エアコンを設置する際に専用コンセントを増設すると、どうしても設置費用がかかってしまいます。そのため、延長コードなどで普通のコンセントにつなごうと考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、エアコンのコンセントに普通のものを利用する方法は、あまりおすすめできません。
エアコンの設置時には、専用のコンセントを用意しておいた方がよい理由があります。この理由を知っておかなければ事故の原因となってしまうこともあるため、しっかり把握しておきましょう。
また、エアコン設置の際にはコンセント以外にも特別なチェックポイントがいくつかあります。ここではそんな、エアコンのコンセントを中心とした設置についての疑問を解消していきます。
目次
なぜエアコン専用のコンセントが必要なの?
エアコンのコンセントは、なぜ一般的なコンセントではいけないのでしょうか。その理由は、コンセントや家電ごとの電力量にあります。
エアコンは消費電力が非常に大きい
エアコンの消費する電力は、その他の家電と比較して非常に大きいという特徴があります。一方で、ひとつのコンセントで使える電力は限られています。そんなコンセントに大きな電力を使用するエアコンをつないでしまうと、さまざまな不具合が起きる可能性があるのです。
これまでの屋内配線回路に多くの電流が流れてしまうため、その分過電流となりブレーカーが落ちやすくなるのはもちろん、最悪の場合熱を持って出火してしまうこともあります。このような危険性があるため、普通のコンセントでエアコンを動かすことはおすすめできません。
普通のコンセントだと許容最大電力を超える
エアコンは起動時がもっとも消費電力の大きいタイミングで、1,000W以上の電力を消費するといわれています。この電力量はもちろんエアコンによって変動しますが、大体この程度の電力が起動時にはかかることは知っておかなければなりません。
これに対して、一般的なコンセントの許容電力は1,500W(100V)。許容内ではありますが、あまり余裕のない数字です。エアコンの機種によっては最大電力1,500Wを超えるものもあるため、その場合はもう使用できません。
また、差込口2つのコンセントを使っている場合には、とくに注意が必要です。コンセントの許容電力は『差込口の合計』になるため、仮に最大消費電力1,400Wのエアコンをつないだ場合は、もう1つの差込口には100Wしか使えません。この状態で電化製品を使えば、電力の上限を超えてしまうでしょう。
法律で設置が義務付けられているわけではない
危険とはいえ、専用コンセントは決して法で定められているわけではない、ということもおぼえておきましょう。部屋やコンセントごとの電力量をしっかり把握し運用すれば、専用コンセントでなくともエアコンは正常に動きます。
しかし、メーカーや業者などにエアコン工事を依頼する際、普通のコンセントだと上記のリスクから設置工事をしてもらえないことも。基本的にはエアコンの専用コンセントは必要、ということを知っておきましょう。
エアコンコンセントごとに仕組みや形状・電圧が異なる
ここまで解説してきたエアコンコンセントの必要性。しかし、そんな大切なエアコン専用コンセントとは、いったいどのようなものなのでしょうか。ここでは、エアコン専用のコンセントについて詳しく解説していきます。
ブレーカーと1:1の個別回路
一般的なコンセントは、主に部屋ごとに割り振られたブレーカーとつながっています。これは、部屋内の電気や家電製品など、複数のものを同時に動かすための回路です。
前述したように、ほかの機器も動かしているようなコンセントに電力消費の多いエアコンをつなげば、当然過電流が起きやすくなってしまいます。また、同じ回路上にある別の電化製品にも電力の負荷がかかり、壊れてしまうこともあるのです。
この対策としてつくられたのが、エアコン専用のコンセントです。
エアコンコンセントの場合は条件や工事次第で200Vにも対応できる(普通のコンセントは100V)ため、大きな消費電力にも対応できます。また、このコンセントはエアコンのみにしか接続されていないため、許容電力量にも余裕があるのです。
簡単にいえば、このコンセントはブレーカーひとつと個別につながっており、電化製品(エアコン)とブレーカーが1:1の関係となっている、ということです。こうすることで消費電力の多いエアコンをほかの回路から区別し、安定した運転ができるようにしています。
ブレーカーが落ちることを防ぎ、過剰な電力による発熱も予防できる安全なコンセントといえるでしょう。
