現代人の快適な生活には欠かすことのできない電化製品。とくにエアコンなどは、夏・冬ともに大活躍する文明の利器です。しかし、このエアコンの室外機など原因で、ストレスや健康被害が発生してしまうこともあります。
室外機に潜む意外な落とし穴、その正体は『低周波』です。室外機の出す独特の低い音は、知らず知らずのうちにストレスの原因になっているかもしれません。この低周波を放置しておくと、自分の健康を害すばかりか隣人トラブルに発展してしまうおそれもあるため、しっかり対処していきましょう。
本コラムでは、室外機の『低周波騒音』や、その低周波騒音によって引き起こされる『低周波障害』などを中心に解説していきます。具体的にどんな被害が起きる可能性があるのか、また低周波をおさえるにはどうすればよいのかなど、詳しい知識を知っていきましょう。
目次
家に響く不快な重低音・振動の正体は『室外機の低周波』かも
エアコンのスイッチを入れると、室外機のファンもほぼ同時に作動します。ファンは基本的に、扇風機のように回転し続けていますよね。この動作自体は熱や冷気を外に吐き出すための排気運転ですが、ファンを回す以上どうしても音が発生してしまいます。
この室外機の発する低い音、それは『低周波』です。
あの「ボオオォォォ……」という独特の音は、100Hz以下の低周波で鳴っているのです。例を挙げれば、車のエンジン音や船の汽笛などが低周波の仲間といえるでしょう。
基本的にこの低周波は聞き取りにくい音域となるため、騒音というほどではないことが多いです。しかし、低周波音が大きくなってきたり、低周波音の発生が長期にわたったりすると、壁やガラスを振動させたり不快な音として耳に残るようになってしまいます。
また、低周波を感じやすい人と感じにくい人も存在します。人それぞれ、低周波が気になるかどうかは異なるのです。
この人が不快に思うほどの低周波音のことを、まとめて『低周波騒音』と呼びます。この低周波を発し続けるものとして有名な機器が、まさしくその室外機なのです。
低周波によって起きる『低周波障害』とは
低周波騒音の不快さにより体調などを崩してしまう症状のことを、『低周波障害』といいます。
『低周波障害』は、低周波に対して耳が過敏に反応してしまうことによる不調のことを指しています。とくに近年、この症状に悩まされている人が非常に増えてきているのです。
しかし、なぜ低周波音のような重低音を聞き続けると不調になる可能性が出てきてしまうのでしょうか。
音の中でも低周波は、普通の音に比べて物体を振動させる力が強いという特徴があります。この強力な振動は耳が敏感な人にとっては大きな負担となり、不快な音と化してしまうのです。
また、この重低音や室外機そのものの振動により、床や壁などが小刻みに揺れることもあります。眠りにつく直前ですら不快な音と振動が続いていれば、体調を崩しかねないということにも納得がいくのではないでしょうか。
不快な低周波騒音を聞き続けたことによる不調は、想像している以上に大きいものです。そんな低周波がもたらす被害を、次章では詳しく解説していきます。
低周波騒音は健康をもおびやかす!室外機の低周波による健康被害
室外機などの低周波による健康被害の数は、非常に多岐にわたります。ここではその一部をご紹介するとともに、危険性などもあわせて解説させていただきます。
・頭痛
・めまい
・吐き気
・動悸
・不眠症
・精神疲労
など
低周波障害になってしまうと、以上のような症状が出るといわれています。もちろん低周波が出ている場所で必ずこの症状が出る、というわけではありませんが、不快な低い音が常になっている場合は上記の症状に注意しておいた方がよいでしょう。
頭痛や不眠症などの症状は、原因がわからない場合まとめて不定愁訴と呼ばれることとなります。この言葉には、「原因不明の心身が不安定な状態」という意味があり、非常に対処が難しい状態です。
低周波障害によって起きる症状は、本人が低周波を原因とする不調だと気づくまで原因がわからないため、この不定愁訴だと診断されてしまうことが多くなります。要するに、この低周波障害を知らなければ長い間、謎の不調に悩まされることとなってしまうのです。
