剪定などの情報を調べているとよく目にする『癒合剤』。これはカンタンにいえば、“木の傷(=切り口)を保護する“役割を果たすものです。
桜など、木の種類によっては切っただけで弱ってしまうものもあります。場合によってはその切り口から腐っていき、枯れてしまうことも。このような事態を防ぐためにも、適切に切り口に癒合剤を使うことは、剪定において非常に重要になってきます。
「どこに塗ればいいの?」
「どれを選べばいいの?」
今回はそんな癒合剤の使い方や選び方について、詳しく解説していきます。大切な木の保護にお困りの方は、ぜひご覧ください。
目次
癒合剤は“切り口を守る!”その必要性を解説
「癒合剤はなぜ必要なのか」、その役割について今一度確認してみましょう。
癒合剤の役割1:水や養分が出ていくのを防ぐ
多くの植物の茎や枝は、切った場合切り口がふさがるまでに、水分や養分がどんどん出ていってしまいます。これを防ぐためにも、切り口は適切に保護しなければなりません。
癒合剤には、切り口にふたすることで水分や養分の流出を抑える役割があります。癒合剤の多くは“酢酸ビニル系”や“アクリル樹脂系“などの水を通しにくい物質からなっており、これによって植物が弱るのを防ぐことができるのです。
癒合剤の役割2:雨水や雑菌の侵入を防ぐ
癒合剤には、切り口から入ってくる雑菌などの侵入を防ぐ役割もあります。人間でいえば、「ばんそうこうを貼る」というイメージをもってもらえれば、わかりやすいでしょうか。
植物は動物と違い、病原菌と戦う専門の免疫細胞や抗体をもっていません。そのため病気にかかると、一部を枯らして病原菌の増殖を防ぎます。しかし、これが上手くいかないと植物全体が枯れてしまうこともあるのです。
そのため、太い枝などを切る際には、菌の侵入・増殖にとくに注意しなければなりません。またそのような枝ほど、癒合剤の役割は重要になってくるといえます。
癒合剤の役割3:カルスの形成をうながす
癒合剤にはもうひとつ、塗布することで“カルス”が生まれやすくする役割もあります。カンタンにいえば、このカルスは切り口をふさいでいくための組織なので、どんどん生まれれば治りも早くなります。
このカルスによって切り口表面が覆われると、切断面を保護する効果も生まれます。いわゆる、“人間のかさぶた”に似たようなものですね。
癒合剤の使い方と使うべきタイミング
切り口の保護、という観点で、非常に重要な癒合剤。その使い方とタイミングは、それほど難しくありません。
癒合剤の使い方と注意点
この塗り方はカンタンで、ハケやヘラなどを使ったり、直接塗りつけたりして切り口に塗布していくだけ。切り口をふさぐように、しっかり塗っていきましょう。
この際、粘着性の強い癒合剤が衣服などにつくとなかなか取れなくなってしまうこともあります。誤って付着しないよう注意しつつ、汚れてもいい服を着るなどの対策も取っておくと安心です。
とはいえ、剪定後のすべての切り口に癒合剤を塗っていく、というのもなかなか大変……。そんなお悩みのある方は、まずは以下のような場面を意識して、重点的に癒合剤を使ってみましょう。
切り落とす枝が太い場合
切り落とす枝の太さが太くなればなるほど、切断面がふさがるのが遅くなるとともに植物の生育に対する影響も大きくなります。たとえばケヤキの場合、3cmほどの切断面がふさがるのに3年ほどかかる場合もあるのです。
そのため、太い枝を切る場合には優先的に癒合剤を利用し、植物へのダメージを最小限に抑えましょう。
木全体の大きさ
仮に枝が細くても、木が小さければその分ダメージは大きくなります。たとえば盆栽は手入れしやすい大きさに抑えているぶん、切り口ひとつの負担が大きく、ダメージも大きいのです。
木自体のサイズが小さい場合は、多少細い切り口でも癒合剤を塗っておくと安心でしょう。
木の種類
サクラや果樹の成るリンゴなどは、比較的病気にかかりやすい木といわれています。とくに品種改良を重ねている園芸種の場合、見た目がきれいなぶん弱さを抱えていることも……。
園芸用や果実目的の品種に関しては弱いことが多いので、切り口もとくに丁寧に保護することが大切です。
癒合剤を選ぶときはその“効果”や“色”に注目!
