アースとは違う!グランド(GND)を理解するための基礎知識を解説

2021.11.16

アースとは違う!グランド(GND)を理解するための基礎知識を解説

電気機器を設置・接続する際に「グランド」という用語を聞いたことはありませんか。とくにスピーカーやAVアンプなど音響機器を設置する際にはグランド(GND)が音質にとって重要な役割を果たします。しかしそもそもグランドとは何でしょうか。また、グランドは英語で「地面」。すると接地やアース線とは何が異なるのかも気になるところ。

今回はグランド(GND)に関して、その基礎から確認していきたいと思います。

電位の基準を決める「グランド(GND)」

グランド(GND)とは、電位の基準を決めている回路ことで、電気をスムーズに流すために必要な仕組みです。これだけでは何のことだかよくわかりませんね。グランド(GND)の仕組みや必要性を理解するには、まずは電気の性質を知る必要があります。順にご説明していきます。

電流は電位の高いほうから低いほうへ流れる

電位とは、簡単にいえば電気の高さです。電気は水のように、電位の高いほうから低いほうへ流れていきます。

例えば長いパイプを使って水を流したいとき、パイプが水平では水が流れていきません。流したい方向へパイプを傾けると、低いほうへと水が流れていきます。同じように、電気を正しい流れに導くには、出発点と到着点の電気の高さに差を付ける必要があるのです。この差を「電位差」といい、ボルト(V)という単位であらわします。

ボルトといえば、電気の強さである電圧の単位もボルトですよね。例えば水を流すパイプの傾きを大きくすれば、それだけ水は勢いよく流れます。電気も同じように、出発点と到着点の電位差が大きいほどパワーが強くなります。つまり、「電位差=電圧」なのです。

電機製品には「10V」などの表示があります。この表示はつまり、電気の出発点と到着点に10ボルトの電位の差が必要だということをあらわしています。

コンセントの左側はグランド(GND)

電気機器にはさまざまなものがあり、それぞれ電位は違います。水に例えるなら、いろいろな高さから水が出てくるわけです。あらゆる水がスムーズに流れるようにするには、どこからでも必ず流れることができる「最も低い場所」を作っておく必要があります。この最も低い場所を作るのが、グランド(GND)です。

最も身近なグランド(GND)の例が、コンセントです。住宅のコンセントをよく見ると、2本並んでいる穴のうち左側が少しだけ長いのがわかります。この左側の穴が、じつはグランドの役割を果たしています。

普段は気にしませんが、厳密にはコンセントの右側の穴が電気の出発点、左側の穴が到着点なのです。到着点である左側の穴は、地面につながっています。地面は最も低い電位、0ボルトだからです。

コンセントにグランド(GND)を設定しておくことで、あらゆる電気機器がスムーズに使えるようになっているのです。地面に導線をつなぐことができない自動車や飛行機の場合、金属の構造部分をグランド(GND)にします。

コンセント

音響機器で重要な役割をもつグランド(GND)

左右の穴に違いがあるとはいえ、普段コンセントを使うときにプラグの向きを気にすることはないでしょう。コンセントは交流電流といってプラスとマイナスが激しく入れ替わっているため、どちら向きにプラグを挿しても問題なく電気が流れるのです。

しかし、音響機器を使うときは正しい向きで使ったほうが、音質がよくなります。音響機器は、音を電気信号に変えてやりとりをしています。マイクやミキサー、アンプ、スピーカーといった複数の機器を接続したとき、それぞれの電位の差によってノイズが発生することがあるのです。

コンセントの向きを正しく接続することで、このノイズをグランド(GND)によって地面へ逃がし、ノイズを解消することができるのです。

音響機器などプラグの向きが性能に影響する機器では、向きを判別するための目印がプラグに付いていることが多いです。プラグの片側に▲マークが付いていたり、ケーブルの片側に白い線が付いていたりと機器によって違いますので、取扱説明書で確認してみましょう。

音響機器などプラグ

グランド(GND)と接地(アース)の違い

冷蔵庫や電子レンジなどの電気製品にコンセントとは別のケーブルが付いていて、コンセントに接続されていることがありますね。このケーブルはアース線といって、コンセントを介して地面に接続されています。

