
バッテリー上がりとバッテリー液の減少は直接関係しているものではありません。しかし、バッテリー液のメンテナンスをしっかりおこなっていないと、バッテリーの劣化を早め、バッテリー上がりを起こす原因になります。
バッテリーの仕組みやバッテリー液の補充方法をしっかりと確認し、定期的なメンテナンスをおこなうことが大切です。ここでは、バッテリーの仕組みやバッテリー液の補充方法、バッテリー上がりの解決法をご紹介します。
なぜバッテリーには液体が入っているの?
バッテリーにはバッテリー液という液体が入っています。バッテリー液は硫酸と精製水を合わせた希硫酸が入ったもので、市販でも売っています。バッテリーの仕組みやバッテリー液の量について確認してみましょう。
自動車用バッテリーの仕組み
自動車バッテリーは自動車を動かすのに必要な電気を蓄電する装置です。通常12Vのバッテリーは内部が6分割されていて、そのひとつの区切りを1セルと呼びます。6セルで12Vですので、1セルにつき2Vの電圧を発電させることになります。
自動車バッテリーには鉛畜電池を用いたバッテリーが多く、セルには過酸化鉛を塗った陽極板と海綿状鉛を塗った陰極板が設置されています。これらが電解液である希硫酸と化学反応を起こすことによって、電気を貯めておく仕組みになっています。
なぜバッテリー液は減っていく?
バッテリー液は充電中に減少します。バッテリーに十分に充電され、過充電になると、電解液の中の水分子が分解されて、酸素ガスと水素ガスが放出されます。この現象によって、水分が蒸発し、バッテリー液の減少が起こるという仕組みです。また、充電によってエンジンルームが高温になると、蒸発するためバッテリー液が減りやすくなります。
バッテリー液の適量ってどのくらい?
バッテリー液の適量はバッテリーをみればわかります。まず、バッテリーの側面の「UPPER LEVEL」(最高液面線)と「LOWER LEVEL」(最高液面線)の表示を確認してください。バッテリー液はこのふたつの線の間まで入っていれば、適量です。
バッテリー液が少なくなると起こる症状
バッテリー液が「LOWER LEVEL」よりも少なくなって放置していると、バッテリー内の陽極板と陰極板が露出して、劣化していきます。劣化がさらに進むと、劣化部分から火花が発生することがあります。これが、バッテリー内に溜まった水素ガスに引火すると、火災や爆発につながるおそれがあるのです。
また、バッテリー液が少なくなると、バッテリーが蓄電できる容量が減少し、電圧の低下が大きくなります。
このようなことから、バッテリー液の減少はバッテリーの寿命を縮め、結果としてバッテリー上がりを起こりやすくしてしまいます。バッテリー液は放置しないでしっかり補充しましょう。
液補充の必要がないバッテリーも増えている
バッテリー上がり防止にバッテリー液のメンテナンスの少ないものを選ぶこともおすすめです。自動車バッテリーにはメンテナンスフリーバッテリーという液補充の必要がないバッテリーも増えています。メンテナンスフリーバッテリーはどのような仕組みなのか、本当にメンテナンスが必要ないのか確認していきましょう。
発生したガスをバッテリー内で水に戻している
メンテナンスフリーバッテリーには「完全密閉型(シールドバッテリーまたはドライバッテリー)」と「半密閉型(セミシールドバッテリー)」があります。完全密閉型は、バッテリーが完全に密閉されていて、液を補充したり、ガスを排気したりするところがありません。また、電解液を極板に染み込ませていたり、ゲル化させていたりするため、バッテリーを横置きにしても問題ありません。
半密閉型はガスを排気する排気口があり、液を補充するところはシートなどでふさがれている状態です。充電時に発生するガスは排気口から排出されますが、水蒸気はバッテリー内で水になり、電解液に戻ります。
これは負極吸収反応を利用した仕組みで、充電時に正極板から発生した水素ガスを負極板の海綿状鉛と反応させて、硫酸鉛と水を生成させます。これによって水を再生し、電解液の減少を防いでいるのです。
ハイブリッド車はエンジンルームにバッテリーがないことも
ハイブリット車の場合、エンジンルームにバッテリーが見当たらないことがあります。ハイブリット車には補機バッテリーと駆動用バッテリーがあり、普通自動車と同じタイプのバッテリーが補機バッテリーになります。
補機バッテリーは、エンジンルームの下部やラゲージルームの床下などわかりにくいところに設置されていることが多いため、取扱書やホームページなどで場所を確認しましょう。
「メンテナンスフリー」だけど点検は必要?