低周波障害のおそろしさや症状をしっかり把握して、いっこくも早く対処ができるようにしましょう。
つらいのは室外機がうるさいから?確認するには
室外機の低周波障害に気づくことが難しいとされているのは、低周波という音は聞こえづらいという特徴があるためだといわれています。
人間の耳は、基本的に低い音に比べて高い音の方が聞き取りやすいという特徴があります。目覚まし時計や電話のベルを想像するとわかりやすいでしょうか。低い声より甲高い声の方が、人ごみの中でも通りやすいですよね。逆に低い音は、音量が大きくない限りあまり気にならないというのが一般的です。
しかし、たとえ低い音だったとしても自分が認識していないだけで耳は感じ取っています。意識とは別の部分で、低周波振動を受け取ってしまっているのです。中には、心身の不調が出てはじめて気づく、なんてこともあります。
心身に異常が出ているということはすでにかなりのストレスを体や脳が受けている、ということになります。この際迅速に対処しなければ、より重い症状になってしまうかもしれません。ここでは今からでもできる低周波のチェック方法について解説するので、一度試してみましょう。
低周波のチェック方法
低周波がでているかどうかチェックするためには、環境省の公表しているチェックシートを利用すると便利です。『よくわかる低周波音』というタイトルでWEB上でも公開されているので、一度チェックしてみましょう。
下記では、簡単なふたつのチェック方法について解説していきます。ぜひ参考にしてください。
家の窓に触れたとき、振動を感じたかどうか
室外機から低周波が発生している場合、その低周波音によって窓に振動を起こしている可能性があります。風で振動が起きているケースもありますが、風での振動と周波数音での振動では震え方が異なるため、注意してチェックするようにしましょう。
窓の開閉で騒音の具合が変わるか
一般的な外部の騒音は、窓を閉めればある程度緩和する可能性があります。しかし、低周波騒音の場合は窓を閉めてもまったく変化がないばかりか、逆に悪化してしまうケースもあるのです。不快な音が気になってきた方は、一度部屋の窓を開け閉めして音の変化の具合をたしかめてみましょう。
室外機から低周波騒音が発生してしまう原因とは
基本的に室外機は、低周波音のような人体に影響を及ぼす音を発生させる機構にはなっていません。ファンの回転による騒音問題は近年研究が進められており、最近の商品では低周波騒音がおさえられるような工夫も考え出されています。
それでもなお、低周波騒音に悩まされる人が絶えないのはなぜなのでしょうか。その原因を知って、対策のために役立てていきましょう。
低周波騒音の原因
低周波騒音が発生してしまう原因には、以下のような理由があります。
・異物の混入
・汚れのつまり
・部品の不具合
・設置場所の問題
自分でも対処できる可能性のある原因も存在するため、それぞれしっかり知っておきましょう。
異物の混入
室外機から低周波騒音が出る原因としてまず挙げられるのが、ファン内部への異物の混入です。排気をおこなう機構の中に虫や枯葉、雑草などの異物が混入すると、排気もうまくいかなくなってしまうでしょう。そうなってしまうと、異音という形で低周波騒音が出てしまう可能性があります。
汚れのつまり
フィルターにホコリや汚れが詰まってしまっている可能性もあります。エアコンは、長年使い続けていればいるほどホコリや汚れが蓄積されていきます。買った当初はうるさくなくても、次第に音が大きくなっていくにつれて低周波騒音となってしまうケースは珍しくありません。
部品の不具合
ファンやパイプといった内部の部品が経年劣化でガタついていたり、室外機が壁にしっかり固定されていない場合、内部で振動が起きてしまいます。その振動が、低周波を生み出すおそれもあるのです。設置時に立て付けがしっかりされていないと起きやすい症状なので、設置の際はしっかり固定してあるかなどをしっかり確認しましょう。
設置場所の問題
どれだけ対策をしていたとしても、室外機が低周波騒音を出してしまう事態はありえます。そんなとき、例えば寝室の近くに室外機があると、微弱な低周波でも気になってしまう可能性があるでしょう。多少低周波が出てしまっても生活に大きな影響を及ぼさないような場所に設置するということも、非常に大切です。
