
「急に車のエンジンがかからなくなった……!」というとき、それはバッテリー上がりが原因かもしれません。バッテリー上がりとはバッテリーに蓄えられている電力が足りなくなって起こるトラブルのことです。
バッテリー上がりが起こるとエンジンがかからなくなりますが、それには「セルモーター」という部品が関係しています。
そこでこの記事では、バッテリー上がりとセルモーターの関係について詳しくご説明していきます。バッテリー上がりしたときにセルモーターにどのような異変が起こるのか理解し、正しくトラブルを解決しましょう。
目次
付いていない車種もある!?セルモーターの役割と種類
まずは、セルモーターの役割や種類についてご紹介します。バッテリー上がりについて理解するためにも、以下の内容を読んでセルモーターについて理解してください。
セルモーターの役割
セルモーターとは、エンジンをかけたときに最初に動き出すモーターのことです。セルモーターは、エンジンを始動させるために必要な、回転力を与える役割をしています。
車は、エンジンを動かすために「吸気」「圧縮」「爆発」「排気」という4ステップを繰り返しています。その中で、吸気や圧縮のためには回転力が必要となりますが、その回転力を与えているのがセルモーターなのです。
セルモーターには2種類の方式がある
セルモーターには、「ピニオン摺動(しょうどう)方式」と「レブリダクション方式」の2種類の方式があります。それぞれの方式を簡単に紹介しましょう。
ピニオン摺動(しょうどう)方式とは、モーターの回転数をそのまま動力として伝える方式です。
一方、レブリダクション式とはモーターの回転数を落としてから動力を伝える方式です。
ピニオン摺動式はトルク(回転させる力)が小さい自動車やオートバイなどに使われます。それに対して、レブリダクション式はトラックやディーゼル車などのトルクが高い車やAT車に用いられています。
ハイブリッド車には専用のセルモーターが付いていない場合も!
「すべての車にセルモーターが付いている」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ハイブリット車には専用のセルモーターが付いていない場合もあります。
そのような車は、車輪を動かしているモーターがセルモーターの役割を果たします。
【番外】セルモーター以外におこなわれるエンジン始動方法
ここまでの解説で、セルモーターはエンジンをかけるのに必要なパーツだとご理解いただけたのではないでしょうか。
しかし、エンジンの始動方法には、「押しがけ」と「スターターロープ」といったセルモーターを使用しないやり方もあります。
押しがけでは、車を手で押すことでエンジンを始動させます。手で車を押してタイヤを回転させることで、それをエンジンに伝えて始動させることができるのです。
「バッテリーが上がったときも押しがけで解決できるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、AT車とインジェクションが搭載されている車では押しがけをすることができません。最近の車はインジェクションが搭載されているものが多いため、押しがけでバッテリー上がりを解消することは難しいでしょう。
スターターロープは、発電機やチェーンソーなどに使われている方法で、紐を引っ張るとクランクシャフトと呼ばれる部品が動き、エンジンが回転するという仕組みです。
バッテリー上がりのときにはセルモーターの音が変わる!
バッテリー上がりが起きたときには、セルモーターの音が変わります。ここでは、バッテリー上がりとセルモーターの音の関係について詳しくご説明します。
そもそもバッテリー上がりってどういう状態?
バッテリー上がりとは、バッテリーに蓄えられている電気が不足している状態のことです。
通常、電力はライトやオーディオ・エアコンといった電装品などを使用することで消費され、エンジンをかけることで充電されます。
しかし、ライトや電装品を使いすぎたり、車を走らせていなかったりすると、電力の消費量に充電量が追い付かなくなって電力が足りなくなり、セルモーターを回すことができなくなってしまいます。その結果、エンジンがかからなくなるのです。
バッテリー上がりでは回転音が弱くなる!
バッテリー上がりでは、セルモーターの回転音が弱くなります。エンジンをかけようと鍵を回すと、「キュルキュルキュル」という音がしますが、それがセルモーターが回転している音になります。
しかし、バッテリーが上がった状態では、エンジンをかけるだけの電力がなく、セルモーターの回転音も弱くなるのです。
まったく回らない場合は?