メンテナンスフリーでもバッテリーの点検は必要です。バッテリーのメンテナンスフリーとは、液補充のメンテナンスの必要がない、ということですので、バッテリーの寿命や劣化などのチェックは必要です。定期的におこないましょう。
バッテリー液を補充するための手順
バッテリー上がりはバッテリー液が減少することによって起こりやすくなります。少なくなってきたら定期的に補充しましょう。バッテリー液は市販で売っているため、自分でも補充できます。補充するために必要なものと手順、そして注意点をご紹介します。
必要なもの
バッテリー液とゴム手袋を用意してください。バッテリー液が目に入らないように防護メガネもあったほうがよいでしょう。バッテリー液は希硫酸ですので、飛び散って目に入ってしまった場合、失明のおそれがあります。
また、バッテリー液を入れ過ぎてしまった場合のために、スポイトとバケツもあると便利です。スポイトで入れ過ぎたバッテリー液を抜き取ってバケツに移してください。
補充の手順
エンジンを切った状態で作業します。エンジンを切ってすぐはエンジンルームが高温になっていてやけどをするおそれがあるため、必ず冷ましてから作業をおこなってください。
次にバッテリーの残量を確認します。容器の横側からみれば残量が確認できますが、容器が半透明でなく見えにくい場合は懐中電灯などで容器を照らして量を確認してみてください。また、それでも確認できない場合は、容器のキャップを外して、中に棒状のものを入れて濡れている部分から残量を大体把握しましょう。
バッテリー本体のガス抜きキャップを外し、バッテリー液の容器のふたの先端を切り落とします。そこに付属のチューブを差し込んでください。バッテリー本体の液注入口のふたを開けて、チューブの反対側を差し込み、こぼさないように慎重に液を注ぎましょう。
6セル全てにバッテリー液を均等に注入してください。UPPER LEVELを超えてしまうと抜き取らないといけないので、まずはLOWER LEVELまで液を注入し、そこからとLOWER LEVEL とUPPER LEVELの間で均等な量になるまで少しずつ継ぎ足すと良いでしょう。
作業をするうえでの注意点
バッテリー液は希硫酸です。触ると危険ですので、作業する際は必ずゴム手袋を着用してください。バッテリーのふたなどに付着した水分も希硫酸ですので、安易に触らないようにしましょう。
また、6つのセルの液面が均等でないと電力が安定せず、バッテリーの劣化の原因になります。液面を均等にするように慎重に作業してください。
UPPER LEVELを超えてしまわないように注意も必要です。UPPER LEVELを超えて液を補充すると、液が染み出して車両が腐食する原因になります。
バッテリー液を補充するだけではバッテリー上がりは直らない!
バッテリー液を補充しても、バッテリー上がりの解消にはなりません。バッテリー上がりが起こってしまったら、ジャンプスタートで回復するのが一般的です。ジャンプスタートの方法も確認しておきましょう。
補充液の正体は「蒸留水」
バッテリー液は硫酸と精製水による希硫酸ですが、バッテリー補充液はバッテリー補充用の蒸留水になります。バッテリー液が減ると、バッテリー内の硫酸の濃度が高まり、バッテリーの性能が低下する原因になります。
それを防ぐために補充液を補充しますが硫酸成分を補充するわけではないので、性能がよくなることはありません。車のバッテリー上がりは、バッテリー液を補充するだけでは解消できませんので、別の方法で充電する必要があります。
バッテリーの充電を回復させるためには「ジャンプスタート」が一般的
ジャンプスタートとは、バッテリー上がりした車とそれと同じ電圧が搭載されている車をブースターケーブルで繋いで、エンジンをかける方法です。救援車から電気をもらい、バッテリーを充電させて、バッテリー上がりを回復させます。エンジンがかかれば、そのまま切らずに1時間程度走行させてバッテリーを充電させましょう。
救援車やブースターケーブルがない場合は、ジャンプスターターを使ってジャンプスタートをおこなうことができます。ジャンプスターターとは、ジャンプスタートさせるために使う携帯用のモバイルバッテリーのことです。
「開放式」はジャンプスタート前に液量の点検を
バッテリーの液量が減っていると、性能が低下し、ジャンプスタートでエンジンを始動させても充分に充電されず、回復しない可能性があります。開放式のバッテリーの場合は、液量を確認し、減っている場合はバッテリー液を補充してからジャンプスタートをおこないましょう。
バッテリーの寿命にも注意が必要
バッテリーが劣化していて寿命をむかえている場合、バッテリー内の電気反応が小さくなっているため、電気を蓄える能力が下がり、バッテリー上がりを起こす原因になります。補充液を足してもバッテリー自体の性能が落ちているため、バッテリーの交換が必要になります。
まとめ
車のバッテリー上がりはバッテリー液を補充してもエンジンはかかりません。バッテリー液を確認したら、ジャンプスタートでバッテリーを回復することが必要です。
ジャンプスタートは救護車とブースターケーブル、またはジャンプスターターがあれば自分でもできますが、間違えて作業をすると発火のおそれもあります。自分でおこなう自信がない場合は業者に依頼することをおすすめします。バッテリーを適切に処置してもらえるため、安全に走行ができます。
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