癒合剤とひとくちにいっても、さまざまな種類のものが市販されています。選び方に関しては、以下のようなポイントを意識してみましょう。
付加効果を意識してみよう
癒合剤には、カルスの形成をより促進する効果の入ったものや、殺菌・抗菌効果のある成分が混ぜられたものなどもあります。病気の耐性がとくに弱い種類に対しては、こうした配合の癒合剤を使ってみるのもひとつの手です。
これは癒合剤のホームページやパッケージなどに載っていることも多いので、購入時に一度見比べてみましょう。
枝の幹に合った色を意識してみよう
癒合剤によって、意外と色にはバラツキがあります。中にはオレンジ色のような派手な色も多く、幹の色によっては異様に目立ってしまうことも少なくありません。
この派手な色(オレンジなど)は癒合剤をどこまで塗ったか視認しやすいようについていることが多く、その点ではメリットともいえます。
とはいえ『切った直後でも鑑賞性を高めたい』と思うのであれば、透明色のものや幹と同系色の癒合剤を選んで、目立たないようにしておきましょう。
癒合後の状態がどうなるか?という点に注意!
仮に癒合剤を塗っておいたとしても、木は切り口をふさごうとして表皮を形成します。この“表皮ができたとき”の見た目は、癒合剤によって大きく2つに分けられます。
・癒合剤を取り込むように表皮を形成するタイプ
・癒合剤の下側に表皮を形成するタイプ
多くの場合は癒合剤を取り込むタイプの方が多いですが、中には傷が治ればかさぶたのように剥がれ落ちるタイプも。後者の方が修復後の切り口がきれいになりやすいので、見た目が気になる、という方はこちらを選んでみましょう。
代表的な癒合剤をご紹介
ここでは、代表的な癒合剤をご紹介していきます。癒合剤選びの参考になりましたら幸いです。
日本曹達 殺菌剤 トップジンMペースト 1Kg
殺菌成分であるチファネートメチルを利用した癒合剤で、果樹類を中心に効果があります。明るいオレンジ色をしており目立ちやすく、多くの農家で使われている「定番」ともいえる癒合剤です。
また癒合剤用途のほかにも、りんごやなしなどで起こる腐らん病・輪紋病などの治療としても効果が見込まれています。
ハナゲン カットパスターHi 雑木用 190g 盆栽庭木切口被覆塗布材
カットパスターは軟膏状で、茶~灰色をした癒合剤です。基本的には松・柏など常緑樹用・その他の木(雑木)用の癒合剤となります。
カットパスターの特徴は「表皮が癒合剤の内側で形成される」、という点です。切り口が直ればかさぶたのように取れるため、癒合剤を塗った部分の変形が小さいことがメリットとしてあげられます。
新キヨナール 100g
40年以上の歴史をもつ、緑色をしたペースト状・アクリル樹脂系の癒合剤です。とくに盆栽の剪定後に使えるよう意識して、開発されました。
また塗った後に完全には乾燥しないことも、癒合に効果を出しやすい特徴といえるでしょう。
富士商事 カルスメイト 150g
茶褐色をした酢酸ビニル系・クリーム状の癒合剤です。早く乾燥するため、癒合剤の部分が目立ちにくいというのが特徴としてあげられます。
木や盆栽など、さまざまな場面に使いやすい便利な一品です。
癒合剤選びや木の保護に迷ったらプロに聞いてみると安心!
