天井に埋め込む小型の照明・ダウンライトを取り入れる家庭も近年増えてきます。従来の照明は天井から出っ張っていたり、もしくは天井から吊り下がっていたりとどうしても目立つ存在でした。ダウンライトであれば照明が目立ちにくいほか、背の高いものを移動させる邪魔にもなりません。
しかし照明器具に関して気になるのが交換について。時代はLEDとはいえ、寿命が近づけば暗くなり、照明としての役割を果たさなくなってしまいます。目立たないように天井に埋め込まれているからこそ、交換になるとどう手を付けていいのか悩みが大きくなるのです。
今回はダウンライトの交換について、そもそもどう取り付けていくかという観点も含みつつ解説していきます。
ダウンライトって、いったい何?
そもそもダウンライトが住宅に普及した背景として、何があるのでしょうか。この章ではダウンライトの特徴について確認してみましょう。
ダウンライトは小型の照明
ダウンライトは従来よりも小型の照明で、直下の比較的狭い範囲を中心に照らします。そのため単独で使うシーリングライト(従来の照明)とは異なり、何個も組み合わせて利用することが多いです。
この特徴から部屋全体を明るく照らすより、必要な箇所に絞って明るさを確保できるよう配置する傾向にあります。また部屋の明るいところ・暗いところがはっきりと分かれることからまるで舞台のスポットライトのように印象的な空間を作りだすことも可能。明るすぎる空間は緊張感を生むため、ダウンライトで適度な暗さを演出し、リラックスさを求めることも可能なのです。
天井をシンプルに!ダウンライトの使用場面
ダウンライトのメリットを生かした使用場面を考えてみましょう。
ホームシアターの照明に
家をまるで映画館のような環境にしたい。BS4K・8K放送が始まったことで、ホームシアターに関心を持ち始めた方も多いのではないでしょうか。とくにNHKがおこなう8K放送では従来のフルハイビジョンをはるかに超える表現力といわれる映像、そして通常スピーカー22台・重低音スピーカー2台を使用した、まるでその場にいるような音響を楽しむこともできます。
しかし気になるのが照明の影響。照明の明かりが画面に映り込んでしまっては映像の魅力も落ちてしまいますし、出っ張った照明部分が音を乱反射してしまい、想定外の音響になってしまうことも。しかし普段の生活では照明なし、というわけにもいかないため、天井に埋め込むダウンライトが活躍します。
リビングの照明に
家族でリラックスして過ごす場となるリビング。しかし強い光では落ち着きませんし、暗すぎると子どもの勉強や新聞を読むのにも一苦労。必要な場所に明かりを配置するダウンライトであればリラックスできる落ちついた光環境を実現するだけでなく、机の上など必要な場所には十分な光を確保することができるのです。
寝室の照明に
1日の終わり、そして翌日への体力を蓄える場となるのが寝室です。しかし強い光を浴びてしまっては落ち着いて眠ることができませんし、かといって真っ暗なのも足元がおぼつかないだけではなく、逆に不安で眠れない、なんてことが。こうした不安を解消するためにダウンライトとその他間接照明を利用して「やわらかな光」を演出することで、安らかな眠りにつなげることができます。
ダウンライトは一体型?交換型?
従来のダウンライトは交換型が多くを占めていましたが現在では一体型が主流です。この変化の理由は「LED照明の採用・普及」にあります。一体型が主流になった理由、そして未だ残っている交換型を選ぶメリットをここでは見ていきましょう。
LED照明で長寿命化したため、交換型のメリットが小さくなった
ダウンライトに一体型が増えてきた大きな理由は、LED照明の採用にあります。LED照明は従来の白熱電球に比べ40倍・蛍光灯に比べても4倍以上の寿命を誇るほか、蛍光灯の寿命を削る「つけ消し」の影響を受けません。その寿命は4万時間といわれており、1日8時間点けると仮定すれば13年以上持つ計算です。
一方照明器具は安全性も考慮し、10年程度で交換することを見込んで設計されています。つまりダウンライト寿命をLED照明の寿命が上回ることから、寿命の場合「LED部分」「ダウンライト本体」両方を取り替える想定に。
交換型は取り外せる部分を作るため、そのぶん部品の点数も増えます。すると製造コスト増加につながり、結果として「一体型の方が交換型より安い」という逆転現象が起こるのです。
選ぶポイントは「ライフスタイルが変化する可能性」
一体型・交換型を選ぶ手掛かりは「部屋の使い方の変化が見込まれるかどうか」です。たとえばリビングのような落ち着いた雰囲気で過ごすなら電球色といった落ち着いた色合いを、作業スペースとして生かすなら細かいところまでしっかり照らす昼光色といったタイプを採用したいもの。たとえばリビングで内職を始めたり、もしくは小さなネイルサロンを開きたいような場合でも交換型ならLED部分を取り替えるだけで済み、費用を節約できます。
今では色の調光機能の付いたLEDダウンライトも多いため、ライフスタイルの変化をそう気にする必要はなくなってきたかもしれません。しかし調光機能で対応できる範囲にも限界はあるため、気になる方は交換型を選んでおくようにしましょう。
市販のLED電球は使えるの?
