どこから種が運ばれてくるのか、いつの間にか生い茂っている雑草たちは、お庭作りの大敵です。一度根付いてしまうととにかく対処が大変で、夏場などはむしったそばから生えてくる賽の河原のような状態になってしまいます。
一口に雑草といっても、実際には雑草という名前の草はなく、きちんと図鑑にも載っている種類があります。強い生命力と増殖力をもった雑草を根絶やしにするには、生えている草の種類に合った対処法が必要不可欠です。
本コラムでは、お庭を埋め尽くす雑草対策の前段階の準備として、雑草の種類についてご解説いたします。
草の種類を知ることによりお庭の雑草対策の見方がかわるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。
目次
草の種類~多年草と一年草の違い
いわゆる「草」と呼ばれる植物は、一般的に野菜や穀物を含む「木にならない植物」全般のことを指します。また草は大まかに二つの分類に分けられています。それが「一年草」と「多年草」です。
一年草(一年生植物)
種から芽を出して成長し、花をつけて受粉し、新しい種を撒き散らして枯れるまでのサイクルを一年で済ませる草です。春に芽を出して冬に枯れる「夏草」と、秋に芽を出して翌年の夏に枯れる「冬草」があります。
一年草は寿命が一年と決まっているためはかない存在のように見えますが、実際は真冬や真夏といった、過酷な環境になる時期を種の状態で乗り越えるようにたくましく進化した植物です。また一年以内に増殖が可能となる成長の早さも特徴であり、放っておくとあっという間に生い茂ってしまいます。
多年草(多年生植物)
一年草とは違い、何年にもわたって生き残り続けることができる草です。冬や夏の気温が極端な気象条件下でも枯れることなく生き続けています。
多年生植物は年間を通じてみずみずしい葉を付ける「常緑多年草(じょうりょくたねんそう)」と、過酷な時期に地上の葉は枯れるものの、地中の根は残り続けて再び茎を生やす「宿根草(しゅっこんそう)」に分けられます・
一年草に比べて草自体の生命力がタフなことが特徴であり、地上の草を刈り取ったと思っても地下に残った根っこからすぐに再生してしまう厄介さをもっています。
◆防草対策はそれぞれで違うの?
一年草と多年草とでは、成長や増殖のタイミングが異なります。そのため一年草を防ぐ対策を施しても、多年草には効果が薄いことや、その逆があり得ます。お庭に生えているのが一年草と多年草のどちらなのかを見極め、それぞれの性質に合った防草対策を行う必要があります。
次項からは、お庭や空き地で見かけることの多いメジャーな草の種類について解説していきます。
草の種類:その1~ネコジャラシ
動物の尻尾のようなふさふさした先端が特徴的な「ネコジャラシ」は、正式な名前を「エノコログサ」というイネ科の植物です。ネコジャラシの由来にもなっている先端部分は「花穂(かすい)」という花びらのようなもので、これが犬の尻尾に似ていることからエノコロ(犬っころ)という名前が付きました。
その名の通り猫の遊び道具としても有名な草ですが、旺盛な増殖力で空き地をあっという間に草むらに変えてしまいます。一年生の夏草なので夏に最も大きく成長し、秋ごろにたっぷりと種を含んだ花穂をつけた姿が毎年見られます。
同じ種類の草
イネ科の草の種類なのでコメやアワをはじめとした食用の草もネコジャラシの仲間です。実はネコジャラシも食べることができ、秋につけた花穂から種を脱穀し、すりつぶして粉にすると小麦粉のように扱えます。
イネ科の雑草にはほかにもオオバコ、ススキ、チガヤなどやはり先端にフサフサした花穂を付けるものがそろっています。同じイネ科でも一年草と多年草が混在しているため、防草対策をする際には注意が必要です。
またなかでもススキは別名を「包丁草」と呼ばれるほど葉っぱが硬く、するどく、ギザギザしているため、素肌でススキの草むらに入ると皮膚が切り裂かれることがあります。草刈りの際には十分注意を払ってください。
草の種類:その2~オオアレチノギク
オオアレチノギクは、漢字で書くと「大荒地野菊」となるように、荒れ地や道端などに多くみられるキク科の多年草です。原産国は南アメリカですが、貿易船に混入するなどの経緯で現在は日本にも広く根付いています。
