家の庭などで蛇を見かけたら、なるべく近付かないようにしましょう。日本に生息するほとんどの蛇は無毒ですが、まれに有毒の蛇も出没します。近付いたり触ったりすると咬まれるおそれもありますので、距離を取るようにしてください。
刺激を与えなければめったに危害を加えられることはありませんが、もし蛇を見たくないなら、寄せ付けない対策をしてみましょう。
この記事では、蛇が嫌うものを使った対策や、好きなものを取り除く対策についてご紹介します。
目次
蛇の生態
蛇は爬虫綱有鱗目ヘビ亜目に分類される爬虫類の総称で、南極大陸を除く全大陸に分布しています。変温動物ですので、極端に寒くなると温度変化の少ない土のなかで冬眠します。
ここでは蛇の感覚機能についての紹介をしていきます。
視覚
蛇にはまぶたがなく、常に目を開いたままのようになっています。蛇の眼球はまぶたの代りに、鱗の変化した透明な膜に覆われているのです。上や後ろはあまり見えておらず、前方60度程度しか見えていないと考えられていています。
聴覚
蛇の耳は皮膚内に埋もれています。鼓膜、鼓空などを欠き挫骨の一端は方骨に接し、もう一方は前耳骨にはまって内耳に接しているので空中を伝わる音波は感じません。
皮膚感覚
聴覚が弱い変わりに皮膚から伝わる地面の振動などを感じとる力があります。地面から伝わる人やネズミの歩く振動音は皮膚で感じています。特に頭部は効果的に敵や獲物の足音(振動)を感じることができるのです。
舌と嗅覚
蛇の味覚、臭覚器官は口のなかの上部に「ヤコブソン器官」と呼ばれる特有の器官があります。蛇は絶えず長い舌を出していますがこれは単なる癖ではなく、空気中のにおいや味を舌でとらえ、ヤコブソン器官に送り判断しているといわれます。
ピット器官
これは蛇のみがもつ特徴で、蛇の第6感器官といわれます。ピット器官はニシキヘビ科の多くの種とクサリヘビ亜科のヘビがっていて、目と鼻孔の間にあります。多くの神経、毛細血管が集まっていてわずかな熱(赤外線)を感じ取ることができるのです。
蛇が嫌うものって何?
蛇は大きな口で獲物を丸のみするため、危険な生物と思われがちです。しかし、蛇は自然界の食物連鎖で下位にいる生物ですので、他の生物に捕食されやすく天敵が多いのです。特に、ネコ科の哺乳類や猛禽類に捕食されやすいようです。
蛇は蚊取り線香の煙やタバコの吸い殻のにおいを嫌うともいわれていますが、効果はあまりありません。市販の忌避剤のなかには蛇が嫌う成分が入っているものもありますので、もし蛇が嫌うもので追い出したいのなら、忌避剤を使用してみてはいかがでしょうか。
日本に生息する蛇の種類
蛇はどれも姿形が似ていますが、さまざまな種類が存在します。日本国内に生息する種類は36種類ですが、北海道・本州・四国・九州に生息する蛇は8種類です。
- タカチホヘビ
- シロマダラ
- シマヘビ
- アオダイショウ
- ヒバカリ
- ジムグリ
- ヤマカガシ
- マムシ
また、奄美大島や沖縄本島およびその周辺の島々には、ハブなど28種類の蛇が生息しています。
毒がある危険な蛇
▲上画像はヤマガカシ
画像引用元:wikiメディアコモンズ
日本に生息する毒をもつ蛇は、「マムシ」「ハブ」「ヤマカガシ」の3種類です。家の周りで見かける蛇が毒蛇でない場合はそっとしておいてもよいでしょう。ただし、毒をもたない蛇でも咬みつかれると感染症を引き起こす危険性があります。毒がないからといってむやみに近付いたり触ったりしないようにしてください。
「マムシ」や「ハブ」は毒蛇のなかでも知名度があるためにまだ注意しやすいですが、「ヤマカガシ」という毒蛇はマムシやハブに比べれば知名度が低いために知らないという人もいるのではないでしょうか?
