日本のコンセントの電圧は100Vまたは200Vです。しかしこの電圧やボルトという単位、実際にはどういう大きさを指しているかわからない方も多いのではないでしょうか。加えて「アンペア」や「ワット」などという単位も出てきて、理解が難しくなるのは当然といえば当然です。
今回は電圧について、わかりやすくなるようたとえを交えながら解説していきます。電気について理解して、いざというときに役立ててください。
目次
そもそも電圧とはなに?紛らわしい「アンペア」「ワット」との違い
では、電圧とは何か、ほかの用語と一緒にまずは「概念」について説明していきましょう。
電圧とは
電圧を簡単に説明すると「電気を送り出すためにかける力の量」です。単位は通常「V(ボルト)」で表わされ、数字が大きいほどその力が大きいことを示しています。
電流とは
電流は「実際に流れている電気の量」です。単位は「A(アンペア)」で表し、数字が大きいほど流れている量が多いことを示します。電気使用では「家全体で何Aまで」という契約が基本で、「アンペアブレーカー」によってコントロールされている場合も少なくありません(スマートメーターによる管理へ現在移行中)。
なお電流は正確にいうと「原子の周りを飛ぶ電子の流れ」であり、一般的に考える電流の向きとは逆方向に流れています。
電力とは
電力は「電気によってどれだけの仕事ができるかの量」です。単位は「W(ワット)」で表わされます。
なお「ワット」と聞くと電気のイメージが強いですが、「W(ワット)」自体は「どれだけ仕事ができるか(仕事率)」なので、ほかの分野でも使われる単位です。電圧や電流とは
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
という関係性があります(本来は力率(力が使われる効率)も考える必要があるものの、直流の場合は最大値「1」を取る)。
また「W(ワット)」は従来、白熱電球の明るさを示すときにも使われていました。しかし蛍光灯やLED照明の普及により「明るさ」と「電力」の関係性が薄れてしまったため、本来の光の量を示す「lm(ルーメン)」に置き換わっています。詳しくは「『ルーメン』は明るさの単位です!ルーメンをわかりやすくご説明! 」もご覧ください。
電気抵抗とは
もうひとつ、電気について考えるときには「電気抵抗」という概念が必要になります。この電気抵抗とは「電流の通りにくさ」を値として示したもので、通常単位は「Ω(オーム)」を利用することが多いです。
金属は電流を通しやすいもの(導体)が多いですが、そのなかでも銅や銀の電気抵抗値は低いことが知られています。そのため機械内外の導線やケーブルなどに用いられます。また水は本来電気を通しにくい(不導体)ものの、水の中に溶けている物質が作用すると電気を通しやすくなることも重要になってくるでしょう。
【電気抵抗ゼロの超電導】
電気抵抗がゼロになると、電圧をかけなくても電流が流れるようになります。この状態を「超電導」といい、一部の合金(金属同士を混ぜ合わせたもの)を低温にするとその現象が起きるのです。
超電導で実現させた強力な電磁石を使い、現在「磁石で浮いて高速走行する」リニア中央新幹線の計画が進められています。また大電流をロスなく送れることから、送電線などにも利用されつつあるのです。
電圧や電流を「道路」にたとえて考えてみよう!
先ほどは「概念」について説明しましたが、それだけではいまいちイメージがつかみにくい方も多いでしょう。そのため道路と車を例にし、改めて解説していきます。
電圧は「制限速度」
電圧を道路と車の関係にたとえれば「車の制限速度」です。車の制限速度が高い(電圧が大きい)ほどスピードを出すことができるため、たとえ1車線の道路でも多くの車が通行できます。
電流は「車の台数」
一方電流は「車の台数」と考えてみてください。先ほど触れたとおり、車のスピードが速ければ多くの車が通行できます。つまり電圧が大きければ、電流も大きくすることができるのです。
電気抵抗は「道路の幅」
電気抵抗は「道路の幅」にたとえてみましょう。ただし「通りにくさ」なので、「電気抵抗が小さい=道路の幅が広い」「電気抵抗が大きい=道路の幅が狭い」と考える必要があります。
幅の広い道路では車同士が並行することもでき、多くの車が一度に通れることができます。しかし幅が狭いと同時に通行できる車は限られてしまうのです。多くの車を通そうと制限速度(電圧)をあげても渋滞してしまうので、結局は「車の台数」(電流)が少ない状態になるでしょう。
電力は「車で運んだ量」
一方電力は「車で実際にどれだけのものを運べたか」で考えてみてください。速度が速ければ早く目的地に着けるぶん、より多くのものを運ぶことができます。また台数も多ければ同様により多くのものが移動できますよね。このように電流や電圧が大きければそのぶん、電力も大きくなります。
このように、「電圧」「電流」「電力」「電気抵抗」には強い関係性があるのです。
単1電池と単3電池は何が違う?コンセントとの違いは?
