電気の資格には何がある?取得するならどの資格が狙い目?

2021.4.30

電気の資格には何がある?取得するならどの資格が狙い目?

家のコンセントが壊れてしまったとき、DIYで修理したいと思った方はいませんか?たしかに業者に依頼する必要がないDIYは費用も浮いてお得ですが、なんの資格もないにも関わらず電気工事のDIYをおこなうと、法律違反になるおそれがあります。

コンセントの取り付けをはじめとした電気工事をおこなうには、専用の資格を取得している必要があります。電気は取り扱い方を誤ると死亡事故に発展するおそれがあるため、そうした危険を防ぐために電気に関する知識を身につけておかないといけないのです。

今回は電気工事の資格の種類、その中でも比較的取得しやすい資格である「第二種電気工事士」の試験について解説していきます。

電気に関する資格

電気工事の資格と一口に言っても、さまざまなものがあります。資格によって作業できる内容などが異なっているので、どの資格でなら何ができるようになるかを確認しておきましょう。

電気工事士

もっとも一般的な電気関係の資格です。電気設備の工事を安全におこなうことができることを証明するものであり、コンセントの設置もこの資格がないと取り掛かることができません。

第一種電気工事士
最大電力500kW未満の電気工事をおこなうことができます。工場やビルでの作業が多いです。また、第二種電気工事士で許可されている範囲の工事もおこなうことができます。第二種と比べて上位の資格で、取得の難易度もその分上昇しています。ただし、5年間の実務経験がないと免状を交付してもらうことができません。

第二種電気工事士
600V以下で受電する設備の工事をおこなうことができます。一般住宅や店舗などでの作業が多いです。第一種とは違い、実務経験がなくても免状を受け取ることができます。

電気主任技術者

この資格を取得して電気主任技術者になれば、工場や発電所などで、電気設備や配線、受電設備の保安監督をすることができます。そのため、資格の取得には幅広い知識と技術が必要となりますが、そのぶん社会的評価が高い資格です。

電気主任技術者の資格は、取り扱うことができる電圧などによって3種類に分類されています。第三種は一次試験しかないため資格が取りやすくなっている一方、第一種と第二種は扱うことのできる作業が多いので、第三種と比べて試験内容も難しくなっています。

・第一種:事業用電気工作物のすべてのものを扱うことができます。
・第二種:17万V未満の事業用工作物を扱うことができます。
・第三種:5万V未満の事業用工作物を扱うことができます。(出力が5,000kW以上の発電所は除く)

電気に関する資格

電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は電気工事を全般的に管理、監督をする地位の高い資格です。電気工事に関する計画を作成するほか、工事において品質や安全の管理を任されます。こちらの資格も2種類あり、おこなえる仕事の内容に違いがあります。

1級電気工事施工管理技士
一般または特定建設業の営業所での専任技術者、現場での主任技術者、監理技術者になることができる資格を有しています。

2級電気工事施工管理技士
1級とそれほど変わりませんが、特定建設業(施工金額3,000万以上の案件を直接発注者から受け、別の企業に取り次ぐ(下請けに出す)建設業)の営業所での専任技術者と監理技術者になることができません。基本的には、1級を取得した方がお得でしょう。

電気通信主任技術者

電気通信主任技術者とは、ネットワークに関する工事や電気通信の工事、そしてそれらの維持や管理を監督することができるようになる資格です。こちらの資格者証も2種類あります。

伝送交換主任技術者資格者証
電気通信事業において伝送交換設備などの工事、維持または運用をおこなうことができます。

線路主任技術者資格者証
電気通信事業において線路設備(通信ケーブル)などの工事、維持または運用をおこなうことができます。

まずは『第二種電気工事士』を取ろう!

電気工事の資格の中でも電気主任技術者は現場で重宝されるということもあり「せっかく資格を取るなら電気主任技術者を取りたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。事実として第三種電気主任技術者は電験三種とも呼ばれ、人気の資格のひとつです。

しかしこの資格は取得難易度が高く、平成30年度の合格者数は第三種であっても9.1%と非常に低いのです。そのため、初めて電気工事の資格を取るという場合は、まず「第二種電気工事士」に挑戦してみるのをおすすめします。

この資格を推奨する理由は、受験資格の広さです。電気工事に関する資格の中には実務経験が必要なものもありますが、第二種電気工事士は実務経験がなくても免状を受け取ることができます。性別や国籍、年齢など関係なく誰でも受験することができるため、初めて電気関係の資格を得るにはうってつけなのです。