電圧やアースの有無で穴の形状が違う
コンセントの穴の形状と聞いてなじみ深いのは、縦長の穴が2つ開いたものではないでしょうか。しかしエアコンのコンセントの場合は、その形状が少々異なることもあります。
100V 15A(~8畳程度):平行縦長の穴2本(一般的なコンセントと同じ形状)
100V 20A(10~12畳程度):左の穴が反転させた『L』、または反転させた『ト』の字のような形状。右は縦長。
200V 15A(14~16畳程度):横長の穴が2つ並ぶ。
200V 20A(16畳~):横長の穴が2つ並ぶも、左の穴の右端がやや下に突き出す。
※アースがある場合は、この形状の下に半円のような穴が開きます。
この形状はエアコンの性能や部屋の広さなどによって変わります。エアコン用のコンセントだとしても、エアコンのボルト・電力量とコンセントのボルト・電力量が異なっていれば、使うことはできません。その場合は、コンセントの交換が必要となるでしょう。
この交換は資格が必要な作業となるため、業者に相談してコンセントの選別・交換してもらいましょう。
基本的にコンセントの位置は天井
一般的なコンセントは主に足元にあることが多いですが、エアコンのコンセントは基本的に天井近くにあります。この場所も、エアコン専用のコンセントかどうかを見分けるポイントとなるでしょう。
これに合わせて、多くのエアコンのプラグコードは床のコンセントに届かないような長さになっています。どうしても床のコンセントを使いたい、という場合は、延長コードを用いる必要があります。
ここではエアコンコンセントの特徴をご紹介してきました。とはいえ、上記の条件を満たしているコンセントがあったとしても、個別の回路になっていないことがまれにあります。エアコンの設置前には、そのコンセントが本当に専用の個別回路なのかメーカーや業者に見てもらいましょう。
延長コードもエアコン専用のものが必要?
どうしても足元の一般的なコンセントにつなぎたいという場合は、延長コードが必要となることが多いでしょう。しかし、この延長コードの取り扱いにも、いくつか注意点があります。
エアコン専用のものを使用する
延長コードの中には、エアコン専用のものがあります。もし延長コードを使いたい、ということであれば、必ずこの専用コードを利用してください。エアコン用の延長コードには、基本的に『エアコン用』などの記載がしてあるため、しっかり確認しておきましょう。
エアコン用 延長コード 5m 1500Wまで
最大5m、1,500Wまで耐えられる、エアコン用の延長コードです。エアコン専用コードは耐えられる電力が大きく、また差込口がひとつである点が特徴的。この構造によってエアコン以外の接続を防ぎ、過電圧のリスクを下げています。
それほど大型ではないエアコン(最大電力1500W以下)であれば、この延長コードを使用することができるでしょう。
そもそもあまり推奨されていない延長コード、ましてやエアコン専用でもないものを使うのは非常に危険です。延長コードがエアコンの電力に耐えられなくなり発熱してしまうこともあるため、専用以外の延長コードは絶対に利用しないようにしましょう。
最大許容電力
延長コードには、『最大許容電力』というものがあります。これは、延長コードが耐えうる電力量の上限です。エアコンはとくに使用電力量が多いため、この許容電力は絶対に確認しておいてください。
最大許容電力の足りない延長コードでエアコンを使うと、異常発熱を起こして発火してしまう危険性があります。また、たとえエアコン専用の延長コードだとしても、そのコードの許容電力をエアコンの消費電力が超えてしまえば意味がありません。
延長コードを使うときは、エアコンの使用電力とコードの最大許容電力をしっかり見て、間違いのないようにしましょう。
延長コードを使用する際は、以上のような点に注意しなければなりません。とはいえ、知識がない状態で電力量などを管理するのは、なかなか大変だと思います。そのため、よほどの理由がない限りは専用コンセントを設置した方が安全だといえるでしょう。
エアコンを取り付けるまでに確認しておきたいこと
エアコン設置はコンセント以外にも、さまざまな点を確認しなければなりません。ここではそんな確認項目を簡単に解説していくので、依頼の前にチェックしておきましょう。
ブレーカーを確認する
エアコン設置前には、家庭内にあるブレーカーを確認してみましょう。このチェックは簡単にできるので、一度確認してみてください。
200Vのエアコンに対応できるか?
