ルーメン(lm)とは明るさを示す単位の1つです。明るさを示す単位にはおなじみのワット(W)もあり、「2人は兄弟」というぐらいに似たようなものといえます。
しかし、現在では照明器具の多くがルーメン表記を採用しています。なぜかというと、白熱電球に変わってLED電球など少ない消費電力で強い明るさを出すことのできる照明器具が台頭してきたことにより、新しい単位を用いる必要が出てきたためです。
そもそもワットとは、明るさではなく消費電力を表す単位でした。そのため白熱電球の性能を示すにはぴったりだったのですが、LEDの性能を表示するには不便だったのですね。
本コラムではルーメンという明るさの単位について解説いたします。ルーメンが具体的に何を表しているのかを知ることで、照明選びに迷うこともなくなるかもしれません。
目次
LED照明に書かれているルーメン(lm)について
現在市販されているLED照明のほとんどはワット(W)ではなくルーメン(lm)という単位で表記されています。この単位の違いは「ワットはどの程度の明るさか」と覚えている人にとっては非常にわかりにくいことでしょう。
ではルーメンという単位、いったい何を表している単位なのでしょうか。
ルーメンは光の明るさ、量を表す単位です
ルーメンは照明器具が白熱電球から蛍光灯へ移り変わりだしたころに使われるようになった明るさの単位です。より正確に答えるなら、照明器具の光の「量」のことをルーメンとして表しています。簡単にいうと、ルーメンが大きい照明器具を使えば、いくつも照明器具を買わなくてもその場を明るくできるイメージです。
さらにいえば、ルーメンは「光束」を表します
「光束(こうそく)」とは、光源から放たれる光が放射状に伸び、その無数の「線」が集まった集合体のことを指します。この光の線が寄り集まった「光の束」の量を測定したものがルーメンと呼ばれているのです。
ワット(W)に関する誤解。実は明るさを表す単位ではありません!
白熱電球によく使われるこのワット(W)という単位ですが、実はもともと光の明るさを示す単位ではありません。その正体は「消費電力」を示す単位です。
白熱電球は消費電力と明るさの間に対応関係があったため、光の明るさとしても単位が使われてきました。しかし、白熱電球より消費電力が少ない蛍光灯やLED照明でこのワットを表示させると、数W~数十Wという小さな数字でしか表記されなくなります。
白熱電球の大きなワット数で慣れてしまった人にとってはどれを選ぶか迷ってしまうために、ルーメンという単位が使われるようになったのです。
ワット数が小さいからといって明るくないわけではありません
ワットという単位は明るさの比較対象として用いられますが、多様な照明が登場した今、大きければ大きいほど明るいとはいいきれません。消費電力を抑えながら白熱電球に負けず劣らずの明るさを持つ蛍光灯・LED照明は、同じ明るさでもワット数は白熱電球より低くなります。
そうなると、蛍光灯やLED照明などの明るさをより正確に把握するためには別の単位を考える必要が出てきました。すると本来は明るさの単位ではない「ワット」ではなく、明るさの実態に近いルーメンという単位で示したほうが正確かつ比較できる形で明るさを把握できるというわけです。
今はルーメンという単位が主流です
1970年代後半から蛍光灯が普及し始めましたが、その際は白熱電球と明るさを比較しやすいよう、蛍光灯にも「〇〇W相当」という表記が使われてきました。しかし30年後、2000年代後半になると、さらに消費電力を少なくしつつ明るさを維持した「LED照明」が、家庭にも普及し始めたのです。
LED照明は蛍光灯の弱点だった「付け消しで寿命が短くなる」という点を克服しているため、白熱電球に取って代わる存在になりました。それに伴い、ワットは「白熱電球を基準に明るさを示す単位」としての役目を終えることとなります。2011年7月からは照明器具の規格を定める「日本電球工業会」の主導によって、LED照明の明るさの表記はルーメン(lm)で統一されることになりました。
しかしワット数でどの程度の明るさかを覚えていた人にとっては、LED照明の明るさがどれくらいになるのか予想がつかないという人もいらっしゃいます。
そこで下の表をご覧ください。
白熱電球と同じ明るさって何ルーメン?