キク科の多年草の中には「ロゼット」という形態で冬越えをするものがあり、オオアレチノギクもその一種です。ロゼットとは茎のないひらべったい葉っぱだけの状態で地面に張り付くようにしている状態で、寒い時期も風に温度を奪われにくく、踏みつけにも強いという特性があります。
荒地野菊の名が示すとおり荒地などの栄養が少なく硬い地面にも根付くことができ、ロゼット状態で冬越えも難なくこなすため、おそるべきスピードで日本全土に広がっていきました。その圧倒的な繁殖力から、「侵略的外来種」として指定されています。
オオアレチノギクのもう一つの特徴は、とにかく高く大きく成長することです。夏には2メートル近くになるまで成長する背の高い草なので、オオアレチノギクが生い茂ってしまうと出入りすら困難になってしまいます。
すさまじい成長力はそれだけ栄養を吸い取るということでもあるので、オオアレチノギクが畑や田んぼに生えてしまうと農作物にいきわたるはずだった栄養を横取りされてしまうケースがあり、しばしば問題となっています。
同じ種類の草
キク科の草の種類で同じほかの草としては、タンポポ、オオバコ、ナズナなどが挙げられます。とりわけタンポポは、ロゼッタ形態で冬を過ごす草の仲間として有名なのではないでしょうか。
キク科は特徴的な放射状の花弁をもっているため、タンポポのような花びらをもった雑草があればオオアレチノギクの仲間と考えて差し支えありません。いずれも冬越えを行う多年生のものが多く、多年草に適した対策が必要になります。
草の種類:その3~ハマスゲ
ハマスゲは「カヤツリグサ」という種類に属する多年草です。乾燥した場所でも生育することができるため、土の露出した場所だけでなくアスファルトやコンクリートを突き破って生えているのを見かけることがあります。
ハマスゲは漢字で書くと「浜スゲ」となり、これは乾燥した砂浜でも元気に生育している姿からとられました。生育の勢いが強く、砂浜だけでなく公園の砂場に生い茂ってしまうこともあるようです。
ハマスゲのもう一つの特徴は、地面の下に「ブドウ茎」という発達した根っこをもつことです。根っこの生命力はとりわけ強く、種だけでなく地下から根を伸ばしてほかの場所に新しい芽を出すことができます。
放っておくとどんどん根を伸ばして増えてしまううえに、根が強く地面を掴んでいるため草むしりで引き抜くことが難しく、根絶が難しい植物としても知られています。
◆同じ種類の草
ハマスゲと同じカヤツリクグサの仲間の草は、種類こそ多くはないもののいずれも強い生命力をもった厄介な雑草たちです。イオクグ、ヒメクグのほか、世界最古の紙として知名度の高いパピルスもカヤツリグサの仲間です。
カヤツリグサ科の植物はイネ科と似た性質を持つものが多く、その最たる例として花穂を付けることが挙げられます。ハマスゲやヒメクグは、いずれも花穂をもち、そのサイズはイネ科のものよりも小さいことが特徴です。
草の種類:その4~スギナ
スギナはトクサ科の多年草であり、細くとがった葉をたくさん付ける姿が杉の木に似ていることから、「杉菜」の名前が付けられました。
スギナと聞くとあまりなじみのない名前かもしれませんが、スギナは春になると特徴的な「胞子茎(ほうしけい)」という増殖用の茎を出します。地面から生える筆のような愛らしい姿をした胞子茎は、転じて「土筆」と呼ばれ、これはわたしたちにもなじみの深い「ツクシ」のことです。
ツクシは言わずと知れた春の味覚として有名なため、煮るとおいしい食べられる野草として好意的に見る人も多いですが、ツクシの親玉であるスギナは旺盛な繁殖力を持つ雑草です。地中の非常に深いところにまで根を張るため、抜き取るのが難しく除草の難しい草とされています。
長く広がった地下茎(根)からはやはり新しい芽が続々と顔を出すため、根っこごと取り去らない限りは毎年草が生えてきてしまいます。
同じ種類の草
スギナの仲間であるトクサ科の植物としては、コニシキソウ、ホトケノザ、カタバミなどが有名です。いずれも強い生命力を持つと同時に、春の七草や薬草として利用価値があるものが多いため、雑草としてだけでなく有用な草の種類として知られています。
トクサ科の多年草はとにかく根が深く、強靭なブドウ茎をもっているため、やはり通常の草むしりでは除草が難しいとされています。深く土を掘り返して根をしっかり除去するか、深い場所にある根にも効果のある除草剤の使用が必要となります。
放っておいてはいけない草…どうすればいい?
