「小さくて黒いかたまりがたくさん落ちている……」
それはもしかしたら、『コウモリのふん』かもしれません。もしもそのふんを長期間放置していたり、おざなりな処分したりしようとしている場合は、少し考え直していただく必要があります。
害獣にも数えられるコウモリは、ただ数が多く外見が不快なだけではありません。場合によっては健康被害をももたらすような不衛生さこそが、コウモリが害獣と呼ばれるゆえんなのです。自らや家族の健康を守るためにも、コウモリのふんに対しては適切な対処を取らなければなりません。
この記事では、そんなコウモリのふんの危険性や他害獣のふんとの区別方法、またコウモリそのものの駆除についてなど、詳しく解説していきます。ふんらしき物体を見たという方や、コウモリの気配を感じたという方はぜひ参考にしてください。
目次
別害獣のふんと比較!コウモリのふんの特徴
コウモリのふん、といってもその形状はその他の害獣のものとよく似ています。もしかしたら、そのふんはコウモリのふんではないかもしれません。ここではそんなふんの見分け方をわかりやすく解説していきます。
・ふんの見た目の違い
害獣のふんはどれもぱっと見た雰囲気は似ていますが、よく観察してみるとこまかな違いがあることに気付きます。まずは、現状の悩みの種がどの動物によってもたらされているものなのか、確認するところからはじめていきましょう。
※ふんは非常に不衛生です。汚れてもよい服を着た上で、絶対に素手では触れないようにしましょう。もし触れてしまった場合は念入りに手を洗い、最後にアルコールなどの消毒液でしっかりきれいにしておきましょう。
上記のイラストのような形状をしているのであれば、それはコウモリのふんである可能性が高いでしょう。逆に、このような形状ではない場合は、コウモリの仕業ではないかもしれません。下記のイラストとも見比べてみましょう。
コウモリのふんに似たふんを出す害獣としては、主にねずみが挙げられます。同様に小さく、黒いかたまりのようなふんが落ちているため、少々わかりにくいかもしれません。
また、害獣以外でいえばゴキブリも似た雰囲気のふんを出します。コウモリ以外の害獣・害虫の疑いがある場合は、下記のリンクでも対策方法を解説しているのでぜひご覧ください。
「ゴキブリを全滅させる方法は?憎きゴキブリを駆除する方法とは何か」
「ネズミを追い出すためにできること…戻ってこないようにするには?」
家屋の腐食や病気の原因に!コウモリのふんの危険性
コウモリのふんは大量に落ちている場合が多く、掃除にも手間がかかります。しかし、ふんは単にジャマできたないというだけではなく、それ以上の脅威もひそんでいるのです。ここではそんなふんの危険性について、詳しく触れていきましょう。
コウモリのふんは健康被害の原因になりうる!
コウモリのふんは非常に不衛生で、その中には多数の病原菌などを含んでいます。そんなふんに素手で触れてしまうと、不意に体内に摂取してしまい健康を害す恐れがあるのです。
また、触れていなかったとしても油断はできません。コウモリのふんは有機物なので、いずれは風化していきます。その際、空気中に目には見えないほどの菌がまき散らされ、間接的に体内に入ってしまうこともあるのです。
天井や軒、床が腐ってしまうかも!
コウモリにふんを何度もされたり、放置していたりするとその部分が腐食し、弱ってしまう可能性があります。とくに天井裏などは気が付きにくいため、雨漏りなどの症状でようやく気付くというケースも。被害が進めば家屋が弱り、最悪の場合天井や床の修理などが必要となってしまうかもしれません。
除去してもまだ危険!