白熱電球のワット数が大体何ルーメンにあたるのかを以下にまとめてみました。
白熱電球のワット数 | 同程度のルーメン |
60W | 810lm以上 |
40W | 485lm以上 |
30W | 325lm以上 |
20W | 170lm以上 |
お住まいの照明を白熱電球からLED照明に変える際は、上記の対応表を参考にして購入するべき照明の明るさを選んでみてください。
「lm/W」って?消費効率を気にするなら覚えておきましょう!
とくにLED照明を購入する際に重視したいポイントとして、「lm/W(ルーメンパーワット)」という性能があります。これはざっくりいうと、消費電力1ワットあたり何ルーメンの明るさが得られるかという、エネルギーの効率を表す単位です。原則、lm/Wが大きいほど、消費電力に対する明るさの効率は高いとされています。
たとえば同じ3,000ルーメンの明るさの得られる照明器具でも、150lm/Wの照明と100lm/Wの照明では、消費電力に1.5倍の差があります。より電気代を抑えた省エネルギーな住宅を目指すのであれば、まず必要な明るさを算出したうえで、発光効率の高い照明器具を選ぶのがおすすめです。
【光の広がり方】手元を明るくしたいなら下方向タイプ
明るさや消費電力のほかにも押さえておきたいのが、照明から放たれる「光の広がり方」です。
照明器具は光の向かう方向をシェードや傘を使ってある程度コントロールすることができます。そのため、下方向を明るく照らすタイプや全方位に光を広げるタイプなどの種類に分かれていることがあるのです。
たとえば「下方向」タイプの照明器具の場合、光があまり広がらないので、真下に光束が集中して、手元をはっきりと照らすことができます。
【光の広がり方】部屋全体を明るくしたいなら全方向タイプ
「全方向」タイプの照明器具は、光を全方位に広げるので、部屋全体を明るくできるのです。
例として、書斎やダイニングなどでは、手元がしっかり明るくなる下方向タイプの照明が向いているかもしれません。逆にリビングなどでは、部屋全体が明るくなる全方向タイプの照明が向いているとされています。
このように同じ明るさの照明器具でも、部屋の用途によって適した光の広がり方があります。そのため、お部屋をどのように照らしたいかも考えて照明器具を選ぶのがよいでしょう。
ルーメンで照明を選ぶときに押さえておきたいポイント
ルーメンが明るさの単位として用いられるようになってから、照明器具選びは単純に同じワット数のものを買えばよいというわけではなくなりました。加えて蛍光灯やLEDには、白熱電球よりも照明としての性能のバリエーションが豊富です。
お使いの電球と同等の明るさを把握したら、次はお住まいの環境に適した照明器具の選び方を考えてみましょう。
明るさ
照明器具を選ぶうえで何よりも重要になるのが明るさです。
現在お使いの白熱電球と同じ明るさのものを選ぶのも選択肢のひとつではありますが、より快適に暮らすためにもう一工夫してみませんか。お部屋の広さにマッチした明るさかどうかを考え直すきっかけとなるでしょう。
たとえば広々としたリビングに60ワット相当の明るさの照明器具では、少々パワーが足りません。部屋が薄暗いとものが見づらく危険なだけでなく、常に目に負担をかけることになるため健康にも影響が出る可能性があります。一方で、眩しすぎてもそれはそれで目に負担がかかるため、明るすぎず暗すぎずのちょうどよいラインを見極める必要があるわけです。
お部屋の広さごとに、どの程度の明るさを確保するのがよいとされているのか、目安を下記にまとめておきます。
◆必要な明るさの目安
部屋の広さ | 推奨ルーメン | 電球の場合 |
14畳 | 5,100lm~6,100lm | 500W~600W |
12畳 | 4,500lm~5,500lm | 400W~500W |
10畳 | 3,900lm~4,900lm | 320W~400W |
