日本の経済成長の立役者!?アスファルト乳剤の目的と種類と使い方

2021.4.30

日本の経済成長の立役者!?アスファルト乳剤の目的と種類と使い方

アスファルト乳剤って知っていますか?「アスファルトは知っているけど、アスファルト乳剤は知らない」という方も多いのではないでしょうか。アスファルト乳剤はアスファルトを施工するうえで重要な役割をはたしている、歴史ある舗装材です。DIYでも使うことができるので、その特性や種類について知っておくと役に立つかもしれません。今回はアスファルト乳剤について解説します。

アスファルト乳剤とは?

アスファルト乳剤は加熱が必要なアスファルトを、常温でも取り扱えるように工夫した液体のことです。

アスファルトは水と交わることはありませんが、微細な粒子に分散させ乳化剤を混ぜることによって混ざり合うことができます。これにより大幅に粘性が低下し、常温でも取り扱えるようになっています。

液体状態では粘性がありませんが、散布や混合によりアスファルトと水に分離することで元の粘性を取戻し強度が生まれます。

アスファルト乳剤の特徴として加熱の必要がないことから省エネやCO2の削減効果、またアスファルトに比べてやけどや火災の心配がなく安全性が高いことが挙げられます。
アスファルト乳剤とは?

アスファルト乳剤の歴史

アスファルト乳剤の歴史は長く、明治36年(1906年)にアメリカのカールマンが特許を取得したことに始まります。その後、防塵や防水用などさまざまな改良が加えられ、日本で使用され始めたのは大正末期のことだそうです。当時は震災直後であったこともあり、安価で簡単な道路舗装工事手法が求められていました。

これに応えたのがアスファルト乳剤です。アスファルト乳剤は簡易舗装工事に適しており、戦前・戦後も使われ続け日本の経済成長に一役買いました。しかし、昭和45年をピークにアスファルト乳剤の生産量は減少していき、今ではピーク時の半分以下の生産量になっています。

減少している理由としては、簡易舗装が求められることが少なくなったからだそうです。現代の舗装は高品質を求めており、アスファルト乳剤はそれに適していないということです。
アスファルト乳剤の歴史

アスファルトで使う乳剤の種類

アスファルト乳剤は乳化剤の電荷と用途によって種類が区別されています。

電荷の違い

○カチオン系乳剤
道路用として広く普及しているアスファルト乳剤で、カチオンとは陽イオンのことです。カチオン系乳剤は安定性が高く、アスファルト皮膜を形成するのが速いという特徴があります。水が蒸発しなくても硬化し、強度を生み出すため舗装材に適しています。

○アニオン系乳剤
アニオン系乳剤はスラリー式工法などで用いられる乳剤で、アニオンは陰イオンのことです。カチオン系乳剤とくらべて分解がおそく付着力も弱いですが、長期間の使用に耐えることができます。

○ノニオン系乳剤
ノニオン系乳剤は電荷をもたない中性の乳化剤です。セメントのフィラーと混合しやすいことから、セメント乳剤モルタル用の乳剤などに用いられています。

用途の違い

日本工業規格JISによって、次のように種類分けされています。

○カチオン乳剤
・浸透用
1号 温暖期浸透用、表面処理用
2号 寒冷期浸透用、表面処理用
3号 プライムコート用、セメント安定処理層養生用
4号 タックコート用

・混合用
1号 粗粒度骨材混合用
2号 密粒度骨材混合用
3号 土混り骨材混合用

○ノニオン乳剤
・混合用
1号 セメント・アスファルト乳剤安定処理混合用

アスファルト乳剤の使用方法

アスファルト乳剤を使用するには、人力で散布する方法とディストリビューターとよばれる散布する機械を使う2つの方法があります。

DIYなどで用いる場合は、簡易アスファルトと一緒に使うのがよいでしょう。乳剤は施工箇所と簡易アスファルトを接着させる役割があるため、施工箇所に散布して使用すれば簡易アスファルトがよくなじむようになります。ホームセンターで購入できるような乳剤であれば、人力で散布することができます。

舗装工事現場などでは、おもにアスファルト合材の温度を下げながら、粘性を弱くするために使われます。こちらではディストリビューターを使うことが多いようです。ストレートアスファルトと砕石を混合させた、加熱合材が敷かれた地面に乳剤を散布することで高い施工性を保つことができます。
アスファルト乳剤の使用方法

プライムコートとタックコートについて

アスファルト乳化剤はさまざまな目的で散布され、目的に応じてプライムコートとタックコートという名前がつけられています。

プライムコート

プライムコートは路盤に瀝青材料(れきせいざいりょう)とよばれる、天然アスファルトや固形の炭化水素化合物を散布することです。これにより安定性・防水性の向上や上に敷くアスファルト混合物とのなじみをよくする効果が得られます。

タックコート

タックコートはすでにある下層の瀝青材料と新しく敷設するアスファルトが、なじみやすくなるように下層に少量乳剤を散布することをいいます。

まとめ

アスファルト乳剤は工事現場などでないと、あまり見かけないものかもしれません。しかし、私たちが通る道路に使われてきた重要な舗装材です。その歴史は古く、日本の経済成長を支えてきたといっても過言ではないでしょう。DIYなどでも用いることができるためホームセンターでみかけたら、自宅のアスファルト工事を考えてみてはいかがでしょうか。

アスファルト工事を依頼できる業者や料金

依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「アスファルト工事」をご覧ください。

この記事は2018年02月26日に加筆・修正されています

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