなどの針葉樹や、イチョウやクスノキのような水分の多い広葉樹は適していません。落ち葉を集める段階で、しっかり分けておきましょう。
落ち葉の集め方
庭に落ち葉はないけれど堆肥は作ってみたい、という方は、まずは落ち葉を集める必要があります。
〇方法1:知り合いなどから手に入れる
知り合いの中には、庭に落ち葉がたまって困っている、という人がいるかもしれません。そこで掃除もかねて落ち葉を回収させてもらえば、自分は落ち葉が手に入り、相手は庭が片付きます。条件さえあえばお互いにメリットがあるため、機会があれば知り合いに質問してみてはいかがでしょうか。
〇方法2:公園や道端などでひろう
季節によっては、近所の公園や道端などに大量に落ちている葉。そのまま放っておいてもごみとして回収されることが多いため、清掃もかねて持ち帰る方法もあります。
ただし、公園や広場などは国や市、個人の敷地なので、勝手に落ち葉を持ち帰ってはいけない可能性もあります。また、木々から枝や葉をむしり取ってしまう行為は当然マナー違反です。
公園の案内書きや注意事項に目を通し、念のため所有者に許可や確認を取っておくとよいでしょう。
〇方法3:庭の木を剪定する
庭に植物があるのであれば、剪定などの手入れをすることで葉を落とすことができます。剪定方法はそれぞれの植物によってことなるため、詳しくは当サイトの「剪定」のジャンル、またはページ上部の検索バーから該当の植物をぜひ探してみてください。
また、剪定は専門的な作業かつ、木の種類によっては高所作業になることもあります。作業が不安な方はケガのおそれもあるため、無理に自分で作業せず業者に依頼してもよいでしょう。
効率的な落ち葉堆肥の作り方・必要なもの
落ち葉堆肥は、自分でも作成することが可能です。ここでは、堆肥を落ち葉で作る際に必要なものや、作成の手順を追って説明していきます。
落ち葉堆肥に必要なもの
落ち葉堆肥を作るには、以下のようなものが必要となってきます。作業前に、しっかりそろえておきましょう。
・箱(堆肥枠)、ブルーシート……堆肥を作るための箱です。ベニヤや木板を使って、必要な堆肥の大きさに合わせて作ります。同時にフタ兼雨よけとして、ブルーシートも用意しましょう。また、市販のものもあるため、完成品の枠を購入しても大丈夫です。
・落ち葉……できるだけ大量に集めましょう。目安としては、堆肥枠に入る最大量の落ち葉の数×5は欲しいところです。
・土……発酵を助ける微生物が多く含まれている、自然の土(表土)を用意できれば望ましいです。
・米ぬか・油かす……発酵を助けます。専用の発酵促進剤を購入してもよいでしょう。
・石・ブロックなど……ブルーシートを固定するための重しです。
・クワ・シャベルなど……必須ではないですが、用意しておくと作業がはかどります。
落ち葉堆肥づくりの準備・方法
上記の必要なものが用意できたら、いよいよ落ち葉堆肥作りをはじめていきます。この作業には11月 ~12月ごろの時期と、日当たりのよい環境が適しています。
1.まずは落ち葉が乾燥するまで待ちます。
2.乾燥した落ち葉を、堆肥枠に入れていきます。この際、あとから落ち葉を足すことのないよう十分な量を入れておきましょう。
3.落ち葉に水をやり、その後箱の中に入ります。この水は、与えすぎても逆効果になります。落ち葉を握りまたは踏みつぶしたときに、水が染みだす程度になるまで与えるようにしましょう。
4.足を使って、落ち葉を平らに踏み固めていきます。この作業は、落ち葉の厚みが箱全体の約4分の1~5分の1になるまで繰り返します。
4.しっかり踏み固めたら、落ち葉の上から米ぬかなどの発酵促進剤を与えましょう。
5.次は、発酵促進剤がまかれ踏み固められた落ち葉の上に『土の層』を作っていきます。落ち葉が見えなくなる、約5cm程度の厚さまで平らに敷き詰めていきましょう。
