植物の種類によって、強剪定をすべきかどうかは異なってきます。むやみに植物を剪定してしまうと、枝が変な方向に伸び不格好になってしまうことや、病原菌が木の内部に侵入しやすくなるのです。とくに、剪定した切り口が大きいほど病原菌が入り込みやすくなり、病気にかかるおそれがあります。
本コラムでは、剪定方法や強剪定ができる植物、弱剪定をしなければならない植物の種類や剪定の重要性などについてご紹介しています。剪定の仕方について悩んでいる方は、最後まで記事を読んで、ぜひ参考にしてみてください。
剪定にも種類がある。どんな方法があるのか
植物の剪定にはさまざまな種類があります。剪定の方法は大きく分けて、強剪定と弱剪定に分類されます。強剪定は基本的に、冬から春先にかけておこなうのがよいといわれています。なぜなら、植物がほとんど成長しない時期である冬から春先にかけて強剪定をおこなうことで、植物に大きなダメージを与えることなく、木の回復も早くなるからです。
具体的には、太くなった枝を切り落したり、不要な枝を除去したりと、比較的大胆に剪定をおこなっていくとよいでしょう。弱剪定に関しては後述します。強剪定の具体的な方法として3つのやり方を取り上げることができます。それぞれ簡単に解説していきましょう。
切り戻し
切り戻しは、成長して太くなった枝を切り落とす剪定方法のことをいいます。古くなった太い枝を短くすることで、木全体に栄養分が行き渡りやすくなり、樹木の成長が早くなるのです。
枝抜き
枝抜きは、伸びすぎた枝を、枝の生え際からカットしていく剪定方法のことをいいます。枝抜きするときは、むやみやたらに切っていくのではなく、樹木全体のバランスを考えながら剪定していくとよいでしょう。
切り返し
切り返しは、成長した小枝を、枝分かれしたところから切り取る剪定方法です。枝が伸びすぎて、見た目が不格好になってしまった樹木の外観を整えるためにおこなわれます。
一方、弱剪定は、樹木の形を維持したまま、密集した枝を切るといった剪定作業のことをいいます。そのため、弱剪定は強剪定よりも、より繊細な作業が必要になるのです。弱剪定の方法としては、枝先の芽を摘む「摘心」や、つぼみ、花、実を摘み取る「摘蕾」や「摘花」、「摘果」などが挙げられます。
強剪定ができる植物4選
強剪定ができる植物は、基本的に大きく育ちやすい庭木などが当てはまります。ここでは強剪定をすることができる植物を4種類取り上げて、それぞれの特徴や剪定方法などをご紹介していきます。
シラカバ
シラカバは成長すると10~20mの高さにまで成長する木で、白くて太い幹が特徴的です。また秋になると葉が黄色く色づき、シンボルツリーとして庭に彩りを加えてくれます。自宅の庭で育てるときは、発育をよくするために、できるだけ日当たりのよい場所に植えるとよいでしょう。
そして剪定をおこなうときは、樹形を整えるために透かし剪定をするとよいでしょう。透かし剪定をするときは、日当たりをよくし、風通しをよくするために、真上に伸びた枝やほかの枝に触れている枝などを切り落とします。
アカマツ
アカマツは成長すると20~30mほどの高さになり、赤茶色の幹が特徴的です。幹が赤みを帯びているので、植えると風情ある和風庭園を楽しむことができます。
アカマツの剪定は、基本的に春と秋から冬にかけての2回に分けておこないます。春の時期は新しく出た芽を摘み、秋から冬にかけては古くなった葉を手で取る作業をおこなうとよいでしょう。
イチョウ
イチョウは紅葉の時期になると、きれいな黄色い葉を咲かせます。成長すると20~30mほどの高さになります。
剪定をする時期は落葉後の11月から気温が低い2~3月頃までにおこなうことが望ましいでしょう。落葉後の11月から気温が低い2~3月頃はイチョウがほとんど成長しないため、強剪定しても大きなダメージを受けないからです。剪定の際は、イチョウの木が大きくなりすぎないように、株元から伸びている枝などは切ってしまうとよいです。
シマトネリコ
シマトネリコは自宅のシンボルツリーや室内のインテリアとして人気のある植物です。シマトネリコは成長スピードが速いため、強剪定をおこなってもそれほど樹木に影響はないといわれています。また剪定は春の初めから中頃にかけて・夏の初めごろから中頃にかけて・秋のいずれかの時期であればおこなうことが可能です。
弱剪定でなきゃだめ!注意しなければならない!
剪定をおこなう際は、強剪定を避けたほうがよい植物の種類も存在します。たとえば、一年を通じて緑色の葉を見ることができるソヨゴやハイノキなどの常緑樹の植物は、強剪定をするのは避けたほうがよいといわれています。なぜなら強剪定をすると、樹液が樹木全体に行き届かなくなり、成長に悪影響が生じるおそれがあるからです。
また、みかん類やブルーベリーなどの常緑樹の果樹木も強剪定はできるだけしないほうがよいとされています。なぜなら強く剪定してしまうと、その後の実の付き方や花付きが悪くなるといわれているからです。そのため、剪定をおこなうときは、不要な枝を取り除くなど、植物全体に風通しがよくなるように剪定することが大切です。
剪定の重要性とは
強剪定や弱剪定を始めとして、樹木や庭木などの植物を定期的に剪定することは非常に重要です。剪定をすることで、植物がきれいな自然樹形を保つことができます。
もし剪定をおこなわないならば、葉や枝が密集して、日差しを十分に浴びることができなくなりますし、樹木の風通しが悪くなります。風通しが悪いと湿度が高くなってしまい、カビが生えたり、病気にかかったりするおそれがあるのです。
また、剪定をおこなう時期も大事です。適切な時期に剪定をおこなわないと、植物の成長に悪影響を与えてしまうおそれがあります。
このように、剪定をせずに放置しておくと、最悪の場合枯れてしまうことがあるため、日頃から剪定をすることは非常に重要といえるでしょう。
まとめ
剪定には大きく分けて2種類の方法があり、それぞれ強剪定と弱剪定と呼ばれています。強剪定は、おもに太い木の幹などをバッサリと切るような剪定のことをいいます。一方、弱剪定は、密集した枝葉を取り除くような剪定のことをいいます。
強剪定ができる植物としてシラカバやアカマツ、イチョウなどが挙げられます。しかし、常緑樹の樹木や果樹木などは、強剪定をしてしまうと、成長に悪影響が出てきてしまうのです。そのため、今育てている植物は強剪定をすべきかわからなかったり、剪定作業のやり方がわからなかったりするときは、一度業者に相談してみるとよいでしょう。
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