ヤマカガシは全長が70センチメートル~150センチメートル程度の大きさをしています。以前は無毒の蛇という認識が一般的でしたが、1972年にヤマカガシに咬まれた人が死亡する事故が起きてから、毒蛇として知られるようになりました。
基本的におとなしい性格をしているため、ヤマカガシに攻撃を加えない限りは危害を加えることはありませんが、万が一がありますので見かけたら距離を取るようにしましょう。
毒蛇が出た場合は自力で駆除するのではなく、蛇の駆除を生業としている業者か、警察に連絡するのがおすすめです。
蛇の主な被害
蛇の被害で一番怖いのが「毒」です。土や枯草と同じ色をしていて気付かずに蛇を踏んでしまい、咬まれるということもあります。実際にそれが原因で命を落としてしまうケースもあります。蛇は近付いたりこちらから攻撃したりしない限りは人間に危害を加えることはありませんので、自力で蛇を駆除しようとお考えの際には注意してください。
蛇はなぜ家の周りにあらわれるの?
蛇対策をするためには、まずなぜ家の周りに出没するのか原因を知ることが大切です。
蛇は、「餌がある」「隠れるところがある」場所を好みます。家に蛇の餌となるようなものがあったり、庭に隠れ場所となるような植物が生えていたりしていませんか?餌や隠れ場所をなくすことで、蛇が発生するリスクを抑えられます。
蛇は臆病な性格ですので、遭遇しても逃げるもしくは丸まります。近付いたり掴んだりすることをしなければ咬んでくることはありませんが、どうしても避けたいということでしたら対策してみてください。
次の章では、具体的な対策方法についてご紹介しています。
蛇を近付かせない3つの対策方法
「とにかく蛇を見たくない。」「毒蛇かもしれないから寄ってこないように対策をしたい。」という方は、以下の3つのことを試してみてください。
1.餌になるものをなくす
蛇の餌となるようなものはなるべく排除しましょう。ここでいう蛇のエサとはネズミやカエル、シロアリ、コオロギ、その他の昆虫類です。家に集まるネズミや昆虫などを減らすことができれば、蛇は餌を求めて別の場所に移動します。
もし家にネズミが住みついているようでしたら、ネズミ捕りなどの罠を仕かけて駆除するようにしましょう。
2.除草をして住処をなくす
芝生や茂みは短く刈っておくのがポイントです。蛇は高く伸びた芝生や茂みを好む傾向にありますので、定期的に手入れをしましょう。倒木や穴の開いた切り株など蛇の好みそうなものは極力庭から撤去してください。土穴や石垣の隙間、家の壁にヒビがあれば埋めるようにしましょう。
3.忌避剤を置く
蛇の嫌うにおいを使って寄せ付けない方法です。忌避剤は、外壁にスプレーできる液体タイプや庭全体に散布できる粉末タイプがあります。ホームセンターや園芸店などでさまざまな蛇を駆除するための忌避剤が販売されています。こうした忌避剤は環境にも優しく、ペットや芝生にも無害のものがあるのでおすすめです。
蛇に遭遇したときの追い出す方法
もし対策をしていても蛇を見かけてしまったら、どうすればよいのでしょうか。基本的に蛇に近付かないのが一番ですが、どうしても外に追い出したい場合や家のなかに侵入してしまった場合は、以下の方法で追い払ってみてください。
棒で追い払う
棒で追い払う場合は1メートル前後の距離を保って追い払いましょう。蛇自体を叩かなくても、地面をガリガリと棒でこすり、音をたててちょっと近付くと驚いて音と反対側に逃げていきます。
蛇を叩くと怒って反撃してくることがありますので気を付けてください。あくまで追いやるようにして蛇の周りを叩きます。
水をかける
これは棒がなかった場合の方法です。撒水ホースに撒水ノズルがついているならストレートに設定して勢いよく蛇のほうに水を放ちましょう。
スプレーをかける
もし見かけた蛇が毒蛇で、助けを呼ぶような時間もないとのことでしたら、毒蛇用の駆除スプレーで退治するのもひとつの手です。しかし、毒蛇は非常に危険ですので、近付きすぎないように気を付けましょう。
追いやるのが目的なら、蛇用の駆除スプレーでなくても、ハエ用でもヘアスプレーでも音に驚いて逃げていきます。
まとめ
蛇を家の周りに寄せ付けないためには、蛇が嫌うにおいを使用した忌避剤を吹きかけるほか、餌や住処となるものの除去が大切です。日本に生息するほとんどの蛇は無毒ですが、毒のある蛇である可能性もありますので、発見したらなるべく近付かないようにしましょう。
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