ふんを掃除しきったとしても、まだ安心はできません。ふんが落ちていた場所には、ふんに含まれる病原菌などがうつってしまっている可能性があります。そのため、ふんがなくなったとしてもそこにはまだ菌が残っているかもしれないのです。
こんなところにもふんが!コウモリのふん害は1ヶ所じゃないかも
主に玄関や軒下に落ちていることの多いコウモリのふんですが、そのふん害場所は1か所とは限りません。ふんを見つけた部屋以外の場所にも、ふんが落ちている可能性はあります。ひとつひとつ可能性のある場所を確認して、被害の程度をチェックしましょう。
コウモリのふんがよく落ちている場所
玄関
軒下
天井裏
ベランダ
シャッター
室外機周辺 など
玄関などはわかりやすいですが、天井裏などはわかりにくいため発見が遅れてしまうことも。家屋の外にあるシャッターにもコウモリがふんをすることもあるため、油断は禁物です。
また、コウモリ被害は一般家庭以外にも工場や倉庫などでも発生することがあります。これらの建築物は一般家庭に比べて広く、コウモリのひそむ場所も多いため、日ごろから注意して観察しておきましょう。
法に守られるコウモリの対策&ふんの清掃方法
私たちの健康をもおびやかすコウモリや、コウモリのふん。いっこくも早く現状を解決したい気持ちもやまやまですが、コウモリ駆除は個人では難しい理由があります。
鳥獣保護管理法に指定されているコウモリ
コウモリは『鳥獣保護管理法』によって、守られる鳥獣に指定されています。そのため、許可を得ずに駆除してしまうと、法により罰せられる危険性があるのです。また殺してしまうのはもちろん、傷つけることや駆除・飼育目的で勝手に捕獲することも禁止されています。
保護目的で一時的に救助し、その後野に放つのであれば大丈夫ですが、その場合も念のため市役所などに連絡をしておいた方がよいでしょう。
自分でできる作業として現実的なものとしては、侵入防止とふんの清掃ぐらいとなります。コウモリがすでに発生しており、完全駆除したいという場合は、許可を得た業者に頼まなければなりません。また、清掃や侵入対策の作業も簡単ではないため、もし難しそうだと感じたら無理せず業者に依頼しましょう。
ふんの清掃
ふんの清掃において最も重要なことは、ふんに触れないことです。そのため、清掃の際には手袋を忘れずにつけるようにしましょう。また、空中に飛散する病原菌を吸い込まないためにも、マスクの着用は必須です。このふたつだけは、必ず用意しておくようにしてください。
また清掃ということで、服装は汚れてしまっても問題のない服が好ましいです。最悪捨ててしまうことも考えて、服装を選ぶようにしましょう。
ふんの清掃手順は単純で、落ちているふんを集めて袋に入れるだけです。すべて収集し終わったら、ふんが落ちていた場所をアルコールなどでしっかり消毒しておきましょう。
コウモリの侵入対策
前述したように、コウモリの駆除や捕獲は法によって禁じられています。それでもコウモリをどうにかしたい場合には、市販のコウモリ対策グッズなどを利用する手もあります。中にはコウモリの嫌がるものを設置して寄せ付けないタイプのものもありますが、その効果も長くは続かない場合が多いでしょう。
自分でできる効果的なコウモリ対策としては、コウモリの侵入する経路をなくしてしまう、というものがあります。とくに天井裏などにふんが落ちていた場合、そこに侵入するまでの道筋がどこかにあるはずです。これ以上被害を広げないためにも、その経路を見つけ出しふさいでしまいましょう。
とはいえ、コウモリは思っているよりも小さいため、簡単にふさぐだけではあっさり侵入されてしまうこともあります。すき間がまったくなくなればよりよいですが、完全にふさいでしまうと、今度は家の中に溜まる湿気や悪い空気を外に放出できなくなってしまいます。パテなどで防げない隙間は目の細かいネットや網などを設置しておきましょう。
危険はふんだけじゃない!コウモリ本体の危険性も知ろう
ここまでコウモリのふんの危険性について解説してきましたが、コウモリの危険性はふんだけではありません。ふんを排出するコウモリ自身も、同様に不衛生で危険なのです。ここでは、そんなコウモリ本体の危険性について触れていきましょう。
コウモリが媒介する病原菌・虫
コウモリ本体にも、多数の病原菌や微生物、寄生虫がいます。日本で有名なコウモリである『アブラコウモリ』からの感染例は少ないですが、それでも危険はともなうため絶対に接触することはしないようにしてください。以下ではコウモリが媒介する可能性のある病原菌や症状などをご紹介していきます。
ヒストプラズマ症
ハンタウイルス
リッサウイルス など
以上のような病原菌の症例はほとんど海外のものなので、日本国内ではそれほど危険視されていません。それでもコウモリは不衛生かつ、健康に害を与えかねない害獣という点は事実です。注意しておくに越したことはないでしょう。
また、コウモリはダニやノミなどの身近な害虫を持っていることもあります。これらの害虫も病原菌を持っている可能性がある上、アレルギーの原因となることもあるため、コウモリを見ても絶対に接触しないようにしてください。
コウモリはかむ?