6.ここまでの作業を、4~5回ほどやっていきます。すると回数分、4~5つの階層ができるような形になります。1m程度の高さを目安に繰り返していきましょう。
7.ここまで完成したら、用意しておいたブルーシートをかけてフタ兼雨よけにしましょう。
ここまで完成したら、堆肥作りの第1段階は完了です。この作業は重労働になることも多いため、体力に余裕のあるときにおこないましょう。
落ち葉堆肥に必須の作業『切り返し』と堆肥完成の目安
堆肥のセッティングが終わっても、そのまま放置しておいてしまえばよい堆肥はできません。完成までの期間で、『切り返し』という作業をこなしておきましょう。
切り返しは定期的なかき混ぜ作業
堆肥は定期的にかき混ぜないと発酵に必要な酸素が減少してしまい、発酵の効率が悪くなってしまいます。最初の作業から1~2か月程度たったら枠から出し、しっかりかき混ぜておきましょう。これを、『切り返し』といいます。切り返しが終わったら、また元の堆肥枠に返しましょう。
この作業は、最初の切り返しから大体、1週間に1度のペースでできれば望ましいとされています。作業中には落ち葉の状態を見計らって、必要であれば発酵促進剤を追加するようにしましょう。
また、切り返しの時期には落ち葉自体が乾燥してしまっている可能性があります。そのような場合は、しっかり水をかけてあげてください。
基本は半年~1年ほどで完成します!
何度か切り返しをしていくと、徐々に堆肥が完成してきます。この期間はおおむね半年~1年間だといわれています。早ければこの期間よりも早い3か月ほどで完成することもあるため、完成の目安をおぼえておきましょう。
完成の目安は、落ち葉の状態からわかります。ある程度の月日がたったら、落ち葉の形を確認してみましょう。落ち葉が土と同化しており、原型をとどめていなければ堆肥の完成です。
落ち葉堆肥作成のコツと注意点
落ち葉堆肥の作成中や作成後には、注意しておかなければならないことがあります。トラブルや失敗を招かないためにも、しっかりおぼえておきましょう。
温度をキープしよう
堆肥作成の際は、できるだけ一定(約50~65度)の温度をキープしておく必要があります。そのため、温度計などを用意しておくと便利です。
堆肥は放置しておくと徐々に温度も下がってきますので、堆肥の温度が上がらないときには随時切り返しをして酸素を供給してあげましょう。
堆肥の保管場所
完成した堆肥は基本、ポリ袋などに入れて保管しておきますが、この際酸素の供給穴が開いていないと堆肥が弱ってしまいます。保管時は、穴を適度に開けておくようにしてください。
また、短期間であれば屋外での保管も大丈夫ですが、長期間が屋外に放置しておくと虫などが集まる原因にもなってしまいます。また雨や日光にも弱いため、極力物置などの屋内で保管しておくようにしましょう。
においに注意
堆肥は、ときとしてやや不快なにおいを発することがあります。生ごみなどで作成された堆肥に比べて、落ち葉堆肥の場合はそこまで強いにおいは出しませんが、トラブルを防ぐためにも近隣への配慮は忘れないようにしましょう。
まとめ
落ち葉を堆肥として利用すれば、コスト削減やごみの清掃など、さまざまなメリットがあります。庭などに落ち葉が散乱している方は、堆肥として再利用してみてはいかがでしょうか。
また、落ち葉がない場合は友人からの譲渡や剪定による落ち葉でも堆肥にできます。とくに剪定は樹高によっては危険な作業となることもあるため、不安な方は剪定業者に依頼して葉を落としてもらいましょう。
堆肥は手順を守り、順調にいけば半年~1年程度で完成するといわれています。正しく、上手に育てていけば、庭のやっかいな落ち葉は土壌や植物の栄養源へと変わります。水分や切り返しなどに注意して、適切に堆肥を育てていけるようにしましょう。
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