「しっかり対策・保護できるか不安……」
そのような場合は無理に触らず、一度プロに相談してみるのもひとつの手です。
木の種類はもちろん、剪定状況や切り口の状態によっても適切な手入れは少々異なります。正しい処置をして健康に育てたい!と思うのであれば、一度プロの知識に相談し、対処してもらうと確実です。
また癒合剤の相談はもちろん、剪定方法などの相談もしておくと、今後の生育にとても役立ちます。木の健康状態に不安がある……という方は、プロの経験や知識に頼りつつ、今後の園芸にも役立ててみてはいかがでしょうか?
プロの業者にすぐ相談・依頼したい!というご要望は、ぜひ弊社にお任せください。
24時間年中対応のフリーダイヤルからは、全国各地の提携業者をすぐにご紹介。現地調査をしたのち、プロの技術で適切な対処を致します。
作業前には、もちろん見積りも算出いたします。この金額を確認してからの作業となりますので、『まずは見積りから確認したい……』という方も安心してご相談ください。
まずはプロの目で木の状態をチェックしてもらい、最適な対処法を提案してもらいましょう!
代用できる?癒合剤の代わりに使えるもの
最近では癒合剤の代わりに使えるものとして「木工用接着剤」「アルミホイル」「墨汁」などがあげられることもあります。しかし、こうした代用品の効果は実際、どうなのでしょうか?
木工用接着剤
木工用接着剤の多くは“酢酸ビニル”という成分が含まれており、一部の癒合剤にもこの酢酸ビニルが使われています。酢酸ビニルの膜は乾燥すると水を通しにくく、表面を保護する効果が期待できるでしょう。
ただし雨に当たる前提ではないため比較的流れてしまいやすく、また殺菌成分などももちろんありません。
手軽に利用できる点は魅力的ですが、癒合剤に比べるとやや効果は劣る、という点は覚えておきましょう。
アルミホイル
アルミホイルで切断面やその周辺を覆い、固定するという方法もよく使われます。植物に特別な成分を塗るわけではないので、何となく癒合剤を塗るのは気になる……という方も安心して使えるでしょう。
しかしアルミホイルではどうしても木との間にすき間が生じてしまうことも多く、そこから湿気が溜まってしまうことも考えられます。またアリなどが侵入して、木を食べてしまうことも。
そのため、どうしても使う場合は定期的に点検・交換するなどの手間・工夫が必要になってくるでしょう。
墨汁
墨にはニカワが含まれているため、ある程度の被膜を形成することは期待できるかもしれません。しかし、その成分のほとんどはスス(炭素)なので切り口を保護する効果は比較的薄く、ただ「目立たなくする」程度ともいえるでしょう。
また、こちらも雨によって流れてしまいやすいなど、癒合剤に比べると植物に対する効果は小さいといえます。
代用品としてあげられるものは、癒合剤と比べて効果が限定的といえます。一時的に効果がある場合もありますが、基本的には専用の癒合剤を使うのが安心です。
まとめ
剪定で太い枝を切る際、切り口からは栄養や水分が流れ出るだけでなく、菌にも弱くなってしまいます。そのような場合は癒合剤を活用し、切断面が表皮で覆われるまでは保護することが重要です。
とくにサクラや園芸用の品種では、癒合剤処理は必須。太い枝かどうかはもちろん、木の種類によっても癒合剤の重要性を判断できます。
とはいえ、癒合剤とひとくちにいってもさまざまな種類があり、またその特徴も異なります。癒合剤や切り口など、大切な木の健康についてお悩みの方は、まずは一度プロの知識に相談してみてはいかがでしょうか。
知識や経験をもった剪定の業者に相談すれば、適切かつ高度な技術で大切な木を守ってもらえます。それをただ見ているだけで対処してもらえる、というのはやはりうれしいですよね。
もちろん「自分で手入れしたい!」という方も多いかと思いますが、どうしても不安であれば無理せず、一度どうすればよいか相談してみてはいかがでしょうか?
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