地面につながっているという特徴からグランド(GND)と混同されることもありますが、グランド(GND)とアースはその目的に少し違いがあるのです。

アースの目的は、感電を防ぐことです。もしも電気機器が故障によって漏電しているとき、その電気機器に人が触れると電気が流れて感電してしまいます。アース線で電気機器と地面をつなげておけば、もし漏電しても電気は人よりも地面に優先的に流れていくため、感電を防げるのです。

漏電

グランド(GND)と接地(アース)の種類

グランド(GND)や接地にはいくつかの種類があります。それぞれ解説していきましょう。

シグナルグランド

パソコン内部のマザーボードやそのほか電子機器の制御盤など、電子回路を含む回路の基準となる電位を決めるグランド(GND)です。回路の戻り部分に当たり、回路間の電圧を安定させるためのものなので通常は接地(アース)を取りません。

シグナル接地

シグナルグランドのなかでも特に電位の安定を求める場合、地面の電圧を基準にするために接地(アース)をおこないます。これがシグナル接地です。

フレームグランド

機器の部品間で電位の調整をする際、最も安定していて基準にしやすい金属製の骨格部分につなげるグランド(GND)です。軽量化の視点から「電源に戻っていく配線」を省略したい意図もあり、フレームグランドが利用されることも多いです。

フレーム接地

骨格部分が基準(0V)になるからといって、地面と同じ電位であるとは限りません。するとフレームグランドを使っている機器に触れた場合、身体を通じてフレームグランドと地面の間へ電流が流れるおそれがあります。この感電事故を防止するために接地(アース)をおこない、フレームの電圧を地面に合わせるのがフレーム接地です。

保安グランド(保護接地)

電気が漏れたときの安全性を確保するためのもので、一般的に「アース」といえばこれを指します。破損などで電気機器が漏電した際に、その電気をアース線から地面へ逃がすことで感電の被害を最小限に抑えます。漏電ブレーカーがあれば、アース線に電流が流れたことを検知し、電気を止めることも可能です。

接地(アース)をする際のポイント

グランド(GND)やアースを利用する際の注意点を見ていきましょう。

安定した地面の部分に接地する

地面といえども、土の湿り気・温度などの要因で電気的性質が変わります。そのため電気を通しやすくなる、湿気のある場所へなるべく接地をする必要があるのです。

また、従来は水道管の多くが金属製だったため、水道管につないで接地の代わりにするということも多くおこなわれていました。しかし、近年では塩ビ管に置き換えられていることが多いほか、電流が流れることによってサビなどを促進する要因となるため避けましょう。当然ながら、引火の危険があるガス管へつないではいけません。

地質などによって設置方法の検討が必要

地質なども接地に影響します。例えばもともと水田だったところであれば水分が多く含まれており電気を通しやすい一方、山肌を削って造成したようなところでは比較的電気を通しにくくなります。そのためアース棒の長さを長くしたり、複数のアース棒を組み合わせて利用するなどの工夫が必要です。

こうした作業は素人では困難です。漏電改修のプロなど、専門知識を持った業者に依頼しなければならない場面も多いでしょう。特に漏電時の安全を確保する保安グランドの場合、接地には電気工事士の資格が必要です。

できれば1つのアースにまとめる

地面の状態によって電気的性質が変わるため、同時に使う機器の接地はできるだけ1つのアースにまとめましょう。また保安グランドなど漏電防止用途であってもできればまとめたいところ。

地面であっても電気の通しやすさに微妙な違いがあるからです。また、落雷で瞬間的に地面の電圧が上がることがあり、複数のアースが同じ回路で使われていると機器へ逆流しやすいことも大きな理由になります。

まとめ

グランド(GND)はあまり馴染みのない言葉で、「グランド=地面」という発想から接地(アース)と混同してしまうこともあります。しかし、グランド(GND)と接地(アース)では目的が違います。

アース工事は地面の状況によって工事方法が変わるなど、専門知識が必要になってきます。特に漏電対策としての保安グランドを設置する場合は漏電改修のプロなど専門知識をもった業者へ依頼し、安全かつ確実におこなってください。

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