マンションに雨戸がない場合はどうすればいい?台風時の対策について

2021.4.30

マンションに雨戸がない場合はどうすればいい?台風時の対策について

防犯・防災に心強い雨戸ですが、ほとんどのマンションには設置されていません。なぜなら、高層階など風の影響を受けやすいマンションでは、台風のような強風が吹いたときに雨戸が飛ばされてしまうことがあり、大変危険だからです。

そのためマンションでは、雨戸を取り付ける以外の方法で、空き巣被害や台風による飛来物から窓ガラスを守る必要があります。この記事では、空き巣や台風から窓ガラスを守るのに役立つ情報をご紹介していきます。

また、「どうしても雨戸を設置したい」という場合には、室内用の雨戸という選択もありますので、今後の台風対策にお役立てください。

マンションに雨戸がない3つの理由

強風の影響を受けやすいマンションですが、おもに以下のような3つの理由から雨戸が設置されていません。

〇強風によって雨戸が飛ばされる可能性がある
〇建物が耐えられる重量を超えてしまう
〇十分な避難経路が確保できない

どの理由も安全性を考慮したものになっているため、マンションに雨戸がないからといって、無理に設置しようとするのはやめておきましょう。それぞれの理由をよく確認し、本当に雨戸を設置するべきなのか(可能なのか)を検討してみてください。

強風によって雨戸が飛ばされる可能性がある

はじめにもご説明しましたが、マンションでは強風の影響を受けやすくなっています。そのため、台風のようにモノが飛ばされるほどの強風が吹いた場合、雨戸が飛ばされてしまう可能性があるのです。

もし雨戸が飛ばされてしまえば、自宅のガラスにぶつかって割れたり、階下の人に直撃したりといった危険があります。このような危険を少しでもなくすため、マンションでは雨戸が設置されていません。

ただ、マンションの窓ガラスは雨戸がなくても大丈夫なように、多くは複層ガラス(防犯ガラスや強化ガラスなど)が使われています。現在お住いの部屋や引越し予定の部屋の窓が透明な単板ガラスであれば、複層ガラスへ交換するのもよいでしょう。

雨戸がないマンションの台風対策

建物が耐えられる重量を超えてしまう

一軒家のように1~2カ所の窓に雨戸を設置するだけであれば、それほどの重量にはならず、建物が耐えられないといったことにはなりません。しかし、マンションのように複数の人が住む建物で、それだけたくさんの人が雨戸を設置しようとすれば、大変な重量になってしまいます。

その結果、建物が耐えられる重量(建築基準法)を超えてしまい、地震などの災害時に倒壊を招くことにもなりかねないのです。こういった理由もあり、マンションには雨戸が設置されておらず、また新たに設置することも難しくなっています。

十分な避難経路が確保できない

既存の窓に新しく雨戸を設置するとなると、少なからずバルコニー側へ出っ張る部分ができます。これによって、バルコニーの広さ次第では十分な避難経路を確保できなくなってしまうため、防火法により雨戸が設置されていないようなのです。また、これはマンションに雨戸が設置できない理由にもなっています。

階層が高くなればなるほど、外への避難経路を確保しておくことも重要です。想定できる被害は、台風や空き巣といった外側だけでなく、火事など室内側にもあります。そのため、マンションのように避難経路が限定される場所では、あらゆる事態を想定した防犯・防災対策が必要なのです。

雨戸がないマンションでの5つの台風対策

複層ガラスのように丈夫な窓ガラスだからといって、「絶対に割れない」と言い切れるものではありません。そのため、「雨戸がない」「雨戸を設置できない」という場合には、以下の5つの方法で窓を守る対策をしておくと安心です。

養生テープを貼る
ダンボールを貼り付ける
カーテンを閉じる
フィルムを貼る
室内用の雨戸を設置する

2019年9月に発生した台風15号では最大瞬間風速が57.5m/sとなり、この風速では木造住宅が倒壊したり、鉄塔が曲がったりする危険性すらあります。このような風速ではどんなモノが飛ばされるかわからないため、雨戸のないマンションにお住いの方は、とくにやっておくべき対策といえるでしょう。

養生テープを貼る

雨戸のない窓ガラスに養生テープを貼ることで、ガラスが割れたとき、破片が飛び散るのを防ぐことができます。もちろんテープを貼っていない状態より強度も高くなります。

テープを貼るときのポイントとしては、イラストのように米印に貼るということです。なるべくガラスだけの面を減らすことで、破片の飛散防止や強度を向上させる効果を高めることができます。テープについても剥がし跡の残りにくい養生テープや布製のガムテープがおすすめです。

ダンボールを貼り付ける

さらに飛散防止と強度向上の効果を高めたい場合には、養生テープと一緒にダンボールを貼るのがおすすめです。大き目のダンボールであれば窓全体を覆うこともできるため、窓を効果的に守ることができます。

カーテンを閉じる

窓側ではなく、室内側のカーテンに突っ張り棒を設置します。割れてしまったガラスが飛散しないようカーテンが受け止めます。あまり上のほうに突っ張り棒を設置すると、ガラスを防ぎきれないおそれもあるため、下から1/4のあたりに調節しましょう。

フィルムを貼る

養生テープやダンボールなどを貼ることで多少強度はあがりますが、台風のたびに貼ったり、剥がしたりするのは面倒なものです。少しでも面倒を減らして防犯・防災対策したいという方には、“飛散防止フィルム”“防犯フィルム”を貼る方法もあります。

