お使いのエアコンが接続されているコンセントをよく見てみると、プラグから細長い緑と黄の線が出ていたり、プラグ自体に3本のピンがあったりしませんか。このような線やピンは「アース」の役割を果たしており、近年エアコンにもアース接続が義務化されたという事情があります。
この義務化の背景には一体何があるのでしょうか。今回はエアコンを中心としたアース接続事情について取り上げていきます。
目次
エアコンにアース接続が必要な理由
暑い夏や寒い冬、部屋の温度を調整して快適な空間を作り出すのに、エアコンは大きな役割を果たします。そんな便利な家電のひとつであるエアコンにアース接続が必要な理由とはなんでしょうか。
大電流・大電力を使用するから
現在、エアコンを新規設置する際には分電盤から直接コンセントまで届く専用の配線が必要です。この大きな理由として挙げられるのが「エアコンは大電流を使う機器だから」という事情。通常のコンセントで利用できる最大電流は15~20Aですが、エアコンは必要とされる能力次第で、このギリギリまで使うことも少なくありません。
またエアコンの中には通常の100Vではなく、200Vの電圧を供給するコンセントを必要とする場合があります。こうした機器を安全に利用するために、アースは必要不可欠な存在です。
冷房時に水を発生させるから
水は不純物が混ざりやすく、電気を通しやすい性質を示すことが多いです。水を通して漏電や感電事故が起こることも少なくなく、こうした機器には事前の対策が不可欠となります。
ほとんどのエアコンは水道水などの供給を受けません。しかし空気が含むことのできる水蒸気の量が温度によって変化することから、冷房時にはエアコン内部で結露が起こることが多いのです。
室外機が雨にさらされるから
エアコンは本体と室外機が一体となって稼働するものであり、家庭用の室外機では本体側のコンセントから電気供給を受けることが一般的です。しかし室外機の設置環境は電化製品にとって、決して万全とはいえません。
室外機は壁面やベランダなど雨の吹き込むような場所に設置されることが多く、漏電のリスクは小さくないのが実情でしょう。洗濯機などアース設置が義務化された水回り機器と比べても、リスクは同等といえるかもしれません。
こうした危険性を回避し安全に使うため、最近のエアコンにはアース線やアース端子が設けられていることが多いのです。
内線規程改定によりエアコンのアースは義務化!
エアコンでアースを取る理由としてもうひとつ大きいのが、先ほど取り上げたリスクを踏まえた「内線規程改定による義務化」です。
内線規程とは
内線規程は電気関係の法律や政令などの趣旨をもとに、安全な電気配線・電気工事を実行するために決められた電気業界の自主基準といえるものです。違反することによる罰則自体はないものの、電力会社も内線規程に基づいて工事がおこなわれている前提で電気を供給します。
かつてはエアコン設置時にアース接続の義務はありませんでしたが、現在では次のような規定の影響もあり、義務化されています。
室外機の設置場所による義務
屋外の電化製品、とくに雨の当たる場所にある電化製品には安全のためアース接続が義務化されています。
雨が当たるかの基準となるのが「雨線」という概念。軒先など雨よけとなる部分から地面に向かって下に線を下ろし、その線からさらに屋内側45度に向かって線を伸ばします。この線が「雨線」といわれ、この内側には雨が当たりにくいとみなされるのです。
しかしエアコンの室外機はこの雨線の内側に設置されることはほとんどありません。そのため雨が当たりやすい環境といえ、アース設置が義務化されました。
200Vコンセントを使用する際の義務
200Vコンセントに対するアース設置義務化も、エアコンにとってかかわりの深いものといえるでしょう。
100Vから200Vに電圧を高くすると、同じ電流でも取り出せる電気エネルギーが大きくなります。そのため200Vコンセントは広い空間を冷やすためのエアコンのほか、IHコンロや電気温水器などにも利用されていることが多いです。
つまり「大電流を使う機器」という前提があり、万が一漏電した際のリスクが大きい点がアース設置義務化の理由といえるでしょう。
なお200Vコンセントであっても一般の家庭では電力供給の仕組み上、漏電時にかかる電圧は100Vのときと変わらないことが多いです。
エアコンの標準工事もアース接続が前提
多くの家電量販店では実際にかかる費用をわかりやすくするため、設置・交換に必要な工事費用をエアコンの店頭販売価格に含めていることが多いです。この工事費用を算出するため一定の作業をセットにしたのが「標準工事」といわれるもの。
標準工事には配管の長さや設置方法などが細かく定められており、このなかには「エアコンをアース接続すること」も含まれています。逆にアースがなければエアコンを設置できないともいえるでしょう。
ほかにアース接続が必要な家電は?
アース接続が必要な家電はエアコン以外にもいくつかあります。
洗濯機
大量の水を使う家電であり、濡れた手で触れる機会も少なくありません。そのためアース接続が前提として使用することになっています。
温水洗浄便座
「ウォッシュレット」や「シャワートイレ」とも呼ばれ、洗浄水として水を利用します。人の肌に直接触れることもあり、ほとんどの場合アースが設置されています。
冷蔵庫
エアコンと同じく庫内の空気から熱を逃がす仕組みであり、こちらも結露による水の発生がしやすい機器。また近年では製氷機能が付いたものも多く、水に触れることが多いといえます。
しかしほかの機器と比べれば感電の可能性は小さいため、漏電対策による安全性を前提にアース線がつかないことも多くなってきました。
電子レンジ
電子レンジは大電流を使うことに加え、ノイズを発生させやすいという観点からアース線が付いているものも少なくありません。
テレビ・音響機器など
電気信号からノイズの影響を小さくするためには「基準を設けること」が必要です。この基準として使いやすいのが地面であり、テレビや音響機器はアースを取ることでノイズの影響を最小限に抑えることができるのです。またテレビ自体がノイズの発生しやすい機器であるという事情も含まれます。
このほかにも大電流を使う、ノイズ抑制などの理由でアース線が付いている機器が少なくありません。必要に応じてアース線を接続し、安全・最適な環境になるよう調整しましょう。
エアコン交換時にアースがない場合は?
エアコン交換時にアース端子がない場合、原則としてエアコン交換ができなくなります。そのため追加費用を支払い、アース工事もおこなってもらう場合が多いでしょう。
ただしこの費用はアース工事だけをおこなう場合と比べ、高くなることも少なくありません。事前にアース端子がないことが分かっているのであれば交換前に設置工事をおこなっておき、エアコン工事時に追加料金が発生しないようにしておくのが理想的といえるのではないでしょうか。
専用配線の工事も同時に
アースとともに義務化されているのがエアコン専用のコンセントです。このコンセントも古い住宅では設置されていないことがあり、エアコン交換時に設置することになると費用が高くなるでしょう。この工事をアース工事と一緒におこなっておけば費用が節約できるだけでなく、見た目など細かい点の要望も聞いてもらいやすくなります。
エアコン交換時にはこれらのことを踏まえ、追加工事が必要な要素がないか確認しておきましょう。もし必要な点があればあらかじめ電気工事・漏電改修のプロへ依頼し、対策工事をおこなっておくのも手です。
まとめ
エアコンのアース接続義務化は比較的最近のことであり、エアコン周辺にアース端子がない例も少なくありません。エアコン交換時に発覚して追加料金が必要にならないよう、事前にチェックや対策は怠らないようにしましょう。
またエアコンの標準工事は必要最低限の内容でおこなうことが基本であり、追加料金を支払ってアース工事をしてもらったとしても配線が気になるなどの問題が生じることは少なくありません。あらかじめプロと相談し、納得できる方法で接地工事をおこなってもらうのが必要ではないでしょうか。
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