ここまでご紹介してきた雑草たちが、とりわけ厄介だとされる理由は大きくわけて二つあります。一つは「強い生命力」、もう一つは「物理的な除去の難しさ」です。
一年草は今生えている草を刈りつくしても、種を撒かれてしまえば次の春や秋にはより数を増やして生えてきてしまいます。強靭な地下茎を持つ多年草は、そもそも完全に除去することが難しく、地中に残った地下茎から新しい芽が出てきてしまいます。
そのため、雑草を根絶やしにするには「タイミング」と「手法」の二つの観点からその雑草の種類に合わせて雑草対策を吟味していく必要があります。
一年草対策
一年草には発芽するタイミングによって「夏草」と「秋草」の二種類があり、それぞれ夏と翌年の春にもっとも大きく成長します。同様に、一年草には「枯れるタイミング」が必ず存在するため、雑草の勢いが弱い時期に対策を施すのが効率的です。
具体的には生えているのが夏草であれば秋には枯れるため、冬場に枯草を取り除いてから除草剤を撒きましょう。秋草の場合は初夏には枯れるので夏場に除草剤を撒くのがおススメです。
除草剤については液体タイプや顆粒(つぶ)タイプのものがありますが、一般的に液体タイプは即効性に優れ、顆粒タイプはゆっくり長期間効果を発揮するのが特徴です。そのため草が枯れ切ったあとであれば即効性はあまり必要ではなく、顆粒タイプの除草剤が適しています。
顆粒タイプはいわば肥料の逆効果のようなもので、時間をかけて撒いた土地を「植物が成長しにくい」性質に変えていくことができます。効果が表れるのには時間がかかりますが、長期的に草の生えにくい土壌をつくることができるためあらかじめ草を除去できていれば高い効果を発揮します。
多年草対策
多年草はロゼッタ状態で地面に張り付いて越冬する、地表の草が枯れても根は地中に残り続けるなど、とにかくしぶとい生命力をもっています。引き抜こうにも複雑な形状のぶどう茎が地面にしっかりと食い込んでいるため物理的に排除が難しいのが特徴です。
したがって、まずは生き残っている根っこ自体を枯らしてしまう必要があります。根っこ対策に便利なのが液体タイプの除草剤です。
液体タイプは地面にすばやく浸透し、地中深くに眠っている根にも直接作用することができます。顆粒タイプの除草効果では間に合わないといった場合に非常に便利です。
ここで注意したいのが、液体タイプの除草剤は根っこにしっかりと付着しないと効果が薄いという点です。そのため根っこの位置を見定めて、的確に除草剤を撒く必要があります。高い威力を持つ除草剤も、当たらなければあまり意味がありません。
ロゼッタ状態で越冬するタイプの多年草であれば根の位置を特定するのも簡単です。しかし、根っこだけで生き残る種類の場合、地表の草が枯れ切ってなくなってしまうと土中に隠れた根がどこにあるのかわからなくなることがあります。
そのため、除草剤を撒くタイミングは草の生育しやすい春や夏がオススメです。冬に除草を行いたい場合は一旦時間を置いて春を待ってみましょう。新芽が顔を出す時期になれば、新芽めがけて除草剤を投下することで根に直接ダメージを与えられます。
また暖かい時期なのに芽が枯れることで、除草剤の効果をしっかり確認できるという点でも、春の除草がオススメです。
まとめ
強力な生命力と繁殖力でお庭を埋め尽くしてしまう雑草はおそるべき存在です。しかし、成長のタイミングや性質を見極めて適切な対処を施せば、駆逐することは不可能ではありません。
雑草の種類を把握して適切な弱点を突くことができれば、雑草をしっかり根絶やしにすることができます。キレイなお庭造りを行うためにも、時期をみはからって雑草を徹底的に駆除してしまいましょう。
ただ雑草対策を自分で行う場合、お庭の広さにより体力的な問題も多く、毎回自分で行うのは大変な作業でもあります。そんな時は無理をせず草刈りのプロにご相談ください。
プロに依頼することにより知識と経験で、隅々まで雑草対策を行ってくれキレイなお庭を取り戻すことができるようになりますよ。
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