フィルムを貼る対策であれば、一度貼ってしまえば剥がす必要がなく、種類によっては紫外線をカットしてくれるものまであります。大掛かりな作業も必要ないため、台風の多くなる夏前に貼ってみてはいかがでしょうか。

室内用の雨戸を設置する

マンションの室外に雨戸を設置するのは難しいですが、室内に設置できる雨戸もあります。室内用の雨戸には多くのタイプがあり、日差しの調整や外からの視線を遮るのにも役立つようです。ただ、雨戸を室内に設置するため、窓ガラスの補強にならない点には注意しましょう。

メリット
・台風対策になる
・防犯対策になる
・光の調整ができる
・目隠しになる

デメリット
・設置場所に幅が必要
・状況によって設置できない
・外用よりもバリエーションが少ない

また、もし室内用の雨戸を設置するという場合には、DIYではなく業者に依頼することをおすすめします。雨戸の設置となると大掛かりな作業が必要となるため、知識のない不慣れ状態で設置しようとすると失敗するおそれがあります。

失敗なく確実に雨戸を設置するのなら業者が安心です。生活110番は全国に加盟店があります。業者選びにお困りの際には、24時間365日いつでもご相談ください。無料で受け付け対応しています。

台風対策はベランダも忘れずに

雨戸のないマンションで万全の台風対策をするためには、窓ガラスを守るだけでは不十分です。窓以外にベランダにもやっておくべき3つの台風対策があります。

〇ベランダ(バルコニー)を整理
〇排水口や樋を掃除
〇窓や網戸の状態を確認

窓の補強と一緒にこれらの対策をしておくことで、より台風被害を受けにくくすることができるでしょう。とくにマンションのように強風の影響を受けやすい場所ではやっておくべき対策です。

台風対策はベランダも忘れずに

ベランダ(バルコニー)を整理

台風で窓ガラスが割れる原因のほとんどは、飛来物が飛んできて窓にぶつかることです。飛来物と聞いてどこかから飛んでくるモノと思ってしまいがちですが、意外とベランダに置いてあるものにも注意しなければなりません。例をあげると以下のようなものがあります。

・物干し竿
・植木鉢
・ハンガー
・ダンボール
 など

ベランダに上記のモノが置いてある場合は、台風前だけでも室内に整理しておきましょう。もしベランダのモノを整理することができないという場合には、風に飛ばされないようロープで固定しておくと安心です。

排水口や樋を掃除

台風で気を付けるべきは強風だけでなく、大雨にも注意しなければなりません。強風によってゴミや葉っぱが飛んでくることで、排水口や樋がつまりやすくなり、最悪の場合、室内へと浸水してくることもあるようなのです。

また、マンションの2階以上に住んでいる場合、下の階への漏水が起きることもあります。そのため、排水口や樋がつまってしまわないよう、台風前には一度ゴミや葉っぱを掃除しておきましょう。

窓や網戸の状態を確認

台風がくる前に一度、窓や網戸の状態を確認しておくことも重要な対策です。窓や網戸には“はずれ止め”という落下を防止するための部品があります。このはずれ止めが緩んでいたり、故障していたりすれば、台風の強風によって窓や網戸が飛ばされてしまうおそれがあるのです。

窓自体に十分な対策をしていたとしても、本体が風で飛ばされてしまっては意味がありません。台風前はとくに意識してはずれ止めの状態を確認するようにしてください。

前もって準備しておくべき台風対策

台風による被害を最小限に抑えるためには、マンションの雨戸対策のほかに断水や停電といった、さまざまな事態への備えを知っておくことも大切です。緊急時のために備えておくべき4つのアイテムをご紹介していきます。

食料品

台風が来るとわかったら、食料品は普段よりも多めに蓄えておきましょう。最悪の場合、冠水などによりしばらく食料品が不足し、入手しづらくなるかもしれません。

断水してしまったときに備えて、多めに水を準備しておく必要があります。飲料用だけでなく、トイレが流せなくなることも考えられるので、お風呂などに十分な水をためておきましょう。

懐中電灯

台風のような嵐がくる場合、断線などによって長時間停電することも考えられます。このような事態に備えて、懐中電灯やロウソクも準備しておきましょう。また、長期間にわたって停電している場合、電気が復旧した際、電気機器から火花が散って火事になるおそれがあります。停電が長引きそうなときには、ブレーカーをOFFにしておきましょう。

バッテリー

スマートフォンやパソコンなどで情報を入手するとき、充電がきれないようモバイルバッテリーを準備しておきましょう。スマートフォンやパソコンの充電はあらかじめ満タンにしておくことも大切です。

また、マンションの付近に洪水のおそれがある河川など、低地である場合は事前に市役所や役場などでハザードマップを入手しておきましょう。水害や土砂災害に備えることができます。

まとめ

マンションの場合「雨戸が強風で飛ばされる」「建物が重さに耐えられない」「避難経路を確保できなくなる」という3つの理由から、雨戸が設置されていません。また、この3つの理由から、雨戸を新たに設置するのも難しくなっています。

そのため、マンションの窓で防犯・防災対策をするのであれば、雨戸を設置する以外の方法を活用していきましょう。家にあるもので簡易的に対策するのもよいですが、フィルムを貼ったり、室内用の雨戸を設置したりといった方法もおすすめです。

室内に雨戸を設置するときは業者に依頼するのが確実です。大掛かりな作業になるため、知識や経験のない方では失敗してしまうかもしれません。無理のない方法を選択してください。また、雨戸の設置にお困りの際には、ぜひ生活110番をご活用ください。


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