セルモーターの回転音が聞こえない場合は、バッテリーの電力がないことが考えられます。バッテリーが完全に放電していると、セルモーターを回すための電力がないからです。
また、セルモーターが故障している場合や、スマートキーの電源が切れているときにもセルモーターの回転音がしなくなります。
そのほかの音とバッテリー上がり以外の原因
エンジンをかけたときに、異音が聞こえることがあります。ここでは、バッテリー上がり以外の原因となる音をまとめました。
・バッテリーが弱まっている
・スパークプラグ(火花を散らしてガソリンを動かすパーツ)の不具合
・バッテリー上がり
・スマートキーの充電がない
・鍵を抜き忘れた
・エンジンの温度が上がりすぎた
・ベルト(エンジンの動力をほかの部品に伝える部品)の不具合
バッテリー上がり時にジャンプスタートをする意味って?
バッテリー上がりによってセルモーターが回らない場合、「ジャンプスタート」という方法を使って解消することが可能です。ここでは、ジャンプスタートについて詳しくまとめました。
ジャンプスタートはセルモーターを動かす作業
ジャンプスタートとは、自車以外のバッテリーでエンジンを始動させる方法のことで、「ジャンプスターター(充電器)を使う方法」と「ほかの車のバッテリーを借りる方法」の2種類があります。
ジャンプスターターを使う方法は、付属のケーブルを使ってジャンプスターター本体とバッテリーをつなげてエンジンを始動させます。
また、ほかの車のバッテリーを借りる方法では、ブースターケーブルと呼ばれる赤と黒のケーブルで、ほかの車とバッテリーが上がった車をつなげてエンジンを始動させます。そのため、この方法では、ブースターケーブルと協力してくれる車が必要です。
【注意】ハイブリッド車はジャンプスタートの救援に使えない!
ジャンプスタートに協力してくれる車は、ハイブリット車以外の車でなければなりません。なぜなら、ハイブリット車はガソリン車とは電気系統が違うからです。ハイブリット車でバッテリー上がりを解消しようとしたときに電力が流れますが、それにハイブリット車が耐えられないといわれているのです。
もし、ハイブリット車でバッテリー上がりを解消しようとすると、ハイブリット車のモーターが故障してしまうおそれがあるので、絶対にやめましょう。
また、エンジンの始動に協力してくれる車は、故障車と電圧が同じでなければなりません。電圧は、乗用車は12V、バスやトラックなどの大きな車は24Vとなっているので、乗用車でバッテリー上がりが起こったときには、乗用車に協力してもらってください。
電圧が違うバッテリーでジャンプスタートをおこなうと、ハイブリッド車と同様で故障してしまうおそれがあります。
ジャンプスタートの一般的な手順
ジャンプスタートの方法は、以下のとおりです。バッテリーが上がってしまい、ジャンプスタートで対処したいという方はぜひ参考にしてみてください。
1.救援車と故障車を近づけ、ボンネットを開ける
2.救援車(バッテリーを貸してくれる車)のエンジンを切る
3.ブースターケーブルを両方の車のバッテリーにつなぐ
4.救援車のエンジンをかける(AT車はパーキング・MT車はニュートラルに入れてサイドブレーキは引いておく)
5.救援車のアクセルを踏み、回転数を上げた状態で2分間キープする
6.故障車のエンジンをかける
7.エンジンがかかったらブースターケーブルを外す
なお、ブースターケーブルの取り付け・取り外しの際の順番には気をつけてください。取り付けの際は、以下の手順でおこなってください。
1.故障車のプラス端子に赤いケーブル
2.救援車のプラス端子に赤いケーブル
3.救援車のマイナス端子に黒いケーブル
4.故障者のエンジンの金属部分(エンジンを吊り下げるフック)に黒いケーブル
取り外しの際は、取り付けとは逆の手順で取り外してください。
取り付け・取り外しの順番を間違えると、ショートするおそれがあります。ショートすると、発生した火花がほかのものに引火して火災を引き起こす危険もあるので、必ず順番は守ってください。
1.付属ケーブルをバッテリーにつなぐ
2.付属ケーブルをジャンプスターター本体につなぐ
3.本体の電源を入れ、故障車のエンジンをかける
4.ジャンプスターターの電源を切る
5.ケーブルを外す
付属ケーブルの取り付けは赤・黒、取り外しの際は黒・赤の順でおこなってください。順番が異なると火花が散るおそれがあるので、正しい方法でおこなってください。
ここまで、ジャンプスタートの方法についてご説明してきましたが、ジャンプスタートをおこなった後はすぐにエンジンを切ってはいけません。
なぜなら、エンジンが始動した直後は、バッテリーがほとんどない状態だからです。バッテリーがほとんどない状態でエンジンを切ると、次にエンジンをかけたときにバッテリー上がりが起きてしまうおそれがあります。
そのため、しばらくエンジンをかけ続け充電をおこなってください。充電は、30分以上おこなえば、次回バッテリー上がりがしないほどの電力を貯めることができるでしょう。
エンジン始動時はバッテリーへの負荷が大きい!