8畳 | 3,300lm~4,300lm | 240W~320W |
6畳 | 2,700lm~3,700lm | 180W~240W |
4.5畳 | 2,200lm~3,200lm | 180W |
お部屋の広さに応じた明るさとしては、上であげたものが目安だといわれています。ただしお部屋の壁や色によって必要な明るさは変動することがあるので、注意しておきましょう。
たとえば白い壁紙を使っている場合、明るすぎる照明では壁に光が反射して眩しくなってしまう可能性があります。逆に畳敷きなど光を反射しにくいお部屋の場合、目安よりも若干明るめの照明にしておいたほうが快適かもしれません。
また、一般的にお年寄りのお住まいでは、ものの見やすさを重視して目安の1.5倍程度の明るさを確保しておくのがよいとされています。すると10畳のお部屋の照明を買い替える場合、一段上となる12畳用の照明器具を使うのがおすすめです。
よく聞く「ルクス」や「カンデラ」も明るさに関係する単位です
懐中電灯や自転車のライトを購入するとき、明るさの単位が「ルーメン」という表記ではなく、ルクス(lx)やカンデラ(cd)だったときはありませんか。
蛍光灯などの、室内灯用の電灯などは明るさの単位にルーメンが用いられていますが、この2つの明るさの単位はいったいどういう意味を持っているのでしょうか。
ルクス(lx)は「照度」を表します
ルクスは「照度」と呼ばれる、単位面積あたりのルーメンを測定した単位です。具体的には照明によって照らされている面の明るさを指し、部屋の中で光に照射される壁や床の明るさを表しています。
そのため同じルーメン値を持った照明でも、照らす場所が近ければより明るくなるためルクスが高く、遠ければ暗くなるためルクスが低くなる傾向にあります。つまり、照明器具そのものの性能だけでなく、照明が設置されている高さや場所も含めた明るさを表すのがルクスという単位というわけです。
カンデラ(cd)は「光度」という意味です
カンデラは「光度」とも呼ばれる、一定の角度に放たれる光束の量を表す単位です。ルーメンが全方位の光束量を示すのに対し、カンデラは一方向への光束量を示しています。
具体例をあげるなら、車のライトをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。車のライトはハイビームとロービームで眩しさが違います。あれはライト自体の光る強さ(ルーメン)が変わっているのではなく、照らす方向を変えることでカンデラを高め、道路を明るく照らしているのです。
cd/㎡は「輝度」
cd/㎡(カンデラ毎平方メートル)は、輝度(きど)を示す単位で、照射面を別の方向から見たときにどれだけ明るく見えるかを表しています。簡単にいえば、光で照らされた面の明るさの度合いを示しているのです。
このように明るさとひとくちでいっても、さまざまな要素を絡めた単位が複数存在しています。そのなかで、計算の基本となるのがルーメンです。ほかの単位はルーメンに環境や角度の要因を掛け合わせたものだということがお分かりいただければ、照明選びにも役立ってくるでしょう。
まとめ
「ルーメン」が明るさの単位として広く知られるようになったのは、LED照明が普及し始めたのと同時期です。ワットに比べると若干ややこしい点は否めませんが、消費電力ではなく絶対的な明るさを示す単位なので、ルーメンについて知っておくと必要な照明器具が選びやすくなります。
ただし、照明器具選びは、単純に以前つかっていたものと同じ明るさを選べばよいというわけではなく、消費電力や光の広がり方など、お住まいの快適性にかかわるさまざまな要因が関係しています。
お住まいの環境に合わせたベストな照明器具を選ぶには、照明工事のプロに相談するのもひとつの手段かもしれません。
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