低周波を静かにさせるには?低周波騒音の対策方法
室外機の低周波騒音は、対策次第で軽減・解消することができます。下記では計4つの対策方法を解説していくので、ぜひ参考にしてください。
室外機の部品や取り付け状況を再確認
前述した通り、室外機の低周波騒音は本体の状態次第で発生してしまうことがあります。そのため、室外機から低周波の気配を感じた場合はまず、その室外機の状態をチェックしてみましょう。
簡単なことからいえば、汚れやホコリの有無です。カバーを外して、ファンや内部の異物をしっかり掃除しておきましょう。部品や固定状況のチェックも大切です。ぐらついていれば、しっかり固定しなおしておかなければなりません。
また、この作業はやや難易度の高いものとなります。作業の際は、部品をなくさないように、こわさないように、注意しておこなっていくようにしましょう。
室外機の振動をおさえよう
振動によって起きる低周波騒音は、室外機から発せられる騒音の原因としても多い部類に入ります。この振動は地面などを伝わって室内に入ってくることがあるため、しっかり対策を取らなければなりません。
近年では、室外機と地面の間に引く『防振ブロック』や『防振シート』という便利な商品が市販されています。これらを室外機の下に敷けば、振動による低周波の影響を大幅に軽減してくれるのです。
また、専用のシートやブロックにはさすがにかないませんが、大きめのバスタオルを引いても効果はあります。重量物である室外機を動かすこととなるため、作業は十分注意するようにしましょう。
室外機の設置場所を変更する
低周波の中には、室外機本体が出す音はもちろん床や壁を振動させるという種類のものもあります。これらが寝室など、家庭内の大部分を過ごす部屋の近くにあると、生活に大きな影響を与えてしまうのです。
室外機が床や壁にぴったりついていたりすると、室外機の振動が直接伝わってさらに室内への影響を大きくしていきます。室外機の設置場所を変えるだけでも大きく状況が改善するケースも多くあるため、一度試してみましょう。
この作業も前述同様、室外機の移動が必要となるため、自身や機器の安全確認が必須となります。また、賃貸住宅などにお住まいの場合は大家さんや管理会社に許可を取ってから移動させるようにしてくださいね。
『ノイズキャンセリング』の商品を利用する
今すぐにでもできる方法としては『ノイズキャンセリングの商品を利用する』、というやり方もおすすめです。ノイズキャンセリング商品とは、周囲のノイズ、つまり騒音を軽減させることに特化した商品のことを指します。こうした製品の多くは入ってくるノイズに対応した音の波を重ね合わせ、低減するものが多くなっています。
この技術は、主にイヤホンや耳栓に活用されていることが多いです。「とにかく今すぐこの不快な音から逃れたい!」という方は、いったんこのノイズキャンセリングを利用してみるのもよいでしょう。
しかし、この方法はあくまで低周波音の不快感を軽減させるためのもので、原因を解決しているわけではありません。あくまで簡易的な応急処置であるため、その後の室外機への対策もしっかりおこなうようにしましょう。
もし隣人の室外機が音の出どころだったらどうすればいい?
ここまで室外機の低周波騒音について詳しく解説してきましたが、低周波騒音の障害は自分の家のみとは限りません。近隣の住民の影響で低周波障害にかかってしまう可能性も十分あるのです。
低周波障害が起こりやすいケースのひとつに、アパートやマンションといった集合住宅における隣の部屋の室外機から低周波が発せられていたといものがあります。基本的にこうした集合住宅では大窓の外、ベランダに室外機を置きますよね。
大窓に近いその場所は、当然自分の部屋とも非常に近しいところにあります。とくにワンルームともなると、その影響は非常に大きなものとなるでしょう。
こご近所トラブルの発端にもなり得る非常にデリケートな問題ですが、改善しないことには安眠の日々を取り戻すことはできません。的確に、しっかり対処していきましょう。
隣人に直接伝えにいくのはおすすめできない!