自動車は、エンジンをかけるときに最も多くの電気を消費するといわれています。そのため、セルモーターでのエンジンの再始動を繰り返すと、バッテリーに負荷がかかって劣化していくのです。もしバッテリーが劣化したときには、交換をおこなうことで解消できます。
また、バッテリーの劣化は、バッテリーの点検をおこなうことでいち早く気付くことができ、バッテリー上がりを防ぐことが可能です。そこで、ここからはバッテリーの点検方法についてご紹介します。
このような車種はバッテリーの点検をこまめに!
アイドリングストップ車は、バッテリーの点検をこまめにおこないましょう。なぜなら、
アイドリングストップ車は走行中にエンジンの始動が何度もおこなわれるので、バッテリーに負担がかかりやすいからです。
アイドリングストップ車専用のバッテリーもありますが、負荷がかかるとバッテリーが上がってしまうおそれがあるので、こまめに点検しましょう。
また、ハイブリット車の点検も忘れてはいけません。「ハイブリット車のバッテリーの容量が大きいからバッテリー上がりは起きないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ハイブリット車でもバッテリー上がりが起こることはあります。ハイブリット車には、エンジン始動・モーター駆動に使われる、「駆動用バッテリー」と、エアコン・ライト・オーディオなどに使われる「補機バッテリー」があります。その中で、大容量なのは駆動用バッテリーです。
補機バッテリーは、電気の消費量を充電量が上回ることがあり、バッテリー上がりが起こることがあるのです。
バッテリーの点検の際は、「電圧」「比重」「バッテリー液」をチェックしてください。電圧や比重が低下すると、バッテリーが劣化していて、寿命を迎えているおそれがあります。電圧や比重はガソリンスタンドや整備工場で測定してもらうことができるので、一度依頼してみるとよいかもしれません。
また、バッテリー液とは、バッテリーの中に入っている液体のことです。バッテリー液は無色透明をしていますが、バッテリーが劣化すると、極板がはがれてバッテリー液が濁ってきます。つまり、バッテリー液が濁っているとバッテリーが劣化しているおそれがあるので、新しいものと交換したほうがよいかもしれません。
エンジンが止まっているときは電気機器の使用を控えよう
エンジンが止まっているときは、電気機器は必要以上に使わないほうがよいでしょう。なぜなら、充電がおこなわれていない状態で電力が消費され続けることになるので、バッテリーが上がるおそれがあるからです。
また、充電量より放電量のほうが多いと、バッテリーの劣化にもつながります。そのため、エンジンを止めているときは、必要以上に電子機器を使うことは避けましょう。
まとめ
セルモーターとは、エンジンをかけるために必要なパーツです。バッテリーの電力が不足すると、セルモーターが回らなくなってエンジンが止まってしまいます。
もし、バッテリー上がりでセルモーターが回らなくなったときには、「ジャンプスタート」でエンジンを始動させることができます。ただし、ジャンプスタートには道具が必要なので、お持ちでない方はJAFや任意保険などのロードサービスを利用したり、バッテリー上がり解消業者に依頼したりするとよいでしょう。
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