では単1電池と単3電池は何が違うのでしょうか。じつはこの2つ、これまで触れてきた「電圧」「電流」などに差はありません。そのため単3電池を単1電池の大きさに変換するアダプターなども市販されています。
違いは「燃料の量」
差が出るのは「電気の量」です。先ほどの道路の例でみていくのであれば「燃料の量」として考えてください。
車の制限速度が速ければそのぶん多くの台数を行き来することができますが、燃料も多く消費します。一方行き来する台数が少なければそのぶん、燃料の量は抑えることができます。
単1電池は「電気の量」が多い、つまり多くの燃料が確保されているため、より長く電流を流し続けることができます。一方単3電池のようになるとサイズが小さくなると「電気の量」も少なくなるため、同じ電流を流す場合の寿命が短くなってしまうのです。
直流と交流
一方「単1・単3電池」と「コンセント」の間には「直流と交流」という大きな違いがあります。
【交流は常に電圧・電流の向きが変化している】
交流と直流の大きな違いは「交流は周期的に変化している」ということです。たとえば100Vの交流電源の場合、電圧は「100V~0V~-100V」の間を行き来していると考えてください。そのため電流の向き・大きさもそれに従って変化し続けるのです。道路にたとえれば制限速度が常に変化する「片側交互通行」と考えてみましょう。
この変化の回数、東日本では1秒間に50回(50Hz)、西日本では1秒間に60回(60Hz)に近づくよう調整されています。一方単1電池などでは常に一定の電圧・電流が送られており、変化はほとんどありません。
交流を直流に変換している機器も多い
常に変化をし続ける交流の電気は使いにくいため、直流に変換している機器も多いです。「ACアダプター」が付属しているような機器はもちろんのこと、その機能を内部に内蔵していることも少なくありません。
じつは発電所で電気が作られる段階では直流の電気なのですが、発電所内で交流に変換され私たちのもとへ届けられています。交流は電圧を変えることができるのに加え、高電圧にすれば効率的に電気を送ることができるからなのです。
電圧で発光!半導体「LED」の仕組み
もうひとつ電圧を利用して光を発光させる仕組みとして、近年急速に普及している「LED」というものを確認しておきましょう。
直流で発光するLED
LEDは金属ほどではないものの、電流を通す「半導体」に分類されます。先ほどの道路の例では「少し細い道」と考えてみてください。細い道だと車は渋滞してしまい、排気ガスとして多くの熱(エネルギー)を余分に出してしまいます。その「制限速度(電圧)と実際の速度の差(エネルギー)」を「光」にしたのがLEDです。
実は白熱電球も「フィラメント」という半導体に電気を通すことで光と熱を生み出すため、原理としては似た仕組みといえるでしょう。ただしLEDでは2種類の半導体を組み合わせているので白熱電球と違い、光る電流の方向があります。そのためそのままLEDを交流回路に組み込むことはできず、一度方向が一定な「直流」の電気へと変換する必要があるのです。
なおLED信号機などで使われている簡易的な交流→直流変換では「-100~0V」にあたるマイナスの電圧を単純に逆転させて利用していることから、常に電圧・電流が変化します。そのため蛍光灯(水銀ガスに電子をぶつけ、発生した紫外線で発光させる)と同様目に見えない速さで点滅しており、カメラなどでは映りにくいことも少なくありません。
コンセントは片側のみに電圧がかかっている?
コンセントの電圧は100Vとお伝えしましたが、じつはこの電圧がかかっているのは「片方の穴」のみです。
アース側とホット側に分かれている
壁についているコンセントの穴をよく見ると、穴の長さが微妙に異なることがわかるでしょうか。この穴の長い方(通常左側)は「アース(接地)側」、短い方(右側)は「ホット側」と呼ばれています。
このうち、アース側には電圧がかかっていません(0V)。また過電圧がかかった際の保護のため、電柱上の変圧器(トランス)部分で地面へとアースが取られています。一方ホット側には交流電気らしく「-100~100V」の間で周期的に変化する電圧がかかっており、触れると危険です。また電気工事のプロであってもアース側・ホット側を取り違えている可能性があるため、アース側でも屋内配線には触れないようにしましょう。
電圧の差によって電気が流れることができる
電圧がかかっていなければ一見すると電気は供給されないように思うかもしれません。しかし電流が流れるためには「電圧の差」が必要です。車1台分の幅しかないところに両方向から同じ台数の車を送り出しても、詰まってしまい車は通行できないのと同じことといえるでしょう。
そのためアース側には電圧をかけず「ホット側のみに」電圧をかけることで、はじめて電流を流すことができます。
どうして漏電は危険なの?
漏電にもじつは「電圧の差」が関わっています。
漏電の仕組み
漏電すると「コンセントのアース側」だけでなく電化製品の表面にも電圧が生じます。その状態で漏電した機器に触れると「電化製品の表面(電圧がかかっている)」-人体-「地面(電圧がかかっていない)」という通り道ができてしまい、電気が人体へと流れてしまうのです。
しかも高電圧を利用した肩こり器などと違い、電流が継続的に流れます。人体は電気を通すものの電気抵抗は比較的大きく多大な熱が発生するほか、人の神経系・とくに心臓の鼓動は電気信号でコントロールされていることから、体のコントロールにも大きな影響を与えます。
アース線はしっかり取り付けよう
一般的な漏電ブレーカーで検知できる「50mA」の電流は人体にとって生死の境に近い数値です。しかしアースで事前に電気の通り道を作っておけば「実際に触ってしまう前」に漏電ブレーカーが作動しますし、作動しない場合でも電気抵抗の大きさは「アース線<人体」であることから、漏電した機器に触ってしまっても人体に流れる電流はわずかなものに抑えることができます。
まとめ
電気はわたしたちにとって身近な存在ですが、一方で原理や仕組みがわかりにくいものでしょう。まずは「電圧とは」「電流とは」などをイメージでつかんでみてください。イメージをつかむことで正確な理解へとつなげていくことができます。
とくに漏電の原理は「電圧」、とくに「交流の電圧とはなにか」を正確に理解していないと危険性もつかみにくいといえるのではないでしょうか。理解を深めるとともにアース線の大切さを知り、漏電したときの対策を確実に実施することが求められます。必要に応じて漏電改修のプロなどへの依頼も検討してください。
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