日常生活でよくみかけるカラスを飼ってみたいと思った人はいらっしゃるでしょうか。カラスをペットとして飼育している人はあまり聞きませんよね。その理由は単にペットとして一般的だと思われていないだけではなさそうです。カラスを飼育するには法律などが関係していてさまざまな障害があります。どのような障害があり、どうしたら飼育できるのでしょうか。
今回は、カラスを飼育する際の障害と注意点について取り上げます。
目次
カラスを飼育することはできる?
カラスを飼育するには、鳥獣保護法によって定められた事項を守り許可をもらう必要があります。しかし、基本的にカラスに限らず野生の鳥の飼育は認められていません。
野生の生き物には独自の生態系があり、その生態系に対して人間が危害を加えないように愛護する風潮ができました。これによって定められた鳥獣保護法では、野生の鳥獣の捕獲や狩猟などを禁止しています。カラスを捕まえて家に持ち帰るという行為ができないのです。
ごくたまにペットショップでカラスが売られていることがあります。このカラスは飼育することができますから安心してください。
例外的にカラスを飼育できるケース
ペットショップで購入する以外にカラスを飼育できるのは、次のようなときです。
カラスを保護するとき
カラスがケガをしていたとき一度保護し、役所に保護申請をもらいます。役所から許可が下りると一定期間に限りカラスを保護目的で飼育することができます。
鳥獣保護法に違反していないとき
カラスは鳥獣保護法によって、狩猟鳥獣に指定されています。狩猟鳥獣とは、一定の時期や場所に限り狩猟を認められた鳥獣です。つまり、規定を守った場合カラスを捕獲し飼育してもよいということになります。しかしこの規定の細かい部分については鳥獣保護法を確認しなければなりません。
例えば、カラスを捕獲してよい時期は、秋頃~春前くらいです。狩猟は森などの見通しがよい時期に限られます。また、カラスの子育てが始まる前まで狩猟が許可されています。この時期は都道府県によって定められていますから、狩猟をする場所によって確認が必要です。
カラスを飼育したいときは、上記の内容に注意してください。
ちなみに、カラスだけでなく狩猟鳥獣に指定されている動物は、鳥獣保護法の規定さえ守れば捕獲して育てるときに役所などに届出を出す必要はまったくありません。
狩猟鳥獣に指定されていない動物(非狩猟鳥獣)は、飼育が認められない場合がほとんどです。ペットとして飼ってしまうと法律違反となってしまいます。保護をするだけの場合でも、役所の許可が必要です。
カラスの雛が落ちていたら保護していい?
飼育以外にカラスの雛が落ちていたとき保護していいのかという問題ですが、雛であっても保護するには役所の許可が必要です。しかし、許可が下りることは少ないようです。
しかし雛がケガをしているところを見たら、人間の良心的に放っておけないという人もいると思います。無我夢中で行動してしまい、雛を一定期間保護してあげる場合があるかもしれません。ただしどのような場合でも、カラスの雛を保護する際には注意すべきことがあります。
親ガラスの存在
カラスの巣の近くには親ガラスがいます。親ガラスは雛を守るため人間を攻撃することがあります。さらに親ガラスがいるということは雛にとって安全だといえますから、あえて保護する必要はないかもしれません。
雛を狙った他の動物
雛を保護しようと近づくときにも注意が必要です。まわりに別の鳥などがいて雛を狙っている可能性があります。親ガラス同様人間に対して攻撃をする可能性がありますから気を付けましょう。
雛が自然界に復帰することを考える
雛が保護した人間に対してなつくことが考えられます。親だと勘違いしてしまうと、自然界に戻ることができなくなるときもあるのです。雛がまた自然界に帰ることができるように過保護だと思われる行為はできるだけ避けたほうがよさそうです。
カラスを飼育する際の注意点
カラスを飼育する際にはいくつか注意点があります。
カラスは大きい
カラスは一般的なペットよりもからだが大きいと思っていたほうがよいです。カラスはだいたい50cm~55cmほどの大きさがあります。しかも鳥ですからペット用の鳥かごも適切なサイズを見つけにくいです。
日光浴が大切
カラスは日光浴をしてビタミンDを作り出します。ビタミンDがないと骨がもろくなり骨折のリスクがあります。
毎日水浴びさせてあげる
カラスの羽は空気中のゴミなどがたくさん付くことが考えられます。毎日水浴びをさせてあげましょう。水浴びをしないとカラスがストレスを感じたりゴミなどから病気にかかったりします。
非常になつきやすい
カラスは意外にも非常になつきやすい動物です。一度飼育したら自然界に戻ることができなくなることがあります。人間にとってはかわいらしいできごとですが、飼育するなら最期まで飼ってあげましょう。
チョコレートやアボカドに要注意
カラスは雑食であり何でも食べます。特に肉・魚・卵が好物とされています。しかしチョコレートやアボカドをエサとして与えることは避けたほうがよいです。カラスにとって毒となる場合があり死に至ることがあります。
人間が病気にかかる可能性
カラスが外で遊んでいるあいだにさまざまな病原菌などに接触し家に持ち帰ることはあり得ます。カラスのからだに潜む病原菌の中には人間にとって脅威となる病原菌もいます。カラスとじゃれ合うことでそれらが人間に移る可能性があります。鳥かごの中で飼う程度がよいかもしれません。
このようにカラスを飼育するには人間の健康にとってリスクもあるようです。しかしカラスはなつきやすく飼っている人も少なくないようです。注意点に気を付けて適切に飼育しましょう。
まとめ
一般的にカラスを飼育することは、ペットショップでの購入以外は法に触れる危険性があり難しいです。カラスの飼育を考えた際は鳥獣保護法について詳しく調べてみるとよいでしょう。また都道府県によっての違いについても知っておくべきだと思われます。
カラスは飼育している人の意見だと非常にかわいらしいという意見が多いです。カラスや鳥に対して苦手意識を持っている人でも、飼ってみるとペットとしてかわいがることができるかもしれません。
カラスを飼育する際はカラスの特徴や習性などをよく理解して飼育するようにしましょう。
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