お隣の室外機がうるさいという場合、隣人に直接改善を要求しにいくのはあまりオススメできません。
なぜなら、室外機の低周波というものは、人によっては本当に気にならないものだからです。低周波障害は周囲の理解を得にくいという大きな難点を抱えているため、隣人に理解を得られなければなかなかよい方へは向かっていかないでしょう。
こちらがいくら室外機の騒音を訴えたところで、『大したことではない』と思われてしまえば、神経質なクレーマー扱いを受けてしまうこともあります。そうした不理解からはじまってしまう近隣トラブルは近年、珍しくもないというのが実情です。
もちろん、理解を示してできる限りの対処をしてくれる隣人の方もいる可能性はあります。直接伝えにいくとしても、はじめはお願いをするような形で理解を求め、折り合いがつかなさそうであれば第3者による介入を検討しましょう。
集合住宅の場合
集合住宅の場合、まずは管理会社や大家さんにお隣からの低周波による被害を伝えましょう。
集合住宅の管理者は入居者の生活がおびやかされないよう、改善をおこなう義務を負っています。騒音被害を訴えれば、基本的には管理者側から騒音の発生源となっている入居者へと話を通してくれるでしょう。
騒音を出しているお隣さんの側としても、管理者からの通達は無視できない強制力があるため、入居者同士でやりとりするよりも改善が見込みやすくなります。トラブルになったときに味方を増やすことも大切なので、できるだけ管理者を巻き込む形で低周波対策に乗り出しましょう。
一戸建ての場合
一戸建て物件の場合、集合住宅のような管理人がおらず、味方となってくれる第3者がいないかもしれません。そうした場合に頼るべきなのが、市役所や区役所のような自治体の行政です。自治体の行政機関には『公害課』や『環境課』といった騒音に対する相談を取り扱う窓口があるので、まずはそこに相談してみましょう。
多くの自治体では、条例で騒音に関する規則を定めています。これは、『○○デシベル以上の騒音を出してはならない』というような決まりです。お隣からの低周波騒音が自治体の定める規定値を上回っていれば、『行政指導』という形で強制力のある改善要求を第3者から出してもらうことができます。
騒音測定の器具をお持ちであれば、具体的に「お隣からこのレベルの騒音が出ている」という物的証拠を数値で出せるため、スムーズに話を進めることができるでしょう。同様に保健所や警察署にも騒音被害の相談窓口があるので、そちらに話を持っていくのも有効です。
最終手段としては、民事訴訟を起こすことを前提に弁護士と相談する方法があります。「これだけの騒音があってこんな被害を受けている」という証言と証拠を用意することがきれば、裁判所を通じて騒音改善の要求が可能となる場合もあるでしょう。
室外機の掃除・移動などの作業が不安なら業者に依頼してみよう
室外機の低周波騒音は、基本的に掃除や点検、設置場所の工夫などで改善することができます。しかし、室外機の内部を実際に見たり、触ったりしたことのある人は少ないのではないでしょうか。室外機の内部構造や部品などに詳しくない状態で無理に作業をしてしまうと、かえって状況が悪化してしまう可能性もあります。
室外機は意外と大きく、重いものです。力に自信のない方が無理に動かそうとすると、室外機・自分双方に危険がおよびます。自分自身のケガや室外機の破損を防ぐためにも、作業に慣れていない場合は業者に依頼しましょう。
業者に依頼するメリット・コツ
業者に依頼をすれば、プロの技術で効率的かつ効果的な作業をしてもらえます。また、慣れてないと分かりにくい適切な設置場所にも、しっかりと設置をしてくれるという利点もあります。
業者の中には低周波騒音の測定・調査を得意としているところもあるため、そういった業者に依頼できると安心ですね。気になる業者の業務実績を調べ、室外機の低周波対策に慣れた業者を選択しましょう。
また、さまざまな業者を見比べることで、その業界の費用相場がわかるようになります。できるだけお得に依頼したいのであれば、複数の業者の値段を比較してみてください。
まとめ
室外機などの低周波は、健康をおびやかす危険性のある騒音です。近年では低周波によって引き起こされる体調不良『低周波障害』になってしまう人も多く、1日でも早くの対策が求められています。
掃除や機器のメンテナンスなどの基本的な点から、設置場所の移動などの本格的な方法まで、低周波騒音の被害を和らげる方法はいくつかあります。根本から、しっかり低周波対策をしたいという方は、低周波に強い業者に依頼を出して点検・施工をしてもらうと安心ですね。
また、低周波の被害が隣人によってもたらされている可能性もあります。そういった場合は第3者の協力のもと、適切に対処していけるようにしていきましょう。また、場合によっては自分が知らず知らずのうちに騒音の原因となってしまうこともあるかもしれません。隣人から苦情がきたときは、理解を示した上でしっかり対処をしていきましょう。
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