小さな部屋の小さなエアコンなら問題ないこともありますが、大きな部屋を冷やす・暖めるエアコンは主に『200V』のものが使われます。しかし、ブレーカーの種類によっては使用できないこともあるのです。
このチェックは、ブレーカーの配線を見ればわかります。主に分電盤の一番左端にあるアンペアブレーカーに何本電線が入っているか、見てみましょう。この本数が3本あれば、200Vのエアコンに対応できます。2本しか入っていない場合は100Vのエアコンしか使用できません。
使用したい場合は、電気工事を依頼して200Vに変更してもらいましょう。
アンペアが足りているか?
ブレーカーのチェックでもうひとつ確認してもらいたい点として、『アンペアブレーカーのアンペア数』があります。このアンペア数が少ないと、快適にエアコンを使用できなくなることもあるため注意してください。
目安として必要とされるアンペアは、ひとり暮らしなら30A、一般家庭なら60A前後です。もちろんそのほかの電力の使用状況によってこの目安は変動してきますが、大体この程度あれば問題ない、ということはおぼえておきましょう。この数値はアンペアブレーカーに記載してあることが多いため、確認してみてください。
エアコン・室外機の取り付け場所
エアコンはどこにでも取り付けられるわけではありません。エアコンの大きさに合わせて、上部と左右に5cmを超えるスペースをもうけなければならないのです。
また、エアコンの設置の際には同時に取り付けなければならない機器があります。それが、『室外機』です。主に屋外やベランダに取り付けることの多い室外機ですが、こちらも同様、左右と室外機の後ろ側に5cm必要です。また、室外機の場合はこれに加えて前側、つまり排気口側に25cm以上のスペースも必要となります。
エアコンや室外機の設置場所は、意外と条件が多いものです。とくに設置場所の確保は、しっかりしておきましょう。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
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エアコン専用コンセントの増設は業者に依頼!費用相場は?
エアコンのコンセントの増設・交換などは、基本的にDIYは困難です。なぜなら、エアコン専用コンセントの交換や設置、増設などの作業には『電気工事士』の資格が必要となるからです。
電気配線は、資格はもちろん知識や経験がなければ大変危険な作業です。快適にエアコンを使うためにも、設置やコンセント工事は業者に依頼しておきましょう。
エアコンコンセントの工事にかかる費用
コンセント工事は、その種類によって費用が大きく変動します。ここでは、エアコン設置でするようなコンセント工事の費用について解説していきます。
専用コンセントの増設:1万5,000円~3万円前後
専用の回路を引き、コンセントを増設するには以上のような金額がかかります。費用に関しては業者によっても変動するので、依頼前に見積もりや相談をしておきましょう。
コンセントの電圧を変更する:約5,000円~
コンセントが100Vで200Vのエアコンを設置したい場合は、コンセントの電圧を変更する必要があります。コンセントの変更・交換だけであれば上記の金額よりも安く依頼できるケースもありますが、ブレーカーの電圧も変更するとより費用がかかるため、しっかり確認しておきましょう。
まとめ
基本的にエアコンには、専用のコンセントが必要です。延長ケーブルでもできないことはないのですが、扱いが難しく危険であるため、使用は控えておいた方が無難といえます。
また、エアコン専用コンセントは、エアコンのボルト数などによって形状が変わります。購入しようと検討しているエアコンに合わせたコンセントを用意できるようにしておきましょう。
とはいえ、エアコンの設置やコンセントの増設など、エアコン周りの作業の難易度は高めです。とくに電気工事の多くの作業は、基本的に資格を持っていなければ取り掛かることができません。無理にDIYしようとすると故障の原因にもなりますので、資格や経験のない方は業者に依頼して工事してもらいましょう。
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