
配電盤とは、電力会社から供給された電力を受け止める役割があるものです。商業施設や工場といった大量の電力を必要とする建物に設置されていることが多く、配電盤で受け取った電気は、分電盤を介して電力を各フロアに送り届けます。
今回は分電盤と配電盤のくわしい役割と、さらに似た名前の制御盤についても解説します。
分電盤について
分電盤は建物の各部屋に電気を分配する装置です。分電盤には住宅用の分電盤や、ビルなどの施設用の分電盤があります。ここではおもに一般の住宅での使用を目的とした、住宅用分電盤について解説します。
分電盤の役割
分電盤は名前のとおり電気を分ける役割をもっています。各階の各部屋に電気をとどけ、コンセントや照明を使うことができます。
ほかにも漏電や電気容量をチェックするなど、安全確保の役割もあります。異常があればブレーカーを落としたり、漏電遮断器で回路を遮断したりすることもあります。
分電盤の構造
分電盤は屋内と屋外のどちらかに設置されることがあり、どちらで使うかによって構造が変わってきます。
屋外で使うものは雨風にさらされることを考えて、耐候性のあるつくりになっています。
屋内に設置するタイプのものは、水に弱いものが多く屋外に設置することはできません。しかし、最近では防塵・防滴・防食などの機能をもった、屋内用の分電盤も登場しています。
もし、屋内でも水にさらされる危険性や粉塵が入る危険性があると判断した場合は、高機能のものを選ぶとよいかもしれません。
分電盤の外箱の材質も設置場所によって考えなければなりません。
屋内用には耐候性がさほど必要ないため、鋼板製のものが多く採用されています。
屋外では、耐候性のあるステンレスが用いられることが多いようです。
しかしステンレスは鋼板に比べて高価であるため、溶融亜鉛メッキを施して耐候性をもたせた鋼板がよく利用されるようです。
分電盤内部にはアンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーなどが収容されており、これらが電気の安全を守っています。
それぞれの役割については過去コラム「分電盤の仕組みってどんなの?家庭での電気設備について解説!」で解説しています。あわせてご覧ください。
配電盤について
配電盤は、電力会社から送られてきた電力を受け取る装置です。
配電盤の役割
電気は発電所でつくられ、変電所や送配電線を経由して住宅やビルなどの建物に送られます。このとき送電される過程で熱や振動、抵抗などで電力は失われていきます。この損失により国内の電力消費量の3.4%が失われているそうです。損失は送る電力が小さいと損失が多くなってしまうため、なるべく大きな電力を一気に送りたいという考えがあります。そこで必要になる機器が配電盤です。
配電盤は住宅にはなくビルや学校、工場などにあります。分電盤では大きな電圧は受け取れないため、配電盤で受け取り電圧を変化したあと各建物の分電盤に電気を送っています。
配電盤の構造
配電盤には大きくわけて2つの構造があります。
キュービクル(閉鎖型)
金属製の箱に変圧や送電するための機器が収められているものです。小学校やビルなど高圧受電契約をしている施設で見かけることができます。
開放型
開放型は鉄製のフレームに必要な機器が取りつけられているものです。昔は開放型がよく使われていましたが、最近では保守性や安全性の面からキュービクルが主流になっています。
配電盤には分電盤と同じように、電気容量をチェックする装置や電気回路の故障に対応するための遮断器などが収まっています。
制御盤について
制御盤は機械や設備を制御するための機器が収められた箱です。同じ盤という漢字が使われているため、よく分電盤や配電盤と勘違いしている人がいます。似ていますが、まったくの別物になります。
制御盤は配電盤や分電盤のような電力のやり取りとは関係なく、ポンプやモーターなどの機械に対し制御信号を送って制御する役割があります。
分電盤のなかには動力に電源を供給するものがあります。この分電盤は動力を制御するための装置を備えているため、動力制御盤とよばれることがあります。このようなよび名から分電盤と制御盤を勘違いしている人がいるのかもしれません。
電気がないと動かないため分電盤の先にあるといえばそうですが、名前が似ているだけの別物と考えたほうがよいでしょう。
まとめ
分電盤と配電盤には違いがあることを理解していただけたでしょうか?
発電所から電気の流れを追っていくとたどり着く、分電盤と配電盤。家の中継地点である分電盤と、地域単位での中継地点である配電盤といった関係でした。また同じような名前をもつ制御盤はポンプやモーターなどの機会を制御する装置のことで、分電盤や配電盤とは違いのある無関係の装置です。配電盤はあまり見る機会はありませんが、分電盤は家についている装置です。この機会に正しい知識を身につけて適切に扱えるようになりましょう。
分電盤工事を依頼できる業者や料金
依頼できる業者や料金について、詳しくは「生活110番」の「分電盤工事」をご覧ください。
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