日本に生息しているコウモリは、基本的に自分からかみつきにいくような習性はないとされています。とはいえ、無理に駆除しようとしたり、捕まえようとしたりすると抵抗してかまれてしまうことはあります。
コウモリにかまれてしまうと、狂犬病にかかってしまうリスクがあるという話を聞いたことはあるでしょうか。狂犬病の致死率は非常に高く、発症してしまうとほぼ死亡してしまうことから不安に感じることもあるかもしれません。
しかし、日本での狂犬病の感染例は、国内に感染経路があったケースに限ればここ60年以上は報告が確認されていません。それでもコウモリにかまれてしまうと傷になってしまったり、その傷口から病原菌や細菌が入ってしまうことはあります。
そういった意味でも、コウモリに対する不要な接触はやめておいた方が得策でしょう。
作業が大変なら業者へ、その費用とは?
コウモリのふん清掃や駆除はやはり不安……という方は、業者に相談しましょう。プロの業者であれば、見つけにくい侵入経路もしっかり探してくれますし、より効果的な消毒方法も取ってくれるでしょう。
とはいっても、コウモリ業者には普段かかわることも少なく、どう選べばよいのか不安も多いのではないでしょうか。ここでは、そんなコウモリ業者に依頼する費用について解説していきます。業者選びの参考になれば幸いです。
コウモリ業者の費用相場
コウモリ駆除を業者に依頼した場合、対策場所1ヶ所につき3万円~5万円ほどの金額がかかるといわれています。これはふんの清掃や消毒、侵入経路の封鎖などをかねた金額です。この金額は被害の程度や作業内容によって大きく変動するため注意しましょう。
また、被害が進んでいる場合は侵入経路がひとつだけ、というケースも少ないため、この相場以上の金額がかかることもあります。建築が大きく、被害個所が広がってしまっている場合は数十万円の費用がかかってしまうこともあるでしょう。
よりよい業者を選ぶためには、複数の業者を見比べることが大切です。かかる費用は業者によって大きく変わるため、よく比較してみてください。
また、作業内容と費用のチェックも大切です。費用が安くても、やってほしい作業をしてもらえなければ意味がありません。安かろう悪かろう、ではありませんが、とはいえ単純に安いからといってすぐに依頼してはいけないのです。しっかり見積もりを取ってもらい、サービス内容と費用のバランスを見きわめましょう。
まとめ
家の中にふんが落ちていた場合、まずは落ち着いて対処しなければなりません。どの害獣のふんか特定できたら、それに応じた対処法を試しましょう。
とくにコウモリのふんは非常に不衛生で、触れてしまうと病気にかかってしまうリスクもあります。そのため、清掃の際は絶対に素手で触れず、清掃に適した服装や準備をしっかりするようにしてください。
しかし、天井裏などにふんがたまっていると清掃も大変ですし、何よりコウモリ自体をどうにかできなければ根本的な解決にはなりません。とはいえ、コウモリは鳥獣保護管理法によって守られているため、許可がなければ効果的な駆除対策はできないでしょう。困ったときは、プロの業者に依頼する方が得策ですね。
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