第二種電気工事士の合格率は43~46%ほどとなっており、2人に1人は合格できるということになります。しっかり勉強すれば独学でも取得可能ですので、まずはこの資格を取得して、それから更なる経験を積むのもよいのではないでしょうか。

まずは『第二種電気工事士』から

ここまで電気工事の資格について解説しましたが、気になってくるのが「電気工事士試験ではどのような問題が出されるか」についてでしょう。電気工事士試験では、筆記と技能の2つの試験によって受験者の知識と技能を審査します。

筆記試験

筆記試験はマークシート方式で50問出題され、6割以上の正解で合格だとされています。試験時間は120分と長いように思えますが、計算問題もあるのですばやい解答が求められるでしょう。
筆記試験で出される問題は、以下の9つの内容から出題されます。

(1)電気に関する基礎理論
(2)配電理論及び配線設計
(3)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
(4)電気工事の施工方法
(5)一般用電気工作物の検査方法
(6)配線図
(7)一般用電気工作物の保安に関する法令

なお、筆記試験を合格したのに技能試験で不合格になったときは、次回の試験で筆記試験をパスすることができます。技能試験の勉強に集中できるようになるので、たとえ不合格になってしまったとしても落ち込みすぎないようにしましょう。

技能試験

技能試験では、実際に電気工作物を制作することになります。工具はすべて自前で用意する必要があり、当日に忘れてしまってもほかの人から借りたりすることはできません。また、持ち込む工具は基本的に自由ですが、電動工具の使用は禁止されています。

第二種電気工事士の場合、13問の候補問題が事前に公表されます。その中のひとつが問題として出題されますが、事前公表の段階では使用部材やケーブルの長さなどの詳細が明かされていません。そのため、手際よく作業をこなしていく器用さが要求されます。

技能試験では、「電気的に致命的な欠陥や施工上の重大な欠陥がなく、施工上の軽微な欠陥が2個以内であること」が合格の条件となっています。うっかり見逃したミスのせいでこれまでの努力が水の泡になってしまわないよう、欠陥を作らない設計を心がけましょう。

まずは『第二種電気工事士』から

電気工事士の試験を受ける方法

最後に、第二種電気工事士の試験を受ける方法について見ていきましょう。
 

実施月

第二種電気工事士の資格の試験は、上期と下期で毎年2回実施されます。上期の場合は筆記試験は6月、技能試験は7月におこなわれており、下期の実施月は筆記試験が10月、技能試験は12月となっています。かつては1年で片方しか受験することができませんでしたが、2018年からは両方の試験に受験できるようになりました。
 

試験場

第二種工事士の試験は、全国の地区ごとに設置された会場で受けることができます。平成29年度までは一部の都道府県で下期試験の受験場が設けられていませんでしたが、平成30年度からは全国に試験会場が設けられるようになりました。

ただし、試験地は申し込みの際に選ぶことはできますが、試験会場を選ぶことはできないことは留意しておきましょう。どの県や市で試験するかを選ぶことは可能な一方で、具体的にどこの建物で試験をするかまでは、受験票が届くまではわからないのです。
 

申し込み方法

第二種電気工事士の試験の申し込みは、ゆうちょ銀行の振込み取扱い票だけでなく、インターネットから選ぶことができます。受験手数料は、郵送の場合は9,600円、インターネットの場合は9,300円となっていますので、申し込みやすい方を選びましょう。なお、インターネット申し込みの場合はクレジットカード決済も可能です。
 

まとめ

ご家庭のコンセントが故障を起こしたとしても、勝手に修理に取り掛かろうとしてはいけません。電気工事をおこなうには専用の資格を取得する必要があるため、無資格でコンセントの修理をするのは法律違反にあたるからです。

電気工事の資格にはさまざまな種類があり、試験の難易度や取り扱うことのできる内容も資格によって異なっています。就職で有利に働くものも多いので、やる気があるなら取得に挑戦してみるのもよいかもしれませんね。

とはいえ、家のコンセントが壊れたから電気工事の資格を取ろう、というのはむちゃな話です。もし電気工事が必要な場面に遭遇したときは、電気工事の業者に依頼してください。もちろん業者は資格を所有しているので、安全に工事を済ませてくれるでしょう。

電気工事を依頼できる業者や料金

依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「電気工事」をご覧ください。

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