交換型で気になるのが、どんなLEDが使えるかどうか。近年は白熱電球のソケットに付けられるLED電球も増えてきました。しかしLEDもほかの照明よりは少ないものの、大きな熱を発します。問題は「LED電球の中で熱に弱い部品があること」です。
とくに熱がたまりやすいLEDのダウンライトは熱対策を重点的におこなっているため、一体型はもとより、交換型であっても専用のLEDユニットを使用していることが多いです。このことから市販のLED電球が使えないタイプも多く、交換時には製品に合わせた専用の交換部品を用意する必要があります。
ただ最近ではLED電球を取り付けるタイプも登場してきました。電球型にはスマートフォンや音声認識スピーカーからのコントロールに対応したタイプ(IoT電球)もあり、電源スイッチを探さなくても声や手元のスマートフォン操作で簡単に点けられるようになってきたのです。今後はダウンライト本体も対応してくるでしょうが、こうした最新技術を生かしたい方はLED電球タイプを選んでみましょう。
ダウンライトを取り入れた照明計画を組んでみよう
照明をダウンライトに交換するとき見落としがちなのが「どこに設置すればよいか」という点。ダウンライトは照らす範囲が比較的狭いため、計画的に配置しなければ利便性の低い空間になってしまいます。
ダウンライトの配置は家具の配置に影響される
たとえば背の高い家具がダウンライト照明の下に来てしまったら、その照明の照らす範囲はさらに狭くなってしまいます。逆にテーブルやソファーでは新聞や雑誌を読むことも多いため、十分な光の量がほしいところ。かといってベッドが明るすぎるのも落ち着きません。
このようにダウンライトに交換すると、これまで以上に光源の位置と家具の関係を意識する必要が出てきます。家具の配置にも使いやすさがあるため、「想定する家具の位置」を考えながらダウンライトの配置を考えなくてはなりません。
天井のどこにでも設置できるわけではない
一見すると連続した平らな面のように見える天井も、天井裏に目を向けると電気の配線や配管、そして天井を支える支柱などが複雑に入り組んでいます。ダウンライトはそんな天井に穴を開けて設置することになるため、設置できる場所というのは限られてくるのです。
そのため「このような家具配置にしたい!」と決めてダウンライトの場所を決めても、いざ工事しようとするとそこに支柱が入っていて穴が開けられないということは少なくありません。その場合は別の場所を選びつつ、家具配置を見直す必要が出てきます。
セーリングライトのように集中配置もひとつの手
ダウンライトは光の量が比較的小さいとはいえ、集まれば光の強さが大きくなります。そのため配置に迷った場合一か所に集め、従来のセーリングライトのように利用するのもひとつの手でしょう。従来の使い方をしつつ、天井の出っ張りが目立たなくなります。
ダクトレール併用型も検討してみよう
照明の位置を変える可能性がある、というときはダクトレール(ライティングレール)を利用し、照明の場所を動かせるようにすることを考えてみてください。
ダクトレールというのはカーテンや吊り戸で使うようなレールの内側に電流を流し、そこに照明器具部分をはめ込むことで部屋を明るく照らす器具です。ダウンライトと同様に狭い範囲を照らし出すほか、レール上であれば照明部分を移動・回転などさせることができるため、ダウンライトよりも柔軟に照明計画を練ることができます。照明器具部分を取り替えたり、量を増減させれば部屋の雰囲気も大きく変化し、イメージチェンジにはぴったりです。
照明計画を考えるにあたってもうひとつ重要なのが「ルーメン」や「ルクス」といった単位で「明るさ」を目に見えやすくすることでしょう。こうした明るさの単位と照明の考え方については生活110番内でも「『ルーメン』は明るさの単位です!ルーメンをわかりやすくご説明! 」といったコラムで解説しています。こちらもぜひ参考にして、ダウンライト選びに役立ててください。
ダウンライト交換時の注意点
ダウンライトへの交換・寿命が来たダウンライトを新しいものに取り替えるなどの作業をおこなう際には、いくつか注意事項があります。
設置工事には電気工事士資格が必要!
ダウンライトの設置、もしくは一体型ダウンライトの交換では天井の配線に直接干渉する必要があります。この作業は手順を誤ると感電・漏電、最悪の場合火災などにもつながり専門的な知識を要求されることから、電気工事士の資格が必要とされています。
燃えやすいものには気を付けて!
LEDである程度効率化が進んでいるものの、照明器具からは熱を発します。このとき燃えやすいものが近くにあると発火温度に達し、火災につながってしまう恐れも否定できません。
そのためダウンライトの近くには燃えやすいもの、背の高い家具などは置かないようにしましょう。また天井に断熱材が敷いてあるなど熱を逃がしにくくなっているときは「S」というマークが付いたダウンライトを選ぶようにしてください。
防水性能があるのは基本的に一体型のみ
ダウンライトの活躍する場面は屋内だけに限りません。軒下にダウンライトを設置すれば庭を照らす照明として使うことができ、夜間の来客をもてなすなどの用途に役立ちます。
しかし屋外の照明で確認しておきたいのが雨に対する対策。防水性能が不足していると故障や漏電につながってしまうため、防水タイプを選ぶことが重要になります。一方で防水スマホかつ電池交換できる機種が多くないように、防水型ダウンライトの多くが一体型です。もちろん防水性と交換型を両立したタイプもありますが、費用面を考えれば一体型が妥当な選択になってくるでしょう。
まとめ
ダウンライトはこれまでの照明(シーリングライト)よりも柔軟に照明計画を立てることができます。また照らす範囲が狭いからこそ強い光を避けたい場面では効果的に働きますが、意外な落とし穴も少なくありません。
また照明器具の取り替え工事は室内の配線を変えることになるため、電気工事士の資格が不可欠です。しかもダウンライトは一体型が多く、寿命を迎えた際はダウンライトごと取り替えるため、業者に依頼するのが一般的といえるでしょう。照明工事のプロを何件か当たって価格を比較し、納得した工事ができる業者を選んでください。
照明工事を依頼できる業者や料金
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「照明工事」をご覧ください。
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